エコーガイド下 VAIVT
テクニックガイド
バスキュラーアクセス狭窄・閉塞を攻略する
定価 7,920円(税込) (本体7,200円+税)
- B5変型判 328ページ オールカラー,イラスト227点,写真608点
- 2024年6月17日刊行
- ISBN978-4-7583-2215-7
電子版
序文
たしか2008年のVAIVT研究会だと思う。会場に若林正則 先生が執筆したエコーガイド下PTAの小冊子が置いてあった。なにげなくそれを手に取ってみたのが,私がエコーガイド下PTAを始めるきっかけである。当初は画像を描出しながらガイドワイヤーを進めるというテクニックが難しく,透視下のPTAに戻ろうと何度も逡巡した。しかし症例を重ねるたびに,少しずつコツがわかるようになってきた。そうするとしめたもので,次第にエコーガイド下で施行するPTAの世界の魅力にとりつかれ,始めてから1カ月後にはほとんどすべてのPTAをエコーガイド下で行うようになった。
透視下VAIVTは放射線被曝が避けられない。患者によっては数十回のVAIVTが必要となり,いつ造影剤アレルギーが発症するか,ひやひやしながら治療することになる。しかし幸いなことに,自己血管内シャント(AVF)や人工血管内シャント(AVG)の狭窄のほとんどが皮下の浅い部位にあり,エコーで良好に描出できる。また超音波診断装置の改良やエコー技術の進歩に伴い,ストレスなくエコーガイド下VAIVTが行えるようになってきた。さらにエコーであれば,血管内や血管外の変化を観察することができる。このような利点を感じている医師が増えてきたと実感している。
本書は,シャント狭窄,閉塞に対するエコーガイド下VAIVTに焦点を当てた初めてのテキストである。基礎から応用まで,多くの先生方にわかりやすく具体的に執筆していただいた。エコーガイド下VAIVTに関しては,ほぼすべての事項を網羅しているものと思う。これからエコーガイド下VAIVTを始めようとする方だけでなく,すでにエコーガイド下VAIVTを数多く手掛けている先生方にも役立つヒントが満載となっている。本書をVAIVTに携わるすべての医師・医療スタッフの明日からの診療に是非役立てていただきたいと願う。
2024年5月
飯田橋春口クリニック院長
春口洋昭
透視下VAIVTは放射線被曝が避けられない。患者によっては数十回のVAIVTが必要となり,いつ造影剤アレルギーが発症するか,ひやひやしながら治療することになる。しかし幸いなことに,自己血管内シャント(AVF)や人工血管内シャント(AVG)の狭窄のほとんどが皮下の浅い部位にあり,エコーで良好に描出できる。また超音波診断装置の改良やエコー技術の進歩に伴い,ストレスなくエコーガイド下VAIVTが行えるようになってきた。さらにエコーであれば,血管内や血管外の変化を観察することができる。このような利点を感じている医師が増えてきたと実感している。
本書は,シャント狭窄,閉塞に対するエコーガイド下VAIVTに焦点を当てた初めてのテキストである。基礎から応用まで,多くの先生方にわかりやすく具体的に執筆していただいた。エコーガイド下VAIVTに関しては,ほぼすべての事項を網羅しているものと思う。これからエコーガイド下VAIVTを始めようとする方だけでなく,すでにエコーガイド下VAIVTを数多く手掛けている先生方にも役立つヒントが満載となっている。本書をVAIVTに携わるすべての医師・医療スタッフの明日からの診療に是非役立てていただきたいと願う。
2024年5月
飯田橋春口クリニック院長
春口洋昭
