作業療法学 ゴールド・マスター・テキスト

作業療法学概論(第3版)

第3版

作業療法学概論(第3版)

■監修 長崎 重信

■編集 里村 恵子

定価 4,840円(税込) (本体4,400円+税)
  • i_movie.jpg
  • B5判  448ページ  オールカラー,イラスト160点,写真80点
  • 2021年9月30日刊行
  • ISBN978-4-7583-2041-2

能動学習や新しい実習形式への対応,国家試験対策を充実させたフルカラー紙面の第3版!

作業療法学専門分野の講義用テキスト・シリーズが5年ぶりの改訂。第3版では,これからの学生に役立つ内容を意識し,能動学習の手助けとなる課題の提示,新しい実習形式である「作業療法参加型臨床実習」への対策となるような解説を追加し,また国家試験対策を充実させ,さらに巻末付録として症例集も追加した。
本巻では,患者に行ってもらう“作業”にどのような種類があり,またどのような効果が得られるかを数多く収載。またその基となる諸理論,事例を通じての具体的な応用例も記載した。近年の潮流および養成校指定規則改正によるアップデートを反映させた充実の第3版。

■シリーズ監修
長﨑重信


序文

第3版 監修の序

 今回,『作業療法学ゴールド・マスター・テキスト』シリーズは2010年の発刊から2回目の改訂を迎え,第3版出版の運びとなりました。
 本テキストシリーズは「作業療法学概論」・「作業学]・「作業療法評価学」・「身体障害作業療法学」・「高次脳機能障害作業療法学」・「精神障害作業療法学」・「発達障害作業療法学」・「老年期作業療法学」・「地域作業療法学」・「日常生活活動学(ADL)」・「福祉用具学」の11巻に新しく「義肢装具学」を加え,全12巻となります。
 改訂作業が始まった2020年は作業療法教育の変革の年でもありました。臨床実習の形態においては,従来の,学生が臨床実習指導者の下で対象者の評価から治療まで行うものから,学生が実習指導者の行う対象者の評価から治療までを傍らで見学し,模倣してみる,一部対象者で実施するという流れで,その場で実習指導者が学生にフィードバックするクリニカル・クラークシップの作業療法参加型臨床実習への転換,地域実習の追加という大きな変更がありました。
 そこで執筆者の先生方には,教科書の内容が作業療法参加型臨床実習にどのように関連しているのか示していただき,一部ですが,動画も提供していただきました。
また,2020年はコロナ禍により多くの学校が教育方法の変革を求められた年でもありました。対面授業を遠隔授業に切り替え,実習や実技科目が大きな影響を受けました。学外での臨床実習は模擬患者を用いた学内実習に切り替えたところも多かったかと思います。このような状況の中でアクティブ・ラーニングの重要性が再認識されたように思います。従来の,教室に学生を集めて講義し試験やレポートを課すスタイルから,学生が自宅でネット配信された講義動画を視聴し,その都度,課題レポートを提出し,教員が評価とコメントをつけて返却することが毎回繰り返されました。こう書くと何がアクティブ・ラーニングなのかと思われるかもしれませんが,学生が講義動画から課題を理解するために自分のペースに合わせて動画を繰り返し観て,理解したうえで調べ,課題を分析するということを学生自身が行う授業形態です。これを進めるために,教員は個々の学生と双方向の情報をやり取りする機会を増やした結果,個々の学生への指導量は増えましたが,学生の主体的な学びが伸びたように思われます。
 eラーニングに関しては,文部科学省が2024年には小中高でデジタル教科書の配布を始めます。今回の遠隔授業の経験から,動画媒体がアクティブ・ラーニングにも役立つと考えます。作業療法学ゴールド・マスター・テキストシリーズも,時代の要請に応えられるよう変化させていきたいと考えています。
 本シリーズをよりよいものにするためにも諸氏の忌憚ないご意見を聞かせていただければ幸いです。

