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頭蓋・顔面病変の画像診断
定価 5,500円(税込) (本体5,000円+税)
- B5変型判 164ページ 2色(一部カラー),写真520点
- 2019年3月14日刊行
- ISBN978-4-7583-1607-1
電子版
序文
序
日常の神経放射線領域では,画像診断の対象は頭蓋内病変がその大部分を占めている。しかしCTやMRIで同時に描出されている頭蓋骨や顔面骨にも,多彩な疾患や正常変異がまれながら認められる。頻繁に診断の対象となる外傷での骨折以外に,頭蓋内疾患あるいは全身性疾患と関連した病変も経験される。さらに病的なものと紛らわしい正常変異もしばしばみられ,ときに診断に難渋する。このように臨床で遭遇する頭蓋・顔面病変には病的意義のあるものとないものが混在している。残念ながら現状では国内国外を問わず,こういった多彩な頭蓋・顔面の画像所見をCTやMRIといった最近のモダリティを中心に総括した書物は見当たらない。それでは,これらの知識や情報を整理し,まずは放射線科画像診断医に実際的に役に立つものを作ることを目指そうと考えた。
本書は月刊誌『臨床画像』に「頭蓋病変の画像診断」として2017年8月号から2018年7月号にかけて連載されたものを合本とした。上述のような発意でこの連載の企画を立てた時点から,連載終了後はぜひ1冊の本にしたいとメジカルビュー社の編集部の方々に願い出て,執筆いただいた先生方には連載時の原稿をさらに充実していただき,本書のような形に仕上げることができた。連載の段階から単純写真,CT,MRI,核医学検査などを含めたものとし,できるだけ総合的に画像所見を考察し,適切な診断に至る知識を整理できる内容を念頭に著者の皆さんには執筆してもらったが,単行本とする段階でさらなるブラッシュアップを図っていただいた結果,取り上げた内容の質や数,さらにそれらの画像ともども充実したものとなったと感じている。
本書を画像診断を専らにする放射線科医のみならず,関連領域に携わる脳神経外科,脳神経内科,小児科,口腔外科などの多数の先生方に日々の診療の身近に置いて役立てていただける機会があれば編者として大きな喜びである。
最後に,編者の意図をご理解いただき,連載の企画から単行本化に至るまで本書の刊行にご尽力下さったメジカルビュー社編集部の石田奈緒美さん,高橋 萌さん,加賀智子さんに厚くお礼申し上げます。
2019年1月吉日
埼玉医科大学総合医療センター放射線科
土屋一洋
日常の神経放射線領域では,画像診断の対象は頭蓋内病変がその大部分を占めている。しかしCTやMRIで同時に描出されている頭蓋骨や顔面骨にも,多彩な疾患や正常変異がまれながら認められる。頻繁に診断の対象となる外傷での骨折以外に,頭蓋内疾患あるいは全身性疾患と関連した病変も経験される。さらに病的なものと紛らわしい正常変異もしばしばみられ,ときに診断に難渋する。このように臨床で遭遇する頭蓋・顔面病変には病的意義のあるものとないものが混在している。残念ながら現状では国内国外を問わず,こういった多彩な頭蓋・顔面の画像所見をCTやMRIといった最近のモダリティを中心に総括した書物は見当たらない。それでは,これらの知識や情報を整理し,まずは放射線科画像診断医に実際的に役に立つものを作ることを目指そうと考えた。
本書は月刊誌『臨床画像』に「頭蓋病変の画像診断」として2017年8月号から2018年7月号にかけて連載されたものを合本とした。上述のような発意でこの連載の企画を立てた時点から,連載終了後はぜひ1冊の本にしたいとメジカルビュー社の編集部の方々に願い出て,執筆いただいた先生方には連載時の原稿をさらに充実していただき,本書のような形に仕上げることができた。連載の段階から単純写真,CT,MRI,核医学検査などを含めたものとし,できるだけ総合的に画像所見を考察し,適切な診断に至る知識を整理できる内容を念頭に著者の皆さんには執筆してもらったが,単行本とする段階でさらなるブラッシュアップを図っていただいた結果,取り上げた内容の質や数,さらにそれらの画像ともども充実したものとなったと感じている。
