臨床での検査精度を高める!
MMT
適切な検査肢位の設定と代償運動の制御
定価 6,380円(税込) (本体5,800円+税)
- B5判 452ページ オールカラー,イラスト120点,写真700点
- 2019年3月30日刊行
- ISBN978-4-7583-1922-5
電子版
序文
序
筋出力は,関節の稼働や力強さを示し,これをとらえることは,ヒトの関節運動の強度や動作への対応性を推察していくために重要である。リハビリテーション医療(リハ医療)のみならず,アスリート(健常者)を対象としたスポーツ科学分野においてもその意義は大きい。ヒトの身体運動を明確にとらえていくために実施する評価のなかで,筋出力の測定は,基本的かつ重要な項目といえる。特にリハ医療においては,その対象者にとって,より整合性の高い到達目標を設定していくための重要な指標となるため,リハ医療の従事者は適切な検査・測定技術を身に付けることが必須要件となる。
徒手筋力検査(MMT:manual muscle testing)は,運動器の問題点を明確にしていくために不可欠であり,より整合性の高い治療・援助計画の立案のためには,正確な測定結果を導出することが重要である。しかし,その検査技術の設定の複雑さもあり,学生や経験の浅いセラピストには難しい技術である。特に測定時に出現する代償運動を観察のなかから的確にとらえ,確実に制動できるようになるためには,かなりの習熟を要する。
本書では,学生や初心者でもMMTの検査・測定の流れを十分に理解してもらえるように「フローチャート形式」にて可視化し,正確な測定法を身に付けることができるように明示している。また,容易に学習を進めていくことができるように,直感的に検査の流れをとらえられるよう,可能な限り「箇条書き形式」にて,その流れを解説している。
本書のポイント
①筋力検査および測定に必要な「運動生理学」を学べる
②基本的な検査・測定技術を理解できる
③正確な判定基準を理解できる
④代償運動の観察ポイントを理解できる
⑤代償運動の制動方法を理解できる
⑥骨格筋の触知方法を理解できる
本書では,限られた指導(授業・演習)時間のなかで,十分な学習が難しい代償運動や骨格筋の触診方法を画像により明示することで,指導時間外にでも学生が容易に自己学習できるようにした。段階に応じた学習を進め,図説に従った自己学習により,より整合性の高い検査・測定技術を身に付けることができると考えている。できる限り合理的で有効な学習のために,画像を豊富に掲載し,学生のみならず,特にMMTの習熟度向上を目標としている臨床でご活躍の皆さまにもぜひご活用いただけることを願っている。
2019年3月
京都橘大学 健康科学部
齋藤 慶一郎
筋出力は,関節の稼働や力強さを示し,これをとらえることは,ヒトの関節運動の強度や動作への対応性を推察していくために重要である。リハビリテーション医療(リハ医療)のみならず,アスリート(健常者)を対象としたスポーツ科学分野においてもその意義は大きい。ヒトの身体運動を明確にとらえていくために実施する評価のなかで,筋出力の測定は,基本的かつ重要な項目といえる。特にリハ医療においては,その対象者にとって,より整合性の高い到達目標を設定していくための重要な指標となるため,リハ医療の従事者は適切な検査・測定技術を身に付けることが必須要件となる。
徒手筋力検査(MMT:manual muscle testing)は,運動器の問題点を明確にしていくために不可欠であり,より整合性の高い治療・援助計画の立案のためには,正確な測定結果を導出することが重要である。しかし,その検査技術の設定の複雑さもあり,学生や経験の浅いセラピストには難しい技術である。特に測定時に出現する代償運動を観察のなかから的確にとらえ,確実に制動できるようになるためには,かなりの習熟を要する。
本書では,学生や初心者でもMMTの検査・測定の流れを十分に理解してもらえるように「フローチャート形式」にて可視化し,正確な測定法を身に付けることができるように明示している。また,容易に学習を進めていくことができるように,直感的に検査の流れをとらえられるよう,可能な限り「箇条書き形式」にて,その流れを解説している。
本書のポイント
①筋力検査および測定に必要な「運動生理学」を学べる
②基本的な検査・測定技術を理解できる
③正確な判定基準を理解できる
④代償運動の観察ポイントを理解できる
⑤代償運動の制動方法を理解できる
⑥骨格筋の触知方法を理解できる
本書では,限られた指導(授業・演習)時間のなかで,十分な学習が難しい代償運動や骨格筋の触診方法を画像により明示することで,指導時間外にでも学生が容易に自己学習できるようにした。段階に応じた学習を進め,図説に従った自己学習により,より整合性の高い検査・測定技術を身に付けることができると考えている。できる限り合理的で有効な学習のために,画像を豊富に掲載し,学生のみならず,特にMMTの習熟度向上を目標としている臨床でご活躍の皆さまにもぜひご活用いただけることを願っている。
2019年3月
京都橘大学 健康科学部
齋藤 慶一郎
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目次
第1 章 総論
1 筋力の定義
