試験対策模擬問題111問
心電図マイスターによる
3→1級を目指す鑑別力grade up演習
定価 4,400円(税込) (本体4,000円+税)
- B5変型判 264ページ 2色(一部カラー),イラスト128点,写真112点
- 2024年9月28日刊行
- ISBN978-4-7583-2218-8
電子版
序文
推薦の序
出版から約1年が経過した先行書,「講義+試験対策模擬問題100問 心電図マイスターを目指す基礎力grade up講座」が大変好評を博しているそうです。この先行書で推薦の序を書かせたいただいた経緯から,第二弾となる本書を出版前に読みました。
本書も,心電図検定の受検者に向けたテキストではあるものの,先行書が心電図マイスターを目指したものであったのに対し,本書はより基本的な範囲を網羅する1~3級を目指したものとなっています。確かに,心電図の初学者にとっては,前著で一から学ぶには難しかったかもしれません。そのような声もあり,より幅広い読者を想定した問題集となっています。スタイルも変わり,教科書的な記載からでなく,いきなり練習問題の連続です。「習うより慣れろ」という基本姿勢がうかがえます。実際,一つ一つの問題を解いたのちに解説を読むほうが頭に入りやすいでしょう。順序は逆になってしまいましたが,多くの受検生にとって,本書から学び始め,自信がついたら前書で実力試しをするというのが,私のお勧めです。
本書は,心電図を30年以上読んできた私にとっても,読みごたえと,また読んでいて楽しく感じるテキストです。解説が,部分的に前書よりむしろ詳しく,深くなっているからかもしれません。そのような意味で,1~3級の心電図検定を目指す人たちにはもちろんのこと,心電図検定とは無関係に心電図を学ぶ多くの人たちの教科書になると言ってよいでしょう。
わ が国で最初に心電図テキストが著されたのが1944年,その後約80年間,さまざまな心電図テキストが出版されてきました。大きく分けると,(1)心電図という学問を記載した時代,(2)臨床活用を考えたオーソドックスなテキストの時代,(3)心電図入門者をターゲットにした啓蒙書の時代,という順序で経過してきましたが,新たに(4)心電図検定を通して心電図力を鍛えるテキストの時代が到来したようです。そのような新しく時代を切り拓くテキストの若手著者が,心臓血管研究所の卒業生であり,仕事をともにした仲間であったことに無類の光栄を感じます。
2024年8月
心臓血管研究所名誉所長
山下武志
------------------------------
はじめに
■心電図検定への挑戦をオススメします
本書をご購入いただき,ありがとうございます。手に取っていただいたということは心電図の勉強をしたい,心電図に詳しくなりたいという思いがあってのことと思います。あなたが心電図の勉強をする理由は何ですか? 仕事で使うからでしょうか。患者のために必要性を感じたからでしょうか。もちろんそれはそれで本当に素晴らしいことです。
さて,せっかく勉強するのなら,皆さん自身のためにもなってほしいと思っています。本書を読んで自信をつけたら,ぜひ心電図検定に挑戦してみてください。心電図検定合格の実績はきっと自己肯定感を高め,医療人としてのあなたを支えてくれるはずです(金銭的にはたぶん助けてくれません。給料も増えないし,受検料は自腹を切る人がほとんどでしょう)。もちろん,日本一心電図に詳しい人になる必要はありません。心電図に関して病院内で最も頼れる検査技師とか,病棟で一番詳しい看護師になるとか,心電図のことなら○○さんに聞こうとか言われるだけでも魅力的なことだと思います。情報に溢れ,没個性化が進む現代において,心電図の知識は“ あなただけ” のユニークスキルとなり,“ あなたでなければならない” 理由となります。筆者自身も若いころはまったく心電図を読めず,「循環器医になんてならない!」と思っていたところから,気づけば心電図マイスターを取得し,このような本をまとめることができています。
■本書が目指しているところ
前書「心電図マイスターを目指す基礎力grade up講座」はとても多くの人に愛される本になり,受検会場に持参する人も続出したと伺っています。ありがたいことに,出版に関する感謝の言葉や第9 回心電図検定合格の連絡などを,とてもとてもたくさんいただきました。ここに厚く御礼申し上げます。1 級受検に向けた対策本がない,基礎的な心電図本と専門書の間の本がないと私自身が悩んだ経緯もあって,出版にこぎつけました。今も多くの人に読まれ,検定対策本としての役割を担っているようです。