本書を画像診断を専らにする放射線科医のみならず,関連領域に携わる脳神経外科,脳神経内科,小児科,口腔外科などの多数の先生方に日々の診療の身近に置いて役立てていただける機会があれば編者として大きな喜びである。
最後に,編者の意図をご理解いただき,連載の企画から単行本化に至るまで本書の刊行にご尽力下さったメジカルビュー社編集部の石田奈緒美さん,高橋 萌さん,加賀智子さんに厚くお礼申し上げます。
2019年1月吉日
埼玉医科大学総合医療センター放射線科
土屋一洋
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目次
Chapter I 頭蓋の先天奇形① 安藤久美子,石藏礼一
頭蓋の構造は複雑:頭蓋の構成と発達
膜性骨の欠損に起因する先天疾患
頭蓋骨の全欠損(acrania)と無脳症(anencephaly/meroanencephaly)
頭瘤(cephalocele)
脳瘤(含むnasal glioma)
occipital cephalocele
parietal cephalocele
frontoethmoidal cephalocele,nasal glioma,nasal dermoid
nasopharyngeal encephalocele
特発性側方蝶形骨脳瘤(spontaneous lateral spheloid cephalocele)
atretic cephalocele
先天皮膚洞
sinus pericranii
頭蓋骨類上皮腫,類表皮腫
羊膜破裂シーケンスまたは羊膜索症候群(amniotic band sequence)
その他の頭蓋骨欠損とlacunar skull
lacunar skull
Chapter II 頭蓋の先天奇形② 河中祐介
頭蓋縫合早期癒合症
頭蓋底陥入症(basilar impression)
Dyke-Davidof-Masson症候群
線維性骨異形成症(fibrous dysplasia)
扁平頭蓋底
Chapter III 重要な頭蓋の正常変異 東 美菜子
頭蓋骨全体の厚さ:肥厚症との鑑別
parietal thinning
脳回圧痕の解釈
縫合線と骨折線との鑑別
頭頂孔の鑑別
乳突孔・後頭導出孔の鑑別
錐体後頭裂(破裂孔・頸静脈孔)の鑑別
含気形成による誤認
眼窩内脂肪の突出
くも膜顆粒の突出
lumps and bumps
prominent jugular tubercle
corrugations of the orbital roof
arcuate eminence of the superior semicircular canal
planum sphenoidale
ossified interclinoid ligament
Chapter IV 頭蓋と頭蓋底の骨折 馬場千紗,横田 元,会田和泰,山田 惠
頭部外傷の疫学
頭部外傷の画像診断
CT撮像の適応
CT撮像方法と基本的な読影手順
必要となりうる追加検査
線状骨折
陥没骨折
縫合離開
側頭骨骨折
画像検査と読影上の注意点
側頭骨骨折の分類
側頭骨骨折の合併症
伝音性難聴
感音性難聴・眩暈・外リンパ漏
顔面神経麻痺
髄液漏
血管損傷
growing skull fracture
小児虐待による頭部外傷
Chapter V 顔面骨折 小玉隆男
顔面骨の構造的支柱:facial buttress system
顔面骨折の画像診断
各部位における骨折
前頭洞骨折
鼻骨骨折,naso‒orbito‒ethmoid(NOE)骨折
眼窩骨折
内部眼窩骨折,眼窩吹き抜け(blow‒out)骨折
眼窩縁骨折
頬骨骨折,zygomatico maxillary complex(ZMC)骨折
上顎骨折(顔面中央部中心部骨折)
下顎骨骨折
小児における顔面骨折
[Tips & Tips] Le Fort骨折
Chapter VI 全身疾患の頭蓋病変 森 墾
血液疾患
代謝疾患
頭蓋病変を認めるその他の疾患
Chapter VII 頭蓋と近傍の炎症性疾患 外山芳弘
頭蓋骨髄炎
急性浸潤性真菌性鼻副鼻腔炎
粘液瘤(mucocele)
真珠腫(cholesteatoma)と耳性頭蓋内合併症
コレステリン肉芽腫(cholesterol granuloma)
Chapter VIII 頭蓋内圧亢進に伴う頭蓋の変化 前田正幸
