白熱講義
骨折合併症 Nonunion,Malunion,FRI,PTOA
骨折治療の物理学と生物学
定価 14,300円(税込) (本体13,000円+税)
- B5変型判 456ページ オールカラー,イラスト330点,写真450点
- 2023年7月3日刊行
- ISBN978-4-7583-2177-8
電子版
序文
長い序文
予定原稿の2倍くらいの分量になって,編集部の矢部涼子さんをとっても困らせてきたのに,この期に及んで,「長い序文」とは…,どうか,お許しください(笑)。
帝京大学難治骨折診
2004年1月に帝京大学へ赴任してから20年近くの歳月が流れました。2015年3月までは,松下隆先生(帝京大学整形外科学講座,前主任教授)のたぶん有能な部下の一人として,2015年4月からは,頼りないチーフとして難治骨折の治療にたずさわってきました。帝京大学の難治骨折診には,骨折後の合併症で困っている患者さんが,首都圏を中心に全国からたくさん来院していました。偽関節(骨癒合不全),変形癒合,感染性偽関節,関節拘縮などの患者さんです。松下先生の手術は,方程式を解くように,非常に緻密かつ論理的でした。方程式を解くようにとは,決められた条件下で最適解を求めるという意味です。近似解では許してもらえなかったので,同僚の竹中信之先生ともども苦労しました(笑)。
感染症例は郡山に送りましょう!
松下先生の定年退職に伴い,2015年3月31日,竹中先生をはじめとした難治骨折診チームがリング型創外固定器をつけた入院患者さん11名とともに,バスに乗って郡山の総合南東北病院外傷センター(福島県立医大寄附講座)へパッケージで移動しました。諸事情で,私と佐々木源先生は帝京大学病院に残りました。偽関節,変形癒合,関節拘縮の手術は,自分でたくさん執刀していましたから,あまり心配していませんでした。Ilizarov創外固定も,芳野晃先生(彼は天才的に手術が上手です)や加藤成隆先生(彼は僻地担当で,ロシアのイリザロフセンターにも1年留学していました!)に教えてもらったので,人並みにはできます(謙遜です!)。しかし,感染性偽関節に対するbone transportによる骨再建は,手術よりも術後管理のほうがはるかに大変です。竹中先生を指令塔とするチームがいなくなったので,ベストな対応ができません。
「感染症例は,郡山に送りましょう!」という,私以上に創外固定が嫌いな源さんの甘い言葉に首肯する私でした。
感染性偽関節の治療:刷り込みからの脱却
しかし,治療を要する感染性偽関節の患者さんはいます。皆が去って1か月もしないうちに,大腿骨遠位と脛骨近位の感染性偽関節を治療する必要が生じました。旧難治骨折診で治療中だった患者さん2名です。Masquelet先生には大変失礼なのですが,藁にも縋る想いで封印されていたMasquelet法によって再建したところ,何故か上手く治ったのです。典型的なビギナーズラックです。当初,まわりの中堅・若手医師からは,「感染していたところに内固定,しかも髄内釘を入れるなんて,欣ちゃん(=私)は頭がおかしくなった」と陰口を叩かれていました(陰口はいけません。情報はしっかり入ってきます!)。リング型創外固定器をつけた患者さんが日本で一番たくさん入院していたのですから,私たちだけでなく,彼ら彼女らにも,「Ilizarov法でないと,感染性偽関節の治療はできない!」という考えが刷り込まれていたのです。
Masquelet法を数例やって,最初の1年くらいで,私と源さんの間では,感染性偽関節の治療はこの方法でほとんど上手くいくと自信がもてるようになりました。中堅・若手医師も,「ひょっとしたら,間違えていたのは自分たちかもしれない」となったそうです。間違いを改めるのはとても良いことなのですが,誰も謝りにはきませんでした(笑)。旧難治骨折診から現在に至るまで,難治骨折診外来を手伝ってくれている西澤真理先生は,Ilizarov法からMasquelet法への治療法の変遷を一番実感している一人だと思います。リング型創外固定器をつけた患者さんの外来診療と管理は大変でしたから。
