診療放射線技師 スリム・ベーシック
放射線生物学
改訂第2版
定価 4,950円(税込) (本体4,500円+税)
- B5判 164ページ 2色(一部カラー),イラスト130点
- 2021年3月1日刊行
- ISBN978-4-7583-2025-2
電子版
序文
編集の序
2009年3月に講義用テキスト『診療放射線技師 スリム・ベーシック』シリーズの1冊として本書『放射線生物学』の初版が刊行されてから,早いもので約12年が経過しました。その間に国家試験出題基準の改定もあり,また多くの養成校でご活用いただく中で,学生がより学びやすく,かつ教員が講義でより使いやすくなるようにとの観点から,改訂第2版を刊行する運びとなりました。
本シリーズの特徴は,初版に引き続き,先ずはとっつきやすく,楽しく学べることを基本に据え,学生の心を引きつけるための工夫として冒頭に「Introduction」を設け,それを一読することにより「これからどのようなことを学ぶのか」,また「本書の全体像を明確に把握できる」ように楽しく読み通せる内容を全巻にそれぞれ盛り込みました。
各論では,「基本・原理」をしっかりと理解できるようストーリー性を持たせた構成とし,ビジュアル感覚豊かな学生や若手教員に敬遠されないよう,スリムだけれど内容は充実した講義用テキストとするべく心掛けました。学生にとって重要な「どうすれば短時間に効率良く確実に理解できるか」を追求するため,図・表・イラストや例題,欄外の解説を駆使し,また学習のモチベーションを維持するために「ここで学んだことが実際の臨床現場にどうつながっていくのか」をイメージできる記述も適宜盛り込みました。巻頭には「学習到達目標」を,各章末には「おさらい」を配置し,学生側も教員側も学習状況を把握しやすくしています。
本書『放射線生物学』の改訂に当たっては,全体の約70%が刷新され,初版刊行後にICRPから発表された声明等に基づき,内容をアップデートしております。また,最新の国試出題基準に基づき,項目や記載内容を追加するとともに,例題もさらに充実化いたしました。
本書の不備な点については,読者の皆様のご教示をお願いできれば幸甚であります。
発刊に当たり,本書の編集にご協力いただいたメジカルビュー社のスタッフの方々に感謝致します。
2021年1月
東京都立大学
福士政広
2009年3月に講義用テキスト『診療放射線技師 スリム・ベーシック』シリーズの1冊として本書『放射線生物学』の初版が刊行されてから,早いもので約12年が経過しました。その間に国家試験出題基準の改定もあり,また多くの養成校でご活用いただく中で,学生がより学びやすく,かつ教員が講義でより使いやすくなるようにとの観点から,改訂第2版を刊行する運びとなりました。
本シリーズの特徴は,初版に引き続き,先ずはとっつきやすく,楽しく学べることを基本に据え,学生の心を引きつけるための工夫として冒頭に「Introduction」を設け,それを一読することにより「これからどのようなことを学ぶのか」,また「本書の全体像を明確に把握できる」ように楽しく読み通せる内容を全巻にそれぞれ盛り込みました。
各論では,「基本・原理」をしっかりと理解できるようストーリー性を持たせた構成とし,ビジュアル感覚豊かな学生や若手教員に敬遠されないよう,スリムだけれど内容は充実した講義用テキストとするべく心掛けました。学生にとって重要な「どうすれば短時間に効率良く確実に理解できるか」を追求するため,図・表・イラストや例題,欄外の解説を駆使し,また学習のモチベーションを維持するために「ここで学んだことが実際の臨床現場にどうつながっていくのか」をイメージできる記述も適宜盛り込みました。巻頭には「学習到達目標」を,各章末には「おさらい」を配置し,学生側も教員側も学習状況を把握しやすくしています。
本書『放射線生物学』の改訂に当たっては,全体の約70%が刷新され,初版刊行後にICRPから発表された声明等に基づき,内容をアップデートしております。また,最新の国試出題基準に基づき,項目や記載内容を追加するとともに,例題もさらに充実化いたしました。
