MR画像検査学
定価 5,280円(税込) (本体4,800円+税)
- B5判 336ページ 2色(一部カラー),イラスト286点,写真348点
- 2023年3月31日刊行
- ISBN978-4-7583-2095-5
電子版
序文
編集の序
診療放射線技師は,法令の一部改正により業務範囲が拡大し,大きな変革期を迎えています。高度医療技術職として,国民からの診療放射線技師に対する認知度が高まることは非常に喜ばしい反面,求められる役割はより大きくなり,必要とされる知識や技術は確実に増加しています。
この変化に対応するため,診療放射線技師養成校では指定規則の改正を反映させた新カリキュラムでの教育に取り組んでいます。限られた講義時間で,学生に基礎から臨床までの知識を効率よく修学させるにはどうすればよいか,頭を悩ませていました。そのような時期に,本書の編集に携わる機会を得ました。厚生労働省による診療放射線技師養成所指導ガイドラインでは,診療画像技術学・臨床画像学において,装置の構成,使用法及び保守管理法,撮影に必要な知識・技術,画像処理・画像解析,画質評価,正常所見,代表的な異常所見及び緊急対応を要する画像所見について学習することとなっています。その中でも磁気共鳴画像検査は専門性が高く,その特殊性から苦手意識をもつ学生は少なくないかもしれません。また,磁気共鳴に関するすぐれた書籍は多数出版されていますが,養成校での教育に特化したものは少ないと感じています。
本書は,養成校のシラバスに則した構成となっており,日々の学習はもちろん,国家試験や臨床現場でも役立つ内容となっています。さらに,養成校で磁気共鳴に関する講義を担当されている先生方にご執筆いただきました。学生がつまずきやすい事柄など,実際に教鞭を執られているからこそわかるようなポイントも押さえて解説されており,執筆陣のノウハウが詰め込まれた1冊となっております。また,図表のほか「用語解説」「基礎へのフィードバック」「重要ポイント」といった囲み記事も充実させ,飽きずに楽しく学べる紙面とすることを心がけました。
本書が読者の皆さんの知識の向上と臨床での活躍の一助となることを願っております。
最後に,期限が迫る中で快く修正,改善要望を受け入れていただいたメジカルビュー社の伊藤 彩氏,企画段階から相談に乗っていただいた北條智美氏に深く感謝します。
2023年3月
高津安男
小野 敦
診療放射線技師は,法令の一部改正により業務範囲が拡大し,大きな変革期を迎えています。高度医療技術職として,国民からの診療放射線技師に対する認知度が高まることは非常に喜ばしい反面,求められる役割はより大きくなり,必要とされる知識や技術は確実に増加しています。
この変化に対応するため,診療放射線技師養成校では指定規則の改正を反映させた新カリキュラムでの教育に取り組んでいます。限られた講義時間で,学生に基礎から臨床までの知識を効率よく修学させるにはどうすればよいか,頭を悩ませていました。そのような時期に,本書の編集に携わる機会を得ました。厚生労働省による診療放射線技師養成所指導ガイドラインでは,診療画像技術学・臨床画像学において,装置の構成,使用法及び保守管理法,撮影に必要な知識・技術,画像処理・画像解析,画質評価,正常所見,代表的な異常所見及び緊急対応を要する画像所見について学習することとなっています。その中でも磁気共鳴画像検査は専門性が高く,その特殊性から苦手意識をもつ学生は少なくないかもしれません。また,磁気共鳴に関するすぐれた書籍は多数出版されていますが,養成校での教育に特化したものは少ないと感じています。
本書は,養成校のシラバスに則した構成となっており,日々の学習はもちろん,国家試験や臨床現場でも役立つ内容となっています。さらに,養成校で磁気共鳴に関する講義を担当されている先生方にご執筆いただきました。学生がつまずきやすい事柄など,実際に教鞭を執られているからこそわかるようなポイントも押さえて解説されており,執筆陣のノウハウが詰め込まれた1冊となっております。また,図表のほか「用語解説」「基礎へのフィードバック」「重要ポイント」といった囲み記事も充実させ,飽きずに楽しく学べる紙面とすることを心がけました。
本書が読者の皆さんの知識の向上と臨床での活躍の一助となることを願っております。
最後に,期限が迫る中で快く修正,改善要望を受け入れていただいたメジカルビュー社の伊藤 彩氏,企画段階から相談に乗っていただいた北條智美氏に深く感謝します。
2023年3月
高津安男
小野 敦
