姿勢から介入する摂食嚥下
パーキンソン病患者に対する
トータルアプローチ
定価 4,950円(税込) (本体4,500円+税)
- B5判 256ページ オールカラー,イラスト106点,写真294点
- 2020年9月3日刊行
- ISBN978-4-7583-2026-9
電子版
序文
編集の序
日本におけるパーキンソン病の有病率は,10万人あたり100人~180人(およそ1,000人に1人)であり60歳以上では10万人あたり1,000人(およそ100人に1人)である。今後も高齢化が進むにつれてまだまだ患者数は増加する疾患である。平均寿命は一般の高齢者と比して差は認められず天寿を全うする病気と認識されている。
そのようななかで,パーキンソン病の死因として多くを占めているのは誤嚥性肺炎と窒息であり,苦しい最期を迎える患者が非常に多い印象を抱いている。これまでにも,疾患特有の無動,筋強剛,基本動作能力や歩行などの,身体に現れる症状に対して数々のリハビリテーション介入が展開されており一定の効果を示している。しかし,死因に直結する摂食嚥下障害への介入はチーム医療体制が形成されていない施設が多い。言語聴覚士が主軸になって取り組むことにならざるを得ない状況になっており,摂食嚥下障害に対する研究や臨床介入はまだまだ悩みが絶えない状況下にある。
パーキンソン病に出現する摂食嚥下障害は,口腔顔面に限局して出現するものではなく,疾患の進行に伴い変容する全身の構造的変化に付随して障害が出現するものである。したがって,すべてのリハビリテーション専門職が摂食嚥下障害をoutcomeにした職種別の役割を明確に示す必要がある。そのためにも,まずは問題が起きやすい食事の現場に足を運ぶ機会を作らなければならない。専門職であるわれわれがパーキンソン病の姿を確認するのはリハビリテーション室である機会が非常に多く,実際の食事摂取がどのような環境下に置かれているのかについては情報が希薄である。体幹が傾斜したり,骨盤帯が前擦りしたりしながらも修正されることなく「何気に」食べさせられていることに対する意識が低いように感じている。座り方やテーブルの高さなどの環境要因,使用する箸やスプーンなどの食具に関する手段の要因,食事の提供の種類などの栄養要因など,多くの患者は配慮されることなく食べさせられている。パーキンソン病に出現する摂食嚥下障害と姿勢障害,呼吸障害は密接な関係性があり,食事場面における評価や,異常に対して介入の機会があるだけでも,起こる必要のない誤嚥や窒息などの呼吸器症状を抑制できるものである。
本書では,パーキンソン病に対する多職種連携を主軸にした取り組みについて多く取り上げており,まさに,明日からチーム一丸となって学習できる内容を網羅した。今後のパーキンソン病に出現する摂食嚥下障害に対するリハビリテーション,看護,栄養,介護の視点を発展させる契機になることを願っている。
最後に,本書の発刊にあたり多くのご助言,ご指導をいただきました北祐会神経内科病院の森若文雄先生,メジカルビュー社の伊藤 彩氏をはじめ,間宮卓治氏,榊原優子氏に心より感謝申し上げます。
2020年7月
東京医療学院大学保健医療学部
内田 学
日本におけるパーキンソン病の有病率は,10万人あたり100人~180人(およそ1,000人に1人)であり60歳以上では10万人あたり1,000人(およそ100人に1人)である。今後も高齢化が進むにつれてまだまだ患者数は増加する疾患である。平均寿命は一般の高齢者と比して差は認められず天寿を全うする病気と認識されている。
そのようななかで,パーキンソン病の死因として多くを占めているのは誤嚥性肺炎と窒息であり,苦しい最期を迎える患者が非常に多い印象を抱いている。これまでにも,疾患特有の無動,筋強剛,基本動作能力や歩行などの,身体に現れる症状に対して数々のリハビリテーション介入が展開されており一定の効果を示している。しかし,死因に直結する摂食嚥下障害への介入はチーム医療体制が形成されていない施設が多い。言語聴覚士が主軸になって取り組むことにならざるを得ない状況になっており,摂食嚥下障害に対する研究や臨床介入はまだまだ悩みが絶えない状況下にある。