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目次
Ⅰ章 エコーガイド下VAIVTの基礎知識
適応,利点と欠点 佐藤純彦
手技に必要なエコー所見の取り方とマッピング法 山本裕也
装置―必要なエコーの機能 山本裕也
術前準備―必要物品 下池英明
エコー単独
◆エコー単独法の利点と欠点 若林正則
◆体位,エコーの位置 若林正則
◆術者プローブ法 若林正則
◆助手プローブ法 大川博永
◆完全1人法 野口智永
透視併用法
◆透視併用法の実際 山岸 敬
◆利点と欠点―どのような症例が透視併用のエコーガイド下VAIVTの対象となるか? 井上浩伸
ガイドワイヤーの見え方・動かし方
◆種類による見え方の差 乙藤徳人
◆アーチファクト 乙藤徳人
◆ガイドワイヤーの動かし方 安田 透
麻酔法
◆局所麻酔 鈴木 敦
◆伝達麻酔 藤田広峰
バルーンのサイズ選択 鈴木 敦
バルーンカテーテルの種類による見え方の差 鈴木 敦
バルーン拡張時間について
◆リコイル予防の効果 中山祐治
◆拡張時間と開存期間 中山祐治
Ⅱ章 エコーガイド下VAIVTの実践
狭窄病変
◆手技の一連の流れ
術前エコー評価とアプローチルートの決定 甲斐耕太郎
ガイドワイヤー操作法とバルーン拡張 甲斐耕太郎
シース抜去と抜去部の確認 甲斐耕太郎
VAIVT成功の評価(形態評価・機能評価) 甲斐耕太郎
◆吻合部の治療戦略
形態学的特徴とエコーによる描出法 小林大樹
ガイドワイヤーの動脈への通過法─基本と通過困難例への対処法 春口洋昭
バルーンの選択(吻合部に適したバルーンはあるか?) 野口智永
バルーン通過法(基本と通過困難時の対応) 野口智永
◆吻合部近傍の治療戦略
形態学的特徴とエコーによる描出法 下池英明
バルーンの選択と通過法(基本と吻合部病変を合併しているときなど) 下池英明
◆上腕深部静脈の治療戦略
形態学的特徴とエコーによる描出法 根本 一
ガイドワイヤー通過法 佐藤和宏
◆Cephalic arch stenosis(CAS)の治療戦略
形態学的特徴とエコーによる描出法 小林大樹
PTAの実際(エコー単独,透視併用) 末木志奈
◆中心静脈の治療戦略
形態学的特徴とエコーによる描出法 小林大樹
IVUS併用VAIVT 堀田祐紀
◆蛇行/瘤前後の治療戦略
形態学的特徴とエコーによる描出法 若林正則
ガイドワイヤー通過法(基本と通過しにくいときのテクニック) 若林正則
◆静脈弁の治療戦略 下池英明
◆人工血管の治療戦略
形態学的特徴とエコーによる描出法 根本 一
アプローチ法(シース挿入部の決定の仕方) 宮本雅仁
PTAのコツとピットフォール 宮本雅仁
ステントグラフト留置 宮本雅仁
◆デバイス使用の実際
薬剤コーティングバルーン(DCB) 末光浩太郎
◆トラブルシューティング
バルーンが完全拡張しないとき―Lesion-Slipとは? 本宮康樹
バルーン不完全拡張への対応 本宮康樹
非血栓性閉塞
◆形態学的特徴とエコー像の特徴 山本裕也
◆ガイドワイヤー通過する血管の判別法 大川博永
◆ガイドワイヤー通過法 大川博永
血栓性閉塞
◆形態学的特徴とエコー像の特徴 小林大樹
◆ウロキナーゼ投与法―直接注入 石田亜希・平沼聡史
◆ウロキナーゼ不使用―マッサージ法 野口智永
◆ウロキナーゼ不使用―経皮的血栓吸引のみ 甲斐耕太郎
◆ウロキナーゼ不使用―シースからの吸引 藤田広峰
◆外科治療とのハイブリッド治療─適応と実際 末木志奈
合併症とその対策 笹川 成
メディカルスタッフのサポート:術前,術中,術後 人見泰正
