カンゲキするほどわかる
頭頸部間隙の画像診断
定価 7,150円(税込) (本体6,500円+税)
- B5判 192ページ オールカラー,イラスト70点,写真220点
- 2021年10月1日刊行
- ISBN978-4-7583-2101-3
電子版
序文
序文
頭頸部には複数の膜とそれによる多数の間隙があり,それぞれつながりがあります。病変が間隙内にとどまったり,隣接する間隙へ進展したり,進展度によっては重症化することもあります。間隙という構造は病変の局在や広がりを評価するうえで基礎であり,間隙を理解することは頭頸部の画像診断において非常に重要です。しかし,頭頸部領域の画像診断を苦手としている放射線科医は私が思っている以上に多く,周りの先生方から「頭頸部は解剖が難しい」,なかでも「間隙がよくわからない」,「間隙があるから頭頸部は苦手!」という声が多く,「間隙の解剖を勉強して何の役に立つの?」と耳を疑うような声すらあるのが現実であり,そのような声を聞くたびに悲しい気持ちになります。そこで,頭頸部画像診断を専門としない放射線科医やこれから勉強する研修医,学生などを対象とした“わかりやすい間隙の解剖”,“間隙を把握することの重要性”に特化した内容で,頭頸部を苦手とする先生方の手助けになるような本,「頭頸部の間隙を勉強するには,まずはこの本から!」となるような本を作りたいと考えました。
本書は頭頸部の間隙に特化し,「間隙に基づいた画像診断の教科書」となることをコンセプトにしています。頭頸部の間隙についてはこれまでも多数の書籍で触れられていますが,頭頸部の間隙のみに特化した書籍はこれが初めてになると思います。頭頸部が苦手な先生や初学者でも苦にすることなく学ぶことができるように,できるだけ図やシェーマを使った構成にしました。また,間隙どうしのつながりや病変の広がりがわかるような症例をピックアップして,読影時に知っておくべき重要なポイントなどもまとめています。
このとても難しいコンセプトに賛同し,執筆を引き受けてくださった先生方は,頭頸部画像診断を専門になさり,そして今まで多数の書籍や雑誌,学会・研究会での講演などでこの難解な間隙をとてもわかりやすく教えてこられた著名な先生ばかりです。エキスパートの先生方による頭頸部間隙の画像診断のエッセンス,醍醐味を十分に堪能していただける内容になったと思います。
この本を読み終えた暁には今まで見えていなかった頭頸部のさまざまな間隙が浮かび上がってくると思います。是非,未読影リストの頭頸部CT,MRIを開き,間隙を基に読影してみてください。間隙の重要性に気づき,理解が深まると思います。この本で頭頸部間隙に対する苦手意識がなくなり,頭頸部画像診断の面白さに「カンゲキ」していただければ幸いです。
最後に,コロナ禍で大変な時期にもかかわらず,ご執筆を快く引き受けてくださった先生方,そして執筆に時間がかかってしまったにもかかわらず本書作成に情熱を注いでくださったメジカルビュー社の苅谷竜太郎様には厚く御礼申し上げます。
2021年8月
齋藤尚子
頭頸部には複数の膜とそれによる多数の間隙があり,それぞれつながりがあります。病変が間隙内にとどまったり,隣接する間隙へ進展したり,進展度によっては重症化することもあります。間隙という構造は病変の局在や広がりを評価するうえで基礎であり,間隙を理解することは頭頸部の画像診断において非常に重要です。しかし,頭頸部領域の画像診断を苦手としている放射線科医は私が思っている以上に多く,周りの先生方から「頭頸部は解剖が難しい」,なかでも「間隙がよくわからない」,「間隙があるから頭頸部は苦手!」という声が多く,「間隙の解剖を勉強して何の役に立つの?」と耳を疑うような声すらあるのが現実であり,そのような声を聞くたびに悲しい気持ちになります。そこで,頭頸部画像診断を専門としない放射線科医やこれから勉強する研修医,学生などを対象とした“わかりやすい間隙の解剖”,“間隙を把握することの重要性”に特化した内容で,頭頸部を苦手とする先生方の手助けになるような本,「頭頸部の間隙を勉強するには,まずはこの本から!」となるような本を作りたいと考えました。
本書は頭頸部の間隙に特化し,「間隙に基づいた画像診断の教科書」となることをコンセプトにしています。頭頸部の間隙についてはこれまでも多数の書籍で触れられていますが,頭頸部の間隙のみに特化した書籍はこれが初めてになると思います。頭頸部が苦手な先生や初学者でも苦にすることなく学ぶことができるように,できるだけ図やシェーマを使った構成にしました。また,間隙どうしのつながりや病変の広がりがわかるような症例をピックアップして,読影時に知っておくべき重要なポイントなどもまとめています。
このとても難しいコンセプトに賛同し,執筆を引き受けてくださった先生方は,頭頸部画像診断を専門になさり,そして今まで多数の書籍や雑誌,学会・研究会での講演などでこの難解な間隙をとてもわかりやすく教えてこられた著名な先生ばかりです。エキスパートの先生方による頭頸部間隙の画像診断のエッセンス,醍醐味を十分に堪能していただける内容になったと思います。
この本を読み終えた暁には今まで見えていなかった頭頸部のさまざまな間隙が浮かび上がってくると思います。是非,未読影リストの頭頸部CT,MRIを開き,間隙を基に読影してみてください。間隙の重要性に気づき,理解が深まると思います。この本で頭頸部間隙に対する苦手意識がなくなり,頭頸部画像診断の面白さに「カンゲキ」していただければ幸いです。
最後に,コロナ禍で大変な時期にもかかわらず,ご執筆を快く引き受けてくださった先生方,そして執筆に時間がかかってしまったにもかかわらず本書作成に情熱を注いでくださったメジカルビュー社の苅谷竜太郎様には厚く御礼申し上げます。
2021年8月
齋藤尚子
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目次
Ⅰ 間隙を知る!
