診療放射線技師 ブルー・ノート 
基礎編

5th edition

診療放射線技師 ブルー・ノート 基礎編

■編集 福士 政広

定価 7,700円(税込) (本体7,000円+税)
  • B5判  612ページ  2色,イラスト600点
  • 2024年9月16日刊行
  • ISBN978-4-7583-2254-6

長年愛され続ける国試対策本の王道! 書き込んで完成させる,愛着の湧く1冊

「学生さんが各自の学習に合わせて「+α」の知識を書き込み,独自の講義ノートを作成できる」という基本コンセプトで,日々の学習を積み重ねながら自ずと国家試験に十分対応できる知識が身に付く書籍。本書『ブルー・ノート]は診療放射線技師(RT)養成校の学生が共通して学ぶ「基礎分野」を網羅し,各項目ごとに平易にかつポイントのみを記述し,図表を多用している。
改訂にあたっては,①新カリキュラムおよび令和7年版国家試験出題基準に準拠し,②タスク・シフト/シェア関連項目を反映(主に医療安全管理学の項目の新設),③旧出題基準の内容で新基準からは削除された項目を削除。
講義用のサブテキストから,学内試験,国試まで対応するRT養成校学生必携の一冊として,『イエロー・ノート』とセットで活用できる,国試対策の強い味方!


序文

編集の序

 放射線の歴史は,1895年にドイツのW.C.レントゲンがX線を発見し,1896年にフランスのA.H.ベクレルが放射性物質を発見したことで始まった。医学と放射線のかかわりはW.C.レントゲンがX線を発見した翌年から始まり,すでに120年を優に経過している。
 医学に極めて重要でかかわり深い放射線も,その取り扱い,特に医療分野での人体への放射線の照射には専門的で十分な知識と技術が必要不可欠である。そこで,わが国では1951(昭和26)年6月11日に「診療エックス線技師法」が制定され,放射線を人体に照射することを業とする者として規定されることとなった。その後,放射線機器・技術の急速な発展により高度な医療技術の提供が要求され,X線に限らず,高エネルギー放射線,粒子線および放射性同位元素など放射線全般にわたる人体への照射,さらにはMRI,超音波など非電離放射線を利用した画像診断装置等の使用を可能とした法律の改正が行われ,現在は「診療放射線技師法」と改められている。この法律の制定年は,医療分野で働く医師・歯科医師,看護師等に続くものであり,医療職種のなかでは長い歴史をもつものである。
 この間,学校・養成所教育カリキュラムも幾度か改正されている。最近では2022(令和4)年4月から,診療放射線技師学校養成所指定規則の一部改正に基づく新カリキュラムが適用された。2021(令和3)年9月30日に改正された「診療放射線技師養成所指導ガイドライン」では,「実践臨床画像学」の新設など,いくつかの変更があった。これらを反映した2025(令和7)年版出題基準が発表され,2025年2月の国家試験から適応される。
 また,診療放射線技師法改正が2021(令和3)年5月28日公布,10月1日施行となり,診療放射線技師による「静脈路確保」などの新業務が追加となった。2022年4月入学の学生から適応となっている。
 2001年4月より施行された教育カリキュラムを実践している有志が中心となり,ガイドラインの内容を十分に網羅する『ブルー/イエロー・ノート』を編纂し,出版した。2006年に『2nd edition』,2012年に『3rd edition』,2017年に『4th edition』を出版,その後,画像検査機器の進歩,法律改正,現状に合わない古い記述や読者からの貴重なご意見を反映し,今回『5th edition』を刊行する運びとなった。
 これまでと同様に本書の編纂は診療放射線技師教育に携わっている中堅の教育者を中心に行われ,編集方針もほぼ同一方式を採用した。例えば,「BROWSE」として各単元の重要項目を箇条書きにし,本文はできるだけ要点のみとし,「用語ア・ラ・カルト」の充実および「注意」をそのページ内に配置して,できるだけ1〜2ページ内で完結するようにした。また,「補足」「One Point Advice」を配置することにより学習のポイントや学習のアドバイスを示した点,さらには写真,イラストを積極的に追加し,視覚的に理解できるよう工夫を凝らした。
 『ブルー・ノート』は,国家試験科目の「基礎医学大要」「放射線生物学(放射線衛生学を含む)」「放射線物理学」「医用工学」「放射線計測学」「放射化学」を網羅した内容となっている。教育カリキュラムでは「基礎医学大要」は13単位,「放射線生物学(放射線衛生学を含む)」「放射線物理学」「医用工学」「放射線計測学」「放射化学」は合計18単位である。これらは基礎となる科目でありその重要性は高い。ただし,本書においては各科目のページ数はガイドラインの小項目数に比例した割合を採用した。
 本書が大学や専門学校において診療放射線技師を志す学生はもちろんのこと,すでに病院,診療所等で診療放射線業務に従事している診療放射線技師や医療技術者にとって医学全般や基礎放射線科学の参考書として役立つことを期待している。
 発刊にあたり,本書編集にご協力下さったメジカルビュー社のスタッフの方々に深く感謝致します。