パーキンソン病に出現する摂食嚥下障害は,口腔顔面に限局して出現するものではなく,疾患の進行に伴い変容する全身の構造的変化に付随して障害が出現するものである。したがって,すべてのリハビリテーション専門職が摂食嚥下障害をoutcomeにした職種別の役割を明確に示す必要がある。そのためにも,まずは問題が起きやすい食事の現場に足を運ぶ機会を作らなければならない。専門職であるわれわれがパーキンソン病の姿を確認するのはリハビリテーション室である機会が非常に多く,実際の食事摂取がどのような環境下に置かれているのかについては情報が希薄である。体幹が傾斜したり,骨盤帯が前擦りしたりしながらも修正されることなく「何気に」食べさせられていることに対する意識が低いように感じている。座り方やテーブルの高さなどの環境要因,使用する箸やスプーンなどの食具に関する手段の要因,食事の提供の種類などの栄養要因など,多くの患者は配慮されることなく食べさせられている。パーキンソン病に出現する摂食嚥下障害と姿勢障害,呼吸障害は密接な関係性があり,食事場面における評価や,異常に対して介入の機会があるだけでも,起こる必要のない誤嚥や窒息などの呼吸器症状を抑制できるものである。
本書では,パーキンソン病に対する多職種連携を主軸にした取り組みについて多く取り上げており,まさに,明日からチーム一丸となって学習できる内容を網羅した。今後のパーキンソン病に出現する摂食嚥下障害に対するリハビリテーション,看護,栄養,介護の視点を発展させる契機になることを願っている。
最後に,本書の発刊にあたり多くのご助言,ご指導をいただきました北祐会神経内科病院の森若文雄先生,メジカルビュー社の伊藤 彩氏をはじめ,間宮卓治氏,榊原優子氏に心より感謝申し上げます。
2020年7月
東京医療学院大学保健医療学部
内田 学
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書評
評者 山田 実(筑波大学人間系)
『長年、専門職として貢献できることを追求し、多職種連携の重要性や困難さを感じながら、摂食嚥下と向き合ってきたからこそ辿り着いた一冊』、私が本書を拝読させていただいた際の印象です。『姿勢』というコメディカルが介入可能な視点から、臨床現場で培った経験と学術的に裏打ちされた情報をもとに、パーキンソン病患者の摂食嚥下に対するアプローチについてまとめられています。また、臨床現場で観察されるさまざまな事象を単一ではなく、多職種による複数の側面より考察されており、多職種連携によって高められる相乗効果を実感できる内容となっています。著者のもつ数多くの経験と数えきれない苦労がエッセンスとなり、表面的ではない奥深さを感じられる一冊です。
『姿勢と摂食嚥下』という決して近く感じることのできない2つのキーワードですが、本書を読み進めることで切り離すことのできない2つのキーワードであったことに気づかされます。『療法士だから』できないことが多い摂食嚥下の領域ですが、『姿勢』というキーワードを介すことで、『療法士でなければ』できないことも多い摂食嚥下に変化します。本書には、『姿勢』を味方にするためのコンテンツが多く含まれており、これまでにない新たなヒントを提供してくれます。独創的な切り口で、『姿勢』と『摂食嚥下』を結びつけた唯一無二の一冊です。