筆者は引き続き皆さんに役立つ情報発信をしたいと考えています。前作は主に1 級やマイスター認定に向けた対策として,模擬問題の難易度をかなり上げて作りました。そのため,「もう少し初歩的なところも解説して欲しい」という声も多くいただきました。筆者はSNS上でさまざまなレベルの心電図問題を発信していますが,確かに意外と基礎的ながら正答率が低いと感じる問題もあります。心電図は過去問をそのまま覚えても問題が解けるようにはなりません。なぜなら,特に実臨床においては同じ心電図は二度と出てこないからです。つまり,過去問に対する解答・解説だけを追うのは効果的ではないのです。過去問の反復学習のみだと,なかなか手ごたえを感じられないことでしょう。勉強しても心電図が読めるようになった気がしないという人の大半は,この所見だからこれ,これがないからこれといった覚え方,学習に偏ってしまっているように見受けられます。
本書はそんな方のためになるように作りました。せっかく勉強するならば,臨床応用が可能で,どんな心電図でも正しく読める,そんな本にしたつもりです。根本的な心臓電気生理学をよりシンプルに,なぜその波形になるのか,その波形になった結果どのような事象が起きうるのかを解説しています。所見の裏にある病態生理を理解することは,心電図読影の最終奥義といっても過言ではありません。前作から筆者自身もパワーアップし,SNSを始めとした各媒体からいろんな悩みを集めてきて,新しい知恵を集約してできた1冊です。
ステップアップを目指して循環器病棟に異動になった看護師,生理検査部門に配属された臨床検査技師,将来循環器医師を志す研修医,こわ~い循環器内科医師に付くことになったクラーク,新たに心臓リハビリテーション部門を立ち上げた理学療法士,作業療法士,診療放射線技師,体も頭も鍛えたい救急救命士,そして研修医や医学部生など,より多くの方に届くように! なにより,「私なんていなくても替えはきくし,勉強なんてしたって人生は変わらない」,そんな人に心電図検定を通して自信と自己肯定感が上がるような体験をしてほしいと思っています。ぜひこれをご縁に一緒に進んでいきましょう。
出版から約1年が経過した先行書,「講義+試験対策模擬問題100問 心電図マイスターを目指す基礎力grade up講座」が大変好評を博しているそうです。この先行書で推薦の序を書かせたいただいた経緯から,第二弾となる本書を出版前に読みました。
本書も,心電図検定の受検者に向けたテキストではあるものの,先行書が心電図マイスターを目指したものであったのに対し,本書はより基本的な範囲を網羅する1~3級を目指したものとなっています。確かに,心電図の初学者にとっては,前著で一から学ぶには難しかったかもしれません。そのような声もあり,より幅広い読者を想定した問題集となっています。スタイルも変わり,教科書的な記載からでなく,いきなり練習問題の連続です。「習うより慣れろ」という基本姿勢がうかがえます。実際,一つ一つの問題を解いたのちに解説を読むほうが頭に入りやすいでしょう。順序は逆になってしまいましたが,多くの受検生にとって,本書から学び始め,自信がついたら前書で実力試しをするというのが,私のお勧めです。
本書は,心電図を30年以上読んできた私にとっても,読みごたえと,また読んでいて楽しく感じるテキストです。解説が,部分的に前書よりむしろ詳しく,深くなっているからかもしれません。そのような意味で,1~3級の心電図検定を目指す人たちにはもちろんのこと,心電図検定とは無関係に心電図を学ぶ多くの人たちの教科書になると言ってよいでしょう。
わ が国で最初に心電図テキストが著されたのが1944年,その後約80年間,さまざまな心電図テキストが出版されてきました。大きく分けると,(1)心電図という学問を記載した時代,(2)臨床活用を考えたオーソドックスなテキストの時代,(3)心電図入門者をターゲットにした啓蒙書の時代,という順序で経過してきましたが,新たに(4)心電図検定を通して心電図力を鍛えるテキストの時代が到来したようです。そのような新しく時代を切り拓くテキストの若手著者が,心臓血管研究所の卒業生であり,仕事をともにした仲間であったことに無類の光栄を感じます。
2024年8月
心臓血管研究所名誉所長
山下武志
------------------------------
はじめに
■心電図検定への挑戦をオススメします
本書をご購入いただき,ありがとうございます。手に取っていただいたということは心電図の勉強をしたい,心電図に詳しくなりたいという思いがあってのことと思います。あなたが心電図の勉強をする理由は何ですか? 仕事で使うからでしょうか。患者のために必要性を感じたからでしょうか。もちろんそれはそれで本当に素晴らしいことです。
