卒後5年までにマスターすべき
運動器障害理学療法
下肢・腰部
基礎から実践まで
定価 5,940円(税込) (本体5,400円+税)
- B5判 336ページ 2色(一部カラー),イラスト130点,写真560点
- 2022年8月1日刊行
- ISBN978-4-7583-2080-1
電子版
序文
監修の序
本書は,運動器障害理学療法のエビデンス構築に寄与する研究を国内外へ発信し続けている三木貴弘先生が,後輩理学療法士へのエールとして企画・編集いたしました。本書は,卒後5 年以下の若手理学療法士の皆様が,運動器障害に対する理学療法の評価や治療方法を理解できるように解説されています。また,最新の知見を盛り込みつつ非常に有益な情報が提供されています。
わが国の理学療法士は累計19 万人を超え(2021年度末時点),時代の変化やニーズに合わせて職域や活動の場を広げています。そのような背景から,理学療法の専門性もより細分化されてきています。2018 年には,約20 年振りに理学療法士養成の指定規則が変更されました。それに伴い,理学療法士の養成課程は養成校のカリキュラムや指導者要件,臨床実習方法に関して大きく変更されました。実習指導者は5 年以上の実務経験が必要となりましたが,三木先生や本書の著者の先生たちが卒後5 年以内に感じた自らの疑問や経験,知見を折り込みながら,卒後5 年以内に誰もが遭遇しやすく鑑別や判断に迷うような事例について広く取り上げられています。
また理学療法士の免許取得後は,日本理学療法士協会による新人教育プログラムや生涯学習制度(認定・専門理学療法士)などの卒後研修システムが整備されています。一方で,普段の臨床における評価や治療に関する個別的アプローチの必要性,エビデンスを基に標準化されたアプローチの重要性から,共通の知識や技術の学びは必要です。本書は,卒業直後から臨床現場において理学療法実践時の疑問や課題を自主的に学びつつ,解決していくことができるよう図や写真が多用され,わかりやすくまとめられていますので,本書を机上に置いて日々の臨床活動で役立てていただけたらと思います。
2022年6月
寒川美奈
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編集の序
「約1 万人」。この数字は,直近の5 年において1 年間で理学療法士が誕生した数です。そして2021 年までに,合計で約19 万人の理学療法士が誕生しています。直近10 年では約10 万人増えており,若い世代が大部分を占めるというある意味特殊な構成になっています。
本書は,年々増え続ける若い理学療法士を対象に,卒後5 年目までに必要な知識を整理するために企画しました。『上肢・頸部』の巻においては,総論でどの運動器疾患にも通じる必須の知識を中心に解説しました。例えば,どの部位でも疼痛という愁訴は上位にあがります。近年では,生物心理社会モデルに基づいた疼痛の解釈が必須であるため,そのことを踏まえて疼痛について解説しています。またエコーを含む画像所見,検査の解釈,そしてそれらを統合するための臨床推論の知識を整理しました。さらには,医療従事者として必要最低限の応急処置の知識,どの部位にも共通するストレッチや骨折後のリハビリテーション,コミュニケーションや共通意思決定の知識も整理しました。各論では,『上肢・頸部』の巻では上肢および頸部についての,最新であり王道の知識や技術を整理しました。今回の『下肢・腰部』の巻は,すべて各論で構成されており,足関節・膝関節・股関節といった下肢の部位に加え,腰部・仙腸関節部について解説しています。『上肢・頸部』の巻と同様に,最新であり王道の知識や技術を整理し,各部位の解説の最初には「全体像」と称して大局(big picture)をイメージしてもらうことを意識した項目を設定し,その後,より局所的に解説しています。すべてにおいて,正しい科学的根拠を土台にしつつ,経験豊富な理学療法士または作業療法士の経験を踏まえて執筆していただきました。