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目次
1 基礎原理① 磁気共鳴と緩和現象 [齋藤茂芳]
1 MRIとは
2 MRIの基本原理
3 磁気緩和現象
2 基礎原理② パルスシーケンスの基礎(SE, GRE) [荒尾信一]
1 MRIにおける信号の検出
2 緩和過程を表す信号―FID信号とエコー信号―
3 基本的なパルスシーケンス① spin echo(SE)法
4 基本的なパルスシーケンス② gradient echo(GRE)法
5 SE法とGRE法の撮像時間,画像信号の違い
3 基礎原理③ イメージング(傾斜磁場, k空間) [小林邦典]
1 概要
2 信号の取得法
3 パルスシーケンスダイアグラム(PSD)
4 傾斜磁場とは
5 画像化への手順
6 k空間(k-space)
4 基礎原理④ 画像コントラスト [俵 紀行]
1 MR画像の画像コントラストに寄与する因子
2 MR画像の画質
3 ボクセルの大きさと空間分解能
4 信号対雑音比(SNR)
5 画像コントラスト
6 gradient echo(GEもしくはGRE)法の画像のコントラスト
5 装置の構造 [北村茂三]
1 MRI装置の磁石の種類
2 MRI装置の構造
3 磁気シールドと電波シールド
4 装置管理システム
5 高磁場(3T)装置の特徴
6 高速イメージング [木田勝博]
1 高速スピンエコー法〔高速SE法(FSE),TSE〕
2 EPI(echo planar imaging)
3 パラレルイメージング(PI)
4 圧縮センシング(CS)
7 撮像技術① IR,脂肪抑制 [森口央基]
1 inversion recovery(FLAIR,STIR)
2 脂肪抑制の総論
3 CHESS
4 Dixon法
5 2項パルス
6 SPIR
7 SPAIR
8 撮像技術② DWI,灌流 [金澤裕樹]
1 拡散強調画像(DWI)
2 血流動態・灌流(perfusion)
9 撮像技術③ fMRI,MRS,MRエラストグラフィ
1 ファンクショナルMRI(fMRI) [村中博幸]
2 MRスペクトロスコピー(MRS) [久保 均]
3 MRエラストグラフィ(MRE) [沼野智一]
10 撮像技術④ 造影検査,MRCP
1 造影検査 [吉川宏起,名古安伸]
2 MRCP [木田勝博]
11 撮像技術⑤ MRAの基礎 [小野 敦]
1 造影MRAと非造影MRAの比較
2 TOF法
3 PC法
4 FBI法
12 撮像技術⑥ アドバンスMRA [田淵昭彦]
1 ASL
2 4D-flow
3 black blood imaging
13 アーチファクトの原因と対処法① [高津安男]
1 折り返しアーチファクト(aliasing artifact,wraparound artifact,folding over artifact)
2 打ち切りアーチファクト(truncation artifact,ringing artifact,Gibbs現象)
3 クロストーク
4 体動アーチファクト(moving artifact)
5 フローアーチファクト(flow artifact)
6 部分容積効果(パーシャルボリューム効果)
7 ブラーリング効果(blurring effect)
14 アーチファクトの原因と対処法② [高津安男]
1 ケミカル(化学)シフトアーチファクト(chemical shift artifact)
2 磁化率アーチファクト(susceptibility artifact)
3 マジックアングル(魔法角)アーチファクト(magic angle artifact)
4 N/2(エヌハーフ)アーチファクト
5 RF不均一
6 ジッパーアーチファクト(zipper like artifact)
7 アネファクトアーチファクト(annefact artifact)
8 装置由来のアーチファクト
15 MRIの安全性 [林 則夫]
1 MR装置(静磁場)による作用:力学的作用
2 MR装置(高周波)による作用:加温作用
3 MR装置(傾斜磁場)による作用:神経刺激および騒音
4 クエンチ
5 MR装置の安全性の規格
6 MR装置周辺の安全性
付録1 性能評価 [高津安男]
1 信号雑音比(SNR)
2 均一性
3 スライス厚測定試験
4 緩和時間(T1値とT2値の測定)
付録2 画像 [高津安男,小野 敦]
1 脳
2 脳血管,頸部血管
3 腰椎部
4 上腹部
5 骨盤部
