実習の要点を網羅!
作業療法臨床実習のチェックポイント
定価 3,960円(税込) (本体3,600円+税)
- B5判 232ページ オールカラー,イラスト80点,写真45点
- 2020年3月22日刊行
- ISBN978-4-7583-2024-5
電子版
序文
編集の序
作業療法の「臨床実習」は,臨床実習指導者の監督の下とはいえ,学生が単独で対象者を担当する部分が多く,患者の心身への侵襲性に対する危惧および学生の負担の大きさが問題視されています。そのようななか,「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則(以下,指定規則)」および「理学療法士作業療法士養成施設指導ガイドライン(以下,指導ガイドライン)」が見直され,2020年度入学生より適用されることとなりました。その指導ガイドラインのなかで,臨床実習は「診療参加型臨床実習が望ましい」とされ,学生は,リハビリテーションチームの一員として参加し,臨床実習指導者の態度,臨床技能,臨床思考を手本として,それを模倣(真似)することを基本に学習していく実習形態への移行が望まれます。そして,実習で学ぶべきポイントを明確にすることが必要となります。
本書では,作業療法臨床実習で推奨される「診療参加型臨床実習』の実習形態に即して,日本作業療法士協会の『作業療法臨床実習の手引き(2018)』に示す一般目標および行動目標への到達に向け,学生が臨床実習で学ぶべきポイントを解説いたします。
第0章のイントロダクションでは,作業療法臨床実習のあり方として診療参加型臨床実習の概要を解説しています。第1章では,作業療法臨床実習の概要として,診療参加型に基づいた学習目標,学習内容,学習方法,実習形態について解説し,また実習の事前学習に関する提案もしています。第2章では,対象者をとらえる視点について解説しています。ここでは日本作業療法士協会が厚生労働省の研究補助金をもとに,生活支援プロセスの実践のためのマネジメントツールとして作成した「生活行為向上マネジメントツール( MTDLP )」を活用した臨床実習についても触れています。第3章では,円滑な対人関係を構築するコミュニケーション技能,第4章では実習で求められる基本的態度について,そして第5章では代表的な疾患を挙げ,作業療法プロセスに沿って学習のポイントを解説しています。続いて第6章では,適切な実習を進めるための管理運営として,リスク管理,物品・書類の管理等に関する学習内容について解説しています。なお,第4~6章については,日本作業療法士協会の『作業療法臨床実習の手引き(2018)』に示す一般目標および行動目標が掲載された下敷きを使用することで,各目標と対比させながら学習できるように工夫しました。最後の第7章では,診療参加型臨床実習での症例報告書,デイリー・ケースノートの活用について解説しております。
本書は,作業療法臨床実習の実情に迫り,学生の視点から臨床実習のチェックポイントを解説するとともに,臨床実習指導者,教員にとっても教本となることを願っております。本書が臨床実習に臨む学生の主体的な学習の一助になれば幸いです。
2020年2月
編集を代表して
丹羽 敦
作業療法の「臨床実習」は,臨床実習指導者の監督の下とはいえ,学生が単独で対象者を担当する部分が多く,患者の心身への侵襲性に対する危惧および学生の負担の大きさが問題視されています。そのようななか,「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則(以下,指定規則)」および「理学療法士作業療法士養成施設指導ガイドライン(以下,指導ガイドライン)」が見直され,2020年度入学生より適用されることとなりました。その指導ガイドラインのなかで,臨床実習は「診療参加型臨床実習が望ましい」とされ,学生は,リハビリテーションチームの一員として参加し,臨床実習指導者の態度,臨床技能,臨床思考を手本として,それを模倣(真似)することを基本に学習していく実習形態への移行が望まれます。そして,実習で学ぶべきポイントを明確にすることが必要となります。
本書では,作業療法臨床実習で推奨される「診療参加型臨床実習』の実習形態に即して,日本作業療法士協会の『作業療法臨床実習の手引き(2018)』に示す一般目標および行動目標への到達に向け,学生が臨床実習で学ぶべきポイントを解説いたします。
第0章のイントロダクションでは,作業療法臨床実習のあり方として診療参加型臨床実習の概要を解説しています。第1章では,作業療法臨床実習の概要として,診療参加型に基づいた学習目標,学習内容,学習方法,実習形態について解説し,また実習の事前学習に関する提案もしています。第2章では,対象者をとらえる視点について解説しています。ここでは日本作業療法士協会が厚生労働省の研究補助金をもとに,生活支援プロセスの実践のためのマネジメントツールとして作成した「生活行為向上マネジメントツール( MTDLP )」を活用した臨床実習についても触れています。第3章では,円滑な対人関係を構築するコミュニケーション技能,第4章では実習で求められる基本的態度について,そして第5章では代表的な疾患を挙げ,作業療法プロセスに沿って学習のポイントを解説しています。続いて第6章では,適切な実習を進めるための管理運営として,リスク管理,物品・書類の管理等に関する学習内容について解説しています。なお,第4~6章については,日本作業療法士協会の『作業療法臨床実習の手引き(2018)』に示す一般目標および行動目標が掲載された下敷きを使用することで,各目標と対比させながら学習できるように工夫しました。最後の第7章では,診療参加型臨床実習での症例報告書,デイリー・ケースノートの活用について解説しております。