さて,せっかく勉強するのなら,皆さん自身のためにもなってほしいと思っています。本書を読んで自信をつけたら,ぜひ心電図検定に挑戦してみてください。心電図検定合格の実績はきっと自己肯定感を高め,医療人としてのあなたを支えてくれるはずです(金銭的にはたぶん助けてくれません。給料も増えないし,受検料は自腹を切る人がほとんどでしょう)。もちろん,日本一心電図に詳しい人になる必要はありません。心電図に関して病院内で最も頼れる検査技師とか,病棟で一番詳しい看護師になるとか,心電図のことなら○○さんに聞こうとか言われるだけでも魅力的なことだと思います。情報に溢れ,没個性化が進む現代において,心電図の知識は“ あなただけ” のユニークスキルとなり,“ あなたでなければならない” 理由となります。筆者自身も若いころはまったく心電図を読めず,「循環器医になんてならない!」と思っていたところから,気づけば心電図マイスターを取得し,このような本をまとめることができています。
■本書が目指しているところ
前書「心電図マイスターを目指す基礎力grade up講座」はとても多くの人に愛される本になり,受検会場に持参する人も続出したと伺っています。ありがたいことに,出版に関する感謝の言葉や第9 回心電図検定合格の連絡などを,とてもとてもたくさんいただきました。ここに厚く御礼申し上げます。1 級受検に向けた対策本がない,基礎的な心電図本と専門書の間の本がないと私自身が悩んだ経緯もあって,出版にこぎつけました。今も多くの人に読まれ,検定対策本としての役割を担っているようです。
筆者は引き続き皆さんに役立つ情報発信をしたいと考えています。前作は主に1 級やマイスター認定に向けた対策として,模擬問題の難易度をかなり上げて作りました。そのため,「もう少し初歩的なところも解説して欲しい」という声も多くいただきました。筆者はSNS上でさまざまなレベルの心電図問題を発信していますが,確かに意外と基礎的ながら正答率が低いと感じる問題もあります。心電図は過去問をそのまま覚えても問題が解けるようにはなりません。なぜなら,特に実臨床においては同じ心電図は二度と出てこないからです。つまり,過去問に対する解答・解説だけを追うのは効果的ではないのです。過去問の反復学習のみだと,なかなか手ごたえを感じられないことでしょう。勉強しても心電図が読めるようになった気がしないという人の大半は,この所見だからこれ,これがないからこれといった覚え方,学習に偏ってしまっているように見受けられます。
本書はそんな方のためになるように作りました。せっかく勉強するならば,臨床応用が可能で,どんな心電図でも正しく読める,そんな本にしたつもりです。根本的な心臓電気生理学をよりシンプルに,なぜその波形になるのか,その波形になった結果どのような事象が起きうるのかを解説しています。所見の裏にある病態生理を理解することは,心電図読影の最終奥義といっても過言ではありません。前作から筆者自身もパワーアップし,SNSを始めとした各媒体からいろんな悩みを集めてきて,新しい知恵を集約してできた1冊です。
ステップアップを目指して循環器病棟に異動になった看護師,生理検査部門に配属された臨床検査技師,将来循環器医師を志す研修医,こわ~い循環器内科医師に付くことになったクラーク,新たに心臓リハビリテーション部門を立ち上げた理学療法士,作業療法士,診療放射線技師,体も頭も鍛えたい救急救命士,そして研修医や医学部生など,より多くの方に届くように! なにより,「私なんていなくても替えはきくし,勉強なんてしたって人生は変わらない」,そんな人に心電図検定を通して自信と自己肯定感が上がるような体験をしてほしいと思っています。ぜひこれをご縁に一緒に進んでいきましょう。
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目次
はじめに
心電図検定受検の心構え
本書の構成と使い方
略語一覧
Ⅱ誘導における正常心電図と判読の基本ルール
ベーシック編 3級受検者対応
問題001~041
アドバンス編 1・2級受検者対応
問題042~111
付 録反復演習・チェック用
問題テーマとBOXの目次
P波道場
テーマ関連BOX早見表(チェックシート)
心電図検定受検の心構え
本書の構成と使い方
略語一覧
Ⅱ誘導における正常心電図と判読の基本ルール
ベーシック編 3級受検者対応
問題001~041
アドバンス編 1・2級受検者対応
問題042~111
付 録反復演習・チェック用
問題テーマとBOXの目次
P波道場
テーマ関連BOX早見表(チェックシート)
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目標級ごとにモジュール型の解説“BOX”による演習形式に基づき,3級受験向けにはベーシック編,2級,1級受験向けのアドバンス編として問われる内容の違いを分解して示し,苦手領域の克服と反復学習が捗る検定攻略の強い味方!