レジデント必読
病棟でのせん妄・不眠・うつ病・もの忘れに対処する
精神科の薬もわかる!
定価 3,630円(税込) (本体3,300円+税)
- A5判 220ページ 2色
- 2022年10月2日刊行
- ISBN978-4-7583-0237-1
電子版
序文
序
治療を確実に進め,その効果を最大限に発揮させるためには,治療とともに適切な精神心理的支援を提供することが重要です。
精神心理的支援は,単なるカウンセリングマインドには留まりません。実際に,超高齢社会を迎え,入院患者の多くは高齢者です。入院中の身体管理においては,高齢者の併存症に対応し,機能低下を最大限防ぐことが重要になります。その点で,せん妄や認知症の行動心理症状への対応など,高齢者の身体管理に直結する技術は避けて通れません。あわせて高齢者では不眠の頻度も高く,その対応も求められます。せん妄のリスクを避けつつも,患者・病棟のニーズに対応することは,マネジメントを行ううえで必須といえます。
このことは,外来診療においても同様です。認知症をもつ高齢者の評価・対応はもとより,適切に治療内容を説明し,同意を取得するためには,本人の特性を押さえることも重要です。 しかし一方で,精神科の初期研修だけでは上述のような一般・急性期病院でのマネジメントに直結した精神症状管理の仕方について,十分に触れられない現状もあります。なんとかその橋渡しをできないか,その思いが今回の企画の始まりでした。
「病棟で精神症状にスマートに対応したい」,「身体管理に直結する精神的・行動上の問題に対して,まず何をすればよいかを知りたい」,「向精神薬の使い分けを知りたい」といった臨床のニーズに応えることを目指して作成しました。急性期医療で身体管理をスムーズに行うために押さえておきたいポイントを解説するとともに,よりスムーズに進めるための要所にも触れるようにいたしました。また,まれではありますが,リスク管理上知っておきたい「死にたい」との訴えや虐待,発達の特性をもつ方への対応など,対応に悩む場面も取り上げています。
執筆は,急性期医療の臨床・教育の第一線で活躍されているコンサルテーション・リエゾン精神医学のエキスパートの先生方に協力をいただきました。COVID-19対応で多忙ななか,お力添えをいただきましたことに,この場を借りまして篤く感謝を申し上げます。
本書が皆さん方と臨床の場を共有するきっかけになりましたら幸いです。
2022年9月
国立がん研究センター東病院精神腫瘍科長
小川朝生
治療を確実に進め,その効果を最大限に発揮させるためには,治療とともに適切な精神心理的支援を提供することが重要です。
精神心理的支援は,単なるカウンセリングマインドには留まりません。実際に,超高齢社会を迎え,入院患者の多くは高齢者です。入院中の身体管理においては,高齢者の併存症に対応し,機能低下を最大限防ぐことが重要になります。その点で,せん妄や認知症の行動心理症状への対応など,高齢者の身体管理に直結する技術は避けて通れません。あわせて高齢者では不眠の頻度も高く,その対応も求められます。せん妄のリスクを避けつつも,患者・病棟のニーズに対応することは,マネジメントを行ううえで必須といえます。
このことは,外来診療においても同様です。認知症をもつ高齢者の評価・対応はもとより,適切に治療内容を説明し,同意を取得するためには,本人の特性を押さえることも重要です。 しかし一方で,精神科の初期研修だけでは上述のような一般・急性期病院でのマネジメントに直結した精神症状管理の仕方について,十分に触れられない現状もあります。なんとかその橋渡しをできないか,その思いが今回の企画の始まりでした。
「病棟で精神症状にスマートに対応したい」,「身体管理に直結する精神的・行動上の問題に対して,まず何をすればよいかを知りたい」,「向精神薬の使い分けを知りたい」といった臨床のニーズに応えることを目指して作成しました。急性期医療で身体管理をスムーズに行うために押さえておきたいポイントを解説するとともに,よりスムーズに進めるための要所にも触れるようにいたしました。また,まれではありますが,リスク管理上知っておきたい「死にたい」との訴えや虐待,発達の特性をもつ方への対応など,対応に悩む場面も取り上げています。
執筆は,急性期医療の臨床・教育の第一線で活躍されているコンサルテーション・リエゾン精神医学のエキスパートの先生方に協力をいただきました。COVID-19対応で多忙ななか,お力添えをいただきましたことに,この場を借りまして篤く感謝を申し上げます。
本書が皆さん方と臨床の場を共有するきっかけになりましたら幸いです。
2022年9月
国立がん研究センター東病院精神腫瘍科長
小川朝生
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目次
Part Ⅰ 病棟で遭遇するトラブルに対処する!