「自分でもやれるかも」、「今日から実践してみよう」、「隣のスタッフとも共有しよう」、このように読者の行動変容を引き起こす、やる気にさせてくれる構成になっています。本書は、パーキンソン病の概要から始まり、嚥下関連に関する基本的情報、さらには臨床場面で遭遇するさまざまな現象の解釈・対応とダイナミックに展開されていきます。特に、臨床場面での測定・評価およびアプローチについては実際の症例写真やイラストなどが数多く掲載されており、パーキンソン病患者の摂食嚥下リハビリテーションの現場に立ち会っているような、臨場感溢れる紙面となっています。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、看護師などパーキンソン病のリハビリテーションにかかわる方、養成校の教員、学生など、さまざまな方に手にとっていただきたい一冊です。
(理学情報ジャーナル Vol.54, No.12 2020.より引用)
『長年、専門職として貢献できることを追求し、多職種連携の重要性や困難さを感じながら、摂食嚥下と向き合ってきたからこそ辿り着いた一冊』、私が本書を拝読させていただいた際の印象です。『姿勢』というコメディカルが介入可能な視点から、臨床現場で培った経験と学術的に裏打ちされた情報をもとに、パーキンソン病患者の摂食嚥下に対するアプローチについてまとめられています。また、臨床現場で観察されるさまざまな事象を単一ではなく、多職種による複数の側面より考察されており、多職種連携によって高められる相乗効果を実感できる内容となっています。著者のもつ数多くの経験と数えきれない苦労がエッセンスとなり、表面的ではない奥深さを感じられる一冊です。
『姿勢と摂食嚥下』という決して近く感じることのできない2つのキーワードですが、本書を読み進めることで切り離すことのできない2つのキーワードであったことに気づかされます。『療法士だから』できないことが多い摂食嚥下の領域ですが、『姿勢』というキーワードを介すことで、『療法士でなければ』できないことも多い摂食嚥下に変化します。本書には、『姿勢』を味方にするためのコンテンツが多く含まれており、これまでにない新たなヒントを提供してくれます。独創的な切り口で、『姿勢』と『摂食嚥下』を結びつけた唯一無二の一冊です。
「自分でもやれるかも」、「今日から実践してみよう」、「隣のスタッフとも共有しよう」、このように読者の行動変容を引き起こす、やる気にさせてくれる構成になっています。本書は、パーキンソン病の概要から始まり、嚥下関連に関する基本的情報、さらには臨床場面で遭遇するさまざまな現象の解釈・対応とダイナミックに展開されていきます。特に、臨床場面での測定・評価およびアプローチについては実際の症例写真やイラストなどが数多く掲載されており、パーキンソン病患者の摂食嚥下リハビリテーションの現場に立ち会っているような、臨場感溢れる紙面となっています。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、看護師などパーキンソン病のリハビリテーションにかかわる方、養成校の教員、学生など、さまざまな方に手にとっていただきたい一冊です。
(理学情報ジャーナル Vol.54, No.12 2020.より引用)
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目次
1章 パーキンソン病とは
病気の概要 最上谷拓磨
病態
治療
診断
疫学
運動障害と非運動障害 最上谷拓磨
運動障害
非運動障害
パーキンソン病に用いる薬物療法 澤田 誠,和田健二
L-ドパ
ドパミンアゴニスト(DA)
ドパミン補助薬
非ドパミン系薬剤
おわりに
パーキンソン病の医学的な治療の流れ 澤田 誠,和田健二
早期パーキンソン病患者に対する治療の流れ
進行期パーキンソン病患者に対する治療の流れ
おわりに
2章 パーキンソン病患者の誤嚥の現状
パーキンソン病患者の誤嚥の現状 山口育子
肺炎・誤嚥性肺炎の現状
パーキンソン病患者の嚥下障害・誤嚥の現状
パーキンソン病患者の誤嚥の特徴
まとめ
3章 パーキンソン病患者の栄養障害の特徴
パーキンソン病に用いる栄養障害の評価指標 高橋浩平