2024年7月
東京都立大学 福士政広
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目次

1 基礎医学大要
【佐藤英介,只野喜一,富田哲也】
◉1 ヒトのからだ
◉2 骨の種類・数・働き
◉3 骨の組織学
◉4 頭蓋骨
◉5 椎骨の構造と連結
◉6 脊柱
◉7 胸郭
◉8 上肢
◉9 下肢
◉10 骨盤
◉11 関節の構造と種類
◉12 筋肉
◉13 呼吸器系
◉14 鼻腔と副鼻腔
◉15 咽頭と喉頭
◉16 気管と気管支
◉17 肺
◉18 胸膜と縦隔
◉19 呼吸運動
◉20 消化器系
◉21 栄養素・代謝・消化・吸収
◉22 唾液と唾液腺
◉23 食道
◉24 胃
◉25 小腸
◉26 大腸
◉27 肝臓
◉28 胆囊
◉29 膵臓
◉30 腹膜と腹膜後器官
◉31 循環器系
◉32 心臓―解剖学
◉33 心臓―生理学
◉34 血管
◉35 体液について
◉36 血液凝固
◉37 血液の循環
◉38 体循環の動脈
◉39 体循環の静脈
◉40 門脈系
◉41 リンパ系
◉42 Waldeyer扁桃輪・脾臓・胸腺
◉43 泌尿器系
◉44 腎臓
◉45 尿について
◉46 男性生殖器系
◉47 女性生殖器系
◉48 ホルモンと内分泌腺
◉49 ホルモンの作用
◉50 血糖量の調節
◉51 神経系の構成
◉52 神経細胞
◉53 脳―辞書代わりの頁
◉54 大脳半球
◉55 脊髄
◉56 脳の機能について
◉57 髄膜・脳室・脳脊髄液
◉58 自律神経
◉59 感覚器系
◉60 視覚器
◉61 平衡聴覚器
◉62 公衆衛生学
◉63 腫瘍
◉64 感染症
◉65 薬害
◉66 医療制度

2 放射線生物学
【西澤 徹】
◉1 直接作用と間接作用
◉2 DNAの損傷と修復
◉3 細胞周期と放射線感受性
◉4 分裂遅延と細胞死
◉5 線量—生存率曲線と標的理論
◉6 亜致死損傷(SLD)回復と潜在的致死損傷
◉7 突然変異
◉8 直線―2 次曲線モデル(LQモデル)
◉9 ベルゴニー—トリボンドーの法則と臓器(組織)の放射線感受性
◉10 造血組織の放射線障害と血球の変化
◉11 生殖腺の放射線障害
◉12 消化管の放射線障害
◉13 皮膚の放射線障害
◉14 甲状腺の放射線障害
◉15 眼の放射線障害
◉16 その他の組織・器官の放射線障害
◉17 全身被ばくによる急性障害
◉18 確定的影響と確率的影響
◉19 晩期障害
◉20 放射線による発癌
◉21 放射線被ばくによる遺伝的影響
◉22 胎内被ばく
◉23 内部被ばく
◉24 放射線感受性の修飾
◉25 温熱療法(ハイパーサーミア)
◉26 放射線治療領域の放射線生物学

