服薬指導・疑義照会・
症例報告に役立つ
精神科の手引き
定価 4,620円(税込) (本体4,200円+税)
- B5判 320ページ 2色,イラスト70点
- 2024年3月31日刊行
- ISBN978-4-7583-2221-8
電子版
序文
編集の序
この度,『服薬指導・疑義照会・症例報告に役立つ 精神科の手引き』を上梓することとなりました。
現在,精神疾患患者は約420万人にのぼり,そのうち外来患者が約390万人を占めています。外来患者の割合が高いため,地域で薬剤師が協力してサポートする体制を構築する必要があります。一方で「精神科の患者にどのように接すればよいかわからない」「精神科薬物治療はよくわからない」といった薬剤師の声を耳にすることがあります。
精神科薬物療法に関する類書は多数刊行されておりますが,本書では精神疾患や薬物治療,有害事象の解説だけでなく,精神疾患患者とのかかわり方,症例報告の視点・書き方を掲載することで読み進めやすく実践的な内容となっています。また,薬局薬剤師・病院薬剤師の双方にお役立ていただけるように,各項目では医師に論理的に説明するために有用な内容を盛り込んだ「疑義照会に向けて」,薬剤師の連携を意識してどのような情報を共有したいのかを記載した「薬薬連携」のほか「患者とのコミュニケーションのためのヒント」などの囲み記事を設けています。これらの囲み記事では,処方意図の理解,疑義照会や薬薬連携で注意すべき点,服薬指導での具体的な声かけの方法など臨床で活用できる知識を盛り込んでいます。
本書では,これまであまり精神科領域にかかわってこなかった薬剤師,精神科薬物療法に対して苦手意識をもっている薬剤師でも基礎知識から学ぶことができ,臨床で必要となる考え方がわかるような構成となっております。「精神科の複雑な症例を理解し,説明できる」能力を培う要素を盛り込んでいますので,多様な精神疾患患者の服薬指導や認定薬剤師申請などで症例報告にまとめる際にも役立つ1冊です。
臨床現場や薬学教育において本書をご活用いただくことで,薬剤師としての職能を発揮するとともに,患者さんへ安心・安全な薬物療法を提供することにつながることを願っております。本書が日々の現場で多忙な業務をされている薬剤師の先生方,未来の薬剤師への一助になれば幸甚です。
最後に,本書の企画から深くかかわっていただいた編集部の八橋月菜氏,北條智美氏に厚く感謝の意を表します。
2024年2月
北里大学病院 薬剤部 椎 崇
この度,『服薬指導・疑義照会・症例報告に役立つ 精神科の手引き』を上梓することとなりました。
現在,精神疾患患者は約420万人にのぼり,そのうち外来患者が約390万人を占めています。外来患者の割合が高いため,地域で薬剤師が協力してサポートする体制を構築する必要があります。一方で「精神科の患者にどのように接すればよいかわからない」「精神科薬物治療はよくわからない」といった薬剤師の声を耳にすることがあります。
精神科薬物療法に関する類書は多数刊行されておりますが,本書では精神疾患や薬物治療,有害事象の解説だけでなく,精神疾患患者とのかかわり方,症例報告の視点・書き方を掲載することで読み進めやすく実践的な内容となっています。また,薬局薬剤師・病院薬剤師の双方にお役立ていただけるように,各項目では医師に論理的に説明するために有用な内容を盛り込んだ「疑義照会に向けて」,薬剤師の連携を意識してどのような情報を共有したいのかを記載した「薬薬連携」のほか「患者とのコミュニケーションのためのヒント」などの囲み記事を設けています。これらの囲み記事では,処方意図の理解,疑義照会や薬薬連携で注意すべき点,服薬指導での具体的な声かけの方法など臨床で活用できる知識を盛り込んでいます。
本書では,これまであまり精神科領域にかかわってこなかった薬剤師,精神科薬物療法に対して苦手意識をもっている薬剤師でも基礎知識から学ぶことができ,臨床で必要となる考え方がわかるような構成となっております。「精神科の複雑な症例を理解し,説明できる」能力を培う要素を盛り込んでいますので,多様な精神疾患患者の服薬指導や認定薬剤師申請などで症例報告にまとめる際にも役立つ1冊です。
臨床現場や薬学教育において本書をご活用いただくことで,薬剤師としての職能を発揮するとともに,患者さんへ安心・安全な薬物療法を提供することにつながることを願っております。本書が日々の現場で多忙な業務をされている薬剤師の先生方,未来の薬剤師への一助になれば幸甚です。
最後に,本書の企画から深くかかわっていただいた編集部の八橋月菜氏,北條智美氏に厚く感謝の意を表します。
2024年2月
北里大学病院 薬剤部 椎 崇
全文表示する
閉じる
目次
1章 総論
1 精神疾患患者とのかかわり方
① コミュニケーション 浦田裕美
