整形外科 術後理学療法プログラム
第3版
定価 6,160円(税込) (本体5,600円+税)
- B5判 352ページ オールカラー,イラスト130点,写真480点
- 2020年9月28日刊行
- ISBN978-4-7583-2031-3
電子版
序文
第3版 編集の序
この度,『第3版 整形外科術後理学療法プログラム』が刊行されることになり,2009年8月以来,11年もの長い間,多くの医師,理学療法士,作業療法士,看護師,学生の方々に読まれてきたことには万感の思いがある。
臨床医学の中でもとりわけ手術方法,機器の発展が急速な整形外科学において,その都度リハビリテーションプログラムは変更,改善されてきた。しかし,全身の運動器を扱う整形外科術後リハビリテーションでは,全ての分野で最新の知識を維持することは極めて困難である。そこで,初版では,現場のリハビリテーション臨床に携わるスタッフにとって,便利ですぐに使えるよう,整形外科手術の要点を押さえた説明,リハビリテーションプログラムを同時掲載し,迅速に対象疾患に対処できるように工夫した。この構成は,現場のスタッフにとって明確なリハビリテーションプログラムが学べ,初心者からベテランまで,あらゆるスタッフに同一の概念を持っていただくことに極めて有用であった。
さらに,改訂第2版では,写真,術後プログラムなどをカラー化して,いっそう読みやすくした。特に手術所見は現実感が増し,質が向上した。
これまでの編集経験や読者の声を踏まえ,第3版では,手術の術式,その重要ポイントなどを最新の情報に改めた。いずれの分野においても,執筆者には最先端の手術はもちろん,通常手術においても低侵襲,早期リハビリテーションの概念を基本とし,最善の術後成績が得られることを念頭にまとめていただいた。さらに,近年増加している高齢者に対する手術などを適宜追加した。骨粗鬆症,サルコペニアなどを有する高齢者の術前後リハビリテーションは,薬物療法の併用も含め,EBM(evidence based medicine)に則った総合的な取り組みができるように工夫した。本書では,高齢者の骨脆弱性のため荷重ができず,骨折部が癒合しても廃用のため歩けず,車椅子になることが多くみられることから,これらの疾患でも術後早期から荷重,歩行を可能にし,受傷前の生活に確実に戻ることができるようイリザロフ法について詳述している。この分野では,我が国最高レベルのスタッフが執筆者として名を連ね,他書にない内容と自負している。高齢者の整形外科手術は急速に増加しており,その成績を左右するのは術後リハビリテーションであることは論を待たない。
本書が,運動器疾患に携わる医師,理学療法士,作業療法士,看護師,学生にとって最新の整形外科術後リハビリテーションプログラムを理解するのに役立ち,更なる発展に寄与できれば幸いである。なお,本書の出版にあたっては,メジカルビュー社の北條智美氏の多大なご尽力をいただき,深甚なる謝意を表する。
2020年8月
島田洋一,高橋仁美
この度,『第3版 整形外科術後理学療法プログラム』が刊行されることになり,2009年8月以来,11年もの長い間,多くの医師,理学療法士,作業療法士,看護師,学生の方々に読まれてきたことには万感の思いがある。
臨床医学の中でもとりわけ手術方法,機器の発展が急速な整形外科学において,その都度リハビリテーションプログラムは変更,改善されてきた。しかし,全身の運動器を扱う整形外科術後リハビリテーションでは,全ての分野で最新の知識を維持することは極めて困難である。そこで,初版では,現場のリハビリテーション臨床に携わるスタッフにとって,便利ですぐに使えるよう,整形外科手術の要点を押さえた説明,リハビリテーションプログラムを同時掲載し,迅速に対象疾患に対処できるように工夫した。この構成は,現場のスタッフにとって明確なリハビリテーションプログラムが学べ,初心者からベテランまで,あらゆるスタッフに同一の概念を持っていただくことに極めて有用であった。