本書は,作業療法臨床実習の実情に迫り,学生の視点から臨床実習のチェックポイントを解説するとともに,臨床実習指導者,教員にとっても教本となることを願っております。本書が臨床実習に臨む学生の主体的な学習の一助になれば幸いです。
2020年2月
編集を代表して
丹羽 敦
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目次
0章 イントロダクション 丹羽 敦
1 作業療法教育における臨床実習の位置づけ
作業療法教育課程の変遷と「臨床実習」
教育課程における「臨床実習」の位置づけ
作業療法臨床実習のあり方
1章 作業療法臨床実習の概要
1 到達目標(一般目標・行動目標)と学習内容(基本的態度・臨床技能・臨床思考) 丹羽敦
到達目標,一般目標,行動目標
学習内容(基本的態度・臨床技能・臨床思考)
2 学習方法(見学・模倣・実施) 丹羽敦
3 作業療法臨床実習の形態と展開 宮崎洋幸
作業療法臨床実習の形態
4 各種作業療法臨床実習の学習目標 宮崎洋幸
見学実習の学習目標
評価実習の学習目標
総合実習の学習目標
地域作業療法実習の学習目標
5 臨床実習に向けた事前学習 丹羽敦
コラム① 実習で身につけてほしいもの 角田孝行
2章 対象者をとらえる視点(作業療法の基本的枠組み) 長谷麻由
1 トップダウンとボトムアップ
作業療法評価の基本的プロセス
トップダウンとボトムアップ
トップダウンとボトムアップによる評価の特徴
2 ICFとICIDH
ICF とは
ICF 策定までの経緯
ICF の構成要素
ICF の特徴
作業療法におけるICF を活用した対象者のとらえ方
まとめ
3 生活行為向上マネジメント(MTDLP)
生活行為向上マネジメントとは
生活行為向上マネジメントの活用
3章 円滑な対人関係を構築するコミュニケーション技能 松田隆治
1 コミュニケーション技能の基本
敬語の使い方
2 遅刻・欠席・急な体調不良の場合の伝え方
体調不良や交通渋滞,事故に巻き込まれたとき
体調不良などで実習施設に行くことができないとき
実習中に体調が悪くなった場合
3 対象者に対する言葉遣い・話し方
対象者には「専門用語」ではなく「わかりやすい言葉」で
耳が遠い人に話しかけるとき
「死ぬ」という言葉
4 実習指導者やほかのスタッフに対するコミュニケーション
現場での会話で心がけること
最低限の敬語を上手に使おう
NGワード
コラム② 相手と円滑な人間関係を築くためのコミュニケーションのポイント 松田隆治
4章 実習で求められる基本的態度 角田孝行
1 「 基本的態度」を身につける
はじめに
「職業人としての常識的態度」を身につける
「責任ある行動」を身につける
「自己管理」ができる
「意欲的に取り組む姿勢(探究心・創造性)」を身につける
5章 疾患別にみる臨床技能・臨床思考過程
1 脳卒中 丹羽敦・松田隆治
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
2 脊髄損傷 阿南誠二
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
3 関節リウマチ 金子隆生
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
4 パーキンソン病 彌田剛
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
5 末梢神経損傷(上肢) 佐野伸之
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
全体像の把握(統合と解釈),対象者に応じた目標の設定
作業療法プログラム立案から実施
6 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 塩田繁人
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
7 認知症 谷川良博
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
8 脳性麻痺 濱本孝弘
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
9 自閉症スペクトラム障害,注意欠如/多動性障害 角田孝行
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
作業療法プログラム立案から実施
10 統合失調症 浦田健太郎
疾患の概要
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
11 うつ病 浦田健太郎
疾患の概要
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
コラム③ 私はこうして実習を乗り越えた 佐野伸之
6章 管理運営 松田隆治
1 器具・道具の管理
2 リスク管理(アクシデント・インシデント・感染予防)
リスク管理の重要性
転倒などのヒヤリハット・インシデント・アクシデントの予防
3 記録管理(保管・廃棄・守秘義務)
記録文書(電子データ含む)の管理
4 他職種連携
地域における当該施設の役割
7章 症例報告書,デイリー・ケースノート 吉田 健
1 症例報告書,デイリー・ケースノート
実習課題
デイリーノート・ケースノートの書き方
症例報告書
症例発表
コラム④ 実習で得たもの 角田孝行
コラム⑤ うまく伝える方法 吉田健
1 作業療法教育における臨床実習の位置づけ