2020年12月
文京学院大学
長﨑重信

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第3版 編集の序

 本書は,「作業療法学 ゴ-ルド・マスタ-・テキスト」シリ-ズ内の「作業療法学概論」である。第2版の刊行から6年が経過し,時代に合わせた最新情報にアップデートすべく,このたび第3版を発行することとなった。今回の改訂では,理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則の改正,職業リハビリテーションや特別支援教育等での新しい動き,COVID-19感染の広がりなど最新の情報を加え,また,欄外や囲み記事等で読者の理解が深まる工夫を行った。具体的には,難解な内容や用語などに対して解説する欄外の「補足」や「用語解説」を充実させ,学習内容の定着を図るための確認問題を「チェックテスト」に刷新し,さらに学生が主体的に学習を進められるよう「アクティブラーニング」をもうけた。また,新たな章として「作業療法研究」を新設し,上級学年に配置されている研究に関する科目内容のうち,低学年のうちから理解しておいてほしい項目について解説を行った。基礎医学や臨床医学の学習が進んでいない段階にある学生の状況を考慮し,特に「わかりやすさ」を心がけた。また,巻末には「事例集」をもうけた。ここでは,作業療法の各領域で実際に行われている評価,介入の流れを知ることができる。
 さらに,今回の第3版では,「4章 作業療法の対象」の一部の内容に関して,実際の各領域の作業療法がイメージできる動画をWebに掲載した。作業療法概論の講義を担当いただく先生には,是非この動画をご活用いただき,学生が「作業療法とはどのようなものか」を理解するためにお役立ていただければ幸いである。
 「作業療法学概論」の授業は,多くの養成校で入学直後の学期に15時間で設定されている。学生にとっては,自身の頭で考え,学習を進め,問題解決を図るという主体的な教育を初めて経験するこの時期に,是非とも本書を役立てていただきたい。また作業療法士は生涯主体的な自己研鑽を生涯続ける必要がある職種であることを知り,その姿勢を身に着けるために本書を活用していただければ,著者一同,大きな喜びである。本書が,上級学年で学ぶ専門科目の学習へのスム-ズな橋渡しの手助けとなれば幸いである。

2021年8月
東京保健医療専門職大学
里村恵子
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目次

0 Introduction
 1 イントロダクション  長﨑重信
  ① 作業療法を知っていますか
  ② 作業療法の過程をみてみよう
  ③ おわりに

1 作業療法は難しいか
 1 作業療法とは何か  栗原トヨ子
  ① 医療チームにおける作業療法士とは
  ② 作業療法の意味と範囲
  ③ 作業療法の制約と発展
 2 人と作業とのかかわり  栗原トヨ子
  ① 作業とからだ
  ② 作業とこころ
  ③ 作業と意欲
  ④ 作業療法と社会的背景

2 作業療法の歴史
 1 作業療法の歴史  里村恵子
  ① 作業療法の誕生
  ② ヨーロッパにおける作業療法士の教育
  ③ 米国の作業療法
  ④ 世界大戦と機能再建助手の誕生
  ⑤ 作業療法士の組織
  ⑥ 日本の精神科領域の作業療法の歴史
  ⑦ 日本作業療法士協会の50年
 2 日本の作業療法①肢体不自由児の作業療法(高木憲次)  森田浩美
  ① はじめに
  ② 肢体不自由児に対する関心のきっかけ
  ③ 高木の生い立ち
  ④ 夢の楽園「教養所」の構想まで
  ⑤ 療育事業の沿革
  ⑥ 療育のコツ
  ⑦ 整肢療護園とリハビリテーション専門職
  ⑧ 伝統の灯・療育の碑
  ⑨ おわりに
 3 日本の作業療法②結核の作業療法(野村 実・田澤鐐二・濱野規矩雄)  加賀谷 一
  ① 戦前の身体(内部)障害「作業療法」の歴史
  ② 野村 実による「作業療法」(Beschäftigungs therapie)
  ③ 田澤鐐二による「作業療法」の試みと「有益な点」
  ④ 濱野規矩雄と「作業療法」への情熱
 4 日本の作業療法③「リハビリテーション」と作業療法(砂原茂一)  加賀谷 一
  ① 砂原茂一と化学療法時代の「作業療法」
 5 日本の作業療法④身体障害の作業療法(田村春雄・原 武郎)  加賀谷 一 
  ① 戦後の身体障害作業療法の歴史
  ② 更生指導所と田村春雄の手作り職能療法
  ③ 九州労災病院の体系的職能療法と原 武郎
 6 日本の作業療法⑤リハビリテーション学院の設立  加賀谷 一
  ① 職能療法から作業療法へ~リハビリテーション学院設立の意義~
  ②「 回復」から「創り出す」作業療法へ

