超音波ガイドEVT
体表面エコー,IVUSの徹底活用で手技成功に導く
定価 9,350円(税込) (本体8,500円+税)
- B5判 336ページ オールカラー,イラスト250点,写真600点
- 2020年3月22日刊行
- ISBN978-4-7583-1964-5
電子版
序文
序
わが国では現在糖尿病や人工透析の患者数が増加の一途をたどっており,これに伴い末梢血管疾患(PAD)も増加傾向にある。PADに対する血管内治療(EVT)の適応拡大もあり,EVTの件数も増加している。
インターベンション治療を行ううえで最大の壁となるのは慢性完全閉塞(CTO)であり,EVTにおいても同様である。CTOに対するインターベンション治療において,いかに合併症をきたさず安全に手技を終えられるかが重要であり,そのためにはガイドワイヤーをいかに安全なところに通せるかが鍵となる。そして,その手助けをできるモダリティこそが超音波診断機器(体表面エコー,IVUS)である。
体表面エコーは管腔臓器以外の実質臓器や血管を描出することに優れている検査機器であり,非侵襲的に使用できることから広く普及し,スクリーニング検査などにも多く使用されている機器の1つである。 われわれインターベンション医がEVTを行う大腿膝窩動脈や脛骨動脈などは,比較的体表面の近くを走行しているため,体表面エコーを使用することで容易に描出でき,治療の際の手助けとなる。
一方,インターベンションで広く使われている超音波診断機器の代表的なものに血管内超音波(IVUS)がある。IVUSの最大の利点は正確な血管径を把握できることであり,そのことで長期成績の改善につながるとの報告もある。ただIVUSは体表面エコーに比べ血管径の計測やプラーク性状の診断に優れている一方,CTO病変内でのガイドワイヤー前方の情報をリアルタイムに得ることはできない。
それに対し体表面エコーはそれができる唯一のモダリティであり,最大の特徴でもある。今後わが国でもアテレクトミーデバイスが使用可能になり,安全に使用するためにも超音波診断機器を駆使したintraplaque angioplastyが重要であると考えられ,超音波診断機器の有効活用が必要になると思われる。
本書は末梢領域のCTO治療における超音波診断機器(体表エコー・IVUS)の使用方法に焦点を絞った初めての書籍であり,さまざまなTipsを各執筆者の先生方にわかりやすく解説していただいている。明日からの治療に是非役立てていただきたい。
2020年1月
済生会横浜市東部病院循環器内科部長
平野 敬典
わが国では現在糖尿病や人工透析の患者数が増加の一途をたどっており,これに伴い末梢血管疾患(PAD)も増加傾向にある。PADに対する血管内治療(EVT)の適応拡大もあり,EVTの件数も増加している。
インターベンション治療を行ううえで最大の壁となるのは慢性完全閉塞(CTO)であり,EVTにおいても同様である。CTOに対するインターベンション治療において,いかに合併症をきたさず安全に手技を終えられるかが重要であり,そのためにはガイドワイヤーをいかに安全なところに通せるかが鍵となる。そして,その手助けをできるモダリティこそが超音波診断機器(体表面エコー,IVUS)である。
体表面エコーは管腔臓器以外の実質臓器や血管を描出することに優れている検査機器であり,非侵襲的に使用できることから広く普及し,スクリーニング検査などにも多く使用されている機器の1つである。 われわれインターベンション医がEVTを行う大腿膝窩動脈や脛骨動脈などは,比較的体表面の近くを走行しているため,体表面エコーを使用することで容易に描出でき,治療の際の手助けとなる。
一方,インターベンションで広く使われている超音波診断機器の代表的なものに血管内超音波(IVUS)がある。IVUSの最大の利点は正確な血管径を把握できることであり,そのことで長期成績の改善につながるとの報告もある。ただIVUSは体表面エコーに比べ血管径の計測やプラーク性状の診断に優れている一方,CTO病変内でのガイドワイヤー前方の情報をリアルタイムに得ることはできない。
それに対し体表面エコーはそれができる唯一のモダリティであり,最大の特徴でもある。今後わが国でもアテレクトミーデバイスが使用可能になり,安全に使用するためにも超音波診断機器を駆使したintraplaque angioplastyが重要であると考えられ,超音波診断機器の有効活用が必要になると思われる。
