運動器疾患の治療と
リハビリテーション
手術・保存療法とリハプログラム
定価 6,600円(税込) (本体6,000円+税)
- B5判 376ページ オールカラー,イラスト140点,写真634点
- 2016年9月28日刊行
- ISBN978-4-7583-1720-7
電子版
序文
わが国の高齢化は,歴史に類をみない状態で進んでいる。高齢者の急激な増加,介護者の不足は,国の命運を左右する大きな社会問題である。このような中で,従来の薬物,手術による医療は限界を迎え,予防医学とリハビリテーションの重要性が強く認識されている。国は,制度上の改革だけでなく,介護者不足を補うため,介護・リハビリテーションロボットの本格的採用に舵を切っている。わが国の高齢者対策は,間もなくこの問題に否応なく突入する中国,韓国,インドなど,多くの国々のモデルになると推察される。そのため,リハビリテーション医学の重要性が明らかとなり,2018年開始予定の新専門医制度では,リハビリテーション科は内科,外科などと同等の基本領域のひとつとして運用されることになっている。
本書は,既刊『改訂第2版 整形外科・術後理学療法プログラム』の長所を生かし,さらに近年の進歩を取り入れ,運動器リハビリテーションについて一通り網羅できるようにした。既刊が整形外科手術とそのリハビリに焦点を絞っていたのに対し,本書は保存療法の内容も含んでいるので,総合的な観点から実臨床に役立つように工夫した。なお,手術の詳細は既刊を参照していただきたい。
既刊同様に,現場で指示を出す医師と,リハビリプログラムを遂行する理学療法士・作業療法士が共同執筆することで,臨床で求められる最新の知見をわかりやすく収載した。本書の大きな特徴は,時系列をまとめられるものについてはプログラム表とし,直感的に理解できるようにしたことである。また,手術所見や画像などはすべてカラーで掲載しているので,現実感が掴める。
さらに,運動器リハビリで導入が進んでいるエコー検査や,摩耗の観点から見送られてきたものが積極的なスポーツ活動へと大きく変革を遂げている人工関節についても記載した。エコー検査の併用は,障害の把握,治療経過をリアルタイムに知ることができ,今や必須である。本書では,リハビリプログラムに直結したものとして扱っており,その実際を掲載したので参考にしてほしい。
本書が,運動器疾患に携わる医師,理学療法士,作業療法士,看護師,医療系学生にとって最新の運動器疾患の治療とリハビリテーションを理解するのに役立ち,さらなる発展に寄与できれば幸いである。なお,本書の出版にあたっては,メジカルビュー社の間宮卓治氏の多大なご尽力をいただき,深甚なる謝意を表する。
2016年8月
島田洋一,高橋仁美
本書は,既刊『改訂第2版 整形外科・術後理学療法プログラム』の長所を生かし,さらに近年の進歩を取り入れ,運動器リハビリテーションについて一通り網羅できるようにした。既刊が整形外科手術とそのリハビリに焦点を絞っていたのに対し,本書は保存療法の内容も含んでいるので,総合的な観点から実臨床に役立つように工夫した。なお,手術の詳細は既刊を参照していただきたい。
既刊同様に,現場で指示を出す医師と,リハビリプログラムを遂行する理学療法士・作業療法士が共同執筆することで,臨床で求められる最新の知見をわかりやすく収載した。本書の大きな特徴は,時系列をまとめられるものについてはプログラム表とし,直感的に理解できるようにしたことである。また,手術所見や画像などはすべてカラーで掲載しているので,現実感が掴める。
さらに,運動器リハビリで導入が進んでいるエコー検査や,摩耗の観点から見送られてきたものが積極的なスポーツ活動へと大きく変革を遂げている人工関節についても記載した。エコー検査の併用は,障害の把握,治療経過をリアルタイムに知ることができ,今や必須である。本書では,リハビリプログラムに直結したものとして扱っており,その実際を掲載したので参考にしてほしい。