「卒後5年までにマスターすべき」と銘打っていますが,それは決して「若手向けの浅い知識」ではありません。理学療法士として一人前になる目安である5年までに知っておくべき重要な知識や技術に絞って紹介をしている,ということです。ですから,卒後5 年目以上の理学療法士が読んでも示唆に富む事柄が随所に存在する書籍に仕上がっています。
理学療法士の国家資格という根を得た皆さんが,本書で理学療法士としての幹を築き,いずれ大きな花を咲かせることを心より願っております。
『上肢・頸部』の巻と同様に,監修を引き受けていただきました寒川美奈先生,本書の発刊に向けて辛抱強くともに歩んでくださった髙橋祐太朗氏,小松朋寛氏に,この場を借りて厚く御礼を申し上げます。
2022年7月
三木貴弘
本書は,運動器障害理学療法のエビデンス構築に寄与する研究を国内外へ発信し続けている三木貴弘先生が,後輩理学療法士へのエールとして企画・編集いたしました。本書は,卒後5 年以下の若手理学療法士の皆様が,運動器障害に対する理学療法の評価や治療方法を理解できるように解説されています。また,最新の知見を盛り込みつつ非常に有益な情報が提供されています。
わが国の理学療法士は累計19 万人を超え(2021年度末時点),時代の変化やニーズに合わせて職域や活動の場を広げています。そのような背景から,理学療法の専門性もより細分化されてきています。2018 年には,約20 年振りに理学療法士養成の指定規則が変更されました。それに伴い,理学療法士の養成課程は養成校のカリキュラムや指導者要件,臨床実習方法に関して大きく変更されました。実習指導者は5 年以上の実務経験が必要となりましたが,三木先生や本書の著者の先生たちが卒後5 年以内に感じた自らの疑問や経験,知見を折り込みながら,卒後5 年以内に誰もが遭遇しやすく鑑別や判断に迷うような事例について広く取り上げられています。
また理学療法士の免許取得後は,日本理学療法士協会による新人教育プログラムや生涯学習制度(認定・専門理学療法士)などの卒後研修システムが整備されています。一方で,普段の臨床における評価や治療に関する個別的アプローチの必要性,エビデンスを基に標準化されたアプローチの重要性から,共通の知識や技術の学びは必要です。本書は,卒業直後から臨床現場において理学療法実践時の疑問や課題を自主的に学びつつ,解決していくことができるよう図や写真が多用され,わかりやすくまとめられていますので,本書を机上に置いて日々の臨床活動で役立てていただけたらと思います。
2022年6月
寒川美奈
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編集の序
「約1 万人」。この数字は,直近の5 年において1 年間で理学療法士が誕生した数です。そして2021 年までに,合計で約19 万人の理学療法士が誕生しています。直近10 年では約10 万人増えており,若い世代が大部分を占めるというある意味特殊な構成になっています。
本書は,年々増え続ける若い理学療法士を対象に,卒後5 年目までに必要な知識を整理するために企画しました。『上肢・頸部』の巻においては,総論でどの運動器疾患にも通じる必須の知識を中心に解説しました。例えば,どの部位でも疼痛という愁訴は上位にあがります。近年では,生物心理社会モデルに基づいた疼痛の解釈が必須であるため,そのことを踏まえて疼痛について解説しています。またエコーを含む画像所見,検査の解釈,そしてそれらを統合するための臨床推論の知識を整理しました。さらには,医療従事者として必要最低限の応急処置の知識,どの部位にも共通するストレッチや骨折後のリハビリテーション,コミュニケーションや共通意思決定の知識も整理しました。各論では,『上肢・頸部』の巻では上肢および頸部についての,最新であり王道の知識や技術を整理しました。