Crosslink 言語聴覚療法学テキスト
音響・音声学
定価 4,400円(税込) (本体4,000円+税)
- B5判 152ページ オールカラー,イラスト100点
- 2023年3月30日刊行
- ISBN978-4-7583-2068-9
電子版
序文
本書は,音声学,音響学,聴覚心理学を言語聴覚士の養成校で学ぶための教科書である。これらの科目を大学で一般教養として学ぶ場合との違いは,言語聴覚士の臨床に不可欠な知識であるので,常に言語聴覚療法の他の専門科目との関係を理解しつつ学ぶ必要があるということである。ことばの障害のリハビリを行う言語聴覚士にとって,これらの科目は,ことばという世界を読み解く際の道具であると言えるだろう。
私たちは,日常,特に注意をすることなく,何気なくことばを使っている。あえてそのしくみや役割に目を向けることは少ない。しかし,言語聴覚士になるためには,これらの現象を科学的にとらえ,分析をし,臨床で出会う各症例への対応方法を考えることが求められる。さらに,これらの科目を学ぶことで,単に学問としての知識,臨床のための道具としてだけではなく,人が今まで音声によることばをどのようにとらえてきたかということを広い視点で学ぶことができる。きっと,今までのことばに対する考え方を変えてくれるだろう。
実は,音声学,音響学,聴覚心理学は,あまり一般的な科目ではなく,言語聴覚士の養成校に入って初めて学ぶ学生も多い。本書は,これらを皆さんが,無理なく,できるだけわかりやすく学べるように,という点を大切にして作成した。
本書が,これから言語聴覚士を目指す皆さんの音や音声,そして言語のより深い理解の助けになり,卒業後の臨床にも役立つ知識となることを期待している。
本書の編集にあたり,ご協力いただいた先生方,メジカルビュー社編集部 榊原優子氏に深く感謝する。
2023年2月
竹内京子
稲田朋晃
私たちは,日常,特に注意をすることなく,何気なくことばを使っている。あえてそのしくみや役割に目を向けることは少ない。しかし,言語聴覚士になるためには,これらの現象を科学的にとらえ,分析をし,臨床で出会う各症例への対応方法を考えることが求められる。さらに,これらの科目を学ぶことで,単に学問としての知識,臨床のための道具としてだけではなく,人が今まで音声によることばをどのようにとらえてきたかということを広い視点で学ぶことができる。きっと,今までのことばに対する考え方を変えてくれるだろう。
実は,音声学,音響学,聴覚心理学は,あまり一般的な科目ではなく,言語聴覚士の養成校に入って初めて学ぶ学生も多い。本書は,これらを皆さんが,無理なく,できるだけわかりやすく学べるように,という点を大切にして作成した。
本書が,これから言語聴覚士を目指す皆さんの音や音声,そして言語のより深い理解の助けになり,卒業後の臨床にも役立つ知識となることを期待している。
本書の編集にあたり,ご協力いただいた先生方,メジカルビュー社編集部 榊原優子氏に深く感謝する。
2023年2月
竹内京子
稲田朋晃
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目次
第 0 章 Introduction
はじめに [竹内京子]
1 音声学
2 音響学
3 聴覚心理学
第 1 章 音声学
1 音声 [竹内京子]
1 音声の基本的な性質
2 音声器官
2 分節音(単音) [竹内京子]
1 音声の記述方法と国際音声記号
2 母音
3 子音
4 音声と音韻
5 いろいろな音声現象
3 超分節的特徴(韻律的特徴)
1 リズム [稲田朋晃]
2 アクセント [金村久美]
3 イントネーション 音声 [稲田朋晃]
4 パラ言語情報と非言語情報 音声 [稲田朋晃]
第 2 章 音響学
1 音の物理的側面 [中村健太郎]
1 物理現象としての音
2 音の強さ [中村健太郎]
1 圧力変化としての音
2 音速・波長・減衰
3 音の伝わり方
3 スペクトル [中村健太郎]
1 音のスペクトル
4 共鳴・共振 [峯松信明]
1 音の共鳴(共振)
