診療放射線技師 スリム・ベーシック
放射線物理学
改訂第2版
定価 5,280円(税込) (本体4,800円+税)
- B5判 368ページ 2色,イラスト290点
- 2018年9月28日刊行
- ISBN978-4-7583-1915-7
電子版
序文
改訂第2版 編集の序
2009年10月に講義用テキスト『診療放射線技師 スリム・ベーシック』シリーズの1冊として本書『放射線物理学』の初版が刊行されてから,早いもので8年以上が経過しました。その間に国家試験出題基準の改定もあり,また多くの養成校でご活用いただく中で,学生がより学びやすく,かつ教員が講義でより使いやすくなるようにとの観点から,改訂第2版を刊行する運びとなりました。
本シリーズの特徴は,初版に引き続き,先ずはとっつきやすく,楽しく学べることを基本に据え,学生の心を引きつけるための工夫として冒頭に「Introduction」を設け,それを一読することにより「これからどのようなことを学ぶのか」,また「本書の全体像を明確に把握できる」ように楽しく読み通せる内容を全巻にそれぞれ盛り込みました。
各論では,「基本・原理」をしっかりと理解できるようストーリー性を持たせた構成とし,ビジュアル感覚豊かな学生や若手教員に敬遠されないよう,スリムだけれど内容は充実した講義用テキストとするべく心掛けてあります。学生にとって重要な「どうすれば短時間に効率良く確実に理解できるか」を追求するため,図・表・イラストや例題,欄外の解説を駆使し,また学習のモチベーションを維持するために「ここで学んだことが実際の臨床現場にどうつながっていくのか」をイメージできる記述も適宜盛り込みました。巻頭には「学習到達目標」を,各章末には「おさらい」を配置し,学生側も教員側も学習状況を把握しやすくしています。
本書『放射線物理学』の改訂に当たっては,平成32年版国家試験出題基準に基づき加筆修正するとともに,臨床に出てからどのように役立つかをイメージできるよう,グラフや機器の写真などを適宜追加しました。BNCT(Boron Neutron Capture Therapy)といった最近重要になってきた事項についても加筆修正し,例題もさらに充実しました。
本書の不備な点については,読者の皆様のご教示をお願いできれば幸甚であります。
発刊に当たり,本書の編集にご協力いただいたメジカルビュー社のスタッフの方々に感謝致します。
2018年8月
首都大学東京 福士政広
2009年10月に講義用テキスト『診療放射線技師 スリム・ベーシック』シリーズの1冊として本書『放射線物理学』の初版が刊行されてから,早いもので8年以上が経過しました。その間に国家試験出題基準の改定もあり,また多くの養成校でご活用いただく中で,学生がより学びやすく,かつ教員が講義でより使いやすくなるようにとの観点から,改訂第2版を刊行する運びとなりました。
本シリーズの特徴は,初版に引き続き,先ずはとっつきやすく,楽しく学べることを基本に据え,学生の心を引きつけるための工夫として冒頭に「Introduction」を設け,それを一読することにより「これからどのようなことを学ぶのか」,また「本書の全体像を明確に把握できる」ように楽しく読み通せる内容を全巻にそれぞれ盛り込みました。
各論では,「基本・原理」をしっかりと理解できるようストーリー性を持たせた構成とし,ビジュアル感覚豊かな学生や若手教員に敬遠されないよう,スリムだけれど内容は充実した講義用テキストとするべく心掛けてあります。学生にとって重要な「どうすれば短時間に効率良く確実に理解できるか」を追求するため,図・表・イラストや例題,欄外の解説を駆使し,また学習のモチベーションを維持するために「ここで学んだことが実際の臨床現場にどうつながっていくのか」をイメージできる記述も適宜盛り込みました。巻頭には「学習到達目標」を,各章末には「おさらい」を配置し,学生側も教員側も学習状況を把握しやすくしています。