② 薬剤管理指導 馬場寛子
③ 心理教育 齋藤百枝美
④ 処方の適正化 亀井浩行
⑤ 薬効・副作用の評価 黒沢雅広
2 症例報告
① 症例報告の書き方 別所千枝
② 症例報告の視点 出川えりか
2章 疾患と薬剤
1 統合失調症
① 統合失調症 稲田 健,廣岡孝陽
② 抗精神病薬 岩澤恭介
③ 服薬指導と症例報告 岩澤恭介,椎 崇
2 うつ病
① うつ病馬場元
② 抗うつ薬 野田幸裕,肥田裕丈
③ 服薬指導と症例報告 野田幸裕,肥田裕丈
3 双極症
① 双極症 三宅誕実,清水梨々花
② 双極症治療薬 坪内清貴
③ 服薬指導と症例報告 坪内清貴
4 睡眠障害
① 睡眠障害 田ヶ谷浩邦
② 睡眠薬,抗不安薬 江角 悟
③ 服薬指導と症例報告 江角 悟
5 不安症
① 不安症 櫻井 準
② 不安症治療薬 坂田 睦
③ 服薬指導と症例報告 坂田 睦
6 認知症
① 認知症 大石智
② 認知症治療薬 佐藤康一
③ 服薬指導と症例報告 佐藤康一
7 神経発達症
① 神経発達症 太田晴久,長塚雄大
② 神経発達症治療薬 鈴木弘道
③ 服薬指導と症例報告 鈴木弘道
8 薬物・アルコール依存症
① 薬物・アルコール依存症 松本俊彦
② 薬物・アルコール依存症治療薬 三輪高市
③ 服薬指導と症例報告 三輪高市
9 漢方薬
① 精神科領域で使用される漢方薬 山田和男
3章 有害事象
① 錐体外路症状 石田雄介
② 悪性症候群 石田雄介
③ 高血糖・糖尿病 石田雄介
④ 血栓塞栓症 石田雄介
⑤ 高プロラクチン血症 椎 崇
⑥ 水中毒 水野雅恵
⑦ 不整脈 水野雅恵
⑧ イレウス 水野雅恵
⑨ セロトニン症候群 水野雅恵
⑩ アクチベーション・シンドローム 中田裕介
⑪ リチウム中毒 中田裕介
⑫ スティーブンス・ジョンソン症候群 中田裕介
⑬ 横紋筋融解症 中田裕介
⑭ 過鎮静 別所千枝
⑮ 肺炎 別所千枝
1 精神疾患患者とのかかわり方
① コミュニケーション 浦田裕美
② 薬剤管理指導 馬場寛子
③ 心理教育 齋藤百枝美
④ 処方の適正化 亀井浩行
⑤ 薬効・副作用の評価 黒沢雅広
2 症例報告
① 症例報告の書き方 別所千枝
② 症例報告の視点 出川えりか
2章 疾患と薬剤
1 統合失調症
① 統合失調症 稲田 健,廣岡孝陽
② 抗精神病薬 岩澤恭介
③ 服薬指導と症例報告 岩澤恭介,椎 崇
2 うつ病
① うつ病馬場元
② 抗うつ薬 野田幸裕,肥田裕丈
③ 服薬指導と症例報告 野田幸裕,肥田裕丈
3 双極症
① 双極症 三宅誕実,清水梨々花
② 双極症治療薬 坪内清貴
③ 服薬指導と症例報告 坪内清貴
4 睡眠障害
① 睡眠障害 田ヶ谷浩邦
② 睡眠薬,抗不安薬 江角 悟
③ 服薬指導と症例報告 江角 悟
5 不安症
① 不安症 櫻井 準
② 不安症治療薬 坂田 睦
③ 服薬指導と症例報告 坂田 睦
6 認知症
① 認知症 大石智
② 認知症治療薬 佐藤康一
③ 服薬指導と症例報告 佐藤康一
7 神経発達症
① 神経発達症 太田晴久,長塚雄大
② 神経発達症治療薬 鈴木弘道
③ 服薬指導と症例報告 鈴木弘道
8 薬物・アルコール依存症
① 薬物・アルコール依存症 松本俊彦
② 薬物・アルコール依存症治療薬 三輪高市
③ 服薬指導と症例報告 三輪高市
9 漢方薬
① 精神科領域で使用される漢方薬 山田和男
3章 有害事象
① 錐体外路症状 石田雄介
② 悪性症候群 石田雄介
③ 高血糖・糖尿病 石田雄介
④ 血栓塞栓症 石田雄介
⑤ 高プロラクチン血症 椎 崇
⑥ 水中毒 水野雅恵
⑦ 不整脈 水野雅恵
⑧ イレウス 水野雅恵
⑨ セロトニン症候群 水野雅恵
⑩ アクチベーション・シンドローム 中田裕介
⑪ リチウム中毒 中田裕介
⑫ スティーブンス・ジョンソン症候群 中田裕介
⑬ 横紋筋融解症 中田裕介
⑭ 過鎮静 別所千枝
⑮ 肺炎 別所千枝
全文表示する
閉じる
精神科の複雑な症例が理解できる! 説明できる! 若手の病院・薬局薬剤師が把握しておきたい服薬指導・疑義照会・症例報告の道標
薬剤の受け入れが難しい患者・家族への服薬指導,医師への疑義照会,他職種との連携など,若手薬剤師にとってハードルが高い精神科の複雑な症例を“理解し,説明できる”スキルが身に付く。
1章では,精神科患者とのコミュニケーションの取り方や症例報告の書き方のポイントなど基礎的な内容を解説している。2章では病態理解や薬剤の特徴,さらに各疾患について1~3つの服薬指導例と症例報告を紹介している。3章では,精神科で出現頻度の高い有害事象(副作用)についても記載している。
「疑義照会に向けて」「薬薬連携」「患者とのコミュニケーションのためのヒント」など,臨床で役に立つコラムも満載! 若手の病院・薬局薬剤師が把握しておきたい服薬指導・疑義照会・症例報告の道標となる一冊。