穿刺技術向上に役立つ
透析スタッフのための
バスキュラーアクセスガイドブック
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どなたでもご覧いただけます
定価 4,180円(税込) (本体3,800円+税)
- B5判 160ページ オールカラー,イラスト100点,写真230点
- 2014年9月1日刊行
- ISBN978-4-7583-1482-4
序文
監修の序
血液透析患者は年々増加しており,2013年末には31万人を超えた。また,導入患者の33%は75歳以上の後期高齢者であり,維持透析患者の高齢化や透析歴の長期化などが関連して,透析患者の血管病変も顕著となってきている。
このような現状に対応するため,多くの医療スタッフの労務が透析業務に必要となり,同時に透析スタッフに求められる知識や技術も多岐にわたっている。
血液透析を継続するうえで特に重要なのは,バスキュラーアクセス(VA)の穿刺と管理であり,本書ではこの2点に焦点を絞り透析スタッフにわかりやすく解説した。
血液透析を開始するには,まずはVA穿刺である。患者もVAに対する関心が一番で,確実で上手な穿刺を希望している。穿刺といっても,透析患者の血管は硬化,蛇行,さらには脆弱した血管もあり,まさに十人十色である。しかし,どのようなVAであっても臨機応変に対応する穿刺の知識と技術が要求される。
透析継続とともにVAのトラブルが起こると,十分な脱血ができないばかりではなく,再循環などの問題も起こり透析効率が損なわれる。良好なVA維持は,その後の透析治療成績を左右するといっても過言ではない。そのために,透析スタッフは正しいVAの管理方法を学び,異常の早期発見に努める必要がある。そのためにVA修復の基本的な知識を十分に身につけて欲しい。
本書では,長年にわたり透析医療に携わってきた透析専門医として,透析スタッフが知っておくべきVA管理全般にわたる内容を可能な限り本書に盛り込んだ。臨床現場でも大いに役立つものと思う。
読者には本書を熟読していただき,VA穿刺,VA管理の達人になって欲しいと希望する。VAをよく理解して,それを正しく扱うことは患者の幸福につながると確信する。
2014年7月
医療法人 あさお会 あさおクリニック
前波輝彦
----------------------------------------
編集の序
血液透析治療を行ううえで必要不可欠な「バスキュラーアクセスへの接続」。臨床工学技士法制定当初は,「接続」という表現で穿刺行為が法的に認められ,保健師助産師看護師法における解釈もこれに追従した。しかし,「法的に行って良いこと」と「行う能力がある」ことは全く別問題であることを最も理解できる例は,「バスキュラーアクセスへの穿刺行為」であろう。患者さんにとっては,失敗することなく安全に穿刺されることが最も重要なのである。
私自身,日々の穿刺行為を何年経験しても不安と緊張から解放されたことは一日たりともない。血液透析治療を受ける患者さんにとって,穿刺が生命を支えていくために欠かせない最も重要な行為であることを思うと,患者さんも透析医療従事者も不安と緊張感をもって穿刺に臨んでいるはずである。
長期にわたる良好なバスキュラーアクセスの維持は,トラブルの予防策や対処の知識,技術の研鑽によって可能であることは,誰もが理解しているものと考える。しかし,「穿刺技術は,多くの経験を積むこと」として実践を優先するあまり,知識を疎かにしては,本末転倒であろう。現代の医療は,常にエビデンスを求める傾向にあるが,臨床現場における個々の患者への手技は,必ずしもエビデンスという客観的な証拠や根拠のみで判断されるものではないと考える。重要なのは,基本原則,機序などの知識とともにエビデンスを実践の一要素として考え多くの経験を積んでいくことであろう。