作業療法教育課程の変遷と「臨床実習」
教育課程における「臨床実習」の位置づけ
作業療法臨床実習のあり方
1章 作業療法臨床実習の概要
1 到達目標(一般目標・行動目標)と学習内容(基本的態度・臨床技能・臨床思考) 丹羽敦
到達目標,一般目標,行動目標
学習内容(基本的態度・臨床技能・臨床思考)
2 学習方法(見学・模倣・実施) 丹羽敦
3 作業療法臨床実習の形態と展開 宮崎洋幸
作業療法臨床実習の形態
4 各種作業療法臨床実習の学習目標 宮崎洋幸
見学実習の学習目標
評価実習の学習目標
総合実習の学習目標
地域作業療法実習の学習目標
5 臨床実習に向けた事前学習 丹羽敦
コラム① 実習で身につけてほしいもの 角田孝行
2章 対象者をとらえる視点(作業療法の基本的枠組み) 長谷麻由
1 トップダウンとボトムアップ
作業療法評価の基本的プロセス
トップダウンとボトムアップ
トップダウンとボトムアップによる評価の特徴
2 ICFとICIDH
ICF とは
ICF 策定までの経緯
ICF の構成要素
ICF の特徴
作業療法におけるICF を活用した対象者のとらえ方
まとめ
3 生活行為向上マネジメント(MTDLP)
生活行為向上マネジメントとは
生活行為向上マネジメントの活用
3章 円滑な対人関係を構築するコミュニケーション技能 松田隆治
1 コミュニケーション技能の基本
敬語の使い方
2 遅刻・欠席・急な体調不良の場合の伝え方
体調不良や交通渋滞,事故に巻き込まれたとき
体調不良などで実習施設に行くことができないとき
実習中に体調が悪くなった場合
3 対象者に対する言葉遣い・話し方
対象者には「専門用語」ではなく「わかりやすい言葉」で
耳が遠い人に話しかけるとき
「死ぬ」という言葉
4 実習指導者やほかのスタッフに対するコミュニケーション
現場での会話で心がけること
最低限の敬語を上手に使おう
NGワード
コラム② 相手と円滑な人間関係を築くためのコミュニケーションのポイント 松田隆治
4章 実習で求められる基本的態度 角田孝行
1 「 基本的態度」を身につける
はじめに
「職業人としての常識的態度」を身につける
「責任ある行動」を身につける
「自己管理」ができる
「意欲的に取り組む姿勢(探究心・創造性)」を身につける
5章 疾患別にみる臨床技能・臨床思考過程
1 脳卒中 丹羽敦・松田隆治
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
2 脊髄損傷 阿南誠二
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
3 関節リウマチ 金子隆生
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
4 パーキンソン病 彌田剛
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
5 末梢神経損傷(上肢) 佐野伸之
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
全体像の把握(統合と解釈),対象者に応じた目標の設定
作業療法プログラム立案から実施
6 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 塩田繁人
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
7 認知症 谷川良博
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
8 脳性麻痺 濱本孝弘
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
9 自閉症スペクトラム障害,注意欠如/多動性障害 角田孝行
疾患の概要
作業療法評価計画の立案から実践
作業療法プログラム立案から実施
10 統合失調症 浦田健太郎
疾患の概要
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
11 うつ病 浦田健太郎
疾患の概要
全体像の把握(統合と解釈)
作業療法プログラム立案から実施
コラム③ 私はこうして実習を乗り越えた 佐野伸之
6章 管理運営 松田隆治
1 器具・道具の管理
2 リスク管理(アクシデント・インシデント・感染予防)
リスク管理の重要性
転倒などのヒヤリハット・インシデント・アクシデントの予防
3 記録管理(保管・廃棄・守秘義務)
記録文書(電子データ含む)の管理
4 他職種連携
地域における当該施設の役割
7章 症例報告書,デイリー・ケースノート 吉田 健
1 症例報告書,デイリー・ケースノート
実習課題
デイリーノート・ケースノートの書き方
症例報告書
症例発表
コラム④ 実習で得たもの 角田孝行
コラム⑤ うまく伝える方法 吉田健
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指定規則改正による「診療参加型」の考え方に基づき作業療法臨床実習の要点を解説!
指定規則改正により取り入れられた「診療参加型」の考え方に基づき,臨床実習の概要,コミュニケーション技術から,実際に実習を進めるうえで必要な知識,さらには症例報告書の書き方まで,作業療法臨床実習の要点を解説。
日本作業療法士協会による「臨床実習の到達目標」(55項目)に沿って疾患別に臨床技能や臨床思考について詳説。「学習のポイント」で本文の要点を示してあるので臨床実習の要点を自己確認でき,また到達目標を掲載した付録の下敷きで進捗具合も確認できるようになっている。