OGS NOW basic 10
骨盤臓器脱 完全マスター
[Web動画付]
定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
- A4判 216ページ オールカラー,イラスト120点,写真230点
- 2022年6月3日刊行
- ISBN978-4-7583-1990-4
序文
OGS NOW basicの刊行にあたって
この度,産婦人科手術書OGS NOW の姉妹編としてOGS NOW basic を刊行することになりました。OGS NOWはわかりやすいイラストを用い,各手術のストラテジー,コツ,ピットフォールなどの項目を設け,従来の手術書の行間に書かれていた内容を解説してもらいました。これは,より安全な術式を効率よくマスターしてほしいとの思いからでた発想であり,2010年から2015年にかけて全24 巻発刊し,今も多くの先生方に愛読していただいております。
今も昔も,多くの産婦人科手術に対するストラテジーには大きな変化はありませんが,この10 年間に腹腔鏡手術やロボット手術が急速に発展し,パワーデバイスや周術期管理なども年々進歩してきています。このような現況を踏まえ,OGS NOW は継続して刊行していきながら,それをさらに補い,主に卒後10 年位までの若い先生を対象とした手術入門書として,up-to-dateな内容を盛り込み,基本的な術式をよりわかりやすく解説する書籍としてOGS NOW basicを発刊することにしました。
本シリーズでは,OGS NOWの編集方針は継承しつつ,次のような編集方針で企画していきます。
1)卒後10年位までの若い先生を主たる対象とする。
2) 難易度の高い手術は「OGS NOW」を参照してもらい,難しいテーマはできるだけ取り扱わない。
3)その手術に必要な解剖知識を記載する。
4)各操作の理解を助けるために必要な短い動画をつける。
5)麻酔や合併症対策も記載する。
多くのup-to-dateな内容を取り入れていくと同時に,鏡視下手術で得られる画像,解剖を掲載しますのでベテランの先生方にも役立てていただけるものと思っています。手術はScienceを基盤にしたArt です。本シリーズではこのtechnical skillをわかりやすく解説します。また,よい外科医と呼ばれるのにはtechnical skillに加え,non-technical skillを備えておく必要があります。これについてもコラム等で可能な限り伝えていきたいと考えています。
OGS NOW 全24 巻とともに,年4冊発刊予定であるOGS NOW basicも手元においていただき,手術前後に必ず該当項目を読んで修練し,手術の達人そしてbest Surgeonを目指してほしいと思います。
2020年3月吉日
編集委員
平松祐司 岡山市立総合医療センター産婦人科顧問,岡山大学名誉教授
竹田 省 順天堂大学医学部産婦人科学講座特任教授,母子愛育会愛育研究所所長
万代昌紀 京都大学医学研究科婦人科学産科学分野教授
小林裕明 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科生殖病態生理学教授
---------------------------------
序 文
2020年の日本人女性の平均寿命は87 .74歳であり,世界一の長寿国となっています。本巻のテーマである骨盤臓器脱(Pelvic Organ Prolapse;POP)は高齢者に好発し,増加傾向にあるため,産婦人科医はその診断・治療に習熟しておく必要があります。POP治療に当たっては,①高齢者であるため種々の合併症をもっていることが多い,②他の手術と異なりQOLの改善を目的とした手術であるという点を念頭においておく必要があります。
手術療法を選択する場合は,年齢,性生活の有無,合併症を考慮し,どの部位のPOPか正しい診断を行い,それに最も適した術式を選択することが重要になります。この点は術式が固定された婦人科癌手術と大きく異なります。また,その手術を実施する際は,その手術の特色,メリット,デメリット,そして再発の可能性などを十分インフォームドコンセントした上で実施する必要があります。
手術療法は大きく分類すると,①native tissue repair(NTR), ②上部腟管をメッシュで仙骨岬に固定する方法(仙骨腟固定術),③経腟メッシュ手術,④腟閉鎖術があり,各項目の中に種々の術式があります。また,非手術療法としてはペッサリー挿入があり,合併症をもった高齢者が多く適応患者も多い状況です。さらに,本巻ではPOPに対する骨盤底筋体操も取り上げました。
執筆者依頼に当たっては,本シリーズの姉妹編のOGS NOW 8 骨盤臓器脱の手術-正しい診断と適切な術式の選択(2011年発刊)と,執筆者が重ならないように配慮し,Urogynecology のエキスパートに執筆いただきました。両方を熟読することで,手術のコツ,留意点をより深くマスターできると思います。
手術療法に関しては,OGS NOW 8を発刊した11年前に比較し,③の経腟メッシュ手術が減り,②仙骨腟固定術が増加しています。その仙骨腟固定術も開腹で行うより,腹腔鏡で行うLSCとロボット手術で行うRSCが主流になってきました。このため,LSC,RSC についてはページを割き各2名の先生に執筆いただきました。特に仙骨・岬角周囲の解剖・操作は産婦人科領域では馴染みのない手術であったため,しっかりマスターしていただきたいと思います。