本書『放射線物理学』の改訂に当たっては,平成32年版国家試験出題基準に基づき加筆修正するとともに,臨床に出てからどのように役立つかをイメージできるよう,グラフや機器の写真などを適宜追加しました。BNCT(Boron Neutron Capture Therapy)といった最近重要になってきた事項についても加筆修正し,例題もさらに充実しました。
本書の不備な点については,読者の皆様のご教示をお願いできれば幸甚であります。
発刊に当たり,本書の編集にご協力いただいたメジカルビュー社のスタッフの方々に感謝致します。
2018年8月
首都大学東京 福士政広
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目次
0章 Introduction [加藤 洋]
1.放射線物理序論
1 放射線診断
2 超音波および磁気共鳴による画像診断
3 放射線治療
4 医療を支える現代物理学
1章 放射線の基礎 [山内浩司]
1.放射線の定義と種類
1 放射線の本体
2 放射線の分類と特別な名称
2.特殊相対性理論
1 ニュートンの運動法則とガリレイ変換
2 光速不変がもたらすこと
3 ローレンツ変換とローレンツ逆変換
4 運動量,運動方程式,エネルギー,質量
3.放射線とは何か
1 光
2 放射線を特徴づけるもの
4.電離放射線
1 電離と励起
2 電離放射線の種類
5.電離放射線の発生源と種類
1 電離放射線を発生する装置
2 放射性同位体
3 宇宙からの電離放射線
4 核反応
➡ おさらい
2章 原子物理 [山内浩司]
1.電子の粒子性と波動性
1 電子の発見
2 ド・ブロイ波
3 波束の群速度
4 不確定性原理
2.原子スペクトルと原子模型
1 水素原子のスペクトル
2 原子核の発見
3 古典物理における角運動量
4 ボーアの量子条件と原子模型
5 ド・ブロイ波によるボーアの量子条件の導出
3.水素原子のエネルギー準位
1 エネルギー準位と量子数①
2 ボーアの量子条件の一般化
3 エネルギー準位の精密化
4 遷移
4.原子の構造
1 エネルギー準位と量子数②(磁気量子数と方位量子数)
2 エネルギー準位と量子数③(スピンと全角運動量)
3 パウリの原理と軌道電子の配置
➡ おさらい
3章 原子核物理 [加藤 洋]
1.原子核の基本性質
1 原子核の表し方
2 原子核の形
3 原子核の大きさ
4 原子核の質量とエネルギー
5 質量欠損と結合エネルギー
6 比質量欠損,質量偏差,比質量偏差
7 原子核の安定性
8 Q値および閾値
9 核力
10 陽子と中性子の入れ替わり
11 π中間子
12 核スピンと核磁気モーメント
13 原子核の角運動量と核磁気モーメント
14 核磁気共鳴
15 素粒子
16 統計およびパリティ
2.壊変
1 γ放射
2 内部転換
3 α壊変
4 β壊変
5 自発核分裂
6 核の壊変と放射能
7 半減期,平均寿命
8 分岐壊変
9 逐次壊変
10 放射平衡
11 メスバウアー効果
3.核反応
1 核反応の表示
2 核反応の分類
3 核反応のQ値
4 核反応の閾値
5 核反応断面積
6 励起関数
7 核分裂
8 核融合
➡ おさらい
4章 放射線と物質との相互作用 [小林毅範]
1.X線の発生
1 特性X線
2 制動X線
2.光子
1 光子と物質との相互作用
2 光電効果
3 コンプトン効果
4 電子対生成
5 その他の相互作用
6 単色X線(γ線)束の減弱
7 連続X線の減弱と性質
8 物質へのエネルギー付与
3.電子線
1 相互作用の種類
2 エネルギー損失
3 電子の減弱と飛程
4.重荷電粒子
1 重荷電粒子と物質との相互作用
2 重荷電粒子と衝突阻止能
3 重荷電粒子の減弱と飛程
5.中性子
1 中性子の分類と呼称
2 中性子と物質との相互作用
3 中性子の生成と減弱
6.その他
1 LET(線エネルギー付与)
2 W値
3 比電離
➡ おさらい
5章 医用物理 [加藤 洋]
1.超音波
1 超音波の性質
2 超音波の送受信
3 超音波画像法
2.X線CT
1 投影データ
2 X線CTの変遷
3 画像再構成法
4 CT値とウインドウ
3.MRI
1 核磁気共鳴の物理原理
➡ おさらい
1.放射線物理序論