適応,利点と欠点 佐藤純彦
手技に必要なエコー所見の取り方とマッピング法 山本裕也
装置―必要なエコーの機能 山本裕也
術前準備―必要物品 下池英明
エコー単独
◆エコー単独法の利点と欠点 若林正則
◆体位,エコーの位置 若林正則
◆術者プローブ法 若林正則
◆助手プローブ法 大川博永
◆完全1人法 野口智永
透視併用法
◆透視併用法の実際 山岸 敬
◆利点と欠点―どのような症例が透視併用のエコーガイド下VAIVTの対象となるか? 井上浩伸
ガイドワイヤーの見え方・動かし方
◆種類による見え方の差 乙藤徳人
◆アーチファクト 乙藤徳人
◆ガイドワイヤーの動かし方 安田 透
麻酔法
◆局所麻酔 鈴木 敦
◆伝達麻酔 藤田広峰
バルーンのサイズ選択 鈴木 敦
バルーンカテーテルの種類による見え方の差 鈴木 敦
バルーン拡張時間について
◆リコイル予防の効果 中山祐治
◆拡張時間と開存期間 中山祐治
Ⅱ章 エコーガイド下VAIVTの実践
狭窄病変
◆手技の一連の流れ
術前エコー評価とアプローチルートの決定 甲斐耕太郎
ガイドワイヤー操作法とバルーン拡張 甲斐耕太郎
シース抜去と抜去部の確認 甲斐耕太郎
VAIVT成功の評価(形態評価・機能評価) 甲斐耕太郎
◆吻合部の治療戦略
形態学的特徴とエコーによる描出法 小林大樹
ガイドワイヤーの動脈への通過法─基本と通過困難例への対処法 春口洋昭
バルーンの選択(吻合部に適したバルーンはあるか?) 野口智永
バルーン通過法(基本と通過困難時の対応) 野口智永
◆吻合部近傍の治療戦略
形態学的特徴とエコーによる描出法 下池英明
バルーンの選択と通過法(基本と吻合部病変を合併しているときなど) 下池英明
◆上腕深部静脈の治療戦略
形態学的特徴とエコーによる描出法 根本 一
ガイドワイヤー通過法 佐藤和宏
◆Cephalic arch stenosis(CAS)の治療戦略
形態学的特徴とエコーによる描出法 小林大樹
PTAの実際(エコー単独,透視併用) 末木志奈
◆中心静脈の治療戦略
形態学的特徴とエコーによる描出法 小林大樹
IVUS併用VAIVT 堀田祐紀
◆蛇行/瘤前後の治療戦略
形態学的特徴とエコーによる描出法 若林正則
ガイドワイヤー通過法(基本と通過しにくいときのテクニック) 若林正則
◆静脈弁の治療戦略 下池英明
◆人工血管の治療戦略
形態学的特徴とエコーによる描出法 根本 一
アプローチ法(シース挿入部の決定の仕方) 宮本雅仁
PTAのコツとピットフォール 宮本雅仁
ステントグラフト留置 宮本雅仁
◆デバイス使用の実際
薬剤コーティングバルーン(DCB) 末光浩太郎
◆トラブルシューティング
バルーンが完全拡張しないとき―Lesion-Slipとは? 本宮康樹
バルーン不完全拡張への対応 本宮康樹
非血栓性閉塞
◆形態学的特徴とエコー像の特徴 山本裕也
◆ガイドワイヤー通過する血管の判別法 大川博永
◆ガイドワイヤー通過法 大川博永
血栓性閉塞
◆形態学的特徴とエコー像の特徴 小林大樹
◆ウロキナーゼ投与法―直接注入 石田亜希・平沼聡史
◆ウロキナーゼ不使用―マッサージ法 野口智永
◆ウロキナーゼ不使用―経皮的血栓吸引のみ 甲斐耕太郎
◆ウロキナーゼ不使用―シースからの吸引 藤田広峰
◆外科治療とのハイブリッド治療─適応と実際 末木志奈
合併症とその対策 笹川 成
メディカルスタッフのサポート:術前,術中,術後 人見泰正
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