本書の不備な点については,読者の皆様のご教示をお願いできれば幸甚であります。
発刊に当たり,本書の編集にご協力いただいたメジカルビュー社のスタッフの方々に感謝致します。
2021年1月
東京都立大学
福士政広
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目次
学習到達目標
用語解説・MEMO一覧
0章 Introduction [島田義也]
1. 放射線と生物との関係
1 放射線とのかかわり
2 放射線の単位
3 放射線が及ぼす人体への影響
4 放射線障害の2分類と放射線作用の3過程
1章 放射線の細胞に対する作用 [坂野康昌,今岡達彦]
1. 物理学的過程
1 物理学的過程と物質,エネルギー
2 電離と励起
3 放射線の分類
4 電離放射線と非電離放射線
5 電離放射線・紫外線と物質の相互作用
6 放射線の透過力
7 電離作用と生物作用
8 いろいろな線量の概念と単位
2. 化学的過程
1 化学的過程とラジカル,活性酸素種
2 水の放射線分解
3. 生化学的過程
1 生体高分子への影響
2 直接作用と間接作用
3 ラジカルを増減させる物質
4 高LET放射線と低LET放射線の作用様式
4. 生物学的過程(DNAへの影響)
1 生物学的過程とDNAへの影響
2 DNAと遺伝情報
3 放射線によるDNA損傷
4 紫外線によるDNA損傷
5 DNA損傷の修復
6 非相同末端結合修復と相同組換え修復
5. 生物学的過程(細胞死)
1 細胞の放射線感受性
2 細胞周期
3 増殖死と間期死
4 アポトーシスとネクローシス
5 細胞の生存率曲線
6 放射線高感受性細胞の特徴
6. 生物学的過程(突然変異)
1 遺伝子突然変異
2 突然変異によるDNA塩基配列の変化
3 突然変異とコドンの関係
4 染色体突然変異(染色体異常)
5 染色体異常や突然変異の線量効果関係
2章 放射線の人体への影響 [島田義也]
1. 組織・臓器への影響①
1 はじめに
2 全身被ばくによる急性放射線死
2. 組織・臓器への影響②
1 はじめに
2 造血系への影響
3 生殖腺への障害
4 消化管への影響
5 皮膚障害
6 水晶体障害
7 肺障害
8 循環器系障害
9 神経・脳障害
3. 発がん影響
1 はじめに
2 発がんのメカニズム
3 放射線発がんの歴史
4 白血病と固形がん
5 内部被ばくによる発がん
4. 遺伝的影響
1 遺伝性疾患の分類
2 放射線による遺伝的影響
3 がん発生の継世代影響
5. 確定的影響と確率的影響
1 はじめに
2 確定的影響と確率的影響
6. 胎児・小児期被ばくと妊婦の被ばく
1 胎児
2 小児
3 妊婦
7. 線量限度
診断参考レベル
3章 放射線の生物学的効果と放射線治療 [坂野康昌,高畠 賢]
1. 正常組織と腫瘍の放射線感受性
1 放射線感受性
2 腫瘍
3 腫瘍の病理
4 腫瘍の組織型と放射線感受性
5 腫瘍の病期分類
6 p53遺伝子
7 抗悪性腫瘍薬
2. 生物学的効果の修飾
1 線質効果
2 LETとRBE
3 細胞周期
4 細胞周期と放射線感受性
5 放射線細胞障害からの回復
6 分割照射とSLD回復
7 多分割照射と低線量率照射(逆線量率効果)
8 時間的線量配分
9 SLD回復と放射線の線質
10 PLDの回復
11 PLD回復と放射線の線質
3. 分割照射と4R
1 分割照射に深く関係するファクター(4R)
2 回復(recovery),修復(repair)
3 再酸素化(reoxygenation)
4 再分布,同調(redistribution)
5 再生(regeneration),再増殖(repopulation)
6 放射線照射効果を修飾する因子
7 放射線の種類(線質)
8 酸素効果
9 LETとRBE,OERの関係
10 酸素効果と放射線治療
11 放射線増感剤
12 放射線防護剤
13 温熱療法(ハイパーサーミア)
用語解説・MEMO一覧
0章 Introduction [島田義也]
1. 放射線と生物との関係
1 放射線とのかかわり
2 放射線の単位
3 放射線が及ぼす人体への影響
4 放射線障害の2分類と放射線作用の3過程
