肩関節手術のすべて
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定価 17,600円(税込) (本体16,000円+税)
- A4判 326ページ オールカラー,イラスト500点, 写真300点
- 2018年5月4日刊行
- ISBN978-4-7583-1377-3
電子版
序文
このたび,『肩関節手術のすべて』が刊行の運びとなった。肩関節疾患の治療は理学療法を中心とした保存療法から手術療法まで多岐にわたるが,本書は敢えて手術療法のみにフォーカスを絞った肩関節専門の手術書である。肩関節手術は,不安定症に対する安定化手術,一次修復可能な腱板断裂に対する修復術,一次修復不能な広範囲腱板断裂に対する手術,変形性肩関節症に対する人工肩関節置換術,上腕骨近位端骨折など肩関節周辺骨折に対する手術,肩鎖関節疾患に対する手術などが柱となるが,本書ではさらに術後感染症と神経麻痺にもフォーカスをあてて解説している。不安定症では鏡視下Bankart法の基本から烏口突起移植術を,腱板手術では基本的な鏡視下手術から上腕二頭筋長頭腱の処置法,広範囲断裂では上方関節包形成術をはじめ,わが国オリジナルのユニークな鏡視下法から筋腱移行術までを詳細に解説している。
一方,2014年4月からわが国にも待望のリバース型人工肩関節が導入され,2017年末までで少なくとも3,000例以上の手術が行われていると推察される。リバース型人工肩関節置換術は,一次修復不能な腱板広範囲断裂やcuff tear arthropathyのほか,上腕骨近端骨折,変形性肩関節症やリウマチ肩にも応用される。本書では,これらの疾患群に対して解剖学的人工肩関節とリバース型人工肩関節の使い分けも含めて,そのアプローチから術式まで詳細に解説している。
さらに,本書の特徴として,東京医科歯科大学臨床解剖学分野の秋田恵一先生と同大運動器機能形態学講座の二村昭元先生のご協力を頂いて,手術内容が理解しやすいようにイラストをふんだんに用いていることと,“Anatomical Key Shot”としてポイントとなる箇所では詳細な解剖のイラストを用いて解説している点が挙げられる。
著者は経験豊富な先生方から気鋭の若手の先生方まで多くの先生方に執筆して頂いた。執筆の労を快く快諾して頂いた著者の先生方にこの場をお借りして御礼を申し上げるとともに,筆の進まない私を我慢強く叱咤督励して頂いたメジカルビュー社の松原かおるさんと矢部涼子さんの両名に深謝と御礼を申し上げる。
本書が,肩関節専門医はもちろん,これから肩関節専門医を目指そうとする若手の先生方,肩関節手術の経験があまりない先生方にとっても,臨床の現場で大いに役立つものと確信している。
2018年4月
船橋整形外科病院スポーツ医学・関節センター長
菅谷啓之
一方,2014年4月からわが国にも待望のリバース型人工肩関節が導入され,2017年末までで少なくとも3,000例以上の手術が行われていると推察される。リバース型人工肩関節置換術は,一次修復不能な腱板広範囲断裂やcuff tear arthropathyのほか,上腕骨近端骨折,変形性肩関節症やリウマチ肩にも応用される。本書では,これらの疾患群に対して解剖学的人工肩関節とリバース型人工肩関節の使い分けも含めて,そのアプローチから術式まで詳細に解説している。
さらに,本書の特徴として,東京医科歯科大学臨床解剖学分野の秋田恵一先生と同大運動器機能形態学講座の二村昭元先生のご協力を頂いて,手術内容が理解しやすいようにイラストをふんだんに用いていることと,“Anatomical Key Shot”としてポイントとなる箇所では詳細な解剖のイラストを用いて解説している点が挙げられる。
著者は経験豊富な先生方から気鋭の若手の先生方まで多くの先生方に執筆して頂いた。執筆の労を快く快諾して頂いた著者の先生方にこの場をお借りして御礼を申し上げるとともに,筆の進まない私を我慢強く叱咤督励して頂いたメジカルビュー社の松原かおるさんと矢部涼子さんの両名に深謝と御礼を申し上げる。
本書が,肩関節専門医はもちろん,これから肩関節専門医を目指そうとする若手の先生方,肩関節手術の経験があまりない先生方にとっても,臨床の現場で大いに役立つものと確信している。
2018年4月
船橋整形外科病院スポーツ医学・関節センター長
菅谷啓之
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目次
I 不安定症
鏡視下soft tissue Bankart法 菊川和彦
鏡視下Bony Bankart法 菅谷啓之
直視下烏口突起移行術(Latarjet法) 水野直子
鏡視下烏口突起移行術(Bristow-Bankart法) 鈴木一秀
鏡視下腸骨移植術 菅谷啓之
肩関節後方不安定症に対する鏡視下手術 高橋憲正
MDIおよび非外傷性肩不安定症に対する鏡視下手術 高橋憲正
II 一次修復可能な腱板断裂
鏡視下後上方腱板修復術 小林尚史
鏡視下前上方腱板修復術 永澤雷太
