エコーを使った
バスキュラーアクセス穿刺法ガイド

The Guidelines for Vascular Access Puncture Method Guided by Ultrasound

エコーを使ったバスキュラーアクセス穿刺法ガイド

■編集 木船 和弥

定価 5,720円(税込) (本体5,200円+税)
  • B5判  224ページ  オールカラー,イラスト100点,写真200点
  • 2018年4月30日刊行
  • ISBN978-4-7583-1927-0

経験者がテクニック,コツを伝授するエコー下穿刺の実践書!

透析業務における穿刺は患者にとっては大きなストレスとなるため,正確な穿刺が求められる。特に穿刺困難な例では,エコー下穿刺が有用となるため,その更なる活用が期待されている。
本書は,穿刺におけるエコーの基礎知識から,症例・手技までを網羅し,独学では習得できないような,経験者だからこそ伝えられるテクニックやコツを豊富に盛り込んだ実践書である。エコーや穿刺の様子は画像を用いて紹介し,穿刺のテクニックなど,文章のみでは伝わりにくい内容はイラストを用いてオールカラーの紙面で丁寧に解説。エコー下の穿刺技術をマスターするための究極の一冊!


序文

編集の序

 透析業務における穿刺は,患者にとっては大きなストレスとなるため,正確な穿刺が求められる。
 近年,長期透析患者の増加や導入年齢が高齢化し,自己血管内シャントのトラブルも増加している。また,バスキュラーアクセスの種類の中でも動脈表在化の割合が多くなり,穿刺にかかる負担も年々増加している。 そのような中で,穿刺を問題なく行うことが,透析室の開始業務の良い流れとなり,安心・安全な治療へとつながる。エコーが透析室で活用され始める前は,いわゆるベテランで穿刺の上手な看護師や臨床工学技士が,穿刺が困難な症例に対して患者と共にストレスを抱えて対応していた。そんな「神」扱いされるベテランも,保有する技術領域の中で,形式知化しにくい穿刺については,技術伝承の難しさを痛感しながら,第一線を退いていくことになる。
 「ストレスなく,誰もが穿刺困難症例に立ち向かうことができる」。こんな理想に近づくための光明としてエコーが活用され,透析施設にエコー装置が配置されると同時に,多くの施設でエコーを自在に扱える達人が生まれるのを待っている。 最近は,透析に関連するセミナーの中でも,エコーを扱うための技術習得に人気が高まり,医師や臨床検査技師が中心となる研究会やセミナーは満員御礼状態である。今回,そのようなセミナーで活躍される先生方に,多忙な中,文章に起こすのが難しい内容をご執筆いただき,心より深く感謝を申し上げる。
 本書では,穿刺におけるエコーの基礎知識とエコーで理解すべき画像の見方を始め,穿刺と血管の様子についてエコー画像を用いて紹介している。特に,穿刺困難な例では,エコーガイド下穿刺の方法や針先調整によるプローブ走査のテクニックなど,文章だけでは伝わりにくい技術的な内容は,イラストを用いて解説した。さらに,独学では習得できないような,経験者だからこそ伝えられる臨床現場での工夫,実践的なテクニックやコツを多く盛り込んだ。様々な穿刺の場面に応じた多くの解説とエコー画像を理解していただく事で,血管の状況を手指により推し量って察する(触察)機会も多くなり,エコーが必要な場面や対処方法が想定できることにつながる。
 本書が,いまの透析室の実状に即した穿刺技術力を伝承するためのガイド役として,より多くの方が自信を持って穿刺に向かうための一助となり,透析医療の質向上につながることを願っている。

2018年3月
木船和弥
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目次

1章 どのようなときにエコーが必要なのか?  清水幹夫・村上 淳
  1 血管がわかりづらくて困ったとき
  2 穿刺トラブルの原因がわからないとき
  3 患者が穿刺時に痛みを訴えるとき

2章 エコーで血管を覗いてみよう  小林大樹
  1 動脈と静脈の違い
  2 短軸像と長軸像の特徴
  3 血管以外の組織の見え方

3章 穿刺技術向上へのエコーの活用方法  平山遼一
 血管の各種形態的な特徴をエコー画像で理解する
  1 形態的な特徴がある血管のエコー画像
  2 穿刺時に起こりうる血管への影響
 血管の触察技術
  1 血管の解剖を知ることの大切さ
  2 駆血と触察技術は穿刺成功の要

4章 穿刺ミスを誘発する特徴がある血管の触察とエコー所見の対比  川原田貴士
  1 血管の蛇行
  2 触診の困難な血管
  3 血管分岐部
  4 穿刺対象血管に対して並走または交差する血管
  5 前後径の格差(狭い箇所)がある血管
  6 血管前壁上部の血管外血腫や瘢痕
  7 血栓
  8 シャント血流量の低下

5章 穿刺のためのエコー画像調整と描出のコツ
 見たいエコー画像をよりよく調整する  人見泰正
  1 超音波の基礎知識
  2 汎用型超音波装置の主な調整項目とその方法
  3 穿刺針がよく見える機能の使い方と注意点
 穿刺のためのエコー画像描出(スキャン)テクニック(1人法)  木船和弥
  1 プローブの把持方法
  2 心得ておくべきエコー画面の見方と画像スキャンのポイント
  3 片手で短軸から長軸へのスムーズな切り替え方法と諸注意

6章 穿刺のための状況別エコーの観察ポイント  若山功治
  1 シャント血管が発達するまで
  2 穿刺トラブルが続いたとき
  3 機能的な低下が疑われたとき
  4 形態的な異常が疑われたとき

7章 穿刺位置を検討する手順とレポート作成  安部貴之・石森 勇・村上 淳
  1 穿刺位置を検討する基本手順と留意点
  2 VAレポートを適切に作成・運用するための留意点

8章 針先修正における手順とエコーの使い方  井竹康郎
  1 エコーガイド下穿刺での針先修正方法
  2 穿刺針がどのような経路をたどったのか?
  3 血管内構造物の有無は?

9章 エコーガイド下の穿刺手技
  1 プローブの交差感染対策  木船和弥
  2 短軸法(1人法)  木船和弥
  3 長軸法(2人法)  佐久間宏治
  4 短軸法と長軸法のミックス  木船和弥

10章 VA肢の末梢神経をエコーで見る  木船和弥
  1 上肢の末梢神経をエコーで見る必要性
  2 末梢神経のエコーでの見方
  3 穿刺時に注意すべき前腕神経走行

11章 看護師によるポータブルエコーの活用  奥田美知子
  1 ポータブルエコーを導入する際の体制づくり
  2 ポータブルエコーに慣れてから活用するまで

12章 穿刺針について  髙橋良光
  1 穿刺針の形状
  2 穿刺針の抵抗

13章 血管は語る  木船和弥
  1 エコー所見から穿刺の傾向や失敗を推察するには?
  2 穿刺部位のエコー所見から何を考えるか?
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