2 MMT の意義と目的
3 運動生理学
4 MMT の基礎知識
第2 章 上肢の筋力テスト
1 肩甲骨外転筋と上方回旋筋
2 肩甲骨挙上筋
3 肩甲骨内転筋
4 肩甲骨下制筋と内転筋
5 肩甲骨内転筋と下方回旋筋
6 肩関節屈筋(前方挙上筋)
7 肩関節伸筋(後方挙上筋)
8 肩甲骨面挙上(前方挙上筋)
9 肩関節外転筋(側方挙上筋)
10 肩関節水平外転筋
11 肩関節水平内転筋
12 肩関節外旋筋
13 肩関節内旋筋
14 肘関節屈筋
15 肘関節伸筋
16 前腕回外筋
17 前腕回内筋
18 手関節屈筋
19 手関節伸筋
20 指の中手指節(MP)関節屈筋
21 指の遠位指節間(DIP)関節屈筋
22 指の近位指節間(PIP)関節屈筋
23 指の中手指間(MP)関節伸筋
24 指外転筋
25 指内転筋
26 母指中手指節(MP)関節屈筋
27 母指指節間(IP)関節屈筋
28 母指中手指節(MP)関節伸筋
29 母指指節間(IP)関節伸筋
30 母指外転筋(掌側外転)
31 母指外転筋(橈側外転)
32 母指内転筋(尺側内転)
33 母指および小指の対立筋
第3 章 下肢の筋力テスト
1 股関節屈筋
2 股関節屈曲・外転・外旋筋
3 股関節伸筋
4 股関節外転筋
5 股関節屈曲位からの外転筋
6 股関節内転筋
7 股関節外旋筋
8 股関節内旋筋
9 膝関節屈筋
10 膝関節伸筋
11 足関節底屈筋
12 足関節の背屈ならびに内がえし筋
13 足の内がえし筋
14 足の底屈を伴う外がえし筋
15 母趾と足趾の中足趾節(MP)関節屈筋
16 母趾と足趾の遠位趾節間(DIP)関節と
近位趾節間(PIP)関節屈筋
17 母趾と足趾の中足趾節(MP)関節と
趾節間(IP)関節伸筋
第4 章 体幹筋のテスト
1 体幹伸筋
2 骨盤挙上筋
3 体幹屈筋
4 体幹回旋筋
5 安静時吸気筋
6 強制呼気筋
第5 章 頸筋のテスト
1 頭部伸筋
2 頸部伸筋
3 頸部複合伸筋
4 頭部屈筋
5 頸部屈筋
6 頸部複合屈筋(頭部と頸部)
7 頸部回旋筋
1 筋力の定義
2 MMT の意義と目的
3 運動生理学
4 MMT の基礎知識
第2 章 上肢の筋力テスト
1 肩甲骨外転筋と上方回旋筋
2 肩甲骨挙上筋
3 肩甲骨内転筋
4 肩甲骨下制筋と内転筋
5 肩甲骨内転筋と下方回旋筋
6 肩関節屈筋(前方挙上筋)
7 肩関節伸筋(後方挙上筋)
8 肩甲骨面挙上(前方挙上筋)
9 肩関節外転筋(側方挙上筋)
10 肩関節水平外転筋
11 肩関節水平内転筋
12 肩関節外旋筋
13 肩関節内旋筋
14 肘関節屈筋
15 肘関節伸筋
16 前腕回外筋
17 前腕回内筋
18 手関節屈筋
19 手関節伸筋
20 指の中手指節(MP)関節屈筋
21 指の遠位指節間(DIP)関節屈筋
22 指の近位指節間(PIP)関節屈筋
23 指の中手指間(MP)関節伸筋
24 指外転筋
25 指内転筋
26 母指中手指節(MP)関節屈筋
27 母指指節間(IP)関節屈筋
28 母指中手指節(MP)関節伸筋
29 母指指節間(IP)関節伸筋
30 母指外転筋(掌側外転)
31 母指外転筋(橈側外転)
32 母指内転筋(尺側内転)
33 母指および小指の対立筋
第3 章 下肢の筋力テスト
1 股関節屈筋
2 股関節屈曲・外転・外旋筋
3 股関節伸筋
4 股関節外転筋
5 股関節屈曲位からの外転筋
6 股関節内転筋
7 股関節外旋筋
8 股関節内旋筋
9 膝関節屈筋
10 膝関節伸筋
11 足関節底屈筋
12 足関節の背屈ならびに内がえし筋
13 足の内がえし筋
14 足の底屈を伴う外がえし筋
15 母趾と足趾の中足趾節(MP)関節屈筋
16 母趾と足趾の遠位趾節間(DIP)関節と
近位趾節間(PIP)関節屈筋
17 母趾と足趾の中足趾節(MP)関節と
趾節間(IP)関節伸筋
第4 章 体幹筋のテスト
1 体幹伸筋
2 骨盤挙上筋
3 体幹屈筋
4 体幹回旋筋
5 安静時吸気筋
6 強制呼気筋
第5 章 頸筋のテスト
1 頭部伸筋
2 頸部伸筋
3 頸部複合伸筋
4 頭部屈筋
5 頸部屈筋
6 頸部複合屈筋(頭部と頸部)
7 頸部回旋筋
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800点を超えるイラスト・写真とともにMMTについて詳説した1冊
本書は,徒手筋力検査(MMT:manual muscle testing)について解説した理学療法士・作業療法士養成校の学生,若手の理学療法士・作業療法士向けの書籍である。MMTは,筋力低下を伴う運動機能障害(脳卒中片麻痺,骨折など)において必須の評価項目である。MMTには,患者の関節運動に徒手で抵抗を加えて力発揮の状態を検査する評価項目があり,適切な「検査肢位の設定」と「徒手抵抗法」により,正確な検査が可能になる。しかしMMTは,検査者の筋力の違いにより評価結果が異なるといったことが問題となっている。
原則的な検査方法についての解説はもちろん,学習者自身が「適切な検査肢位」「確実で安定的な徒手抵抗方法」について考察できるような内容となっている。さらに,MMTに必要な触診,臨床での応用方法や,代償運動についても解説している。800点を超えるイラスト・写真とともにMMTについて詳説した1冊である。