さらに,改訂第2版では,写真,術後プログラムなどをカラー化して,いっそう読みやすくした。特に手術所見は現実感が増し,質が向上した。
これまでの編集経験や読者の声を踏まえ,第3版では,手術の術式,その重要ポイントなどを最新の情報に改めた。いずれの分野においても,執筆者には最先端の手術はもちろん,通常手術においても低侵襲,早期リハビリテーションの概念を基本とし,最善の術後成績が得られることを念頭にまとめていただいた。さらに,近年増加している高齢者に対する手術などを適宜追加した。骨粗鬆症,サルコペニアなどを有する高齢者の術前後リハビリテーションは,薬物療法の併用も含め,EBM(evidence based medicine)に則った総合的な取り組みができるように工夫した。本書では,高齢者の骨脆弱性のため荷重ができず,骨折部が癒合しても廃用のため歩けず,車椅子になることが多くみられることから,これらの疾患でも術後早期から荷重,歩行を可能にし,受傷前の生活に確実に戻ることができるようイリザロフ法について詳述している。この分野では,我が国最高レベルのスタッフが執筆者として名を連ね,他書にない内容と自負している。高齢者の整形外科手術は急速に増加しており,その成績を左右するのは術後リハビリテーションであることは論を待たない。
本書が,運動器疾患に携わる医師,理学療法士,作業療法士,看護師,学生にとって最新の整形外科術後リハビリテーションプログラムを理解するのに役立ち,更なる発展に寄与できれば幸いである。なお,本書の出版にあたっては,メジカルビュー社の北條智美氏の多大なご尽力をいただき,深甚なる謝意を表する。
2020年8月
島田洋一,高橋仁美
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目次
総論 【高橋仁美,島田洋一】
1 総論
1章 脊椎 【本郷道生,柴田和幸,高橋裕介,粕川雄司】
1 頸部脊柱管拡大術
頸部脊柱管拡大術 術後プログラム
2 頸椎前方固定術
頸椎前方固定術 術後プログラム
3 腰椎椎間板ヘルニア摘出術
腰椎椎間板ヘルニア摘出術(LOVE変法) 術後プログラム
腰椎椎間板ヘルニア摘出術(MED法) 術後プログラム
4 腰椎開窓術
腰椎開窓術 術後プログラム
5 腰仙椎部固定術
椎間孔進入椎体間固定術(PLIF),腰椎後方進入椎体間固定術(TLIF)
術後プログラム
側方進入椎体間固定術(LLIF) 術後プログラム
6 脊柱側彎症矯正固定術
脊柱側彎症矯正固定術 術後プログラム
7 成人脊柱変形矯正固定術
成人脊柱変形矯正固定術 術後プログラム
2章 肩関節およびその周囲 【畠山雄二,山平 斉,齊藤行篤,齊藤英知,渡邉基起】
1 肩関節前方不安定症(反復性肩関節脱臼)に対する手術
Bankart 修復術 術後プログラム
Latarjet 法(またはBristow 法) 術後プログラム
2 肩関節拘縮に対する授動術
鏡視下関節包全切離術 術後プログラム
3 鏡視下肩腱板修復術
鏡視下肩腱板修復術 術後プログラム
4 人工骨頭・人工肩関節置換術
人工骨頭置換術 術後プログラム
解剖学的人工肩関節置換術(TSA) 術後プログラム
反転型人工肩関節置換術 術後プログラム
3章 肘関節およびその周囲 【成田裕一郎,熊谷真理子,鈴木夏海】
1 肘関節周囲骨折骨接合術
肘関節周囲骨折骨接合術 術後プログラム
2 肘関節靱帯損傷,不安定性に対する手術
肘関節靱帯損傷縫合術 術後プログラム
3 肘関節授動術
肘関節授動術 術後プログラム
4 肘部管症候群に対する手術
肘部管症候群に対する手術 術後プログラム