本書は末梢領域のCTO治療における超音波診断機器(体表エコー・IVUS)の使用方法に焦点を絞った初めての書籍であり,さまざまなTipsを各執筆者の先生方にわかりやすく解説していただいている。明日からの治療に是非役立てていただきたい。
2020年1月
済生会横浜市東部病院循環器内科部長
平野 敬典
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目次
基礎編
I 章 下肢CTO 病変の基礎知識
1 Iliac CTOに対するEVTの成績 曽我芳光
2 SFA CTOに対するEVTの成績 奥野翔太・飯田 修
3 BTK CTOに対するEVTの成績 小林範弘
II 章 下肢動脈 CTO治療に体表面エコーを活用する
1 体表面エコー装置の設定方法について 滝村英幸
2 体表面エコーガイドワイヤリングの考え方と ワイヤーの動かし方の基礎 平野敬典
3 体表面エコーガイドによるSFA CTO治療の慢性期成績の比較 阪本泰成
4 偽腔長の違いは慢性期成績に影響するのか? 平野敬典
III 章 下肢動脈 CTO治療に IVUSを活用する
1 SFA CTOに対するIVUSガイドワイヤリングのコツ 越田亮司
2 CTO治療におけるIVUSガイドEVTの基礎知識 川﨑大三
3 IVUS使用例におけるsubintimal angioplastyとintraplaque angioplastyの慢性期成績の比較 毛利晋輔
4 SFA CTO病変におけるガイドワイヤー通過位置とバルーン拡張後の解離の関係 白井重光
5 ICE method-IVUSガイドワイヤリングの新たな手法 平野敬典
実践編
IV 章 エコープローブの当て方のポイント
1 Iliacにおける体表面エコープローブの当て方の工夫 橘内秀雄・山内靖隆
2 浅大腿膝窩動脈領域における体表面エコープローブの当て方の工夫 齊藤広将・平野敬典
3 BTKに対する体表面エコープローブの当て方の工夫 橘内秀雄・山内靖隆
V 章 体表面エコーガイド穿刺のコツ
1 体表面エコー長軸断面を使用した穿刺 平野敬典
2 体表面エコー短軸断面を使用した穿刺 近江哲生
3 体表面エコーガイド穿刺時の注意点 土谷武嗣
4 体表面エコーガイド穿刺のさらなる工夫(遠位橈骨動脈アプローチや閉塞橈骨動脈アプローチについて) 毛利晋輔
VI 章 体表面エコーを使用し,止血を安全に行う
1 体表面エコーを使用したトロンビン止血 艫居祐輔
2 体表面エコーを使用し,止血デバイスを安全に使用する 本多洋介
VII 章 超音波診断機器を駆使し,実際にCTOを開ける!
1 Iliac CTO病変に対する超音波の活用
①Iliac CTO病変に対する体表面エコーガイドワイヤリング 山内靖隆
②Iliac CTOに対するIVUSガイドワイヤリングのコツ 越田亮司
③経腸骨静脈ガイドIVUSワイヤリングのコツ 菱刈景一
④Iliac CTOに対するAcuNavを使用した経腸骨静脈EVT 菱刈景一
2 SFA CTO病変に対する超音波の活用
①SFA CTOに対する体表面エコーガイドEVTのコツ 宮下裕介
②SFA CTOに対する体表面エコー短軸画像を用いた ガイドワイヤリングの応用 植島大輔
③SFA石灰化CTOに対する体表面エコーガイドワイヤリングの Tips 徳田尊洋
④高度線維性プラークによるSFA CTOに対する体表面エコー ガイドワイヤリング 平野敬典
⑤SFA CTOに対する経大腿静脈IVUSガイドEVT 高橋保裕
⑥SFA CTOに対するelastographyの応用 滝村英幸
⑦術者1人で体表面エコーガイドEVTを行うときのTips 滝村英幸
3 BTK CTO病変に対する超音波の活用
①BTK CTOに対する体表面エコーガイドワイヤリング 竹井達郎・山内靖隆
②BTK CTOに対する体表面エコーガイドEVT 久原亮二
③BTK CTOに対するIVUSガイドEVT 小西宏和・羽原真人
VIII 章 体表面エコーをバスキュラーアクセス治療に活かす
エコーガイドバスキュラーアクセス治療(VAIVT)の実際とコツ 宮本雅仁
IX 章 これから体表面エコーガイド EVTを始めるあなたへ
私が体表面エコーを選んだ理由 重城健太郎
I 章 下肢CTO 病変の基礎知識
1 Iliac CTOに対するEVTの成績 曽我芳光
2 SFA CTOに対するEVTの成績 奥野翔太・飯田 修
