Crosslink 理学療法学テキスト

理学療法評価学

理学療法評価学

■編集 中山 恭秀

定価 5,500円(税込) (本体5,000円+税)
  • B5判  432ページ  オールカラー,イラスト250点,写真220点
  • 2022年3月3日刊行
  • ISBN978-4-7583-2000-9

講義,実習,臨床に! 広く長く活用できる,オールカラーの新テキスト!

理学療法学専門科目に対応し,講義・実習・臨床まで広く長く活用できる新テキスト。平易な表現を用いながらも詳しく記述した本文と,図表を多用した紙面で理解しやすく,どこに重点を置いて学習すべきかが一目でわかる構成。また,さまざまな角度からの情報を盛り込んだ囲み記事も充実。
本巻では,臨床における理学療法の流れ(情報収集 → 面接 → 理学療法基本評価 → …)に沿って,さまざまな評価法を解説。各検査ごとに目的(“何を”みるか)や手段(“何で”みるか)を明確に記載し,学生でもわかりやすい内容となっている。


序文

編集の序

 理学療法とは,理学療法士が物理的な手段を用いて人の体の動きをコントロールする医療技術や,痛みや不具合の緩和や除去を目的として行われる治療法を指します。治療を行うにあたり理学療法士は,運動学を基盤としてさまざまな医学知識を総動員することにより,患者さんの体の状態を正確に理解する必要があります。その際に用いる「理学療法評価」技術は,理学療法の本質を問う重要な役割をもっています。なぜならばAという時期の評価結果とBという時期の評価結果を比較して差があれば,その差こそがリハビリテーション医療,理学療法による治療効果ということになるからです。
 理学療法評価は基本的にどの患者さんに対しても同じプロセスで行われる必要があり,取り出す情報は常に高い精度が求められます。そのため我々理学療法士は,患者さんの前では「精密機械であるべき」ということになります。すべての理学療法士の評価の仕方を共通させることができれば,評価技術の向上に必ずつながります。臨床データの蓄積にもつながりますので,患者さんの利益になることは間違いありません。しかし,今日の臨床現場では,500〜800種類にものぼる評価法が存在しています。医療や福祉の質の向上を考えると,できうる限り臨床的に有用性が高い評価方法を選ぶこと,そして使用する評価方法の標準化をすることが求められています。この本は,そのような目線で編集しています。
 本書の執筆は,日本の理学療法をリードされる先生方にお願いしました。標準的理学療法に関する解説を軸として,役立つヒントやコツを織り交ぜていただき,「何をみるか」「何でみるか」といった学び手の目線に立った切り口で,わかりやすく執筆していただきました。イメージをつかむためにイラストや写真も多数使用していただいております。本書を読んで,読者が授業を受けたり,先輩や指導者とディスカッションしたりしているように感じてもらえれば幸いです。そして,臨床現場に入ってからも新たに学んだことを書き加えながら活用してもらったり,研究のたたき台を作るときなどに使ってもらえる本になれば嬉しく思います。
 私は『Crosslink テキストシリーズ』の企画段階から携わらせていただきました。「Crosslink 」は文字通り,基礎と臨床,基礎と研究,そして臨床と研究,それぞれをつなげるように解説された新しいタイプの教科書となっています。ぜひ多くの学生の皆様に本書を卒後も継続的に使っていただければと思います。そして,一つでも多くの理学療法が誕生することを願っています。