とは言え,複雑かつ微妙で精緻な変形矯正を要する長管骨の変形癒合に対しては,Hexapod systemを使ったIlizarov法は現在も行っています。計測と計算は面倒ですが,西澤祐先生がプログラム作成を担当してくれています。
TCVOとDTOO:難治骨折最後のピース
最後に残った問題は,膝関節と足関節に障害を生じている外傷後変形性関節症(PTOA)の治療でした。変形性関節症に対するTHAとTKAは,若い頃に数多くやりましたが,骨切り術の経験はそんなにありませんでした。寺本司先生(福島県立医大外傷学講座)率いるN-ASAMIのメンバーとのディープな討論と,たくさん手術をみせていただくことで,TCVOとHTO,DTOOとLTOの根本的な違いを理解できるようになりました。治療原理を理解できれば,手術も大抵はできます。苦労しながら何とかTCVOもDTOOも人並みにはできるようになりました。TCVOもDTOOも,原発性の変形性関節症に比べて骨折後のPTOAに対する手術のほうが圧倒的に難しいのですが,治療効果に驚くことが多いです。私は疑い深いので,「本当に調子良いのですか?」と,外来でかなり懐疑的に患者さんに尋ねるのですが,ほとんどの人が快調なのです。これで,難治骨折治療における最後のピースが埋められました。
本書,骨折合併症:骨折治療の物理学と生物学
本書では,骨折後の合併症である,骨癒合不全(nonunion),変形癒合(malunion),骨折関連感染症(fracture-related infection;FRI),外傷後変形性関節症(post-traumatic osteoarthritis;PTOA)の治療を取り上げて詳述しています。整形外科外傷にたずさわっていると,必ず,このような合併症に遭遇します。しかし,一人ひとりの医師が経験する難治骨折の数は限られているため,一所懸命に偽関節の治療をしているのに,いつまでたっても骨癒合せず,迷宮に入り込んで苦労している医師がいます。「偽関節になった場合には,固定法を変えるとよい」と,先輩医師から教えられた人もいるかもしれません。プレート固定で治らなかった骨折は,髄内釘固定にするのだとか,あるいはその反対です。これは典型的な都市伝説です。偽関節の原因には,物理学的なものと生物学的なものがあります。その原因を改善しないと骨折は治癒しません。単に固定法を変更すれば良いというようなものではないのです。
偽関節だけでなく,変形癒合,骨折関連感染症,外傷後変形性関節症を正しく治療するためにも,「骨折治療の物理学(バイオメカニクス,材料力学)と生物学」の知識が必須なのですが,実際の治療との関連で系統的に解説した書籍はありませんでした。本書では,骨折治療の物理学と生物学に関して,治療に必要なところを詳しく解説しました。きっと若手・中堅の整形外科医には役立つ内容だと思います。
最終講義にかえて
2018年4月から,帝京大学外傷センター長に指名されたため,難治骨折患者の治療も,整形外科から外傷センター所属の医師と一緒にやるようになりました。外傷センターの本田哲史先生や坂なつみ先生もよく手術に入って助けてくれています。徐々に自分で執刀する機会は少なくなり,Supervisorとしての役割が増えました。骨折合併症の治療には,chipping法,Ilizarov法,Papineau法,Masquelet法と各種骨切り術などの手術テクニックが必要ですが,骨接合術の基本テクニックを習得していれば概ね十分です。しかし,良い治療成績を得るためには,手術テクニックの習得やアウトカムの中央値や平均値をもとにしたエビデンスの取得だけでは,おそらく不十分です。例えば,systematic reviewでは上腕骨骨幹部骨折後偽関節の固定には,髄内釘よりもプレートが少しよいという結果が出ています。しかし,本当に重要なのは,「髄内釘か?プレートか?」というインプラントの選択だけが問題なのではなく,目の前の偽関節に対して,「髄内釘をどう使うか,プレートをどう使うか」が問題なのです。その答えをみつけるためにも,骨折治療の物理学(バイオメカニクス,材料力学)や生物学が必要になります。