本書は,単なる知識のみならず臨床現場ですぐに役立つことを念頭にスーパー透析ドクター(腎臓内科医+透析専門医+バスキュラーアクセス外科医)前波輝彦先生の指導を得ながら,医師,臨床工学技士によって執筆された。従って,臨床工学技士,看護師のみならず,これから透析医療に関わろうとしている研修医の方々にも大いに役立つものと自負している。
本書のノウハウがより良き経験の積み重ねに役立ち,バスキュラーアクセス・スペシャリストへの登竜門として利用頂ければ幸いである。
2014年7月
独立行政法人 地域医療機能推進機構
東京山手メディカルセンター 臨床工学部
山家敏彦
血液透析患者は年々増加しており,2013年末には31万人を超えた。また,導入患者の33%は75歳以上の後期高齢者であり,維持透析患者の高齢化や透析歴の長期化などが関連して,透析患者の血管病変も顕著となってきている。
このような現状に対応するため,多くの医療スタッフの労務が透析業務に必要となり,同時に透析スタッフに求められる知識や技術も多岐にわたっている。
血液透析を継続するうえで特に重要なのは,バスキュラーアクセス(VA)の穿刺と管理であり,本書ではこの2点に焦点を絞り透析スタッフにわかりやすく解説した。
血液透析を開始するには,まずはVA穿刺である。患者もVAに対する関心が一番で,確実で上手な穿刺を希望している。穿刺といっても,透析患者の血管は硬化,蛇行,さらには脆弱した血管もあり,まさに十人十色である。しかし,どのようなVAであっても臨機応変に対応する穿刺の知識と技術が要求される。
透析継続とともにVAのトラブルが起こると,十分な脱血ができないばかりではなく,再循環などの問題も起こり透析効率が損なわれる。良好なVA維持は,その後の透析治療成績を左右するといっても過言ではない。そのために,透析スタッフは正しいVAの管理方法を学び,異常の早期発見に努める必要がある。そのためにVA修復の基本的な知識を十分に身につけて欲しい。
本書では,長年にわたり透析医療に携わってきた透析専門医として,透析スタッフが知っておくべきVA管理全般にわたる内容を可能な限り本書に盛り込んだ。臨床現場でも大いに役立つものと思う。
読者には本書を熟読していただき,VA穿刺,VA管理の達人になって欲しいと希望する。VAをよく理解して,それを正しく扱うことは患者の幸福につながると確信する。
2014年7月
医療法人 あさお会 あさおクリニック
前波輝彦
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編集の序
血液透析治療を行ううえで必要不可欠な「バスキュラーアクセスへの接続」。臨床工学技士法制定当初は,「接続」という表現で穿刺行為が法的に認められ,保健師助産師看護師法における解釈もこれに追従した。しかし,「法的に行って良いこと」と「行う能力がある」ことは全く別問題であることを最も理解できる例は,「バスキュラーアクセスへの穿刺行為」であろう。患者さんにとっては,失敗することなく安全に穿刺されることが最も重要なのである。
私自身,日々の穿刺行為を何年経験しても不安と緊張から解放されたことは一日たりともない。血液透析治療を受ける患者さんにとって,穿刺が生命を支えていくために欠かせない最も重要な行為であることを思うと,患者さんも透析医療従事者も不安と緊張感をもって穿刺に臨んでいるはずである。
長期にわたる良好なバスキュラーアクセスの維持は,トラブルの予防策や対処の知識,技術の研鑽によって可能であることは,誰もが理解しているものと考える。しかし,「穿刺技術は,多くの経験を積むこと」として実践を優先するあまり,知識を疎かにしては,本末転倒であろう。現代の医療は,常にエビデンスを求める傾向にあるが,臨床現場における個々の患者への手技は,必ずしもエビデンスという客観的な証拠や根拠のみで判断されるものではないと考える。重要なのは,基本原則,機序などの知識とともにエビデンスを実践の一要素として考え多くの経験を積んでいくことであろう。
