Urologic Surgery Next 7
小児泌尿器科手術
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定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
- A4判 232ページ オールカラー,イラスト400点,写真60点
- 2020年10月1日刊行
- ISBN978-4-7583-1336-0
電子版
序文
「Urologic Surgery Next」シリーズ 刊行にあたって
近年の泌尿器科手術の進化はめざましい。既に普及しているエンドウロロジー,腹腔鏡手術は,機器の進歩と相まってさらに洗練されてきた。近年,手術支援ロボットの導入により泌尿器科手術はさらに大きく変貌した。前立腺全摘術の多くがロボット支援下に行われ,腎部分切除術や膀胱全摘術にも適応が拡大されてきている。このような背景を踏まえて,現在の泌尿器科手術の実際をまとめた新たな手術シリーズとして「Urologic Surgery Next」シリーズを刊行することとなった。
本シリーズでは,これまで「Urologic Surgery」シリーズ全12巻(2000~2002年),「新Urologic Surgery」シリーズ全8巻(2009~2011年)が刊行され,いずれも好評を得てきた。最初のシリーズの刊行は泌尿器腹腔鏡手術の多くが保険収載されていなかった時期であり,第1巻としてエンドウロロジー,第2 巻として泌尿器腹腔鏡手術が上梓されている。次の新シリーズは臓器別・疾患別の構成となり,低侵襲手術の普及を反映して,各巻にエンドウロロジー,腹腔鏡手術,開放手術が併記して解説されている。
前シリーズ刊行後の2012年は,ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術が保険収載され,文字通り本邦におけるロボット手術元年となった。その後のロボット手術の普及は急速であり,標準手術の一つとして定着している。腹腔鏡手術においては,泌尿器腹腔鏡技術認定制度の発足後10年以上が経過し,より洗練された標準術式として進化してきた。細径尿管鏡の開発などによりエンドウロロジーもさらに進化を遂げている。今後,手術開発と教育は新たな局面を迎えていると言えよう。
今回,シリーズ3作目として発刊される「Urologic Surgery Next」シリーズでは,最近の手術の進歩を踏まえ,以下の編集方針にて企画された。
1 . Urologic Surgeryシリーズの中でも進化した術式を重点的に解説する。
2 . 主にアプローチ別に構成し,必要な解剖,基本手技,トラブルシューティングなどを充実させる。
3 . 主要な術式では,テーマ・ポイントを絞った手術手技の解説を設ける。
4 . オープンサージャリーを一つの巻にまとめ,到達法,代表的な術式,血管処理,などを詳述する。
5 . これまでのシリーズと同様に,イラストを駆使して視覚的にわかりやすい記述とする。
執筆は第一線で活躍されておられる若手の術者にお願いした。本シリーズが多くの泌尿器外科医の日々の研鑽に役立てられることを願っている。
2018年3月
編集委員
荒井陽一
髙橋 悟
山本新吾
土谷順彦
--------------------------
序 文
このたびの『Urologic Surgery Next』シリーズと前作の『新Urologic Surgery』シリーズの背景として最も大きく違うのは,この10年間に多種類のレーザーや血管シーリングシステムなど新しいテクノロジーが開発導入され,尿路内視鏡手術,腹腔鏡手術やロボット支援下手術などのエンドウロロジカルな技術がめざましい進歩を遂げたことであろう。
小児泌尿器科領域ではこのような時代の波に乗って新しいテクノロジーを取り入れることに,やや遅れ気味であったことは否めない。その最も大きな理由は,大人の腹腔鏡手術で使用される機器が小児,または特に乳児に対してサイズが大きすぎるため,小児の腹腔内で十分なワーキングスペースを確保することが難しく,大人で完成された術式をそのまま適応できないという点であろう。しかし,3 mm 径の鉗子や5 mm 径の内視鏡カメラが開発され,また狭い腔内でも運針や縫合が可能なロボット支援下手術が普及するにつれ,小児泌尿器科領域にも,腹腔鏡手術やロボット支援下手術が様々な形で導入されはじめている。今後,小児泌尿器科領域に特有な技術も多く開発され,その対象もさらに低年齢化していくことが予想される。