この20年近くの間に,相当数の骨折合併症の治療をしてきました。そこで,悩み,学び,経験したことを自分の頭の中だけにとどめておくのは,もったいないと思うようになりました。この度,最終講義のような形で本書を執筆し出版する機会をメジカルビュー社から与えていただき,とても嬉しく思います。ぜひ,本書を通読して,明日からの診療に役立ててくださればありがたいです。 最初の原稿は予定ページ数の倍くらいありました。関節授動術の章をなくしたり,提示症例を絞ったり,レイアウトやフォントサイズを変えたりで,編集部の矢部さんにはとてもご苦労をかけました。ありがとうございました。
2019年末からはじまった新型コロナウイルスによる感染症の大波から,日本も遅ればせながら,ようやく抜けだそうとしています。
では皆さん,お元気で。また,いつかお逢いしましょう。
2023年5月1日
帝京大学医学部整形外科学講座教授
帝京大学医学部附属病院外傷センター長
渡部 欣忍
予定原稿の2倍くらいの分量になって,編集部の矢部涼子さんをとっても困らせてきたのに,この期に及んで,「長い序文」とは…,どうか,お許しください(笑)。
帝京大学難治骨折診
2004年1月に帝京大学へ赴任してから20年近くの歳月が流れました。2015年3月までは,松下隆先生(帝京大学整形外科学講座,前主任教授)のたぶん有能な部下の一人として,2015年4月からは,頼りないチーフとして難治骨折の治療にたずさわってきました。帝京大学の難治骨折診には,骨折後の合併症で困っている患者さんが,首都圏を中心に全国からたくさん来院していました。偽関節(骨癒合不全),変形癒合,感染性偽関節,関節拘縮などの患者さんです。松下先生の手術は,方程式を解くように,非常に緻密かつ論理的でした。方程式を解くようにとは,決められた条件下で最適解を求めるという意味です。近似解では許してもらえなかったので,同僚の竹中信之先生ともども苦労しました(笑)。
感染症例は郡山に送りましょう!
松下先生の定年退職に伴い,2015年3月31日,竹中先生をはじめとした難治骨折診チームがリング型創外固定器をつけた入院患者さん11名とともに,バスに乗って郡山の総合南東北病院外傷センター(福島県立医大寄附講座)へパッケージで移動しました。諸事情で,私と佐々木源先生は帝京大学病院に残りました。偽関節,変形癒合,関節拘縮の手術は,自分でたくさん執刀していましたから,あまり心配していませんでした。Ilizarov創外固定も,芳野晃先生(彼は天才的に手術が上手です)や加藤成隆先生(彼は僻地担当で,ロシアのイリザロフセンターにも1年留学していました!)に教えてもらったので,人並みにはできます(謙遜です!)。しかし,感染性偽関節に対するbone transportによる骨再建は,手術よりも術後管理のほうがはるかに大変です。竹中先生を指令塔とするチームがいなくなったので,ベストな対応ができません。
「感染症例は,郡山に送りましょう!」という,私以上に創外固定が嫌いな源さんの甘い言葉に首肯する私でした。
感染性偽関節の治療:刷り込みからの脱却
しかし,治療を要する感染性偽関節の患者さんはいます。皆が去って1か月もしないうちに,大腿骨遠位と脛骨近位の感染性偽関節を治療する必要が生じました。旧難治骨折診で治療中だった患者さん2名です。Masquelet先生には大変失礼なのですが,藁にも縋る想いで封印されていたMasquelet法によって再建したところ,何故か上手く治ったのです。典型的なビギナーズラックです。当初,まわりの中堅・若手医師からは,「感染していたところに内固定,しかも髄内釘を入れるなんて,欣ちゃん(=私)は頭がおかしくなった」と陰口を叩かれていました(陰口はいけません。情報はしっかり入ってきます!)。リング型創外固定器をつけた患者さんが日本で一番たくさん入院していたのですから,私たちだけでなく,彼ら彼女らにも,「Ilizarov法でないと,感染性偽関節の治療はできない!」という考えが刷り込まれていたのです。
Masquelet法を数例やって,最初の1年くらいで,私と源さんの間では,感染性偽関節の治療はこの方法でほとんど上手くいくと自信がもてるようになりました。中堅・若手医師も,「ひょっとしたら,間違えていたのは自分たちかもしれない」となったそうです。間違いを改めるのはとても良いことなのですが,誰も謝りにはきませんでした(笑)。旧難治骨折診から現在に至るまで,難治骨折診外来を手伝ってくれている西澤真理先生は,Ilizarov法からMasquelet法への治療法の変遷を一番実感している一人だと思います。リング型創外固定器をつけた患者さんの外来診療と管理は大変でしたから。