腱板断裂におけるdelaminationの解剖学的修復法
-関節包と棘下筋に注目した修復法- 望月智之ほか
上腕二頭筋長頭腱の切離・固定術 高橋憲正
III 一次修復不能な腱板広範囲断裂
鏡視下大腿筋膜パッチ法 森 大祐
鏡視下肩上方関節包再建術 三幡輝久
Debeyre-Patte変法併用鏡視下腱板修復術 平田正純
鏡視下広背筋移行術 山門浩太郎
大胸筋移行術 山門浩太郎
IV 肩鎖関節疾患,ほか
変形性肩鎖関節症に対する鏡視下Mumford法 中根康博
肩鎖関節脱臼に対する鏡視下ZipTight法 渡海守人ほか
難治性肩関節拘縮に対する鏡視下関節包全周性切離術 山本宗一郎
V 変形性肩関節症
人工肩関節に必要なアプローチ 二村昭元
変形性肩関節症に対する解剖学的人工肩関節全置換術 山口 浩ほか
腱板断裂性関節症(CTA)に対するリバース型人工肩関節置換術 笹沼秀幸
VI リバース型人工肩関節置換術の応用
L’Episcopo法を併用したリバース型人工肩関節置換術 菅谷啓之
リウマチ肩に対するリバース型人工肩関節全置換術 池上博泰
急性期・陳旧性上腕骨近位端骨折に対する上方アプローチを用いたリバース型人工肩関節置換術 菅谷啓之
人工肩関節全置換術のインプラント周囲骨折 松村 昇
VII 感染症
鏡視下手術術後感染および注射後感染に対する対応法 安井謙二
人工肩関節感染に対する対応法 山本敦史
VIII 神経麻痺
肩甲上神経麻痺に対する鏡視下横靱帯剥離術 田﨑 篤
鏡視下手術における腋窩神経麻痺のリスクとその対策 濱田博成ほか
IX 肩関節周辺骨折
N分類2-part以上の上腕骨近位端骨折(成人例)に対する骨接合術 高橋正明
上腕骨近位端骨折に対する人工骨頭置換術 落合信靖
鏡視下soft tissue Bankart法 菊川和彦
鏡視下Bony Bankart法 菅谷啓之
直視下烏口突起移行術(Latarjet法) 水野直子
鏡視下烏口突起移行術(Bristow-Bankart法) 鈴木一秀
鏡視下腸骨移植術 菅谷啓之
肩関節後方不安定症に対する鏡視下手術 高橋憲正
MDIおよび非外傷性肩不安定症に対する鏡視下手術 高橋憲正
II 一次修復可能な腱板断裂
鏡視下後上方腱板修復術 小林尚史
鏡視下前上方腱板修復術 永澤雷太
腱板断裂におけるdelaminationの解剖学的修復法
-関節包と棘下筋に注目した修復法- 望月智之ほか
上腕二頭筋長頭腱の切離・固定術 高橋憲正
III 一次修復不能な腱板広範囲断裂
鏡視下大腿筋膜パッチ法 森 大祐
鏡視下肩上方関節包再建術 三幡輝久
Debeyre-Patte変法併用鏡視下腱板修復術 平田正純
鏡視下広背筋移行術 山門浩太郎
大胸筋移行術 山門浩太郎
IV 肩鎖関節疾患,ほか
変形性肩鎖関節症に対する鏡視下Mumford法 中根康博
肩鎖関節脱臼に対する鏡視下ZipTight法 渡海守人ほか
難治性肩関節拘縮に対する鏡視下関節包全周性切離術 山本宗一郎
V 変形性肩関節症
人工肩関節に必要なアプローチ 二村昭元
変形性肩関節症に対する解剖学的人工肩関節全置換術 山口 浩ほか
腱板断裂性関節症(CTA)に対するリバース型人工肩関節置換術 笹沼秀幸
VI リバース型人工肩関節置換術の応用
L’Episcopo法を併用したリバース型人工肩関節置換術 菅谷啓之
リウマチ肩に対するリバース型人工肩関節全置換術 池上博泰
急性期・陳旧性上腕骨近位端骨折に対する上方アプローチを用いたリバース型人工肩関節置換術 菅谷啓之
人工肩関節全置換術のインプラント周囲骨折 松村 昇
VII 感染症
鏡視下手術術後感染および注射後感染に対する対応法 安井謙二
人工肩関節感染に対する対応法 山本敦史
VIII 神経麻痺
肩甲上神経麻痺に対する鏡視下横靱帯剥離術 田﨑 篤
鏡視下手術における腋窩神経麻痺のリスクとその対策 濱田博成ほか
IX 肩関節周辺骨折
N分類2-part以上の上腕骨近位端骨折(成人例)に対する骨接合術 高橋正明
上腕骨近位端骨折に対する人工骨頭置換術 落合信靖
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肩のすべてがここにある
鏡視下手術を中心とした肩関節の主要疾患および外傷手術を網羅し,幅広くテクニックを紹介した,肩関節の[すべて]が学べる1冊。肩関節不安定症や腱板断裂から,変形性肩関節症については人工関節(TSA)に必要な解剖からリバース型人工関節(RSA)の応用まで,また,感染症や神経麻痺,リウマチ,肩関節周辺骨折までを取り上げている。特にRSAについては章を設け,これを日本に導入し,RSAを知り尽くした菅谷先生が,豊富なイラストで懇切丁寧に解説。また,本書では一般的な解剖ではなく,疾患ごとにその手術に必要な解剖を「Anatomical Key Shot」としてイラストで示し,解剖医がわかりやすく解説。手術に必要な正しい解剖が理解できる。また,直視下手術は,写真とイラストを併記することで,リアリティとテクニックの両方を学べる構成となっている。