人体のメカニズムから学ぶ

画像診断技術学

画像診断技術学

■編集 森 墾
小倉 明夫

定価 6,600円(税込) (本体6,000円+税)
  • B5判  496ページ  2色(一部カラー),イラスト100点,写真800点
  • 2020年3月2日刊行
  • ISBN978-4-7583-2020-7

画像診断のサポートをするために必要な知識が,基礎から臨床的な内容まで1冊で学べる「画像診断技術学」テキスト!

専門科目「画像診断技術学」の教科書。「1章 画像解剖学の基礎」では,読影の前に知っておくべき解剖や正常画像などの基礎知識を解説。「2章 各部位の画像診断技術」では,冒頭に「Check」を設け,各疾患の画像を読影するにあたり押さえるべき要点を記載し,1冊で基礎的な内容から臨床的な内容まで網羅している。
診療放射線技師が放射線科医の「画像診断のサポート」をするために必要な疾患・病態の知識を前提に,描出される結果だけを記述するのではなく,なるべく理由も踏まえて解説した。また画像所見において「density & signal」という表を設け,CTやMRIでの濃度および信号強度を一覧にした。


序文

編集の序

 私たちの目的は病態(現象)を理解することにある。
 そのために画像診断では画像を撮像し,読影している。具体的には,病態を知る手がかりをできるだけ2次元の平面内に封じ込める作業(適切な撮像)と,さまざまな現象が圧縮され白黒の画素分布となった画像から医学用語として情報を取り出す作業(読影)を行っている。そのどちらを行うためにも,なぜそのようになるのかメカニズムの理解が不可欠である。前者の過程では画像の成り立ちの知識に精通している必要があり,後者の過程では人体や生命活動の原理原則を知っていなければならない。これまでの画像診断技術学に関する成書では,画像の成り立ちについての技術面に重点が置かれることが多かった。それは紙幅の問題もあり,画像の成り立ちを述べただけで留めたのであろう。しかし,前述したように私たちの目的は病態の理解であり,そのためには画像の成り立ちを知っているだけでは不十分である。せっかく情報として封じ込めた画像を医療に利用するためには,画像から適切に情報を引き出して活用されなければ,まったく意味がない。つまり,解読(デコード)としての読影が欠かせない。そして,その作業の補助線として,人体や生命活動のメカニズムの理解が求められるのである。
 本書ではこのような思想の下に,画像診断技術学として画像の成り立ちのみならず,人体や生命活動のメカニズムから病態の理解に迫れるような内容を企画した。編者のわがままで執筆陣は超一流の先生方にお願いしたため,断られるのではないかと心中穏やかではなかったが,幸いお忙しい中こころよくお引き受け頂き,出版に漕ぎ着けることができた。惜しげもなく知識を伝授して頂いた先生方に改めてお礼を申し上げる。
 病態を理解するために,ぜひ日常臨床で本書を携えて活用して欲しい。

2020年1 月
森 墾 
小倉明夫
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目次

1章 画像解剖学の基礎
 1. 頭部  大久保敏之
 2. 頸部  加藤博基
 3. 胸部  加耒佐和子,楠本昌彦
 4. 心・大血管  天沼 誠,横山健一
 5. 消化器  齋田幸久
 6. 泌尿器・生殖器  佐藤友美,高瀬 圭
 7. 乳腺  川島博子
 8. 脊椎・脊髄  稲岡 努
 9. 骨軟部・関節  神島 保
 10. 撮像技術の基礎  小倉明夫
 11. 画像診断の基礎  森 墾

2章頭部の画像診断技術
 1. 撮像技術の基礎  小倉明夫
 2. 脳血管障害の病態と画像  大久保敏之,森 墾
  脳梗塞/脳出血/くも膜下出血/脳動脈瘤/もやもや病/脳動静脈奇形
 3. 腫瘍の病態と画像  増本智彦
  膠芽腫/転移性脳腫瘍/髄芽腫/髄膜腫/神経鞘腫/下垂体腺腫
 4. 炎症・脱髄・変性の病態と画像  大久保敏之
  髄膜炎/脳膿瘍/ウイルス性脳炎/多発性硬化症/Creutzfeldt-Jakob病/多系統萎縮症/脊髄小脳変性症/Alzheimer病
 5. 頭部外傷の病態と画像  大久保敏之
  急性硬膜外血腫/急性硬膜下血腫/脳挫傷/慢性硬膜下血腫
 6. 先天性疾患の病態と画像  増本智彦
  神経線維腫症/脳梁形成不全/Chiari奇形
 7. 頭頸部癌の病態と画像  加藤博基
  上顎洞癌/舌癌/咽頭癌/喉頭癌
 8. 頸部腫瘍の病態と画像  加藤博基
  唾液腺腫瘍/甲状腺腫瘍
 9. 顔面外傷の病態と画像  加藤博基
  眼窩吹き抜け骨折/Le Fort骨折
 10. その他の病変の病態と画像  加藤博基
  網膜芽細胞腫/視神経膠腫/頸部リンパ節腫大