頭蓋内圧亢進とは
頭蓋内圧亢進の画像所見
縫合離開
指圧痕
トルコ鞍の変化
特発性頭蓋内圧亢進症
裂孔頭蓋
[Tips & Tips] 特発性頭蓋内圧亢進症の歴史
単純X線写真による髄膜腫の診断
Chapter IX 頭蓋冠の腫瘍性病変① 中山 学,中里龍彦,山國 遼,江原 茂
骨腫(osteoma)
血管腫(hemangioma)
類表皮嚢胞(epidermoid cyst)
Langerhans細胞組織球症(LCH)
線維性骨異形成症(fibrous dysplasia;FD)
Chapter X 頭蓋冠の腫瘍性病変② 中山 学,中里龍彦,山國 遼,江原 茂
骨内髄膜腫(intraosseous meningioma)
頭蓋骨転移(skull metastasis)
多発性骨髄腫(multiple myeloma),形質細胞腫
悪性リンパ腫(malignant lymphoma)
骨肉腫(osteosarcoma)
Chapter XI 頭蓋底の腫瘍性病変 大原有紗,土屋一洋
脊索腫(chordoma)
浸潤性下垂体腺腫(invasive adenoma)
頭蓋底転移(skull‒base metastasis)
泡状外脊索症(ecchordosis physaliphora)
軟骨肉腫
線維性骨異形成症(fibrous dysplasia;FD)
endolymphatic sac tumor(ELST)
骨巨細胞腫
Chapter XII 顎骨の腫瘍性病変 竹内明子,箕輪和行
エナメル上皮腫(ameloblastoma)
歯牙腫(odontoma)
歯原性角化嚢胞(odontogenic keratocyst)
歯原性粘液腫(odontogenic myxoma)
石灰化歯原性嚢胞(calcifying odontogenic cyst)
顎骨壊死(osteonecrosis of the jaw)
放射線性骨髄炎・骨壊死(osteoradionecrosis;ORN)
頭蓋の構造は複雑:頭蓋の構成と発達
膜性骨の欠損に起因する先天疾患
頭蓋骨の全欠損(acrania)と無脳症(anencephaly/meroanencephaly)
頭瘤(cephalocele)
脳瘤(含むnasal glioma)
occipital cephalocele
parietal cephalocele
frontoethmoidal cephalocele,nasal glioma,nasal dermoid
nasopharyngeal encephalocele
特発性側方蝶形骨脳瘤(spontaneous lateral spheloid cephalocele)
atretic cephalocele
先天皮膚洞
sinus pericranii
頭蓋骨類上皮腫,類表皮腫
羊膜破裂シーケンスまたは羊膜索症候群(amniotic band sequence)
その他の頭蓋骨欠損とlacunar skull
lacunar skull
Chapter II 頭蓋の先天奇形② 河中祐介
頭蓋縫合早期癒合症
頭蓋底陥入症(basilar impression)
Dyke-Davidof-Masson症候群
線維性骨異形成症(fibrous dysplasia)
扁平頭蓋底
Chapter III 重要な頭蓋の正常変異 東 美菜子
頭蓋骨全体の厚さ:肥厚症との鑑別
parietal thinning
脳回圧痕の解釈
縫合線と骨折線との鑑別
頭頂孔の鑑別
乳突孔・後頭導出孔の鑑別
錐体後頭裂(破裂孔・頸静脈孔)の鑑別
含気形成による誤認
眼窩内脂肪の突出
くも膜顆粒の突出
lumps and bumps
prominent jugular tubercle
corrugations of the orbital roof
arcuate eminence of the superior semicircular canal
planum sphenoidale
ossified interclinoid ligament
Chapter IV 頭蓋と頭蓋底の骨折 馬場千紗,横田 元,会田和泰,山田 惠
頭部外傷の疫学
頭部外傷の画像診断
CT撮像の適応
CT撮像方法と基本的な読影手順
必要となりうる追加検査