1 放射線診断
2 超音波および磁気共鳴による画像診断
3 放射線治療
4 医療を支える現代物理学
1章 放射線の基礎 [山内浩司]
1.放射線の定義と種類
1 放射線の本体
2 放射線の分類と特別な名称
2.特殊相対性理論
1 ニュートンの運動法則とガリレイ変換
2 光速不変がもたらすこと
3 ローレンツ変換とローレンツ逆変換
4 運動量,運動方程式,エネルギー,質量
3.放射線とは何か
1 光
2 放射線を特徴づけるもの
4.電離放射線
1 電離と励起
2 電離放射線の種類
5.電離放射線の発生源と種類
1 電離放射線を発生する装置
2 放射性同位体
3 宇宙からの電離放射線
4 核反応
➡ おさらい
2章 原子物理 [山内浩司]
1.電子の粒子性と波動性
1 電子の発見
2 ド・ブロイ波
3 波束の群速度
4 不確定性原理
2.原子スペクトルと原子模型
1 水素原子のスペクトル
2 原子核の発見
3 古典物理における角運動量
4 ボーアの量子条件と原子模型
5 ド・ブロイ波によるボーアの量子条件の導出
3.水素原子のエネルギー準位
1 エネルギー準位と量子数①
2 ボーアの量子条件の一般化
3 エネルギー準位の精密化
4 遷移
4.原子の構造
1 エネルギー準位と量子数②(磁気量子数と方位量子数)
2 エネルギー準位と量子数③(スピンと全角運動量)
3 パウリの原理と軌道電子の配置
➡ おさらい
3章 原子核物理 [加藤 洋]
1.原子核の基本性質
1 原子核の表し方
2 原子核の形
3 原子核の大きさ
4 原子核の質量とエネルギー
5 質量欠損と結合エネルギー
6 比質量欠損,質量偏差,比質量偏差
7 原子核の安定性
8 Q値および閾値
9 核力
10 陽子と中性子の入れ替わり
11 π中間子
12 核スピンと核磁気モーメント
13 原子核の角運動量と核磁気モーメント
14 核磁気共鳴
15 素粒子
16 統計およびパリティ
2.壊変
1 γ放射
2 内部転換
3 α壊変
4 β壊変
5 自発核分裂
6 核の壊変と放射能
7 半減期,平均寿命
8 分岐壊変
9 逐次壊変
10 放射平衡
11 メスバウアー効果
3.核反応
1 核反応の表示
2 核反応の分類
3 核反応のQ値
4 核反応の閾値
5 核反応断面積
6 励起関数
7 核分裂
8 核融合
➡ おさらい
4章 放射線と物質との相互作用 [小林毅範]
1.X線の発生
1 特性X線
2 制動X線
2.光子
1 光子と物質との相互作用
2 光電効果
3 コンプトン効果
4 電子対生成
5 その他の相互作用
6 単色X線(γ線)束の減弱
7 連続X線の減弱と性質
8 物質へのエネルギー付与
3.電子線
1 相互作用の種類
2 エネルギー損失
3 電子の減弱と飛程
4.重荷電粒子
1 重荷電粒子と物質との相互作用
2 重荷電粒子と衝突阻止能
3 重荷電粒子の減弱と飛程
5.中性子
1 中性子の分類と呼称
2 中性子と物質との相互作用
3 中性子の生成と減弱
6.その他
1 LET(線エネルギー付与)
2 W値
3 比電離
➡ おさらい
5章 医用物理 [加藤 洋]
1.超音波
1 超音波の性質
2 超音波の送受信
3 超音波画像法
2.X線CT
1 投影データ
2 X線CTの変遷
3 画像再構成法
4 CT値とウインドウ
3.MRI
1 核磁気共鳴の物理原理
➡ おさらい
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診療放射線技師が知っておくべき放射線物理学を学ぶ,はじめの一歩!
本書は,「放射線物理学」を初めて学ぶ診療放射線技師養成校の学生を対象としたテキストである。今回の改訂で例題を充実させて,文章だけでは理解しにくい部分を補った。
シリーズの特徴である,①ストーリー性のある記述で初学者でも読み進め理解できる,②多くの図表や囲み記事で視覚的にポイントを理解できる,③巻頭の「学習到達目標」と項目の最後にある「おさらい」で講義や自己学習の状況を把握できる,という点も初版から引き継がれ,“教えやすく,学びやすい”1冊となっている。