3章 胸部,心・大血管の画像診断技術
 1. 撮像技術の基礎  山口 功
 2. 腫瘍の病態と画像  加耒佐和子,楠本昌彦
  肺癌/良性腫瘍/異型腺腫様過形成/転移性肺腫瘍/癌性リンパ管症/縦隔腫瘍
 3. 肺炎の病態と画像  加耒佐和子,楠本昌彦
  細菌性肺炎/ニューモシスチス肺炎/結核
 4. びまん性肺疾患の病態と画像  岩澤多恵
  特発性肺線維症/過敏性肺炎/サルコイドーシス/肺気腫,喘息などの閉塞性障害をきたす肺疾患/気管支拡張症
 5. 職業性肺疾患の病態と画像  岩澤多恵
  珪肺症/石綿関連疾患
 6. 胸膜疾患の病態と画像  岩澤多恵
  気胸/胸水/胸膜腫瘍
 7. 循環障害の病態と画像  岩澤多恵
  肺動脈血栓塞栓症/肺梗塞/肺水腫/肺分画症
 8. 心血管疾患の病態と画像  天沼 誠,横山健一
  狭心症/急性心筋梗塞/陳旧性心筋梗塞/大動脈弁狭窄/先天性心疾患/心筋症/胸部大動脈瘤/大動脈解離
 9. その他の病変の病態と画像  岩澤多恵
  無気肺

4章 腹部(消化器,泌尿器・生殖器)の画像診断技術
 1. 撮像技術の基礎(腹部)  林 則夫
 2. 撮像技術の基礎(骨盤部)  井手口忠光
 3. 食道・胃疾患の病態と画像  齋田幸久
  食道癌/胃癌/胃潰瘍
 4. 腸疾患の病態と画像  齋田幸久
  十二指腸潰瘍/腸閉塞/虫垂炎/Crohn病/潰瘍性大腸炎/大腸癌
 5. 肝・胆道疾患の病態と画像  原留弘樹
  肝炎/肝硬変/肝細胞癌/転移性肝腫瘍/びまん性肝疾患/胆石症/胆管癌/胆嚢癌
 6. 膵臓疾患の病態と画像  原留弘樹
  急性膵炎/膵臓癌
 7. 腎・尿路疾患の病態と画像  佐藤友美,高瀬 圭
  腎細胞癌/尿路結石/多発性嚢胞腎/腎血管性高血圧/膀胱癌
 8. 生殖器疾患の病態と画像  佐藤友美,高瀬 圭
  子宮筋腫/子宮頸癌/子宮体癌/卵巣癌/前立腺癌
 9. その他の病変の病態と画像  佐藤友美,高瀬 圭
  副腎腺腫

5章 乳腺の画像診断技術
 1. 撮像技術の基礎  西出裕子
 2. 乳腺疾患の病態と画像  川島博子
  乳癌/線維腺腫/線維嚢胞性変化

6章 脊椎・骨軟部・関節の画像診断技術
 1. 撮像技術の基礎  石田有治
 2. 脊椎疾患の病態と画像  稲岡 努
  椎間板ヘルニア/変形性脊椎症/脊柱管狭窄症/脊椎分離症/脊椎すべり症/後縦靱帯骨化症/化膿性脊椎椎間板炎/脊椎骨折/脊椎転移/脊髄空洞症/脊髄腫瘍
 3. 骨軟部疾患の病態と画像  神島 保
  骨肉腫/骨髄炎/代謝性骨疾患/脂肪腫/血管腫
 4. 関節疾患の病態と画像  神島 保
  関節リウマチ/手根管症候群/Kienböock病/舟状骨骨折/大腿骨頸部骨折/大腿骨頭壊死症/骨盤骨折/変形性膝関節症
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