6 心臓
7 肩
8 膝
1 MRIとは
2 MRIの基本原理
3 磁気緩和現象
2 基礎原理② パルスシーケンスの基礎(SE, GRE) [荒尾信一]
1 MRIにおける信号の検出
2 緩和過程を表す信号―FID信号とエコー信号―
3 基本的なパルスシーケンス① spin echo(SE)法
4 基本的なパルスシーケンス② gradient echo(GRE)法
5 SE法とGRE法の撮像時間,画像信号の違い
3 基礎原理③ イメージング(傾斜磁場, k空間) [小林邦典]
1 概要
2 信号の取得法
3 パルスシーケンスダイアグラム(PSD)
4 傾斜磁場とは
5 画像化への手順
6 k空間(k-space)
4 基礎原理④ 画像コントラスト [俵 紀行]
1 MR画像の画像コントラストに寄与する因子
2 MR画像の画質
3 ボクセルの大きさと空間分解能
4 信号対雑音比(SNR)
5 画像コントラスト
6 gradient echo(GEもしくはGRE)法の画像のコントラスト
5 装置の構造 [北村茂三]
1 MRI装置の磁石の種類
2 MRI装置の構造
3 磁気シールドと電波シールド
4 装置管理システム
5 高磁場(3T)装置の特徴
6 高速イメージング [木田勝博]
1 高速スピンエコー法〔高速SE法(FSE),TSE〕
2 EPI(echo planar imaging)
3 パラレルイメージング(PI)
4 圧縮センシング(CS)
7 撮像技術① IR,脂肪抑制 [森口央基]
1 inversion recovery(FLAIR,STIR)
2 脂肪抑制の総論
3 CHESS
4 Dixon法
5 2項パルス
6 SPIR
7 SPAIR
8 撮像技術② DWI,灌流 [金澤裕樹]
1 拡散強調画像(DWI)
2 血流動態・灌流(perfusion)
9 撮像技術③ fMRI,MRS,MRエラストグラフィ
1 ファンクショナルMRI(fMRI) [村中博幸]
2 MRスペクトロスコピー(MRS) [久保 均]
3 MRエラストグラフィ(MRE) [沼野智一]
10 撮像技術④ 造影検査,MRCP
1 造影検査 [吉川宏起,名古安伸]
2 MRCP [木田勝博]
11 撮像技術⑤ MRAの基礎 [小野 敦]
1 造影MRAと非造影MRAの比較
2 TOF法
3 PC法
4 FBI法
12 撮像技術⑥ アドバンスMRA [田淵昭彦]
1 ASL
2 4D-flow
3 black blood imaging
13 アーチファクトの原因と対処法① [高津安男]
1 折り返しアーチファクト(aliasing artifact,wraparound artifact,folding over artifact)
2 打ち切りアーチファクト(truncation artifact,ringing artifact,Gibbs現象)
3 クロストーク
4 体動アーチファクト(moving artifact)
5 フローアーチファクト(flow artifact)
6 部分容積効果(パーシャルボリューム効果)
7 ブラーリング効果(blurring effect)
14 アーチファクトの原因と対処法② [高津安男]
1 ケミカル(化学)シフトアーチファクト(chemical shift artifact)
2 磁化率アーチファクト(susceptibility artifact)
3 マジックアングル(魔法角)アーチファクト(magic angle artifact)
4 N/2(エヌハーフ)アーチファクト
5 RF不均一
6 ジッパーアーチファクト(zipper like artifact)
7 アネファクトアーチファクト(annefact artifact)
8 装置由来のアーチファクト
15 MRIの安全性 [林 則夫]
1 MR装置(静磁場)による作用:力学的作用
2 MR装置(高周波)による作用:加温作用
3 MR装置(傾斜磁場)による作用:神経刺激および騒音
4 クエンチ
5 MR装置の安全性の規格
6 MR装置周辺の安全性
付録1 性能評価 [高津安男]
1 信号雑音比(SNR)
2 均一性
3 スライス厚測定試験
4 緩和時間(T1値とT2値の測定)
付録2 画像 [高津安男,小野 敦]
1 脳
2 脳血管,頸部血管
3 腰椎部
4 上腹部
5 骨盤部
6 心臓
7 肩
8 膝
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