とは言え,複雑かつ微妙で精緻な変形矯正を要する長管骨の変形癒合に対しては,Hexapod systemを使ったIlizarov法は現在も行っています。計測と計算は面倒ですが,西澤祐先生がプログラム作成を担当してくれています。
TCVOとDTOO:難治骨折最後のピース
最後に残った問題は,膝関節と足関節に障害を生じている外傷後変形性関節症(PTOA)の治療でした。変形性関節症に対するTHAとTKAは,若い頃に数多くやりましたが,骨切り術の経験はそんなにありませんでした。寺本司先生(福島県立医大外傷学講座)率いるN-ASAMIのメンバーとのディープな討論と,たくさん手術をみせていただくことで,TCVOとHTO,DTOOとLTOの根本的な違いを理解できるようになりました。治療原理を理解できれば,手術も大抵はできます。苦労しながら何とかTCVOもDTOOも人並みにはできるようになりました。TCVOもDTOOも,原発性の変形性関節症に比べて骨折後のPTOAに対する手術のほうが圧倒的に難しいのですが,治療効果に驚くことが多いです。私は疑い深いので,「本当に調子良いのですか?」と,外来でかなり懐疑的に患者さんに尋ねるのですが,ほとんどの人が快調なのです。これで,難治骨折治療における最後のピースが埋められました。
本書,骨折合併症:骨折治療の物理学と生物学
本書では,骨折後の合併症である,骨癒合不全(nonunion),変形癒合(malunion),骨折関連感染症(fracture-related infection;FRI),外傷後変形性関節症(post-traumatic osteoarthritis;PTOA)の治療を取り上げて詳述しています。整形外科外傷にたずさわっていると,必ず,このような合併症に遭遇します。しかし,一人ひとりの医師が経験する難治骨折の数は限られているため,一所懸命に偽関節の治療をしているのに,いつまでたっても骨癒合せず,迷宮に入り込んで苦労している医師がいます。「偽関節になった場合には,固定法を変えるとよい」と,先輩医師から教えられた人もいるかもしれません。プレート固定で治らなかった骨折は,髄内釘固定にするのだとか,あるいはその反対です。これは典型的な都市伝説です。偽関節の原因には,物理学的なものと生物学的なものがあります。その原因を改善しないと骨折は治癒しません。単に固定法を変更すれば良いというようなものではないのです。
偽関節だけでなく,変形癒合,骨折関連感染症,外傷後変形性関節症を正しく治療するためにも,「骨折治療の物理学(バイオメカニクス,材料力学)と生物学」の知識が必須なのですが,実際の治療との関連で系統的に解説した書籍はありませんでした。本書では,骨折治療の物理学と生物学に関して,治療に必要なところを詳しく解説しました。きっと若手・中堅の整形外科医には役立つ内容だと思います。
最終講義にかえて
2018年4月から,帝京大学外傷センター長に指名されたため,難治骨折患者の治療も,整形外科から外傷センター所属の医師と一緒にやるようになりました。外傷センターの本田哲史先生や坂なつみ先生もよく手術に入って助けてくれています。徐々に自分で執刀する機会は少なくなり,Supervisorとしての役割が増えました。骨折合併症の治療には,chipping法,Ilizarov法,Papineau法,Masquelet法と各種骨切り術などの手術テクニックが必要ですが,骨接合術の基本テクニックを習得していれば概ね十分です。しかし,良い治療成績を得るためには,手術テクニックの習得やアウトカムの中央値や平均値をもとにしたエビデンスの取得だけでは,おそらく不十分です。例えば,systematic reviewでは上腕骨骨幹部骨折後偽関節の固定には,髄内釘よりもプレートが少しよいという結果が出ています。しかし,本当に重要なのは,「髄内釘か?プレートか?」というインプラントの選択だけが問題なのではなく,目の前の偽関節に対して,「髄内釘をどう使うか,プレートをどう使うか」が問題なのです。その答えをみつけるためにも,骨折治療の物理学(バイオメカニクス,材料力学)や生物学が必要になります。