その一方で,小児泌尿器科手術には,精巣固定術や膀胱尿管逆流手術など小児を手がけるためには必ず習得すべき手術手技から,尿道下裂,女性化外陰部形成,膀胱外反症などエキスパートからエキスパートに伝承していかなくてはならない手術手技もあり,本書はまさしく温故知新の宝庫である。
『Urologic Surgery Next』No.7「小児泌尿器科手術」の刊行にあたり,小児泌尿器科各方面のエキスパートの先生方に「小児泌尿器科手術」を可能な限り網羅し,わかりやすく解説していただいた。ご多忙にもかかわらず多くの時間を割いてご執筆いただいた先生方に心より感謝申し上げるとともに,本書が小児泌尿器科手術の上達を目指す読者皆様のマイルストーンとしてお役にたてば光栄である。
2020年8月
山本新吾
兼松明弘
近年の泌尿器科手術の進化はめざましい。既に普及しているエンドウロロジー,腹腔鏡手術は,機器の進歩と相まってさらに洗練されてきた。近年,手術支援ロボットの導入により泌尿器科手術はさらに大きく変貌した。前立腺全摘術の多くがロボット支援下に行われ,腎部分切除術や膀胱全摘術にも適応が拡大されてきている。このような背景を踏まえて,現在の泌尿器科手術の実際をまとめた新たな手術シリーズとして「Urologic Surgery Next」シリーズを刊行することとなった。
本シリーズでは,これまで「Urologic Surgery」シリーズ全12巻(2000~2002年),「新Urologic Surgery」シリーズ全8巻(2009~2011年)が刊行され,いずれも好評を得てきた。最初のシリーズの刊行は泌尿器腹腔鏡手術の多くが保険収載されていなかった時期であり,第1巻としてエンドウロロジー,第2 巻として泌尿器腹腔鏡手術が上梓されている。次の新シリーズは臓器別・疾患別の構成となり,低侵襲手術の普及を反映して,各巻にエンドウロロジー,腹腔鏡手術,開放手術が併記して解説されている。
前シリーズ刊行後の2012年は,ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術が保険収載され,文字通り本邦におけるロボット手術元年となった。その後のロボット手術の普及は急速であり,標準手術の一つとして定着している。腹腔鏡手術においては,泌尿器腹腔鏡技術認定制度の発足後10年以上が経過し,より洗練された標準術式として進化してきた。細径尿管鏡の開発などによりエンドウロロジーもさらに進化を遂げている。今後,手術開発と教育は新たな局面を迎えていると言えよう。
今回,シリーズ3作目として発刊される「Urologic Surgery Next」シリーズでは,最近の手術の進歩を踏まえ,以下の編集方針にて企画された。
1 . Urologic Surgeryシリーズの中でも進化した術式を重点的に解説する。
2 . 主にアプローチ別に構成し,必要な解剖,基本手技,トラブルシューティングなどを充実させる。
3 . 主要な術式では,テーマ・ポイントを絞った手術手技の解説を設ける。
4 . オープンサージャリーを一つの巻にまとめ,到達法,代表的な術式,血管処理,などを詳述する。
5 . これまでのシリーズと同様に,イラストを駆使して視覚的にわかりやすい記述とする。
執筆は第一線で活躍されておられる若手の術者にお願いした。本シリーズが多くの泌尿器外科医の日々の研鑽に役立てられることを願っている。
2018年3月
編集委員
荒井陽一
髙橋 悟
山本新吾
土谷順彦
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序 文
このたびの『Urologic Surgery Next』シリーズと前作の『新Urologic Surgery』シリーズの背景として最も大きく違うのは,この10年間に多種類のレーザーや血管シーリングシステムなど新しいテクノロジーが開発導入され,尿路内視鏡手術,腹腔鏡手術やロボット支援下手術などのエンドウロロジカルな技術がめざましい進歩を遂げたことであろう。
小児泌尿器科領域ではこのような時代の波に乗って新しいテクノロジーを取り入れることに,やや遅れ気味であったことは否めない。その最も大きな理由は,大人の腹腔鏡手術で使用される機器が小児,または特に乳児に対してサイズが大きすぎるため,小児の腹腔内で十分なワーキングスペースを確保することが難しく,大人で完成された術式をそのまま適応できないという点であろう。しかし,3 mm 径の鉗子や5 mm 径の内視鏡カメラが開発され,また狭い腔内でも運針や縫合が可能なロボット支援下手術が普及するにつれ,小児泌尿器科領域にも,腹腔鏡手術やロボット支援下手術が様々な形で導入されはじめている。今後,小児泌尿器科領域に特有な技術も多く開発され,その対象もさらに低年齢化していくことが予想される。