本書が,運動器疾患に携わる医師,理学療法士,作業療法士,看護師,医療系学生にとって最新の運動器疾患の治療とリハビリテーションを理解するのに役立ち,さらなる発展に寄与できれば幸いである。なお,本書の出版にあたっては,メジカルビュー社の間宮卓治氏の多大なご尽力をいただき,深甚なる謝意を表する。
2016年8月
島田洋一,高橋仁美
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目次
1章 総論
2章 超音波検査(エコー)
超音波診療総論
超音波診療のポイント
3章 肩関節,上腕
反復性肩関節脱臼
腱板断裂
肩関節周囲炎(凍結肩)
投球障害肩
鎖骨骨折
上腕骨近位端骨折
胸郭出口症候群
4章 肘関節,前腕
上腕骨顆部・顆上骨折
肘頭骨折
肘関節内外側側副靱帯損傷
肘関節複合不安定症
テニス肘(肘関節外側上顆炎)
5章 手関節,手指
手指屈筋腱損傷
橈骨遠位端骨折
指骨骨折
末梢神経損傷(橈骨神経麻痺,正中神経麻痺,尺骨神経麻痺)
舟状骨骨折
手根管症候群
6章 股関節,大腿
変形性股関節症
人工股関節置換術
骨盤骨折
大腿骨頸部骨折
大腿骨転子間骨折
大腿骨骨幹部骨折
大腿四頭筋断裂
7章 膝関節,下腿
変形性膝関節症(保存療法)
人工膝関節全置換術後(変形性関節症,関節リウマチ)
前十字靱帯損傷(保存療法,再建術後)
半月板損傷
膝蓋骨骨折
大腿骨顆部骨折・顆上骨折(観血的整復固定術後)
脛骨プラトー骨折
脛骨骨幹部骨折(保存療法・観血的整復固定術後)
8章 足関節,足趾
足関節外側靱帯損傷
扁平足
踵骨骨折
中足部骨折
アキレス腱断裂
アキレス腱炎・周囲炎
足関節捻挫
9章 関節リウマチ
10章 脊椎
頸椎症性疾患 (1)頸椎症
頸椎症性疾患 (2)頸肩腕症候群
脊椎骨折
骨粗鬆症
成人脊柱変形
サルコペニア
腰部脊柱管狭窄症
腰椎椎間板ヘルニア
脊髄損傷
脊柱側彎症
人工関節とスポーツ活動 一覧表
2章 超音波検査(エコー)
超音波診療総論
超音波診療のポイント
3章 肩関節,上腕
反復性肩関節脱臼
腱板断裂
肩関節周囲炎(凍結肩)
投球障害肩
鎖骨骨折
上腕骨近位端骨折
胸郭出口症候群
4章 肘関節,前腕
上腕骨顆部・顆上骨折
肘頭骨折
肘関節内外側側副靱帯損傷
肘関節複合不安定症
テニス肘(肘関節外側上顆炎)
5章 手関節,手指
手指屈筋腱損傷
橈骨遠位端骨折
指骨骨折
末梢神経損傷(橈骨神経麻痺,正中神経麻痺,尺骨神経麻痺)
舟状骨骨折
手根管症候群
6章 股関節,大腿
変形性股関節症
人工股関節置換術
骨盤骨折
大腿骨頸部骨折
大腿骨転子間骨折
大腿骨骨幹部骨折
大腿四頭筋断裂
7章 膝関節,下腿
変形性膝関節症(保存療法)
人工膝関節全置換術後(変形性関節症,関節リウマチ)
前十字靱帯損傷(保存療法,再建術後)
半月板損傷
膝蓋骨骨折
大腿骨顆部骨折・顆上骨折(観血的整復固定術後)
脛骨プラトー骨折
脛骨骨幹部骨折(保存療法・観血的整復固定術後)
8章 足関節,足趾
足関節外側靱帯損傷
扁平足
踵骨骨折
中足部骨折
アキレス腱断裂
アキレス腱炎・周囲炎
足関節捻挫
9章 関節リウマチ
10章 脊椎
頸椎症性疾患 (1)頸椎症
頸椎症性疾患 (2)頸肩腕症候群
脊椎骨折
骨粗鬆症
成人脊柱変形
サルコペニア
腰部脊柱管狭窄症
腰椎椎間板ヘルニア
脊髄損傷
脊柱側彎症
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運動器リハビリテーションにおいて医師との協働に欠かせない,即戦力の知識と技術を1冊に集約
外科手術だけでなく保存的治療なども含めた運動器疾患のリハビリテーションについて,整形外科医と理学療法士・作業療法士がペアとなって執筆。臨床で役立つ「解剖・疾患の知識」と「リハビリテーションの知識」,「評価」と「リハビリテーションの進め方」を記載し,またそのタイムスケジュールを表に見やすくまとめている。
代表的な運動器疾患50につき,医用画像や術中写真含む多数の図表をオールカラーで掲載。臨床で求められる知識と技術を集約した,即戦力となる1冊である。