今回の『下肢・腰部』の巻は,すべて各論で構成されており,足関節・膝関節・股関節といった下肢の部位に加え,腰部・仙腸関節部について解説しています。『上肢・頸部』の巻と同様に,最新であり王道の知識や技術を整理し,各部位の解説の最初には「全体像」と称して大局(big picture)をイメージしてもらうことを意識した項目を設定し,その後,より局所的に解説しています。すべてにおいて,正しい科学的根拠を土台にしつつ,経験豊富な理学療法士または作業療法士の経験を踏まえて執筆していただきました。
「卒後5年までにマスターすべき」と銘打っていますが,それは決して「若手向けの浅い知識」ではありません。理学療法士として一人前になる目安である5年までに知っておくべき重要な知識や技術に絞って紹介をしている,ということです。ですから,卒後5 年目以上の理学療法士が読んでも示唆に富む事柄が随所に存在する書籍に仕上がっています。
理学療法士の国家資格という根を得た皆さんが,本書で理学療法士としての幹を築き,いずれ大きな花を咲かせることを心より願っております。
『上肢・頸部』の巻と同様に,監修を引き受けていただきました寒川美奈先生,本書の発刊に向けて辛抱強くともに歩んでくださった髙橋祐太朗氏,小松朋寛氏に,この場を借りて厚く御礼を申し上げます。
2022年7月
三木貴弘
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目次
Ⅰ章 股関節
1 股関節痛の全体像 [日髙惠喜]
2 画像所見からわかること,予測すること [日髙惠喜]
3 股関節のROM制限の原因 [日髙惠喜]
4 股関節のROM制限の評価 [日髙惠喜]
5 股関節のROM制限への介入 [日髙惠喜]
6 股関節の不安定性の原因 [永井勇士郎]
7 股関節の不安定性の評価 [ 永井勇士郎]
8 股関節の不安定性の介入 [永井勇士郎]
9 股関節由来で下肢のしびれ症状がある場合の原因・評価および介入 [日髙惠喜]
10 股関節痛に対する手術の知識 [柴田寛幸]
11 股関節疾患(変形性股関節症/大腿骨近位部骨折)に対する術後介入 [柴田寛幸]
Ⅱ章 膝関節 [大路駿介]
1 膝関節傷害の全体像
2 画像評価からわかること
3 なぜ膝が痛くなるのか
4 膝の痛みの評価
5 膝前面の痛みの病態
6 膝前面の痛みの評価と治療
7 膝内側の痛みの病態
8 膝内側の痛みの評価と治療
9 膝外側の痛みの病態
10 膝外側の痛みの評価と治療
11 膝関節の屈曲ROM制限の病態
12 膝関節の屈曲ROM制限の評価と
13 膝関節の伸展ROM制限の病態
14 膝関節の伸展ROM制限の評価と
Ⅲ章 足関節
1 足関節傷害の全体像 [越野裕太]
2 足関節傷害における画像のみかた [越野裕太]
3 足関節骨折の病態 [越野裕太]
4 足関節骨折の評価・介入 [越野裕太]
5 アキレス腱断裂の病態・評価・介入 [越野裕太]
6 アキレス腱障害の病態・評価・介入 [石垣智恒,越野裕太]
7 足関節靱帯損傷の病態 [越野裕太]
8 足関節靱帯損傷の評価・介入 [越野裕太]
9 慢性足関節不安定症の病態・評価・介入 [越野裕太]
10 足関節背屈ROM制限が生じる原因と対策 [越野裕太]
11 足関節底屈ROM制限が生じる原因と対策 [越野裕太]
12 扁平足障害の病態 [奥貫拓実,越野裕太]
13 扁平足障害の評価・介入 [越野裕太,奥貫拓実]
Ⅳ章 腰部 [三木貴弘,渡邊勇太,近藤 湧]
1 腰痛の全体像
2 腰痛疾患における画像の所見の
3 生物心理社会モデルに基づいた腰痛の評価
4 腰椎椎間板ヘルニア(LDH)の病態
5 腰椎椎間板ヘルニア(LDH)の評価と介入
6 腰部脊柱管狭窄症(LCS)の病態および評価と介入
7 運動制御障害(motor control disorder)がある腰痛に対する評価・介入