不眠,どうする? [谷口充孝]
どうしますか(67歳,女性)
段取りはこの順で
不眠の薬物療法,どうする? [谷口充孝]
睡眠薬処方の原則
睡眠薬の選択と使い方
睡眠薬の調整と睡眠薬の有害事象のモニタリング
睡眠薬の有害事象
睡眠薬の相互作用
ケースに応じた睡眠薬の使い方
睡眠薬の減薬,休薬
せん妄,どうする? [小川朝生]
どうしますか(86歳,女性)
段取りはこの順で
薬物療法
家族への説明
せん妄の薬物療法,どうする? [小川朝生]
抗精神病薬の使い方
抗精神病薬の有害事象
物忘れ(認知症),どうする? [谷向 仁]
どうしますか(78歳,女性)
認知症の基本
認知症に気づくためには
どのようなことに注意して診察を進めるか
不安・抑うつ,どうする? [藤澤大介]
どうしますか 抑うつ(74歳,男性),不安(58歳,女性)
段取りはこの順で
介入が必要な不安かどうかを評価する
不安・抑うつの薬物療法,どうする? [藤澤大介]
不安に用いる薬剤
抑うつに用いる薬剤
けいれん,どうする? [吉村匡史,北浦祐一,池田俊一郎]
どうしますか(79歳,男性)
段取りはこの順で
今後の方針
本人・家族への対応
希死念慮,どうする? [安井玲子]
どうしますか(60歳代,女性)
叱責や説得よりも大切なこと
希死念慮の背景にある問題
希死念慮を打ち明けない患者
発達障害,どうする? [岩田有正]
どうしますか(症例)
段取りはこの順で
Part Ⅱ 精神科の薬の概略を掴む
抗精神病薬ってどんな薬? [井上真一郎]
どんな疾患・症状に処方されるのか?
ぜひ知っておきたい抗精神病薬とは?
抗うつ薬ってどんな薬? [大谷恭平]
どうしますか(78歳,女性)
抗うつ薬は何のために処方されているのか?
抗うつ薬の種類分け
抗うつ薬の意外な副作用
すべての抗うつ薬に併用禁忌の薬とは?
抗不安薬ってどんな薬? [上村恵一]
どんな疾患・症状に処方されるのか?
BZ 系受容体作動薬の特徴
依存について
BZ 系受容体作動薬の注意点まとめ
睡眠薬ってどんな薬? [上村恵一]
どんな疾患・症状に処方されるのか?
睡眠薬の種類
実際の薬物療法
抗てんかん薬ってどんな薬? [佐賀雄大]
知識の整理
目の前の患者がけいれんしているとき,どうする?
新規抗てんかん薬とは?
