適切な臨床に導くための
整形外科徒手検査法ナビ
検査の選び方とエビデンスに基づくアプローチ
定価 5,720円(税込) (本体5,200円+税)
- B5判 256ページ オールカラー,イラスト50点,写真440点
- 2024年8月3日刊行
- ISBN978-4-7583-2257-7
電子版
序文
編集の序
この文章を執筆している2024年6月は,パリオリンピックを翌月に控え,各種目でオリンピックレース最後の壮絶な争いが繰り広げられている。COVID-19は第5類となり早1年が経過した。思えば前書『適切な判断を導くための整形外科徒手検査法』の序文を執筆したのは2020年7月であった。本来であれば東京オリンピックの開会式が実施されていた頃であるが,COVID-19の猛威により延期を余儀なくされた。しかし,2021年7月に1年遅れで東京オリンピックが開催されることとなった。あれから3年が経とうとしている。
コロナ禍の恩恵の1つであるオンラインの普及によって,今まで参加できなかった学会を聴講できたり,遠くて参加できなかったセミナーを受講できるようになった。私も例に漏れずこの恩恵に与り,知識を最新情報にアップデートすることができた。また第5類移行後,対面でのセミナーも開催されることになり,やはり実技は対面でないと習得できないことも実感した。このようにオンラインや対面でのセミナーに参加して共通して感じたのは,知識や考え方の部分はじっくりと読んで理解することが重要ということである。そういった意味でも,ある分野がまとまった書籍の存在意義は高いと感じる。
本書は『適切な判断を導くための整形外科徒手検査法』の続編となる。整形外科徒手検査法を臨床現場でどのように有効に活用するかに焦点を当て,その具体的な手法を詳細に記述している。前書は,まさに辞書のような役割を果たしている。それに対して,本書は辞書で探し出した検査を,“どのように選択し”,“組み合わせ”,“使っていくのか”,という臨床場面で実践的に活用するための手引き書として位置づけている。各執筆者の頭の中が溢れんばかりに表現されており,まさに臨床に直結する内容となっている。
本書は前書と同じく,現時点で知り得るエビデンスを整理して掲載することも目的としているため,執筆には多大な労力を要している。また,視覚的にイメージしやすくするために写真撮影にも工夫を凝らしていただいた。このような負担がかかる要望にもかかわらず,ご執筆いただいた先生方にはコンセプトをご理解いただき,快く引き受けていただいたことに感謝申し上げます。また,本書を作成するにあたり,共同編集者として栗原 靖先生に入っていただき,編集協力として前書から引き続き三木貴弘先生にお願いし,的確なアドバイスをいただいた。栗原先生は養成校時代からの友人で,「いつか一緒に仕事を」と学生時代から切磋琢磨してきた仲であり,卒業後約20年を経てそれが叶ったことを感慨深く思っている。また各執筆者のご家族の協力がなければ,本書は完成に至らなかった。代表して感謝申し上げます。最後に,前書から引き続き我々の発案に辛抱強く対応とサポートをいただいた髙橋祐太朗氏,小松朋寛氏にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。
本書が,読者の方々の日々の臨床に役立ち,患者の笑顔につながることを心より願う。
2024年6月
編集を代表して
松村将司
この文章を執筆している2024年6月は,パリオリンピックを翌月に控え,各種目でオリンピックレース最後の壮絶な争いが繰り広げられている。COVID-19は第5類となり早1年が経過した。思えば前書『適切な判断を導くための整形外科徒手検査法』の序文を執筆したのは2020年7月であった。本来であれば東京オリンピックの開会式が実施されていた頃であるが,COVID-19の猛威により延期を余儀なくされた。しかし,2021年7月に1年遅れで東京オリンピックが開催されることとなった。あれから3年が経とうとしている。
コロナ禍の恩恵の1つであるオンラインの普及によって,今まで参加できなかった学会を聴講できたり,遠くて参加できなかったセミナーを受講できるようになった。私も例に漏れずこの恩恵に与り,知識を最新情報にアップデートすることができた。また第5類移行後,対面でのセミナーも開催されることになり,やはり実技は対面でないと習得できないことも実感した。このようにオンラインや対面でのセミナーに参加して共通して感じたのは,知識や考え方の部分はじっくりと読んで理解することが重要ということである。そういった意味でも,ある分野がまとまった書籍の存在意義は高いと感じる。
本書は『適切な判断を導くための整形外科徒手検査法』の続編となる。整形外科徒手検査法を臨床現場でどのように有効に活用するかに焦点を当て,その具体的な手法を詳細に記述している。前書は,まさに辞書のような役割を果たしている。それに対して,本書は辞書で探し出した検査を,“どのように選択し”,“組み合わせ”,“使っていくのか”,という臨床場面で実践的に活用するための手引き書として位置づけている。各執筆者の頭の中が溢れんばかりに表現されており,まさに臨床に直結する内容となっている。
