がん研スタイル 癌の標準手術
膵癌・胆道癌
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定価 14,300円(税込) (本体13,000円+税)
- A4判 264ページ オールカラー,イラスト273点,写真50点
- 2015年7月21日刊行
- ISBN978-4-7583-1509-8
序文
『がん研スタイル 癌の標準手術 肝癌』を発刊して1年半を経て,『がん研スタイル 癌の標準手術 膵癌・胆道癌』を発刊することができました。胆道癌,膵臓癌を網羅することから,肝癌編を大幅に越える分量となりました。よく“手術は手でするものではなく,頭でするものだ”といわれます。「がん研スタイル」シリーズでは,目の前に見えるものではなく,外科医の頭で見ているものを表現しました。そのため,写真ではなくイラストで手術のコツを伝えるように工夫しています。胆膵癌手術は他の手術に比べ工程が複雑であり,結果として多くのイラストを収載しております。どれも重要で,削除し難いものばかりです。胆膵癌手術のような難手術もそれぞれの工程を確実にマスターすることが手術の成功につながります。また,本書では手術手技だけではなくあえて術前術後の項目を含めました。胆膵癌の手術は合併症が多くリスクも高いものばかりです。メスを持つものの責任として,患者さんを最低でも元気に退院させることが求められます。術前術後管理ができて初めてメスを持つ資格を得るのだと思います。本書では最低限知っておかなければならない術前術後管理をまとめています。
既刊の肝癌と同様に胆膵癌の手術も腹腔鏡やロボット手術といった低侵襲手術の大きな流れの中にあり,近い将来,肝胆膵外科手術の多くがロボット手術などの低侵襲手術に置き換わるでしょう。ただ,最終的に使いこなすのは外科医であり人間です。私は,人間自身が変わることがない以上,癌外科において将来においても変わらない普遍的な考え方はあると思います。癌外科では臓器を切除するのが目的ではなく癌を治すことが目的です。これから次世代の先端手術を目指す若い先生にこそ,本書の中の多くのイラストを通じて癌外科における普遍的な考え方を感じてもらいたいと思っております。
日常診療であまり遭遇することの少ない胆膵癌ですが,手術日の前夜に各章を読めばリハーサルができるように書いてあります。本書が専門医のみならず若手外科医や胆膵癌手術の機会の少ない外科医の道標となることを祈念しております。最後に胆膵癌の複雑な手術のイラスト化に携わっていただきましたメジカルビュー社の編集者およびイラストレーターの方々に厚く御礼申し上げます。
2015年5月
齋浦明夫
既刊の肝癌と同様に胆膵癌の手術も腹腔鏡やロボット手術といった低侵襲手術の大きな流れの中にあり,近い将来,肝胆膵外科手術の多くがロボット手術などの低侵襲手術に置き換わるでしょう。ただ,最終的に使いこなすのは外科医であり人間です。私は,人間自身が変わることがない以上,癌外科において将来においても変わらない普遍的な考え方はあると思います。癌外科では臓器を切除するのが目的ではなく癌を治すことが目的です。これから次世代の先端手術を目指す若い先生にこそ,本書の中の多くのイラストを通じて癌外科における普遍的な考え方を感じてもらいたいと思っております。
日常診療であまり遭遇することの少ない胆膵癌ですが,手術日の前夜に各章を読めばリハーサルができるように書いてあります。本書が専門医のみならず若手外科医や胆膵癌手術の機会の少ない外科医の道標となることを祈念しております。最後に胆膵癌の複雑な手術のイラスト化に携わっていただきましたメジカルビュー社の編集者およびイラストレーターの方々に厚く御礼申し上げます。
2015年5月
齋浦明夫
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目次
Ⅰ. 総論
1. 術前管理 松村 優
2. 胆道ドレナージ 笹平直樹
3. 門脈塞栓術 岸 庸二
4. 術前シミュレーション 武田良祝