パーキンソン病と栄養障害
パーキンソン病における栄養障害の原因
栄養評価の方法
栄養障害に対するリハビリテーション栄養管理
パーキンソン病患者のサルコペニア,フレイル 高橋浩平
フレイル,サルコペニアとは
パーキンソン病におけるフレイル
パーキンソン病におけるサルコペニア
パーキンソン病のフレイル,サルコペニアへの対応
まとめ
4章 パーキンソン病の呼吸機能障害と嚥下機能の特徴
パーキンソン病の呼吸機能障害と嚥下機能の特徴 加藤太郎
パーキンソン病の症状
パーキンソン病の呼吸機能障害と嚥下機能の関連
パーキンソン病の呼吸機能障害の特徴
パーキンソン病の呼吸機能評価
パーキンソン病の嚥下機能の特徴
パーキンソン病の嚥下機能評価
おわりに
5章 パーキンソン病に対する嚥下機能評価
直接的検査(嚥下造影検査,嚥下内視鏡検査) 杉下周平
パーキンソン病患者の嚥下機能評価
嚥下造影検査(VF)
嚥下内視鏡検査(VE)
VF,VE 実施時の注意点
間接的検査 山口育子
問診のポイントと質問紙を用いた問診
フィジカルアセスメント
スクリーニング検査
総合的な嚥下能力評価
嚥下音から判別する呼吸と嚥下リズム評価 山口育子
嚥下音とは
呼吸音
頸部聴診法
頸部胸部聴診法(CCA)
5 章のまとめ
6章 パーキンソン病に発生する摂食嚥下障害の特徴と評価
パーキンソン症状と嚥下障害の関連性 石山寿子
パーキンソン病の摂食嚥下障害と前提となる「食」
摂食嚥下障害の基礎知識
摂食嚥下のメカニズム
誤嚥
呼吸・発声発語面との関連
パーキンソン病の摂食嚥下障害
重症度にみるパーキンソン病の摂食嚥下障害
パーキンソン病患者の誤嚥性肺炎予防に重要な視点
7章 オン,オフと食事提供の考え方
オン/オフ,ウェアリングオフと食事提供の考え方 鈴木一平
オン,オフと食事提供の考え方
オン/ オフとウェアリングオフ,no on,delayed on について
対策
おわりに
8章 パーキンソン病の摂食嚥下障害に対する多職種連携アプローチ
ヤールstage Ⅰ~Ⅱ
PT アプローチ,OTアプローチ,STアプローチ 中城雄一,本間冬真,藤田賢一
パーキンソン病の運動機能における問題点
理学療法アプローチ
ヤールstage Ⅰ~Ⅱの理学療法のまとめ
作業療法場面で観察される摂食嚥下動作
姿勢および上肢操作と摂食嚥下の関係
具体的な作業療法アプローチ
自主練習を日常生活に般化する
食事動作のQOL への影響
言語療法アプローチ
ヤールstage Ⅲ~Ⅳ
① PT アプローチ 板東杏太
ヤールstage Ⅲ~Ⅳにおける嚥下障害の疫学
嚥下に関係する脳部位
オン/ オフ時の対応
姿勢異常(腰曲がり,首下がり)の影響
姿勢異常への介入
パーキンソン病における咳嗽について
まとめ
② OT アプローチ 三橋里子
食事姿勢
上肢機能と食事動作
食事の工夫
③ ST アプローチ 中山慧悟
パーキンソン病の姿勢異常
姿勢異常と嚥下障害
姿勢異常を伴う嚥下障害への対応
症例
まとめ
ヤールstage Ⅴ
① PT アプローチ 内田 学
症例紹介
理学療法評価
介入前の食事動作
食事摂取における問題点の整理
実際の理学療法介入
変化点
まとめ
② OT アプローチ 田原真悟
作業療法評価
介入前の食事動作
食事摂取における問題点の整理
実際の作業療法介入
変化点
まとめ
③ ST アプローチ 曽我孝仁,内田 学
言語聴覚療法評価(嚥下機能に対する多角的な評価)
介入前の食事動作
食事摂取における問題点の整理
実際の言語聴覚療法介入
変化点
まとめ
9章 姿勢と呼吸を意識した摂食嚥下障害に対する介入の意義
姿勢と呼吸を意識したPT・OT・ST介入の意義 内田 学
食事の環境
摂食嚥下に必要な姿勢保持を困難にする要因
異常姿勢と摂食嚥下の関連性
自己摂取者に対するアプローチ
全介助にて食事を摂取する患者に対するアプローチ
まとめ
10章 喉頭の位置を意識するポジショニング