また,最後に関連疾患として治療の難しい膀胱腟瘻,直腸腟瘻の手術も取り上げ,治療経験の豊富なエキスパートに詳しく解説していただきました。
OGS NOW basic 10 「骨盤臓器脱 完全マスター」を日常診療に役立て,POP治療のエキスパートを目指して欲しいと念願しております。
2022年4月
平松祐司
この度,産婦人科手術書OGS NOW の姉妹編としてOGS NOW basic を刊行することになりました。OGS NOWはわかりやすいイラストを用い,各手術のストラテジー,コツ,ピットフォールなどの項目を設け,従来の手術書の行間に書かれていた内容を解説してもらいました。これは,より安全な術式を効率よくマスターしてほしいとの思いからでた発想であり,2010年から2015年にかけて全24 巻発刊し,今も多くの先生方に愛読していただいております。
今も昔も,多くの産婦人科手術に対するストラテジーには大きな変化はありませんが,この10 年間に腹腔鏡手術やロボット手術が急速に発展し,パワーデバイスや周術期管理なども年々進歩してきています。このような現況を踏まえ,OGS NOW は継続して刊行していきながら,それをさらに補い,主に卒後10 年位までの若い先生を対象とした手術入門書として,up-to-dateな内容を盛り込み,基本的な術式をよりわかりやすく解説する書籍としてOGS NOW basicを発刊することにしました。
本シリーズでは,OGS NOWの編集方針は継承しつつ,次のような編集方針で企画していきます。
1)卒後10年位までの若い先生を主たる対象とする。
2) 難易度の高い手術は「OGS NOW」を参照してもらい,難しいテーマはできるだけ取り扱わない。
3)その手術に必要な解剖知識を記載する。
4)各操作の理解を助けるために必要な短い動画をつける。
5)麻酔や合併症対策も記載する。
多くのup-to-dateな内容を取り入れていくと同時に,鏡視下手術で得られる画像,解剖を掲載しますのでベテランの先生方にも役立てていただけるものと思っています。手術はScienceを基盤にしたArt です。本シリーズではこのtechnical skillをわかりやすく解説します。また,よい外科医と呼ばれるのにはtechnical skillに加え,non-technical skillを備えておく必要があります。これについてもコラム等で可能な限り伝えていきたいと考えています。
OGS NOW 全24 巻とともに,年4冊発刊予定であるOGS NOW basicも手元においていただき,手術前後に必ず該当項目を読んで修練し,手術の達人そしてbest Surgeonを目指してほしいと思います。
2020年3月吉日
編集委員
平松祐司 岡山市立総合医療センター産婦人科顧問,岡山大学名誉教授
竹田 省 順天堂大学医学部産婦人科学講座特任教授,母子愛育会愛育研究所所長
万代昌紀 京都大学医学研究科婦人科学産科学分野教授
小林裕明 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科生殖病態生理学教授
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序 文
2020年の日本人女性の平均寿命は87 .74歳であり,世界一の長寿国となっています。本巻のテーマである骨盤臓器脱(Pelvic Organ Prolapse;POP)は高齢者に好発し,増加傾向にあるため,産婦人科医はその診断・治療に習熟しておく必要があります。POP治療に当たっては,①高齢者であるため種々の合併症をもっていることが多い,②他の手術と異なりQOLの改善を目的とした手術であるという点を念頭においておく必要があります。
手術療法を選択する場合は,年齢,性生活の有無,合併症を考慮し,どの部位のPOPか正しい診断を行い,それに最も適した術式を選択することが重要になります。この点は術式が固定された婦人科癌手術と大きく異なります。また,その手術を実施する際は,その手術の特色,メリット,デメリット,そして再発の可能性などを十分インフォームドコンセントした上で実施する必要があります。
手術療法は大きく分類すると,①native tissue repair(NTR), ②上部腟管をメッシュで仙骨岬に固定する方法(仙骨腟固定術),③経腟メッシュ手術,④腟閉鎖術があり,各項目の中に種々の術式があります。また,非手術療法としてはペッサリー挿入があり,合併症をもった高齢者が多く適応患者も多い状況です。さらに,本巻ではPOPに対する骨盤底筋体操も取り上げました。
執筆者依頼に当たっては,本シリーズの姉妹編のOGS NOW 8 骨盤臓器脱の手術-正しい診断と適切な術式の選択(2011年発刊)と,執筆者が重ならないように配慮し,Urogynecology のエキスパートに執筆いただきました。両方を熟読することで,手術のコツ,留意点をより深くマスターできると思います。