スライスして覚える頭頸部解剖 [齋藤尚子]
本書で取り上げる頭頸部の間隙と位置関係
スライスして覚える頭頸部間隙:横断像
スライスして覚える頭頸部間隙:矢状断像
スライスして覚える頭頸部間隙:冠状断像
Ⅱ 間隙を読む!
舌骨上頸部にある間隙
傍咽頭間隙(傍咽頭間隙前茎突区) [齋藤尚子]
傍咽頭間隙に原発する疾患
傍咽頭間隙に浸潤,波及してくる疾患
咽頭粘膜間隙 [飯田悦史]
咽頭粘膜間隙に原発する疾患
咽頭粘膜間隙に浸潤,波及してくる疾患
顎下間隙 [久野博文]
顎下間隙に原発する疾患
顎下間隙に浸潤,波及してくる疾患
舌下間隙 [久野博文]
舌下間隙に原発する疾患
舌下間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
扁桃周囲間隙 [飯田悦史]
扁桃周囲間隙に波及してくる疾患
咀嚼筋間隙 [齋藤尚子]
咀嚼筋間隙に原発する疾患
咀嚼筋間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
耳下腺間隙 [浮洲龍太郎]
耳下腺間隙に原発する疾患
耳下腺間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
頬間隙 [齋藤尚子]
頬間隙に原発する疾患
頬間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
舌骨下頸部にある間隙
臓器間隙 [狩野洋輔,浮洲龍太郎]
臓器間隙に原発する疾患
臓器間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
前頸間隙 [藤田晃史]
前頸間隙に原発する疾患
前頸間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
舌骨上・下頸部をまたぐ間隙
咽頭後間隙/ 危険間隙 [檜山貴志]
咽頭後間隙に原発する疾患
咽頭後間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
椎周囲間隙 [藤田晃史]
椎周囲間隙に原発する疾患
椎周囲間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
頸動脈間隙 [加藤博基]
頸動脈間隙に原発する疾患
頸動脈間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
後頸間隙 [加藤博基]
後頸間隙に原発する疾患
後頸間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
スライスして覚える頭頸部解剖 [齋藤尚子]
本書で取り上げる頭頸部の間隙と位置関係
スライスして覚える頭頸部間隙:横断像
スライスして覚える頭頸部間隙:矢状断像
スライスして覚える頭頸部間隙:冠状断像
Ⅱ 間隙を読む!
舌骨上頸部にある間隙
傍咽頭間隙(傍咽頭間隙前茎突区) [齋藤尚子]
傍咽頭間隙に原発する疾患
傍咽頭間隙に浸潤,波及してくる疾患
咽頭粘膜間隙 [飯田悦史]
咽頭粘膜間隙に原発する疾患
咽頭粘膜間隙に浸潤,波及してくる疾患
顎下間隙 [久野博文]
顎下間隙に原発する疾患
顎下間隙に浸潤,波及してくる疾患
舌下間隙 [久野博文]
舌下間隙に原発する疾患
舌下間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
扁桃周囲間隙 [飯田悦史]
扁桃周囲間隙に波及してくる疾患
咀嚼筋間隙 [齋藤尚子]
咀嚼筋間隙に原発する疾患
咀嚼筋間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
耳下腺間隙 [浮洲龍太郎]
耳下腺間隙に原発する疾患
耳下腺間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
頬間隙 [齋藤尚子]
頬間隙に原発する疾患
頬間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
舌骨下頸部にある間隙
臓器間隙 [狩野洋輔,浮洲龍太郎]
臓器間隙に原発する疾患
臓器間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
前頸間隙 [藤田晃史]
前頸間隙に原発する疾患
前頸間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
舌骨上・下頸部をまたぐ間隙
咽頭後間隙/ 危険間隙 [檜山貴志]
咽頭後間隙に原発する疾患
咽頭後間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
椎周囲間隙 [藤田晃史]
椎周囲間隙に原発する疾患
椎周囲間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
頸動脈間隙 [加藤博基]
頸動脈間隙に原発する疾患
頸動脈間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
後頸間隙 [加藤博基]
後頸間隙に原発する疾患
後頸間隙に浸潤,波及,転移してくる疾患
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カンゲキの向こうに答えはある! 難解な頭頸部の解剖と読影を間隙ごとに整理して完全理解
外見上の特徴に乏しいため難しいとされる頭頸部の解剖と読影を,間隙に注目して整理。それぞれの間隙ごとに解剖/原発する疾患/進展・波及・転移してくる疾患の画像を症例とともに紹介する。
細かいスライスにより「この高さではこの間隙はこう見える」がわかる紙面構成なので,間隙の解剖と連続性を理解すれば,疾患がどこに転移しうるのか/どこから波及してきたのかを判断でき,迅速かつ見落としのない転移の確認と重症度の鑑別が可能になる。
これから頭頸部を学びたい初学者にも,もう一度頭頸部を勉強しなおしたい医師にも有用な一冊。