3 BTK CTOに対するEVTの成績 小林範弘
II 章 下肢動脈 CTO治療に体表面エコーを活用する
1 体表面エコー装置の設定方法について 滝村英幸
2 体表面エコーガイドワイヤリングの考え方と ワイヤーの動かし方の基礎 平野敬典
3 体表面エコーガイドによるSFA CTO治療の慢性期成績の比較 阪本泰成
4 偽腔長の違いは慢性期成績に影響するのか? 平野敬典
III 章 下肢動脈 CTO治療に IVUSを活用する
1 SFA CTOに対するIVUSガイドワイヤリングのコツ 越田亮司
2 CTO治療におけるIVUSガイドEVTの基礎知識 川﨑大三
3 IVUS使用例におけるsubintimal angioplastyとintraplaque angioplastyの慢性期成績の比較 毛利晋輔
4 SFA CTO病変におけるガイドワイヤー通過位置とバルーン拡張後の解離の関係 白井重光
5 ICE method-IVUSガイドワイヤリングの新たな手法 平野敬典
実践編
IV 章 エコープローブの当て方のポイント
1 Iliacにおける体表面エコープローブの当て方の工夫 橘内秀雄・山内靖隆
2 浅大腿膝窩動脈領域における体表面エコープローブの当て方の工夫 齊藤広将・平野敬典
3 BTKに対する体表面エコープローブの当て方の工夫 橘内秀雄・山内靖隆
V 章 体表面エコーガイド穿刺のコツ
1 体表面エコー長軸断面を使用した穿刺 平野敬典
2 体表面エコー短軸断面を使用した穿刺 近江哲生
3 体表面エコーガイド穿刺時の注意点 土谷武嗣
4 体表面エコーガイド穿刺のさらなる工夫(遠位橈骨動脈アプローチや閉塞橈骨動脈アプローチについて) 毛利晋輔
VI 章 体表面エコーを使用し,止血を安全に行う
1 体表面エコーを使用したトロンビン止血 艫居祐輔
2 体表面エコーを使用し,止血デバイスを安全に使用する 本多洋介
VII 章 超音波診断機器を駆使し,実際にCTOを開ける!
1 Iliac CTO病変に対する超音波の活用
①Iliac CTO病変に対する体表面エコーガイドワイヤリング 山内靖隆
②Iliac CTOに対するIVUSガイドワイヤリングのコツ 越田亮司
③経腸骨静脈ガイドIVUSワイヤリングのコツ 菱刈景一
④Iliac CTOに対するAcuNavを使用した経腸骨静脈EVT 菱刈景一
2 SFA CTO病変に対する超音波の活用
①SFA CTOに対する体表面エコーガイドEVTのコツ 宮下裕介
②SFA CTOに対する体表面エコー短軸画像を用いた ガイドワイヤリングの応用 植島大輔
③SFA石灰化CTOに対する体表面エコーガイドワイヤリングの Tips 徳田尊洋
④高度線維性プラークによるSFA CTOに対する体表面エコー ガイドワイヤリング 平野敬典
⑤SFA CTOに対する経大腿静脈IVUSガイドEVT 高橋保裕
⑥SFA CTOに対するelastographyの応用 滝村英幸
⑦術者1人で体表面エコーガイドEVTを行うときのTips 滝村英幸
3 BTK CTO病変に対する超音波の活用
①BTK CTOに対する体表面エコーガイドワイヤリング 竹井達郎・山内靖隆
②BTK CTOに対する体表面エコーガイドEVT 久原亮二
③BTK CTOに対するIVUSガイドEVT 小西宏和・羽原真人
VIII 章 体表面エコーをバスキュラーアクセス治療に活かす
エコーガイドバスキュラーアクセス治療(VAIVT)の実際とコツ 宮本雅仁
IX 章 これから体表面エコーガイド EVTを始めるあなたへ
私が体表面エコーを選んだ理由 重城健太郎
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部位別・モダリティ別EVT手技の成功のコツを誌上トレーニングで身につけよう!
近年進歩が目覚ましい体表面エコー・IVUSガイドによる末梢動脈治療(EVT)の施行法に関する基本的知識と,部位別・モダリティ別EVT手技の成功のコツを誌上トレーニングにより身につけ,基本的な症例から困難症例まで対応できるスキルを養成する書籍。
[実践編]では,さまざまなデバイスの使い方を中心に,実際の症例を基に詳細に解説。各施設の独自の工夫など,読者の明日からの実臨床にすぐに役立つ実践的な知識を提供。さらに「成功のTips」「トラブル回避法」などの囲み記事で,エキスパートの視点や考え方,応用的な手技を身につけ,多様な症例への応用力を養うことができる。