線状骨折
陥没骨折
縫合離開
側頭骨骨折
画像検査と読影上の注意点
側頭骨骨折の分類
側頭骨骨折の合併症
伝音性難聴
感音性難聴・眩暈・外リンパ漏
顔面神経麻痺
髄液漏
血管損傷
growing skull fracture
小児虐待による頭部外傷
Chapter V 顔面骨折 小玉隆男
顔面骨の構造的支柱:facial buttress system
顔面骨折の画像診断
各部位における骨折
前頭洞骨折
鼻骨骨折,naso‒orbito‒ethmoid(NOE)骨折
眼窩骨折
内部眼窩骨折,眼窩吹き抜け(blow‒out)骨折
眼窩縁骨折
頬骨骨折,zygomatico maxillary complex(ZMC)骨折
上顎骨折(顔面中央部中心部骨折)
下顎骨骨折
小児における顔面骨折
[Tips & Tips] Le Fort骨折
Chapter VI 全身疾患の頭蓋病変 森 墾
血液疾患
代謝疾患
頭蓋病変を認めるその他の疾患
Chapter VII 頭蓋と近傍の炎症性疾患 外山芳弘
頭蓋骨髄炎
急性浸潤性真菌性鼻副鼻腔炎
粘液瘤(mucocele)
真珠腫(cholesteatoma)と耳性頭蓋内合併症
コレステリン肉芽腫(cholesterol granuloma)
Chapter VIII 頭蓋内圧亢進に伴う頭蓋の変化 前田正幸
頭蓋内圧亢進とは
頭蓋内圧亢進の画像所見
縫合離開
指圧痕
トルコ鞍の変化
特発性頭蓋内圧亢進症
裂孔頭蓋
[Tips & Tips] 特発性頭蓋内圧亢進症の歴史
単純X線写真による髄膜腫の診断
Chapter IX 頭蓋冠の腫瘍性病変① 中山 学,中里龍彦,山國 遼,江原 茂
骨腫(osteoma)
血管腫(hemangioma)
類表皮嚢胞(epidermoid cyst)
Langerhans細胞組織球症(LCH)
線維性骨異形成症(fibrous dysplasia;FD)
Chapter X 頭蓋冠の腫瘍性病変② 中山 学,中里龍彦,山國 遼,江原 茂
骨内髄膜腫(intraosseous meningioma)
頭蓋骨転移(skull metastasis)
多発性骨髄腫(multiple myeloma),形質細胞腫
悪性リンパ腫(malignant lymphoma)
骨肉腫(osteosarcoma)
Chapter XI 頭蓋底の腫瘍性病変 大原有紗,土屋一洋
脊索腫(chordoma)
浸潤性下垂体腺腫(invasive adenoma)
頭蓋底転移(skull‒base metastasis)
泡状外脊索症(ecchordosis physaliphora)
軟骨肉腫
線維性骨異形成症(fibrous dysplasia;FD)
endolymphatic sac tumor(ELST)
骨巨細胞腫
Chapter XII 顎骨の腫瘍性病変 竹内明子,箕輪和行
エナメル上皮腫(ameloblastoma)
歯牙腫(odontoma)
歯原性角化嚢胞(odontogenic keratocyst)
歯原性粘液腫(odontogenic myxoma)
石灰化歯原性嚢胞(calcifying odontogenic cyst)
顎骨壊死(osteonecrosis of the jaw)
放射線性骨髄炎・骨壊死(osteoradionecrosis;ORN)
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日常診療で遭遇する頭蓋・顔面の変異…正常変異? それとも病変? そんな悩みをこの一冊ですっきり解決!
頭蓋内病変を想定して頭部CTを撮った場合であっても,否応なく写ってしまうのが頭蓋骨であり,その異変に気付いた場合,どう鑑別するかは,頭部を診る放射線科医にとって避けては通れない課題である。しかし,その読影は難しく,また,頭蓋に焦点を当てて解説した書籍もこれまでなかった。
本書では正常変異から,頭蓋・顔面に特徴的な病変,好発する病変まで網羅。「Keyword」「診断のPoint」「有用なモダリティ」「画像の特徴」「鑑別疾患」の5つのマークに従って読めば,重要箇所がすっきり頭に入るようになっている。『臨床画像』好評連載をパワーアップしてまとめたこの一冊で,頭蓋・顔面病変はもう怖くない!