手術療法に関しては,OGS NOW 8を発刊した11年前に比較し,③の経腟メッシュ手術が減り,②仙骨腟固定術が増加しています。その仙骨腟固定術も開腹で行うより,腹腔鏡で行うLSCとロボット手術で行うRSCが主流になってきました。このため,LSC,RSC についてはページを割き各2名の先生に執筆いただきました。特に仙骨・岬角周囲の解剖・操作は産婦人科領域では馴染みのない手術であったため,しっかりマスターしていただきたいと思います。
また,最後に関連疾患として治療の難しい膀胱腟瘻,直腸腟瘻の手術も取り上げ,治療経験の豊富なエキスパートに詳しく解説していただきました。
OGS NOW basic 10 「骨盤臓器脱 完全マスター」を日常診療に役立て,POP治療のエキスパートを目指して欲しいと念願しております。
2022年4月
平松祐司
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目次
骨盤臓器脱の腟式手術に役立つ解剖学 [中田真木]
骨盤臓器脱の手術(LSC,RSC)に必要な解剖 [堀江昭史ほか]
骨盤臓器脱の診断と治療法の選択 [古山将康]
骨盤臓器脱に対する術前準備と合併症対策(周術期管理) [福田武史ほか]
骨盤臓器脱手術に対する麻酔 [賀来隆治]
骨盤臓器脱・排尿障害に対するペッサリー治療 [野島俊二]
骨盤臓器脱に対するnative tissue repair [古山将康]
骨盤臓器脱に対する経腟メッシュ手術(TVM) [竹山政美ほか]
骨盤臓器脱に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)(1) [野村昌良]
骨盤臓器脱に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)(2)-minimally invasive laparoscopic sacrocolpopexy- [市川雅男ほか]
骨盤臓器脱に対するロボット支援下仙骨腟固定術(RSC)(1) [西 洋孝]
骨盤臓器脱に対するロボット支援下仙骨腟固定術(RSC)(2) [安彦 郁]
Le Fort手術 [平松祐司]
全腟閉鎖術 [草西 洋]
開腹手術時に同時に行う骨盤臓器脱手術 [平松祐司]
膀胱腟瘻の修復術 [野村由紀子ほか]
直腸腟瘻・陳旧性会陰裂傷の修復〜直腸・腟の分離を健常部で開始し瘻孔部に進める〜 [小辻文和ほか]
骨盤臓器脱に対する骨盤底筋訓練 [清水幸子]
ノンテクニカルスキルを学ぶ学ぶ者の姿勢 [平松祐司]
骨盤臓器脱の手術(LSC,RSC)に必要な解剖 [堀江昭史ほか]
骨盤臓器脱の診断と治療法の選択 [古山将康]
骨盤臓器脱に対する術前準備と合併症対策(周術期管理) [福田武史ほか]
骨盤臓器脱手術に対する麻酔 [賀来隆治]
骨盤臓器脱・排尿障害に対するペッサリー治療 [野島俊二]
骨盤臓器脱に対するnative tissue repair [古山将康]
骨盤臓器脱に対する経腟メッシュ手術(TVM) [竹山政美ほか]
骨盤臓器脱に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)(1) [野村昌良]
骨盤臓器脱に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)(2)-minimally invasive laparoscopic sacrocolpopexy- [市川雅男ほか]
骨盤臓器脱に対するロボット支援下仙骨腟固定術(RSC)(1) [西 洋孝]
骨盤臓器脱に対するロボット支援下仙骨腟固定術(RSC)(2) [安彦 郁]
Le Fort手術 [平松祐司]
全腟閉鎖術 [草西 洋]
開腹手術時に同時に行う骨盤臓器脱手術 [平松祐司]
膀胱腟瘻の修復術 [野村由紀子ほか]
直腸腟瘻・陳旧性会陰裂傷の修復〜直腸・腟の分離を健常部で開始し瘻孔部に進める〜 [小辻文和ほか]
骨盤臓器脱に対する骨盤底筋訓練 [清水幸子]
ノンテクニカルスキルを学ぶ学ぶ者の姿勢 [平松祐司]
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修復術,保存療法,骨盤底筋訓練からトラブルシューティングまで,骨盤臓器脱への対応を網羅!
若手産婦人科医を対象に「基本的に身につけなければならない手技」を解説し,“十分な理解に基づく手術”をマスターできる実践的シリーズ。緻密で美しいイラストにより読むだけで手術をシミュレートできるビジュアル重視の紙面に加え,スマートフォン等でアクセスできる本文とリンクした動画をストリーミング配信。解説は簡潔かつ初心者フレンドリーで,今さら聞けないような事柄についても丁寧に記載し,助手などの補助的な立場の手術参加者にもより役立つ作りとしている。
第10巻では骨盤臓器脱の手術に必要な解剖からNTR,仙骨腟固定術,経腟メッシュ手術,腟閉鎖術等の手術療法,ペッサリーによる保存療法,骨盤底筋訓練に加えて膀胱腟瘻・直腸腟瘻を起こしてしまった際の修復術についても解説。
前シリーズ『OGS NOW 8.骨盤臓器脱の手術-正しい判断と適切な術式の選択』とは執筆者が異なることから、別の観点から書かれた両巻を併せて読むことにより、より深い理解を得られるものとなっている。