3 作業療法の定義
 1 作業療法という名称  栗原トヨ子 
 2 治療手段の「作業」の意味  栗原トヨ子 
  ①「 作業」の定義
  ②「 作業」の意味と範囲
  ③ 作業療法の対象者・目的・手段と方法
  ④ 作業療法の過程(手順)
 3 作業療法の定義  栗原トヨ子 
  ① 日本の法律
  ②「 日本作業療法士協会」の定義
  ③「 米国作業療法士協会」の定義
  ④「 世界作業療法士連盟」の定義
  ⑤ 作業療法士が支援する作業内容

4 作業療法の対象
 1 身体障害の作業療法  齊藤一実 
  ① はじめに
  ② 身体障害領域の作業療法
  ③ 対象となる疾患
  ④ 作業療法の流れ
  ⑤ おわりに
 2 精神障害の作業療法  里村恵子 
  ① 精神科領域の作業療法
  ② 精神科領域の作業療法の対象
  ③ 作業療法の治療手段
  ④ 作業療法の目的と課題
  ⑤ 今後の課題
 3 発達領域の作業療法  佐々木清子 
  ① 対象となる疾患
  ② 評価から対応への進め方
  ③ 発達障害領域の作業療法の実際
  ④ おわりに
 4 高齢期の作業療法  栗原トヨ子
  ① 高齢社会の課題
  ② 高齢期の特徴
  ③ 高齢期の課題
  ④ 高齢期障害に対する作業療法士の役割
  ⑤ 高齢期の課題としての認知症
  ⑥ おわりに
 5 高次脳機能障害の作業療法  岩崎也生子
  ① はじめに
  ② 高次脳機能障害とは
  ③ 高次脳機能障害の特徴
  ④ 高次脳機能障害の主要症状と評価
  ⑤ 高次脳機能障害の評価手順
 6 地域作業療法  安永雅美
  ① 地域作業療法の定義
  ② 地域リハビリテーションの定義
  ③ 地域作業療法,地域リハビリテーションの歴史
  ④ 地域で働く作業療法士
  ⑤ 事例でみる地域作業療法
  ⑥ おわりに
 7 医療観察法における作業療法  堀田英樹
  ① 医療観察制度の概要
  ② 指定入院医療機関での治療
  ③ 医療観察制度における作業療法
 8 特別支援学校における作業療法  伊藤祐子
  ① 日本の特別支援教育
  ② 特別支援学校とは
  ③ 特別支援教育における作業療法の背景
  ④ 特別支援学校における作業療法の実際
  ⑤ 今後に向けて
 9 職業リハビリテーションの新たな流れ  野際陽子
  ① 働くということ
  ② 働き方改革の時代
  ③ 障がい者の雇用について理解する
  ④ 対象者と雇用者とのマッチングが大切
  ⑤ 作業療法士としての役割
 10 学校養成施設の新規カリキュラム  山本裕佳里
  ①「 理学療法士及び作業療法士学校養成施設指定規則」について
  ② 新規カリキュラム追加の背景
  ③ 新規カリキュラム
  ④ 臨床実習教育について
  Case Study Answer

5 作業療法の周辺
 1 作業療法と関連する学問  長﨑重信
  ① はじめに
  ② 作業療法とは
  ③ 小学校から高校までに学んだことと作業療法のかかわり
  ④ 大学・専門学校のカリキュラムと作業療法
  ⑤ 主な一般教養の履修科目と作業療法との関連性
 2 医学系科目と作業療法  長﨑重信
  ① 養成校で学習する医学系科目
 3 作業療法と関連する職種  長﨑重信
  ① 作業療法士と他の専門職とのかかわり