抗てんかん薬使用に際しての注意事項
実臨床での使用場面
Part Ⅲ 知っておきたい最近の話題
意思決定支援・advance care planning(ACP) [榎戸正則]
なぜ意思決定「支援」が必要なのか
意思決定支援・ACP とは
意思決定能力について
意思の推定とは
意思決定支援の大切さ
子どもの精神症状・疾患,虐待への対応 [大原伸騎,小松静香,高橋秀俊]
子どもの発達段階と精神症状・疾患
子どものこころの診療のポイント
思春期のこころのケア
子どもの自傷・自殺
子どもの身体愁訴,心身症
子どものこころの診療における向精神薬
児童虐待とは
通告義務
リスク要因
児童虐待が疑わしい所見
退院支援・社会復帰支援 [野畑宏之]
退院支援および社会復帰支援
支援のためのアセスメント
チーム医療で患者を支える/ チームアプローチを促進する
知っておきたい社会福祉制度
家族・遺族への支援 [大西秀樹]
家族が受けるストレス
家族の一員ががんになったことによるストレスにより生じる心身の問題
家族は「第2 の患者」,ケアの対象
家族への対応
死別
死別により生じる心身への影響
遺族への対応
遺族援助におけるポイント
喫煙・アルコール [副島沙彩]
依存症とは
喫煙・飲酒の問題
行動変容のアプローチ
一般診療での依存症患者にかかわるポイント
不眠,どうする? [谷口充孝]
どうしますか(67歳,女性)
段取りはこの順で
不眠の薬物療法,どうする? [谷口充孝]
睡眠薬処方の原則
睡眠薬の選択と使い方
睡眠薬の調整と睡眠薬の有害事象のモニタリング
睡眠薬の有害事象
睡眠薬の相互作用
ケースに応じた睡眠薬の使い方
睡眠薬の減薬,休薬
せん妄,どうする? [小川朝生]
どうしますか(86歳,女性)
段取りはこの順で
薬物療法
家族への説明
せん妄の薬物療法,どうする? [小川朝生]
抗精神病薬の使い方
抗精神病薬の有害事象
物忘れ(認知症),どうする? [谷向 仁]
どうしますか(78歳,女性)
認知症の基本
認知症に気づくためには
どのようなことに注意して診察を進めるか
不安・抑うつ,どうする? [藤澤大介]
どうしますか 抑うつ(74歳,男性),不安(58歳,女性)
段取りはこの順で
介入が必要な不安かどうかを評価する
不安・抑うつの薬物療法,どうする? [藤澤大介]
不安に用いる薬剤
抑うつに用いる薬剤
けいれん,どうする? [吉村匡史,北浦祐一,池田俊一郎]
どうしますか(79歳,男性)
段取りはこの順で
今後の方針
本人・家族への対応
希死念慮,どうする? [安井玲子]
どうしますか(60歳代,女性)
叱責や説得よりも大切なこと
希死念慮の背景にある問題
希死念慮を打ち明けない患者
発達障害,どうする? [岩田有正]
どうしますか(症例)
段取りはこの順で
Part Ⅱ 精神科の薬の概略を掴む
抗精神病薬ってどんな薬? [井上真一郎]
どんな疾患・症状に処方されるのか?
ぜひ知っておきたい抗精神病薬とは?
抗うつ薬ってどんな薬? [大谷恭平]
どうしますか(78歳,女性)
抗うつ薬は何のために処方されているのか?
抗うつ薬の種類分け
抗うつ薬の意外な副作用
すべての抗うつ薬に併用禁忌の薬とは?
抗不安薬ってどんな薬? [上村恵一]
どんな疾患・症状に処方されるのか?
BZ 系受容体作動薬の特徴
依存について
BZ 系受容体作動薬の注意点まとめ
睡眠薬ってどんな薬? [上村恵一]
どんな疾患・症状に処方されるのか?
睡眠薬の種類
実際の薬物療法
抗てんかん薬ってどんな薬? [佐賀雄大]
知識の整理
目の前の患者がけいれんしているとき,どうする?
新規抗てんかん薬とは?
抗てんかん薬使用に際しての注意事項
実臨床での使用場面
Part Ⅲ 知っておきたい最近の話題
意思決定支援・advance care planning(ACP) [榎戸正則]
なぜ意思決定「支援」が必要なのか
意思決定支援・ACP とは
意思決定能力について
意思の推定とは
意思決定支援の大切さ
子どもの精神症状・疾患,虐待への対応 [大原伸騎,小松静香,高橋秀俊]
子どもの発達段階と精神症状・疾患
子どものこころの診療のポイント
思春期のこころのケア
子どもの自傷・自殺
子どもの身体愁訴,心身症
子どものこころの診療における向精神薬
児童虐待とは
通告義務
リスク要因
児童虐待が疑わしい所見
退院支援・社会復帰支援 [野畑宏之]
退院支援および社会復帰支援
支援のためのアセスメント
チーム医療で患者を支える/ チームアプローチを促進する
知っておきたい社会福祉制度
家族・遺族への支援 [大西秀樹]
家族が受けるストレス
家族の一員ががんになったことによるストレスにより生じる心身の問題
家族は「第2 の患者」,ケアの対象
家族への対応
死別
死別により生じる心身への影響
遺族への対応
遺族援助におけるポイント
喫煙・アルコール [副島沙彩]
依存症とは
喫煙・飲酒の問題
行動変容のアプローチ
一般診療での依存症患者にかかわるポイント
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・病棟で起こる精神科トラブルに対処できるようになりたい!
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