本書は,単なる知識のみならず臨床現場ですぐに役立つことを念頭にスーパー透析ドクター(腎臓内科医+透析専門医+バスキュラーアクセス外科医)前波輝彦先生の指導を得ながら,医師,臨床工学技士によって執筆された。従って,臨床工学技士,看護師のみならず,これから透析医療に関わろうとしている研修医の方々にも大いに役立つものと自負している。
本書のノウハウがより良き経験の積み重ねに役立ち,バスキュラーアクセス・スペシャリストへの登竜門として利用頂ければ幸いである。
2014年7月
独立行政法人 地域医療機能推進機構
東京山手メディカルセンター 臨床工学部
山家敏彦
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目次
略語一覧
第1章 バスキュラーアクセス(VA)の基礎知識
1 バスキュラーアクセス(VA)とは何か
2 バスキュラーアクセス(VA)作製血管の解剖と生理
3 人工血管(グラフト)
4 自己血管内シャント(AVF)造設術
5 人工血管内シャント(AVG)造設術
6 動脈表在化手術
7 透析用留置カテーテルの実際
8 バスキュラーアクセス(VA)観察方法
第2章 穿刺の準備
1 穿刺の準備
第3章 穿刺から止血までの実際
1 穿刺部の洗浄・消毒
2 視診,聴診,触診
3 シャント血管の特徴と穿刺部位の決定
4 穿刺の実際
5 穿刺困難
6 留置針の固定と血液回路の接続
7 抜針と止血
8 透析用留置カテーテル
第4章 合併症の予防と対処
1 狭窄
2 閉塞
3 バスキュラーアクセス(VA)感染症
4 静脈高血圧
5 スチール症候群
6 シャント瘤
7 血清腫
8 過剰血流シャント
9 アクセス関連疼痛
第5章 バスキュラーアクセスインターベンション治療(VAIVT)
1 PTA用各種カテーテルの構造と機能
2 PTA適応の実際
第6章 バスキュラーアクセス(VA)の日常管理,機能評価
1 日常管理(セルフケア)
2 バスキュラーアクセス(VA)機能評価
第7章 バスキュラーアクセス(VA)なんでもQ&A
1 バスキュラーアクセス(VA)なんでもQ&A その1
2 バスキュラーアクセス(VA)なんでもQ&A その2
第1章 バスキュラーアクセス(VA)の基礎知識
1 バスキュラーアクセス(VA)とは何か
2 バスキュラーアクセス(VA)作製血管の解剖と生理
3 人工血管(グラフト)
4 自己血管内シャント(AVF)造設術
5 人工血管内シャント(AVG)造設術
6 動脈表在化手術
7 透析用留置カテーテルの実際
8 バスキュラーアクセス(VA)観察方法
第2章 穿刺の準備
1 穿刺の準備
第3章 穿刺から止血までの実際
1 穿刺部の洗浄・消毒
2 視診,聴診,触診
3 シャント血管の特徴と穿刺部位の決定
4 穿刺の実際
5 穿刺困難
6 留置針の固定と血液回路の接続
7 抜針と止血
8 透析用留置カテーテル
第4章 合併症の予防と対処
1 狭窄
2 閉塞
3 バスキュラーアクセス(VA)感染症
4 静脈高血圧
5 スチール症候群
6 シャント瘤
7 血清腫
8 過剰血流シャント
9 アクセス関連疼痛
第5章 バスキュラーアクセスインターベンション治療(VAIVT)
1 PTA用各種カテーテルの構造と機能
2 PTA適応の実際
第6章 バスキュラーアクセス(VA)の日常管理,機能評価
1 日常管理(セルフケア)
2 バスキュラーアクセス(VA)機能評価
第7章 バスキュラーアクセス(VA)なんでもQ&A
1 バスキュラーアクセス(VA)なんでもQ&A その1
2 バスキュラーアクセス(VA)なんでもQ&A その2
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透析スタッフ必携の一冊! VA穿刺とVA管理のノウハウを伝授!
血液透析を継続するために重要なVA穿刺とVA管理のノウハウを,豊富な図表を用いたオールカラーの紙面で丁寧に解説。さらに「FROM SPECIALIST」などの囲み記事で,独学では気付かないようなポイントを記載し,プロの視点でコツを伝えている。
「穿刺を基礎から学びたい!」「VAトラブルを防ぎたい!」と思ったらこの一冊。