本書は前書と同じく,現時点で知り得るエビデンスを整理して掲載することも目的としているため,執筆には多大な労力を要している。また,視覚的にイメージしやすくするために写真撮影にも工夫を凝らしていただいた。このような負担がかかる要望にもかかわらず,ご執筆いただいた先生方にはコンセプトをご理解いただき,快く引き受けていただいたことに感謝申し上げます。また,本書を作成するにあたり,共同編集者として栗原 靖先生に入っていただき,編集協力として前書から引き続き三木貴弘先生にお願いし,的確なアドバイスをいただいた。栗原先生は養成校時代からの友人で,「いつか一緒に仕事を」と学生時代から切磋琢磨してきた仲であり,卒業後約20年を経てそれが叶ったことを感慨深く思っている。また各執筆者のご家族の協力がなければ,本書は完成に至らなかった。代表して感謝申し上げます。最後に,前書から引き続き我々の発案に辛抱強く対応とサポートをいただいた髙橋祐太朗氏,小松朋寛氏にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。
本書が,読者の方々の日々の臨床に役立ち,患者の笑顔につながることを心より願う。
2024年6月
編集を代表して
松村将司
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目次
1章 総論 松村将司,栗原 靖
1 整形外科徒手検査法とは
2 本書の使い方
2章 足関節 越野裕太
1 足関節外側靱帯損傷
「足関節が不安定な感じがあり,捻ると足首の外側が痛い」
3章 膝関節 栗原 靖
1 膝関節内側側副靱帯損傷
「膝の痛みがあって,しゃがむような動きができない」
2 膝蓋大腿関節症
「ランニング中,膝の痛みやグラグラする感じがある」
4章 股関節 平尾利行
1 股関節唇損傷「デスクワークをしていると右鼡径部が痛くなる」
2 変形性股関節症「歩くときに体重をかけると痛む」
5章 骨盤 半田 瞳
1 骨盤帯痛「前屈みになると腰が痛い」
6章 肩関節
1 腱板損傷「腕を動かすと肩に痛みが出る」 相馬章吾,坂 雅之
2 前方不安定症(肩関節前方脱臼)
「手を上げたり肘を後ろに引くと肩に不安感がある」 坂 雅之
7章 肘関節
1 肘外側痛(上腕骨外側上顆炎または外側上顆症)
「物を持つ・握ると肘の外側が痛い」 坂 雅之
2 肘関節内側側副靱帯損傷
「肘の内側が痛くて投げられない」 相馬章吾,坂 雅之
8章 前腕・手関節
1 手関節尺側部痛(TFCC損傷・尺側手根伸筋腱鞘炎)
「捻る動きや握る動作で手首が痛い」 坂 雅之
9章 腰椎
1 腰椎椎間板ヘルニア
「屈むと腰と足が痛い/しびれる」 渡邊勇太,三木貴弘
2 非特異的腰痛
「前屈みの姿勢が続くと腰が痛くなる」 近藤 湧,三木貴弘
10章 頚椎 松村将司
1 頚椎症性神経根症「上を向くと腕がしびれる」
2 胸郭出口症候群
「腕を挙げると肩から手にかけて痛くて,手がしびれる」
11章 前庭
1 良性発作性頭位めまい症
「頭を動かすとめまいがする」 松村将司,近 裕介,那須和佳奈
1 整形外科徒手検査法とは
2 本書の使い方
2章 足関節 越野裕太
1 足関節外側靱帯損傷
「足関節が不安定な感じがあり,捻ると足首の外側が痛い」
3章 膝関節 栗原 靖
1 膝関節内側側副靱帯損傷
「膝の痛みがあって,しゃがむような動きができない」
2 膝蓋大腿関節症
「ランニング中,膝の痛みやグラグラする感じがある」
4章 股関節 平尾利行
1 股関節唇損傷「デスクワークをしていると右鼡径部が痛くなる」
2 変形性股関節症「歩くときに体重をかけると痛む」
5章 骨盤 半田 瞳
1 骨盤帯痛「前屈みになると腰が痛い」
6章 肩関節
1 腱板損傷「腕を動かすと肩に痛みが出る」 相馬章吾,坂 雅之
2 前方不安定症(肩関節前方脱臼)
「手を上げたり肘を後ろに引くと肩に不安感がある」 坂 雅之
7章 肘関節
1 肘外側痛(上腕骨外側上顆炎または外側上顆症)
「物を持つ・握ると肘の外側が痛い」 坂 雅之
2 肘関節内側側副靱帯損傷
「肘の内側が痛くて投げられない」 相馬章吾,坂 雅之
8章 前腕・手関節
1 手関節尺側部痛(TFCC損傷・尺側手根伸筋腱鞘炎)
「捻る動きや握る動作で手首が痛い」 坂 雅之
9章 腰椎
1 腰椎椎間板ヘルニア
「屈むと腰と足が痛い/しびれる」 渡邊勇太,三木貴弘
2 非特異的腰痛
「前屈みの姿勢が続くと腰が痛くなる」 近藤 湧,三木貴弘
10章 頚椎 松村将司
1 頚椎症性神経根症「上を向くと腕がしびれる」
2 胸郭出口症候群
「腕を挙げると肩から手にかけて痛くて,手がしびれる」
11章 前庭
1 良性発作性頭位めまい症
「頭を動かすとめまいがする」 松村将司,近 裕介,那須和佳奈
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検査結果を踏まえてどのような治療を施すべきか,臨床思考に基づく治療法選択を解説
整形外科徒手検査法の結果を踏まえてどのような治療を施すべきか,臨床思考に基づく治療の組み立て方について症例ベースで解説。各症例に対してなぜその検査法を選択したか,また選択しなかったのかを示すほか,整形外科徒手検査法を選択する過程,治療法選択の根拠となるエビデンス,実際の治療が豊富な写真やイラストを用いてビジュアルに理解できる。
具体的な検査法の手順を詳説している姉妹書『適切な判断を導くための整形外科徒手検査法』と合わせて学習することで,整形外科徒手検査法を自由に使いこなすことができるようになる。