6 作業療法の理論,モデル,ツール
 1 身体機能領域の作業療法と理論  佐藤 章,臼倉京子
  ① 身体機能領域の作業療法
  ② 身体機能の働きと障害
  ③ 身体機能領域の作業療法における治療理論
  ④ 身体機能領域の作業療法実践の場における技法と学習理論との関係
  ⑤ 身体機能領域の実践と各種理論との関係
 2 心理・精神機能面からみた理論  里村恵子
  ① はじめに
  ② Moseyの理論
  ③ 行動療法
  ④ 認知行動療法(CBT)
  ⑤ 社会生活技能訓練(SST)
  ⑥ 森田療法
 3 発達理論と作業療法  森田浩美
  ① はじめに
  ② アーノルド・ゲゼルの発達理論
  ③ ジャン・ピアジェの発生的認識論
  ④ エリック・エリクソンの発達理論
  ⑤ おわりに
 4 作業科学  柴田貴美子
  ① はじめに
  ② 歴史的背景
  ③ 作業と作業的存在
  ④ 作業の見方
  ⑤ 作業的公正と作業的不公正
  ⑥ 作業科学と作業療法の違い
  ⑦ 作業に焦点を当てた実践
  ⑧ 作業科学の知識を作業療法に活かす
 5 作業療法実践のためのモデルとツール  柴田貴美子
  ① はじめに
  ② 作業療法実践の枠組み
  ③ 作業遂行と結びつきのカナダモデル
  ④ 生活行為向上マネジメント(MTDLP)

7 作業療法部門の管理
 1 専門職としての職業倫理  里村恵子
  ① 医療の倫理
  ② 専門職とは
  ③ 倫理綱領(社団法人日本作業療法士協会)
 2 記録と報告  里村恵子
  ① 記録
  ② 報告
  ③ 管理的な記録と報告
 3 診療報酬  里村恵子
  ① 診療報酬制度
  ② 作業療法の診療報酬制度
  ③ 診療報酬の改定
  ④ おわりに
 4 リスク管理  里村恵子
  ① リスクとは何か
  ② 医療安全に関連する用語
  ③ 日本作業療法士協会による安全性への配慮・事故防止
  ④ リスクマネジメント項目
  ⑤ 日本リハビリテーション医学会のガイドライン
  ⑥ 精神科領域でのリスク
 5 作業療法部門の管理  里村恵子
  ① 作業療法管理

8 作業療法研究
 1 研究の種類  里村恵子
  ① 作業療法における研究
 2 研究の流れ  里村恵子
  ① 研究疑問の設定
  ② 文献レビュー
  ③ 研究計画書作成
  ④ 倫理申請書作成,倫理申請
  ⑤ 研究の実施(デ-タ収集)
  ⑥ デ-タの整理,分析
  ⑦ 研究成果の発表(誌上発表,学会発表)
 3 研究の倫理  里村恵子
  ① 研究倫理の変遷
  ② 国による倫理指針
  ③ 日本作業療法士協会による研究倫理
  ④ 利益相反(COI)

事例集
 事例1 精神障害のケース(地域):うつ病性障害(うつ病)  羽田舞子
 事例2 精神障害のケース(院内):統合失調症   齋藤久恵
 事例3 発達障害のケース(小児,地域):自閉スペクトラム症  畠山久司
 事例4 発達障害のケース(支援学級):自閉スペクトラム症・知的障害  小川恵美子
 事例5 身体障害のケース(院内):急性心筋梗塞術後  坂本俊夫
 事例6 身体障害のケース(地域):脳血管障害(くも膜下出血)術後   坂本俊夫
 事例7 高齢者のケース(地域):アルツハイマー型認知症  秋元美穂
 事例8 高齢者のケース(施設):アルツハイマー型認知症   池田浩二
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