この20年近くの間に,相当数の骨折合併症の治療をしてきました。そこで,悩み,学び,経験したことを自分の頭の中だけにとどめておくのは,もったいないと思うようになりました。この度,最終講義のような形で本書を執筆し出版する機会をメジカルビュー社から与えていただき,とても嬉しく思います。ぜひ,本書を通読して,明日からの診療に役立ててくださればありがたいです。 最初の原稿は予定ページ数の倍くらいありました。関節授動術の章をなくしたり,提示症例を絞ったり,レイアウトやフォントサイズを変えたりで,編集部の矢部さんにはとてもご苦労をかけました。ありがとうございました。
2019年末からはじまった新型コロナウイルスによる感染症の大波から,日本も遅ればせながら,ようやく抜けだそうとしています。
では皆さん,お元気で。また,いつかお逢いしましょう。
2023年5月1日
帝京大学医学部整形外科学講座教授
帝京大学医学部附属病院外傷センター長
渡部 欣忍
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目次
1章 骨折物理学PartⅠ:材料力学の基本知識
1 材料力学の基本
2 骨の力学的特性
3 骨の力学的特性から考える5つの骨折パターン
4 力学的負荷と骨折型
2章 骨折物理学PartⅡ:骨接合術のバイオメカニクス
1 骨折治療材料の力学的特性を規定する因子
2 ワイヤー,ピン,スクリューのバイオメカニクス
3 骨接合術における力学的安定性とは
4 髄内釘固定のバイオメカニクス
5 プレート固定のバイオメカニクス
6 脆弱な骨を固定するための4つの原則
3章 骨折生物学:The Diamond Concept –骨形成能・骨誘導能・骨伝導能と力学的環境–
1 骨折治癒は組織再生である
2 幹細胞とは
3 幹細胞の分類
4 間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell;MSC)
5 二つの骨化機序−膜性骨化と軟骨内骨化−
6 心臓の作り方:How to build a heart
7 骨再生に必要な3つの能力
8 骨再生のThe Diamond Concept
9 自家骨移植と人工骨移植
4章 偽関節(骨癒合不全)の診断と治療
1 偽関節(骨癒合不全)の定義
2 偽関節の診断と手術時期について
3 偽関節・骨癒合不全の発生率
4 偽関節・骨癒合不全の分類
5 偽関節・骨癒合不全の原因
6 大腿骨・脛骨atrophic nonunionの治療 —生物活性を取り戻す—
7 大腿骨・脛骨hypertrophic nonunionの治療 —力学的安定性の再獲得—
8 上腕骨・前腕骨・鎖骨nonunionの治療
5章 特殊な偽関節と特殊な治療
1 関節内骨折・関節近傍骨折後の偽関節
2 創外固定を用いた偽関節部延長術
3 脆弱骨の偽関節
4 インプラント周囲骨折(periprosthetic fractures)後偽関節
5 大腿骨非定型骨折(atypical femur fracture)後の偽関節
6章 骨折関連感染症(FRI)の診断と治療
1 骨髄炎(osteomyelitis)
2 骨折関連感染症(fracture-related infection;FRI)の定義と診断
3 骨髄炎の画像評価
4 骨髄炎の分類と治療アルゴリズム
5 欧州におけるFRIの標準的治療
6 慢性期FRI(chronic FRI)の特徴と治療
7 早期感染(early FRI)の特徴と治療
8 晩期感染(late FRI)の特徴と治療:感染性偽関節
7章 下肢変形癒合の治療と外傷後変形性関節症(PTOA)
1 外傷後変形性関節症(PTOA)とは
2 下肢アライメントの計測
3 関節適合性の評価
4 関節安定性の評価
5 アライメント,関節適合性,関節安定性の関係
6 寛骨臼骨折後のPTOA
7 膝関節PTOAの予防と治療
8 足関節PTOAの予防と治療
1 材料力学の基本