2 空気振動の伝播,進行波と反射波の重ね合わせ
3 音響管の共鳴と共鳴周波数
4 母音の共鳴周波数(フォルマント周波数)
5 音声生成の音響理論 [峯松信明]
1 フーリエ解析に基づく音声波形の特性分析
2 音源フィルタ理論
6 言語音の生成と知覚 [峯松信明]
1 母音と母音に準じる音の音響特性と知覚
2 子音の音響特性と知覚 音声
3 韻律と特殊拍 音声
7 音声の記録方法とデジタル信号処理 [峯松信明]
1 音声のデジタル化
2 標本化と量子化
3 音声のデジタル処理
第 3 章 聴覚心理学
1 聴覚の仕組み [世木秀明]
1 聴覚器(耳)の構造
2 聴覚刺激の伝播過程
2 音の心理物理学 [世木秀明]
1 音の心理的側面と物理的側面
2 聴覚閾値,痛覚閾値,可聴範囲
3 弁別閾と比弁別閾値
3 音の大きさの知覚 [世木秀明]
1 大きさ(ラウドネス)
2 ラウドネスの時間特性
3 聴取する帯域幅とラウドネスの関係
4 音の高さの知覚 [世木秀明]
1 高さ(ピッチ)
2 音色
3 時間的パターンの知覚
5 聴覚の周波数分析とマスキング現象 [世木秀明]
1 聴覚フィルタ
2 マスキング現象と臨界帯域
3 両耳間マスキング・中枢性マスキング
6 両耳の聴こえ [世木秀明]
1 両耳ラウドネス加算効果
2 音源定位
7 環境と聴覚 [世木秀明]
1 音による環境理解と騒音
2 聴覚疲労・聴覚順応
3 その他の聴こえに関する現象
はじめに [竹内京子]
1 音声学
2 音響学
3 聴覚心理学
第 1 章 音声学
1 音声 [竹内京子]
1 音声の基本的な性質
2 音声器官
2 分節音(単音) [竹内京子]
1 音声の記述方法と国際音声記号
2 母音
3 子音
4 音声と音韻
5 いろいろな音声現象
3 超分節的特徴(韻律的特徴)
1 リズム [稲田朋晃]
2 アクセント [金村久美]
3 イントネーション 音声 [稲田朋晃]
4 パラ言語情報と非言語情報 音声 [稲田朋晃]
第 2 章 音響学
1 音の物理的側面 [中村健太郎]
1 物理現象としての音
2 音の強さ [中村健太郎]
1 圧力変化としての音
2 音速・波長・減衰
3 音の伝わり方
3 スペクトル [中村健太郎]
1 音のスペクトル
4 共鳴・共振 [峯松信明]
1 音の共鳴(共振)
2 空気振動の伝播,進行波と反射波の重ね合わせ
3 音響管の共鳴と共鳴周波数
4 母音の共鳴周波数(フォルマント周波数)
5 音声生成の音響理論 [峯松信明]
1 フーリエ解析に基づく音声波形の特性分析
2 音源フィルタ理論
6 言語音の生成と知覚 [峯松信明]
1 母音と母音に準じる音の音響特性と知覚
2 子音の音響特性と知覚 音声
3 韻律と特殊拍 音声
7 音声の記録方法とデジタル信号処理 [峯松信明]
1 音声のデジタル化
2 標本化と量子化
3 音声のデジタル処理
第 3 章 聴覚心理学
1 聴覚の仕組み [世木秀明]
1 聴覚器(耳)の構造
2 聴覚刺激の伝播過程
2 音の心理物理学 [世木秀明]
1 音の心理的側面と物理的側面
2 聴覚閾値,痛覚閾値,可聴範囲
3 弁別閾と比弁別閾値
3 音の大きさの知覚 [世木秀明]
1 大きさ(ラウドネス)
2 ラウドネスの時間特性
3 聴取する帯域幅とラウドネスの関係
4 音の高さの知覚 [世木秀明]
1 高さ(ピッチ)
2 音色
3 時間的パターンの知覚
5 聴覚の周波数分析とマスキング現象 [世木秀明]
1 聴覚フィルタ
2 マスキング現象と臨界帯域
3 両耳間マスキング・中枢性マスキング
6 両耳の聴こえ [世木秀明]
1 両耳ラウドネス加算効果
2 音源定位
7 環境と聴覚 [世木秀明]
1 音による環境理解と騒音
2 聴覚疲労・聴覚順応
3 その他の聴こえに関する現象
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本巻では「音声学」「音響学」「聴覚心理学」の3章構成とし,「音声学」「音響学」の講義に対応に対応。さらに学習に役立つ音声をストリーミングで配信。