3 放射線物理学
【布施 拓】
◉1 放射線の定義と分類
◉2 特殊相対論的力学の基本事項
◉3 原子物理の基礎1
◉4 原子物理の基礎2
◉5 原子核物理の基礎
◉6 放射性壊変
◉7 X線の発生
◉8 光子と物質との相互作用1
◉9 光子と物質との相互作用2
◉10 光子と物質との相互作用3
◉11 荷電粒子線と物質との相互作用
◉12 中性子線
◉13 超音波
◉14 核磁気共鳴

4 医用工学
【小倉 泉】
◉1 電荷と電界
◉2 電気力線と電位,電界中の電子の運動
◉3 静電誘導と静電容量
◉4 コンデンサの接続と電圧分布
◉5 磁石と磁気力
◉6 電流による磁界の発生
◉7 電磁力,電流力,ローレンツ力
◉8 電磁誘導
◉9 電磁波
◉10 オームの法則と電気抵抗(抵抗率,温度係数)
◉11 抵抗の直列と並列(分圧,分流)
◉12 ブリッジ接続と平衡条件,キルヒホッフの法則
◉13 電源の内部抵抗と直並列接続
◉14 (消費)電力と発生エネルギー
◉15 コンデンサの充放電(過渡現象)
◉16 正弦波交流の発生,波形の評価
◉17 正弦波交流の性質
◉18 正弦波交流の複素数表示
◉19 RL,RCの直列回路
◉20 アドミタンスとRL,RCの並列回路
◉21 交流回路の電力
◉22 直列共振と並列共振
◉23 真性半導体と不純物半導体
◉24 pn接合と整流用ダイオード
◉25 バイポーラトランジスタとFET(電界効果トランジスタ)
◉26 サイリスタ,特殊半導体素子
◉27 光素子
◉28 二極真空管
◉29 増幅器の諸特性
◉30 微分回路と積分回路(フィルタ回路)
◉31 オペレーションアンプの基本特性
◉32 オペレーションアンプ回路の計算法
◉33 オペレーションアンプの演算回路
◉34 パルス回路
◉35 D—A 変換,A—D 変換
◉36 変圧器
◉37 直流電源回路
◉38 インバータ装置の基本回路と動作
◉39 医用機器の安全

5 放射線計測学
【細田正洋】
◉1 放射線の量と単位
【大谷浩樹】
◉2 吸収線量の測定
◉3 気体の電離を利用した検出器
◉4 電離箱線量計
◉5 比例計数管
◉6 GM計数管
◉7 半導体検出器
【細田正洋】
◉8 シンチレーション検出器
◉9 蛍光ガラス線量計
◉10 熱ルミネセンス線量計
◉11 光刺激ルミネセンス線量計
◉12 化学線量計
◉13 放射能の絶対測定と相対測定
◉14 X線の半価層と実効エネルギーの測定
◉15 γ線のエネルギー測定
◉16 α線およびβ線のエネルギー測定
◉17 中性子の測定
◉18 測定器のまとめ

6 放射化学
【小川雅之,福士政広】
◉1 元素
◉2 核種
◉3 放射性壊変による原子番号と質量数の変化
◉4 壊変図式
◉5 放射能,壊変速度
◉6 放射性核種の放射能と質量との関係
◉7 放射平衡・ミルキング
◉8 ジェネレータ
◉9 放射能に関係する単位
◉10 天然放射性核種と人工放射性核種
◉11 核反応と放射性核種の製法
◉12 担体
◉13 放射性核種の無担体分離法1:共沈法
◉14 放射性核種の無担体分離法2:溶媒抽出法
◉15 放射性核種の無担体分離法3:イオン交換法
◉16 放射性核種の無担体分離法4:クロマトグラフィ
◉17 放射性核種の無担体分離法5:その他の分離法
◉18 オートラジオグラフィ1:オートラジオグラフィの種類と試料作製法
◉19 オートラジオグラフィ2:感光乳剤と解像度
◉20 標識化合物1:合成法
◉21 標識化合物2:標識率の測定
◉22 標識化合物3:標識化合物の分解様式と
◉23 放射化学的純度
◉24 放射能利用化学分析法1:放射性核種のトレーサー利用と放射能利用化学分析法の概略
◉25 放射能利用化学分析法2:放射分析
◉26 放射能利用化学分析法3:放射化分析
◉27 放射能利用化学分析法4:同位体希釈分析,放射年代測定
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