4章 手関節と手指,前腕 【伊藤博紀,成田 修,石川 周,千馬誠悦,藤本真由子,大竹裕香】
1 橈骨遠位端骨折骨接合術
橈骨遠位端骨折骨接合術 術後プログラム
2 舟状骨骨接合術
舟状骨骨接合術 術後プログラム
3 屈筋腱縫合術
屈筋腱縫合術 術後プログラム
4 腱移行術
腱移行術 術後プログラム
5 母指CM関節形成術
母指CM 関節形成術 術後プログラム
6 手根管開放術
手根管開放術 術後プログラム
5章 股関節および大腿 【木島泰明,渡邉基起,高橋裕介,田澤 浩,齋藤真紀子,山平 斉,久保田 均,嶋田誠司,佐藤嘉寿】
1 大腿骨近位部骨折骨接合術
大腿骨近位部骨折骨接合術 術後プログラム
2 人工骨頭置換術
人工骨頭置換術 術後プログラム
3 人工股関節全置換術
人工股関節全置換術(前方アプローチ) 術後プログラム
人工股関節全置換術(側方アプローチ) 術後プログラム
人工股関節全置換術(後方アプローチ) 術後プログラム
4 骨盤骨切り術
骨盤骨切り術 術後プログラム
6章 膝関節および下腿 【齊藤英知,畠山和利】
1 膝関節半月板縫合術
膝関節半月板縫合術 術後プログラム
2 膝関節前十字靱帯再建術
膝関節前十字靱帯再建術 術後プログラム
3 膝周囲骨切り術
膝周囲骨切り術 術後プログラム
4 膝関節周辺骨折
膝蓋骨骨折骨接合術 術後プログラム
脛骨高原骨折骨接合術 術後プログラム
5 人工膝単顆置換術
人工膝単顆置換術 術後プログラム
6 人工膝関節全置換術
人工膝関節全置換術 術後プログラム
7章 足関節および足部 【千田秀一,佐藤慎太郎,米川由夏,高橋洋子,柏倉 剛,柴田和幸,野坂光司,渡邉基起】
1 アキレス腱断裂縫縮術
アキレス腱断裂(保存療法) 理学療法プログラム
アキレス腱断裂(縫縮術) 術後プログラム
2 踵骨骨折骨接合術
踵骨骨折骨接合術 術後プログラム
3 足関節周囲骨折骨接合術
足関節周囲骨折骨接合術 術後プログラム
4 足関節固定術
足関節固定術 術後プログラム
5 足関節周囲骨切り術
足関節周囲骨切り術 術後プログラム
6 人工足関節置換術
人工足関節置換術(外側アプローチ) 術後プログラム
7 外反母趾手術
外反母趾手術 術後プログラム
8 鏡視下足関節周辺手術
鏡視下足関節周辺手術 術後プログラム
8章 創外固定術 【野坂光司,渡邉基起】
1 創外固定術
創外固定術 術後プログラム
9章 骨粗鬆症治療 【宮腰尚久,大倉和貴】
1 術後の骨粗鬆症治療
骨粗鬆症 術後プログラム
1 総論
1章 脊椎 【本郷道生,柴田和幸,高橋裕介,粕川雄司】
1 頸部脊柱管拡大術
頸部脊柱管拡大術 術後プログラム
2 頸椎前方固定術
頸椎前方固定術 術後プログラム
3 腰椎椎間板ヘルニア摘出術
腰椎椎間板ヘルニア摘出術(LOVE変法) 術後プログラム
腰椎椎間板ヘルニア摘出術(MED法) 術後プログラム
4 腰椎開窓術
腰椎開窓術 術後プログラム
5 腰仙椎部固定術
椎間孔進入椎体間固定術(PLIF),腰椎後方進入椎体間固定術(TLIF)
術後プログラム
側方進入椎体間固定術(LLIF) 術後プログラム
6 脊柱側彎症矯正固定術
脊柱側彎症矯正固定術 術後プログラム
7 成人脊柱変形矯正固定術
成人脊柱変形矯正固定術 術後プログラム
2章 肩関節およびその周囲 【畠山雄二,山平 斉,齊藤行篤,齊藤英知,渡邉基起】
1 肩関節前方不安定症(反復性肩関節脱臼)に対する手術
Bankart 修復術 術後プログラム
Latarjet 法(またはBristow 法) 術後プログラム
2 肩関節拘縮に対する授動術
鏡視下関節包全切離術 術後プログラム
3 鏡視下肩腱板修復術
鏡視下肩腱板修復術 術後プログラム
4 人工骨頭・人工肩関節置換術
人工骨頭置換術 術後プログラム
解剖学的人工肩関節置換術(TSA) 術後プログラム