Ⅱ. 手術手技
1. 膵頭十二指腸切除術(PD) 井上陽介
2. 膵尾側切除術
1.後腹膜一括郭清を伴った膵体尾部切除 齋浦明夫
2.腹腔動脈合併膵体尾部切除術(DP-CAR) 佐藤崇文,齋浦明夫
3.腹腔鏡下膵体尾部切除術(Lap-DP) 石沢武彰,佐藤崇文
3. 膵全摘術 有田淳一,齋浦明夫
4. 膵中央切除術 有田淳一,齋浦明夫
5. 膵核出術 野呂拓史
6. 右肝切除・尾状葉切除,肝外胆管切除 髙橋 祐
7. 右3区域切除・尾状葉切除,肝外胆管切除 髙橋 祐
8. 左肝切除・尾状葉切除,肝外胆管切除 左3区域切除・尾状葉切除,肝外胆管切除 髙橋 祐
9. 肝膵同時切除 髙橋 祐
10. 肝外胆管切除 髙橋 祐
11. 胆嚢床切除術と全層胆嚢摘出術 有田淳一,齋浦明夫
12. 乳頭部切除術 齋浦明夫
Ⅲ.術後合併症の処置
1. 膵液瘻に対する管理 高橋道郎
2. 胆汁瘻に対する管理 田中真之
3. 胃内容排泄遅延(DGE) 松木亮太
4. 神経性下痢に対して 市田洋文
5. 術後出血に対する処置 松村 優
6. 膵内分泌・外分泌機能不全に対する処置(糖尿病,脂肪肝に対して) 竹村信行
Ⅳ.ワンポイント
1. 血管再建の適応と方法:門脈 古賀倫太郎
2. 血管再建の適応と方法:動脈 井上陽介
3. 膵体尾部切除術における膵断端処理法 吉岡龍二
4. ICG蛍光法 石沢武彰
5. 左側門脈圧亢進症-脾静脈再建は必要か? 小野嘉大
6. 腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術(Lap-PD) 井上陽介
梶谷 鐶先生と胆膵外科 寺澤無我
1. 術前管理 松村 優
2. 胆道ドレナージ 笹平直樹
3. 門脈塞栓術 岸 庸二
4. 術前シミュレーション 武田良祝
Ⅱ. 手術手技
1. 膵頭十二指腸切除術(PD) 井上陽介
2. 膵尾側切除術
1.後腹膜一括郭清を伴った膵体尾部切除 齋浦明夫
2.腹腔動脈合併膵体尾部切除術(DP-CAR) 佐藤崇文,齋浦明夫
3.腹腔鏡下膵体尾部切除術(Lap-DP) 石沢武彰,佐藤崇文
3. 膵全摘術 有田淳一,齋浦明夫
4. 膵中央切除術 有田淳一,齋浦明夫
5. 膵核出術 野呂拓史
6. 右肝切除・尾状葉切除,肝外胆管切除 髙橋 祐
7. 右3区域切除・尾状葉切除,肝外胆管切除 髙橋 祐
8. 左肝切除・尾状葉切除,肝外胆管切除 左3区域切除・尾状葉切除,肝外胆管切除 髙橋 祐
9. 肝膵同時切除 髙橋 祐
10. 肝外胆管切除 髙橋 祐
11. 胆嚢床切除術と全層胆嚢摘出術 有田淳一,齋浦明夫
12. 乳頭部切除術 齋浦明夫
Ⅲ.術後合併症の処置
1. 膵液瘻に対する管理 高橋道郎
2. 胆汁瘻に対する管理 田中真之
3. 胃内容排泄遅延(DGE) 松木亮太
4. 神経性下痢に対して 市田洋文
5. 術後出血に対する処置 松村 優
6. 膵内分泌・外分泌機能不全に対する処置(糖尿病,脂肪肝に対して) 竹村信行
Ⅳ.ワンポイント
1. 血管再建の適応と方法:門脈 古賀倫太郎
2. 血管再建の適応と方法:動脈 井上陽介
3. 膵体尾部切除術における膵断端処理法 吉岡龍二
4. ICG蛍光法 石沢武彰
5. 左側門脈圧亢進症-脾静脈再建は必要か? 小野嘉大
6. 腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術(Lap-PD) 井上陽介
梶谷 鐶先生と胆膵外科 寺澤無我
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がん研有明病院で行われている癌の標準手術(がん研スタイル)を豊富なイラストで解説
「がん研有明病院」で行われている膵癌・胆道癌の標準手術(がん研スタイル)を,手術手順に沿って,各場面でのポイントをイラストで示しながら手技上の注意点・コツをわかりやすく解説。癌の基本的な手技を学ぼうとする若手外科医にとっては,どこにいても現在トップレベルの癌専門施設での手技が学べる書籍である。