その一方で,小児泌尿器科手術には,精巣固定術や膀胱尿管逆流手術など小児を手がけるためには必ず習得すべき手術手技から,尿道下裂,女性化外陰部形成,膀胱外反症などエキスパートからエキスパートに伝承していかなくてはならない手術手技もあり,本書はまさしく温故知新の宝庫である。
『Urologic Surgery Next』No.7「小児泌尿器科手術」の刊行にあたり,小児泌尿器科各方面のエキスパートの先生方に「小児泌尿器科手術」を可能な限り網羅し,わかりやすく解説していただいた。ご多忙にもかかわらず多くの時間を割いてご執筆いただいた先生方に心より感謝申し上げるとともに,本書が小児泌尿器科手術の上達を目指す読者皆様のマイルストーンとしてお役にたてば光栄である。
2020年8月
山本新吾
兼松明弘
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目次
I 経尿道的内視鏡手術
内視鏡的後部尿道弁切開術,膀胱尿管逆流に対するデフラックス® 注入療法,逆行性腎盂造影 中村 繁,中井秀郎
Ⅱ 尿管膀胱移行部の手術
開腹膀胱内手術 開腹による膀胱尿管逆流の手術 鯉川弥須宏
開腹膀胱内手術のバリエーション
重複腎盂尿管に伴う異所性(膀胱外)尿管瘤に対する膀胱内手術(common sheath reimplantation) 杉多良文,春名晶子,神野 雅
開腹膀胱外手術 山崎雄一郎
膀胱内腹腔鏡手術 内藤泰行,安食 淳,浮村 理
Ⅲ 腎盂形成術
開放手術の標準術式 坂井清英,城之前 翼,相野谷慶子
腹腔鏡手術 西 盛宏
Ⅳ 小児におけるロボット支援下手術の応用 水野健太郎,西尾英紀,林 祐太郎
Ⅴ 尿道下裂の手術
尿道板を温存する一期的修復 浅沼 宏
尿道板を離断する一期的修復 吉野 薫
二期的修復 守屋仁彦
尿道下裂手術におけるトラブルシューティング 上岡克彦
Ⅵ 陰茎,陰嚢,精巣の手術
陰茎の手術 上仁数義,小林憲市,河内明宏
停留精巣の手術 野口 満,東武昇平
急性陰嚢症の手術 佐藤裕之
陰嚢水腫,精索水瘤の手術 青木勝也,藤本清秀
Ⅶ 女性外陰部と膀胱の発生異常の手術
女性化外陰部形成術と総排泄腔症手術 松井 太
膀胱・総排泄腔反症と尿道上裂の手術 長谷川雄一
内視鏡的後部尿道弁切開術,膀胱尿管逆流に対するデフラックス® 注入療法,逆行性腎盂造影 中村 繁,中井秀郎
Ⅱ 尿管膀胱移行部の手術
開腹膀胱内手術 開腹による膀胱尿管逆流の手術 鯉川弥須宏
開腹膀胱内手術のバリエーション
重複腎盂尿管に伴う異所性(膀胱外)尿管瘤に対する膀胱内手術(common sheath reimplantation) 杉多良文,春名晶子,神野 雅
開腹膀胱外手術 山崎雄一郎
膀胱内腹腔鏡手術 内藤泰行,安食 淳,浮村 理
Ⅲ 腎盂形成術
開放手術の標準術式 坂井清英,城之前 翼,相野谷慶子
腹腔鏡手術 西 盛宏
Ⅳ 小児におけるロボット支援下手術の応用 水野健太郎,西尾英紀,林 祐太郎
Ⅴ 尿道下裂の手術
尿道板を温存する一期的修復 浅沼 宏
尿道板を離断する一期的修復 吉野 薫
二期的修復 守屋仁彦
尿道下裂手術におけるトラブルシューティング 上岡克彦
Ⅵ 陰茎,陰嚢,精巣の手術
陰茎の手術 上仁数義,小林憲市,河内明宏
停留精巣の手術 野口 満,東武昇平
急性陰嚢症の手術 佐藤裕之
陰嚢水腫,精索水瘤の手術 青木勝也,藤本清秀
Ⅶ 女性外陰部と膀胱の発生異常の手術
女性化外陰部形成術と総排泄腔症手術 松井 太
膀胱・総排泄腔反症と尿道上裂の手術 長谷川雄一
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進歩が目覚ましい小児泌尿器科の手術手技を豊富なイラストでエキスパートが解説!
泌尿器科手術の一分野を成す小児泌尿器科手術。腹腔内の操作スペースの確保が難しく,新たなテクノロジーの取り入れが遅れ気味であったが,近年,鉗子・内視鏡カメラの細径化,狭い腔内でも運針・縫合が可能なロボット支援下手術の普及など,小児泌尿器科領域の手術手技の進歩は目覚ましい。小児泌尿器科手術の多くは経験・技術を必要とする手術であり,尿道下裂の形成術など難易度の高い手術もある。本書では代表的な小児泌尿器科手術の手技を豊富なイラストでエキスパートが解説。将来のQOLに重大な影響を及ぼす小児泌尿器科手術を安全・確実に行うための,泌尿器科医必携の書である。