喉頭の位置を意識するポジショニング 内田 学
パーキンソン病の姿勢異常と嚥下障害
パーキンソン病の嚥下障害に対して一般的に多用される対応
喉頭の位置を意識するポジショニングの考え方(車椅子座位)
まとめ
11章 パーキンソン病の食支援
試料の違いが嚥下に及ぼす影響 牧野美波子
試料の違いが嚥下に及ぼす影響
学会分類2013(食事)
まとめ
安全な嚥下を行うための食支援 牧野美波子
日常の食事摂取場面から得られる情報:食事観察の重要性
咀嚼能力の観察による食事形態の調整
ソフト食の作成,既製品の使用について
食欲・嗜好面への配慮
まとめ
栄養強化療法 牧野美波子
栄養量の設定について
薬剤の副作用による消化器症状:便秘・嘔吐
内服薬の吸収阻害要因について
栄養強化のための栄養補助食品
おわりに
12章 総括
総括 内田 学
パーキンソン病の嚥下障害に対するリハビリテーション介入の現状
パーキンソン病の嚥下障害に対して各専門職が担う役割と課題
多職種で取り組むパーキンソン病の摂食嚥下障害に対するリハビリテーション
病気の概要 最上谷拓磨
病態
治療
診断
疫学
運動障害と非運動障害 最上谷拓磨
運動障害
非運動障害
パーキンソン病に用いる薬物療法 澤田 誠,和田健二
L-ドパ
ドパミンアゴニスト(DA)
ドパミン補助薬
非ドパミン系薬剤
おわりに
パーキンソン病の医学的な治療の流れ 澤田 誠,和田健二
早期パーキンソン病患者に対する治療の流れ
進行期パーキンソン病患者に対する治療の流れ
おわりに
2章 パーキンソン病患者の誤嚥の現状
パーキンソン病患者の誤嚥の現状 山口育子
肺炎・誤嚥性肺炎の現状
パーキンソン病患者の嚥下障害・誤嚥の現状
パーキンソン病患者の誤嚥の特徴
まとめ
3章 パーキンソン病患者の栄養障害の特徴
パーキンソン病に用いる栄養障害の評価指標 高橋浩平
パーキンソン病と栄養障害
パーキンソン病における栄養障害の原因
栄養評価の方法
栄養障害に対するリハビリテーション栄養管理
パーキンソン病患者のサルコペニア,フレイル 高橋浩平
フレイル,サルコペニアとは
パーキンソン病におけるフレイル
パーキンソン病におけるサルコペニア
パーキンソン病のフレイル,サルコペニアへの対応
まとめ
4章 パーキンソン病の呼吸機能障害と嚥下機能の特徴
パーキンソン病の呼吸機能障害と嚥下機能の特徴 加藤太郎
パーキンソン病の症状
パーキンソン病の呼吸機能障害と嚥下機能の関連
パーキンソン病の呼吸機能障害の特徴
パーキンソン病の呼吸機能評価
パーキンソン病の嚥下機能の特徴
パーキンソン病の嚥下機能評価
おわりに
5章 パーキンソン病に対する嚥下機能評価
直接的検査(嚥下造影検査,嚥下内視鏡検査) 杉下周平
パーキンソン病患者の嚥下機能評価
嚥下造影検査(VF)
嚥下内視鏡検査(VE)
VF,VE 実施時の注意点
間接的検査 山口育子
問診のポイントと質問紙を用いた問診
フィジカルアセスメント
スクリーニング検査
総合的な嚥下能力評価
嚥下音から判別する呼吸と嚥下リズム評価 山口育子
嚥下音とは
呼吸音
頸部聴診法
頸部胸部聴診法(CCA)
5 章のまとめ
6章 パーキンソン病に発生する摂食嚥下障害の特徴と評価
パーキンソン症状と嚥下障害の関連性 石山寿子
パーキンソン病の摂食嚥下障害と前提となる「食」
摂食嚥下障害の基礎知識
摂食嚥下のメカニズム
誤嚥
呼吸・発声発語面との関連
パーキンソン病の摂食嚥下障害
重症度にみるパーキンソン病の摂食嚥下障害
パーキンソン病患者の誤嚥性肺炎予防に重要な視点
7章 オン,オフと食事提供の考え方
オン/オフ,ウェアリングオフと食事提供の考え方 鈴木一平
オン,オフと食事提供の考え方
オン/ オフとウェアリングオフ,no on,delayed on について
対策
おわりに
8章 パーキンソン病の摂食嚥下障害に対する多職種連携アプローチ
ヤールstage Ⅰ~Ⅱ