1章 放射線の細胞に対する作用 [坂野康昌,今岡達彦]
1. 物理学的過程
1 物理学的過程と物質,エネルギー
2 電離と励起
3 放射線の分類
4 電離放射線と非電離放射線
5 電離放射線・紫外線と物質の相互作用
6 放射線の透過力
7 電離作用と生物作用
8 いろいろな線量の概念と単位
2. 化学的過程
1 化学的過程とラジカル,活性酸素種
2 水の放射線分解
3. 生化学的過程
1 生体高分子への影響
2 直接作用と間接作用
3 ラジカルを増減させる物質
4 高LET放射線と低LET放射線の作用様式
4. 生物学的過程(DNAへの影響)
1 生物学的過程とDNAへの影響
2 DNAと遺伝情報
3 放射線によるDNA損傷
4 紫外線によるDNA損傷
5 DNA損傷の修復
6 非相同末端結合修復と相同組換え修復
5. 生物学的過程(細胞死)
1 細胞の放射線感受性
2 細胞周期
3 増殖死と間期死
4 アポトーシスとネクローシス
5 細胞の生存率曲線
6 放射線高感受性細胞の特徴
6. 生物学的過程(突然変異)
1 遺伝子突然変異
2 突然変異によるDNA塩基配列の変化
3 突然変異とコドンの関係
4 染色体突然変異(染色体異常)
5 染色体異常や突然変異の線量効果関係
2章 放射線の人体への影響 [島田義也]
1. 組織・臓器への影響①
1 はじめに
2 全身被ばくによる急性放射線死
2. 組織・臓器への影響②
1 はじめに
2 造血系への影響
3 生殖腺への障害
4 消化管への影響
5 皮膚障害
6 水晶体障害
7 肺障害
8 循環器系障害
9 神経・脳障害
3. 発がん影響
1 はじめに
2 発がんのメカニズム
3 放射線発がんの歴史
4 白血病と固形がん
5 内部被ばくによる発がん
4. 遺伝的影響
1 遺伝性疾患の分類
2 放射線による遺伝的影響
3 がん発生の継世代影響
5. 確定的影響と確率的影響
1 はじめに
2 確定的影響と確率的影響
6. 胎児・小児期被ばくと妊婦の被ばく
1 胎児
2 小児
3 妊婦
7. 線量限度
診断参考レベル
3章 放射線の生物学的効果と放射線治療 [坂野康昌,高畠 賢]
1. 正常組織と腫瘍の放射線感受性
1 放射線感受性
2 腫瘍
3 腫瘍の病理
4 腫瘍の組織型と放射線感受性
5 腫瘍の病期分類
6 p53遺伝子
7 抗悪性腫瘍薬
2. 生物学的効果の修飾
1 線質効果
2 LETとRBE
3 細胞周期
4 細胞周期と放射線感受性
5 放射線細胞障害からの回復
6 分割照射とSLD回復
7 多分割照射と低線量率照射(逆線量率効果)
8 時間的線量配分
9 SLD回復と放射線の線質
10 PLDの回復
11 PLD回復と放射線の線質
3. 分割照射と4R
1 分割照射に深く関係するファクター(4R)
2 回復(recovery),修復(repair)
3 再酸素化(reoxygenation)
4 再分布,同調(redistribution)
5 再生(regeneration),再増殖(repopulation)
6 放射線照射効果を修飾する因子
7 放射線の種類(線質)
8 酸素効果
9 LETとRBE,OERの関係
10 酸素効果と放射線治療
11 放射線増感剤
12 放射線防護剤
13 温熱療法(ハイパーサーミア)
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解説や例題を充実させた“教えやすく,学びやすい”テキスト
専門基礎科目「放射線生物学」の基礎・原理についてしっかりと理解できるようストーリー性をもたせた内容構成で,巻頭の「学習到達目標」と項目の最後にある「おさらい」で講義や自己学習の状況を把握できるので,1つ1つ確実に理解しながら読み進められる“教えやすく,学びやすい”テキスト。
改訂にあたっては全体の約8割を刷新。ICRP(国際放射線防護委員会)から発表された声明(放射線に対する組織反応など)に基づき内容を反映させ,また2020年版国家試験出題基準に基づいて記述の追加や修正を行うとともに,授業でより使いやすい1冊となるよう解説や例題を充実させた。