消化器外科 術後合併症対応マニュアル

消化器外科 術後合併症対応マニュアル

■監修 山本 雅一

■編集 井上 雄志

定価 4,180円(税込) (本体3,800円+税)
  • A5判  136ページ  2色(一部カラー)
  • 2011年9月26日刊行
  • ISBN978-4-7583-0460-3

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これで安心! 術後の合併症に適切に対処できるマニュアル

術後合併症は手術にはつきものである。「ケア」で済むものもあれば,「処置」が必要なものもある。患者のサインを正確にとらえ,術後合併症に早い段階で対処することは,患者のQOLや入院期間の短縮などにおいても重要である。
「もし合併症が起きたときに,自分しかそれに対応する医師がいなかったら?」
上級医師や先輩がいなくても,最低限のことができるように,合併症対応のポイントを解説した,東京女子医科大学消化器病センターの医師たちによる「術後合併症対応マニュアル」。


序文

巻頭言

 消化器外科手術後合併症を減らすべく,外科医たちは努力している。しかし,残念ながら0%にならないことも事実である。しかし,その合併症を熟知することで早期の対応が可能となり,合併症を重篤化させることは少なくなる。
 以前は,肝切除後の胆汁瘻あるいは膵頭十二指腸切除後の膵液瘻など,かなりの確率で発生していた。しかし,手術技術の向上,術後管理の進歩で,それらの合併症を経験することは少なくなった。若い外科医らは,合併症を経験しないまま専門医などを取得するようになってきている。しかし,ひとたび合併症が発生すると,以前と同様に慎重な術後管理が要求される。
 合併症は臓器特異的なものと,非特異的なものがある。また,局所的症状だけの場合や全身的な症状を伴う場合があり多彩である。しかし,ほとんどの合併症は,手術の内容,起こる時期,症状からその内容を類推することが可能である。
 本書は,図表が多く,合併症を症状からチャート式に追うことで内容を把握し,対処法にたどり着くことができる。臨床に即した内容であり,研修医から指導者クラスまで幅広く活用可能である。
 合併症を理解し,早期に適切な対応をすることで,その後の重篤な合併症を未然に防ぎ,患者の早期回復を図ること可能である。手術技術の向上によりが発生率を低下させることはもちろんであるが,合併症を熟知し,対処することも消化器外科医の実力の一部である。

2011年9月

東京女子医科大学消化器外科主任教授
山本雅一
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目次

I.合併症の診断・対処法
 A.症状・症候からどう合併症を診断し,どう対処するか
  腹痛を訴えている患者 佐藤拓也
  嘔吐している患者 有泉俊一
  激しい下痢を起こしている患者 金子由香
  高熱を出している患者 谷口清章
  血圧が低下している患者 山田卓司
  呼吸困難を起こしている患者 谷澤武久
  体の激しい痛み(疼痛)を訴えている患者 大森亜紀子
  浮腫がみられる患者 高崎 淳
  顔面蒼白,チアノーゼなど貧血を疑う患者 梶山英樹
 B.この合併症にどう対応するか
  術後出血 小寺由人
  腸閉塞 金子由香
  縫合不全 井上雄志
  尿閉 須佐真由子
  深部静脈血栓症 大森亜紀子
  手術部位感染(surgical site infection) 上小鶴弘孝
  胆汁瘻 樋口亮太
  
II.この臓器の手術にはこんな合併症が起こりうる
  食道の手術で起こりうる合併症 太田正穂
  胃の手術で起こりうる合併症 武市智志
  大腸の手術で起こりうる合併症 上小鶴弘孝
  肝の手術で起こりうる合併症 片桐 聡
  胆・膵の手術で起こりうる合併症 太田岳洋
  腹腔鏡視下手術で起こりうる合併症 大木岳志
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