2 骨の力学的特性
3 骨の力学的特性から考える5つの骨折パターン
4 力学的負荷と骨折型
2章 骨折物理学PartⅡ:骨接合術のバイオメカニクス
1 骨折治療材料の力学的特性を規定する因子
2 ワイヤー,ピン,スクリューのバイオメカニクス
3 骨接合術における力学的安定性とは
4 髄内釘固定のバイオメカニクス
5 プレート固定のバイオメカニクス
6 脆弱な骨を固定するための4つの原則
3章 骨折生物学:The Diamond Concept –骨形成能・骨誘導能・骨伝導能と力学的環境–
1 骨折治癒は組織再生である
2 幹細胞とは
3 幹細胞の分類
4 間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell;MSC)
5 二つの骨化機序−膜性骨化と軟骨内骨化−
6 心臓の作り方:How to build a heart
7 骨再生に必要な3つの能力
8 骨再生のThe Diamond Concept
9 自家骨移植と人工骨移植
4章 偽関節(骨癒合不全)の診断と治療
1 偽関節(骨癒合不全)の定義
2 偽関節の診断と手術時期について
3 偽関節・骨癒合不全の発生率
4 偽関節・骨癒合不全の分類
5 偽関節・骨癒合不全の原因
6 大腿骨・脛骨atrophic nonunionの治療 —生物活性を取り戻す—
7 大腿骨・脛骨hypertrophic nonunionの治療 —力学的安定性の再獲得—
8 上腕骨・前腕骨・鎖骨nonunionの治療
5章 特殊な偽関節と特殊な治療
1 関節内骨折・関節近傍骨折後の偽関節
2 創外固定を用いた偽関節部延長術
3 脆弱骨の偽関節
4 インプラント周囲骨折(periprosthetic fractures)後偽関節
5 大腿骨非定型骨折(atypical femur fracture)後の偽関節
6章 骨折関連感染症(FRI)の診断と治療
1 骨髄炎(osteomyelitis)
2 骨折関連感染症(fracture-related infection;FRI)の定義と診断
3 骨髄炎の画像評価
4 骨髄炎の分類と治療アルゴリズム
5 欧州におけるFRIの標準的治療
6 慢性期FRI(chronic FRI)の特徴と治療
7 早期感染(early FRI)の特徴と治療
8 晩期感染(late FRI)の特徴と治療:感染性偽関節
7章 下肢変形癒合の治療と外傷後変形性関節症(PTOA)
1 外傷後変形性関節症(PTOA)とは
2 下肢アライメントの計測
3 関節適合性の評価
4 関節安定性の評価
5 アライメント,関節適合性,関節安定性の関係
6 寛骨臼骨折後のPTOA
7 膝関節PTOAの予防と治療
8 足関節PTOAの予防と治療
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合併症を基礎から理解し,理論的な治療を実践!
偽関節(骨癒合不全),変形治癒,感染(骨髄炎・感染性偽関節),関節拘縮やインプラント周囲骨折など,さまざまな骨折合併症・難治症例をどのように治療すれば成功に導けるのかを,治療法の背景にある骨・関節の基礎知識からわかりやすく解説。
単なる“ファインプレー集”ではなく,骨や骨折に対するバイオメカニクスとバイオロジーの知識に則り,なぜ,そのように治療するとうまくいくのかを豊富な実例を提示しながら解き明かしていく。
骨折合併症の治療に対する「考え方から手技まで」をこの1冊で!
■推薦の言葉
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渡部先生の後輩への 「遺言書」, 難治骨折治療の経典だ。
【竹中 信之 福島県立医科大学外傷学講座教授】
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迷える骨折治療医のまさに 「聖書(バイブル)」である。
今,この時に,この書を読める幸福に涙せよ!
【最上 敦彦 順天堂大学静岡病院整形外科先任准教授】
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