2022年1 月
中山恭秀
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目次

第 1 章 患者をみる前に(理学療法士の役割)
【1】 理学療法評価の意義と目的   [ 中山恭秀]
  1 患者をみる前に
  2理学療法評価の意義
【2 】理学療法における評価の目的と臨床的STEP   [ 中山恭秀]
  1理学療法評価の目的
第 2 章 理学療法評価の準備
【1】 障害モデル   [ 藤澤宏幸]
  1障害モデルとは
  2Nagiモデル
  3NCMRRモデル
  4国際障害分類試案(I CI DH)
  5国際生活機能分類(ICF)
  6行動制約モデル
  7モデルの選択と活用方法
【2】 理学療法評価プラン  [ 中山恭秀]
  1概説
  2理学療法評価プランの実際
  3現実論
  4効果の検証は厳密に
第 3 章 Step1 情報収集
【1】 疾病に関する情報  [ 樋口謙次]
  1疾病に関する情報とは
  2病歴
  3画像検査
  4血液・生化学検査
  5超音波診断装置
  6体組成検査
 【2】 個人情報(家庭情報)  [ 中山恭秀]
  1概説
  2氏名・年齢・性別
  3家族構成・キーパーソン・その他の身辺情報
第 4 章 Step2 面接(問診と観察)
【1】 問診  [ 中山恭秀]
  1問診とは
  2家屋
  3居住区域・環境,活動範囲
  4職業と社会的役割
  5主訴とニーズ,デマンドとホープ
【2】 観察  [ 中山恭秀]
  1観察する際のポイントとは
【3】 心理状況への配慮  [ 中山恭秀]
  1障害受容とは
第 5 章 Step3 理学療法基本評価(検査・測定・観察・分析)
【1】 バイタルサイン   [ 中山恭秀]
  1バイタルサインとは
  2意識
  3血圧
  4脈拍
  5呼吸数
  6酸素飽和
  7体温
【2】 痛みやしびれ  [ 森下慎一郎]
  1痛みやしびれとは
【3 】形態測定   [ 中山恭秀]
  1形態測定とは
  2身長・体重・体格指数
  3肢長
  4周径
  ⃝まとめ
【4 】関節可動域   [ 石田和宏]
  1関節可動域とは
  2関節可動域測定とは
【5】 筋力  [ 小林 武]
  1筋力評価とは
  2MMT
  3HHDを用いた筋力測定
  4motricity index
  510 RM
【6】 感覚検査  [ 坂本淳哉]
  1感覚と感覚検査(概説)
  2触覚
  3温度覚
  4痛覚
  5深部感覚
  6複合覚
【7 】バランス  [ 浅賀忠義,長谷川直哉]
  1バランスとは
  2静的バランスと動的バランス
  3姿勢戦略と姿勢反応
  4立位
  5座位
  6重心動揺計
【8】 動作  [帯刀隆之]
  1動作とは
  2動作の観察
  3分析のための観察視点
  4観察の進め方
【9】 姿勢  [ 中俣 修]
  1姿勢とは
  2姿勢の観察とランドマーク
  3姿勢と動作の関係性
  4姿勢の保持能力
  5異常姿勢
【10】 歩行  [ 中江秀幸]
  1歩行とその評価
  2観察と分析方法
  3運動学的指標について
  4時間距離的指標
  5運動力学的指標
  6歩行補助具の選択  [ 中山恭秀]
【11 】歩行の耐久性   [ 坂本由美]
  1歩行の耐久性とは
  2Borg scale
  36分間歩行テスト(6 MWT)
  4生理的コスト指数(PCI )
【12】 日常生活活動(動作)(ADL・BADL,IADL・APDL)  [ 中山恭秀]
  1概説
  2観察と分析の項目
  3代表的なADL評価指標
第 6 章 Step4 疾患特異的機能評価
【1 】運動器疾患
  1運動器疾患と理学療法   [ 吉田啓晃]
  2頸部(頸椎)疾患
  3胸部疾患
  4腰部(腰椎)疾患
  5仙腸部疾患
  6肩関節疾患
  7肘・手関節疾患
  8手指疾患
  9股関節疾患  [木下一雄]
  10膝関節疾患
  足関節疾患,その他
  運動力学的検査(荷重検査)
【2 】反射・筋緊張異常  [ 原田和宏]
  1代表的な反射と筋緊張異常
【3 】分離運動  [ 原田和宏]
  1分離運動の評価
【4 】脳神経検査   [ 原田和宏]
  1脳神経由来の機能障害と検査
【5】 高次脳機能   [ 中村智恵子]
  1高次脳機能障害とは
  2失認(症)
  3失行(症)
  4失語症
【6】 協調性検査   [ 中村智恵子]
  1協調性検査とは
  2評価法
【7】 脊髄支配・電気生理学的検査   [ 浦川 将]
  1電気生理学的検査で何がわかるか
  2筋電図の基礎知識
  3神経伝導検査
  4針筋電図
  5誘発電位
【8】 呼吸機能検査   [ 古川順光]
  1呼吸機能検査とは
  2聴診器による聴診
  3スパイロメトリー
  4フローボリューム曲線
  5呼気ガス分析
【9】 循環機能検査   [ 古川順光]
  1循環機能検査とは
  2心電図の意味
  3運動負荷試験
  4METs
【10】 小児疾患   [ 木元 稔]
  1小児における評価法の選択と結果の解釈
【11】 精神疾患   [ 仙波浩幸]
  1精神疾患・精神症状
  2認知症とその評価
  3精神・心理機能評価法(認知機能評価)
第 7 章 Step5 疾患特異的重症度評価
【1】 代表的な疾患特異的評価指標と重症度分類  [ 中山恭秀]
  1脳卒中
  2脊髄損傷
  3関節リウマチ
  4慢性呼吸器疾患
  5心疾患
  6腰痛
  7変形性股関節症
  8変形性膝関節症
  9切断
  10糖尿病
  11.がん
  12.パーキンソン病
  13.筋ジストロフィー
  14筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  15.脊髄小脳変性症(SCD)
  16.重症筋無力症(MG)
第 8 章 Step6 患者が思う病気と生活の関係
【1】 QOLの評価   [ 中山恭秀]
  1概説
  2代表的な評価指標
第 9 章 理学療法プログラムの立案に向けて
【1】理学療法評価の後に実施する統合と解釈   [ 中山恭秀]
  1統合と解釈
【2 】理学療法評価結果を解釈する際の7つのポイント
  1理学療法評価を追跡して行う
  2動作の遂行と関節可動域を結びつけて考える
  3背臥位から立位,そしてその先にある日常生活動作を考える
  4動作能力とLSAをつなげて目標を考える
  5歩行補助具の適応を評価する
  6受傷・発症した原因を考え,元の生活に戻るという視点をもつ
  7フレイル・サルコペニアを考える
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