8 運動制限がある腰痛に対する評価・介入
9 下肢痛を伴う腰痛患者に対する評価と介入
10 慢性腰痛に対するマネジメント
11 腰椎疾患に対する手術療法と術後理学療法
Ⅴ章 仙腸関節部 [伊藤一也]
1 仙腸関節障害の全体像
2 仙腸関節障害の病態
3 仙腸関節障害と他疾患との鑑別
4 骨盤帯のアライメントと触診
5 仙腸関節部の機能評価
6 仙腸関節障害に対する治療介入
1 股関節痛の全体像 [日髙惠喜]
2 画像所見からわかること,予測すること [日髙惠喜]
3 股関節のROM制限の原因 [日髙惠喜]
4 股関節のROM制限の評価 [日髙惠喜]
5 股関節のROM制限への介入 [日髙惠喜]
6 股関節の不安定性の原因 [永井勇士郎]
7 股関節の不安定性の評価 [ 永井勇士郎]
8 股関節の不安定性の介入 [永井勇士郎]
9 股関節由来で下肢のしびれ症状がある場合の原因・評価および介入 [日髙惠喜]
10 股関節痛に対する手術の知識 [柴田寛幸]
11 股関節疾患(変形性股関節症/大腿骨近位部骨折)に対する術後介入 [柴田寛幸]
Ⅱ章 膝関節 [大路駿介]
1 膝関節傷害の全体像
2 画像評価からわかること
3 なぜ膝が痛くなるのか
4 膝の痛みの評価
5 膝前面の痛みの病態
6 膝前面の痛みの評価と治療
7 膝内側の痛みの病態
8 膝内側の痛みの評価と治療
9 膝外側の痛みの病態
10 膝外側の痛みの評価と治療
11 膝関節の屈曲ROM制限の病態
12 膝関節の屈曲ROM制限の評価と
13 膝関節の伸展ROM制限の病態
14 膝関節の伸展ROM制限の評価と
Ⅲ章 足関節
1 足関節傷害の全体像 [越野裕太]
2 足関節傷害における画像のみかた [越野裕太]
3 足関節骨折の病態 [越野裕太]
4 足関節骨折の評価・介入 [越野裕太]
5 アキレス腱断裂の病態・評価・介入 [越野裕太]
6 アキレス腱障害の病態・評価・介入 [石垣智恒,越野裕太]
7 足関節靱帯損傷の病態 [越野裕太]
8 足関節靱帯損傷の評価・介入 [越野裕太]
9 慢性足関節不安定症の病態・評価・介入 [越野裕太]
10 足関節背屈ROM制限が生じる原因と対策 [越野裕太]
11 足関節底屈ROM制限が生じる原因と対策 [越野裕太]
12 扁平足障害の病態 [奥貫拓実,越野裕太]
13 扁平足障害の評価・介入 [越野裕太,奥貫拓実]
Ⅳ章 腰部 [三木貴弘,渡邊勇太,近藤 湧]
1 腰痛の全体像
2 腰痛疾患における画像の所見の
3 生物心理社会モデルに基づいた腰痛の評価
4 腰椎椎間板ヘルニア(LDH)の病態
5 腰椎椎間板ヘルニア(LDH)の評価と介入
6 腰部脊柱管狭窄症(LCS)の病態および評価と介入
7 運動制御障害(motor control disorder)がある腰痛に対する評価・介入
8 運動制限がある腰痛に対する評価・介入
9 下肢痛を伴う腰痛患者に対する評価と介入
10 慢性腰痛に対するマネジメント
11 腰椎疾患に対する手術療法と術後理学療法
Ⅴ章 仙腸関節部 [伊藤一也]
1 仙腸関節障害の全体像
2 仙腸関節障害の病態
3 仙腸関節障害と他疾患との鑑別
4 骨盤帯のアライメントと触診
5 仙腸関節部の機能評価
6 仙腸関節障害に対する治療介入
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卒後5年でマスターすべき運動器理学療法の評価から介入までが身につく!
卒後5年目までに習得しておくべき運動器障害理学療法の知識を,臨床経験豊富で学術的にも実績があるセラピストが指南。部位ごとに理学療法の全体像をフローチャートで示した上で,臨床で遭遇しやすく判断に迷う内容を取り上げ,思考過程やエビデンス,運動学・解剖学の知識を織り交ぜながら実践的に解説。評価手技,治療手技は実際の手順を写真付きで示し,さらに卒後5年にとどまらない内容も紹介する。