PT アプローチ,OTアプローチ,STアプローチ 中城雄一,本間冬真,藤田賢一
パーキンソン病の運動機能における問題点
理学療法アプローチ
ヤールstage Ⅰ~Ⅱの理学療法のまとめ
作業療法場面で観察される摂食嚥下動作
姿勢および上肢操作と摂食嚥下の関係
具体的な作業療法アプローチ
自主練習を日常生活に般化する
食事動作のQOL への影響
言語療法アプローチ
ヤールstage Ⅲ~Ⅳ
① PT アプローチ 板東杏太
ヤールstage Ⅲ~Ⅳにおける嚥下障害の疫学
嚥下に関係する脳部位
オン/ オフ時の対応
姿勢異常(腰曲がり,首下がり)の影響
姿勢異常への介入
パーキンソン病における咳嗽について
まとめ
② OT アプローチ 三橋里子
食事姿勢
上肢機能と食事動作
食事の工夫
③ ST アプローチ 中山慧悟
パーキンソン病の姿勢異常
姿勢異常と嚥下障害
姿勢異常を伴う嚥下障害への対応
症例
まとめ
ヤールstage Ⅴ
① PT アプローチ 内田 学
症例紹介
理学療法評価
介入前の食事動作
食事摂取における問題点の整理
実際の理学療法介入
変化点
まとめ
② OT アプローチ 田原真悟
作業療法評価
介入前の食事動作
食事摂取における問題点の整理
実際の作業療法介入
変化点
まとめ
③ ST アプローチ 曽我孝仁,内田 学
言語聴覚療法評価(嚥下機能に対する多角的な評価)
介入前の食事動作
食事摂取における問題点の整理
実際の言語聴覚療法介入
変化点
まとめ
9章 姿勢と呼吸を意識した摂食嚥下障害に対する介入の意義
姿勢と呼吸を意識したPT・OT・ST介入の意義 内田 学
食事の環境
摂食嚥下に必要な姿勢保持を困難にする要因
異常姿勢と摂食嚥下の関連性
自己摂取者に対するアプローチ
全介助にて食事を摂取する患者に対するアプローチ
まとめ
10章 喉頭の位置を意識するポジショニング
喉頭の位置を意識するポジショニング 内田 学
パーキンソン病の姿勢異常と嚥下障害
パーキンソン病の嚥下障害に対して一般的に多用される対応
喉頭の位置を意識するポジショニングの考え方(車椅子座位)
まとめ
11章 パーキンソン病の食支援
試料の違いが嚥下に及ぼす影響 牧野美波子
試料の違いが嚥下に及ぼす影響
学会分類2013(食事)
まとめ
安全な嚥下を行うための食支援 牧野美波子
日常の食事摂取場面から得られる情報:食事観察の重要性
咀嚼能力の観察による食事形態の調整
ソフト食の作成,既製品の使用について
食欲・嗜好面への配慮
まとめ
栄養強化療法 牧野美波子
栄養量の設定について
薬剤の副作用による消化器症状:便秘・嘔吐
内服薬の吸収阻害要因について
栄養強化のための栄養補助食品
おわりに
12章 総括
総括 内田 学
パーキンソン病の嚥下障害に対するリハビリテーション介入の現状
パーキンソン病の嚥下障害に対して各専門職が担う役割と課題
多職種で取り組むパーキンソン病の摂食嚥下障害に対するリハビリテーション
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パーキンソン病患者に高い割合で出現する誤嚥を予防するために,何を評価し,どのように介入するか,多職種連携における 「姿勢」と「呼吸」 の介入をトータルアプローチの視点から紹介
パーキンソン病患者のほとんどに発生する誤嚥を防ぎ,誤嚥性肺炎を起こさせないためのノウハウが詰まった1冊。
実際のリハビリテーション場面(病院,患者自宅など)の写真を多数掲載し,食事時に咽せたり誤嚥を生じている患者に対してPT・OT・STが「いま何が出来てどう改善できるか」をトータルアプローチの視点から具体的に解説。
パーキンソン病の特徴的症状に対する薬物療法や,体重減少を予防する栄養管理などの基本事項をおさえつつ,リハビリテーション関連職種として「安全で機能的な摂食」を実現するための「姿勢」と「呼吸」に焦点を当てた介入を紹介する。