反転型人工肩関節置換術 術後プログラム
3章 肘関節およびその周囲 【成田裕一郎,熊谷真理子,鈴木夏海】
1 肘関節周囲骨折骨接合術
肘関節周囲骨折骨接合術 術後プログラム
2 肘関節靱帯損傷,不安定性に対する手術
肘関節靱帯損傷縫合術 術後プログラム
3 肘関節授動術
肘関節授動術 術後プログラム
4 肘部管症候群に対する手術
肘部管症候群に対する手術 術後プログラム
4章 手関節と手指,前腕 【伊藤博紀,成田 修,石川 周,千馬誠悦,藤本真由子,大竹裕香】
1 橈骨遠位端骨折骨接合術
橈骨遠位端骨折骨接合術 術後プログラム
2 舟状骨骨接合術
舟状骨骨接合術 術後プログラム
3 屈筋腱縫合術
屈筋腱縫合術 術後プログラム
4 腱移行術
腱移行術 術後プログラム
5 母指CM関節形成術
母指CM 関節形成術 術後プログラム
6 手根管開放術
手根管開放術 術後プログラム
5章 股関節および大腿 【木島泰明,渡邉基起,高橋裕介,田澤 浩,齋藤真紀子,山平 斉,久保田 均,嶋田誠司,佐藤嘉寿】
1 大腿骨近位部骨折骨接合術
大腿骨近位部骨折骨接合術 術後プログラム
2 人工骨頭置換術
人工骨頭置換術 術後プログラム
3 人工股関節全置換術
人工股関節全置換術(前方アプローチ) 術後プログラム
人工股関節全置換術(側方アプローチ) 術後プログラム
人工股関節全置換術(後方アプローチ) 術後プログラム
4 骨盤骨切り術
骨盤骨切り術 術後プログラム
6章 膝関節および下腿 【齊藤英知,畠山和利】
1 膝関節半月板縫合術
膝関節半月板縫合術 術後プログラム
2 膝関節前十字靱帯再建術
膝関節前十字靱帯再建術 術後プログラム
3 膝周囲骨切り術
膝周囲骨切り術 術後プログラム
4 膝関節周辺骨折
膝蓋骨骨折骨接合術 術後プログラム
脛骨高原骨折骨接合術 術後プログラム
5 人工膝単顆置換術
人工膝単顆置換術 術後プログラム
6 人工膝関節全置換術
人工膝関節全置換術 術後プログラム
7章 足関節および足部 【千田秀一,佐藤慎太郎,米川由夏,高橋洋子,柏倉 剛,柴田和幸,野坂光司,渡邉基起】
1 アキレス腱断裂縫縮術
アキレス腱断裂(保存療法) 理学療法プログラム
アキレス腱断裂(縫縮術) 術後プログラム
2 踵骨骨折骨接合術
踵骨骨折骨接合術 術後プログラム
3 足関節周囲骨折骨接合術
足関節周囲骨折骨接合術 術後プログラム
4 足関節固定術
足関節固定術 術後プログラム
5 足関節周囲骨切り術
足関節周囲骨切り術 術後プログラム
6 人工足関節置換術
人工足関節置換術(外側アプローチ) 術後プログラム
7 外反母趾手術
外反母趾手術 術後プログラム
8 鏡視下足関節周辺手術
鏡視下足関節周辺手術 術後プログラム
8章 創外固定術 【野坂光司,渡邉基起】
1 創外固定術
創外固定術 術後プログラム
9章 骨粗鬆症治療 【宮腰尚久,大倉和貴】
1 術後の骨粗鬆症治療
骨粗鬆症 術後プログラム
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解剖・疾患・手術を知って,最適な術後プログラムをマスターしよう!
リハスタッフに向けに「理学療法に必要な解剖・疾患の知識」,「手術の知識」を整形外科医が丁寧に解説。それに沿ってPT,OTが「術後理学療法プログラム」,「理学療法の進め方」を解説したものを1セットとし,疾患ごとにまとめた。「解剖,疾患,手術の知識」を読み,術式や術後の禁忌の知識を得ることで各疾患に対してより的確にアプローチできるように構成されている。各疾患の術後プログラムの流れが図で示されているので,一目で全体を把握できる。
改訂にあたって術式などの記載内容は最新の情報に改め,さらに,近年増加している高齢者に対する手術の術式などを追加した。