脳卒中片麻痺の基本動作分析
バイオメカニクスから考える動作パターン分類と治療法の選択
定価 5,940円(税込) (本体5,400円+税)
- B5判 232ページ オールカラー,イラスト150点,写真300点
- 2021年6月3日刊行
- ISBN978-4-7583-2015-3
電子版
序文
「臨床に役立つ動作分析」のはじめの一歩
「動作分析はどうしたら臨床の役に立つのか」,これは長年,動作分析に関わってきた筆者がずっと考えてきた疑問です。本書の著者である長田悠路氏がこの疑問に答えてくれました。長田氏は福岡県の誠愛リハビリテーション病院で9 年間,その後,静岡県の中伊豆リハビリテーションセンターで3 年間,理学療法士として勤務されました。どちらの施設にも三次元動作解析装置があり,長田氏は多くの患者さんの計測を行ってきた経験を活かしてこれまでに動作分析に関連した6 本の原著論文を書かれています。さらに2019 年6 月に神戸で開催された国際リハビリテーション医学会(ISPRM2019)では多くの発表の中から最優秀ポスター賞を受賞されました。このように長田氏は恵まれた環境で研究者としての実績を重ねてこられましたが,研究テーマはすべて臨床家としての視点に立ったものでした。本書は研究者と臨床家の両方の視点をもつ長田氏でなければ書けなかったもので,大きな2つの特徴があると思います。
1 つ目の特徴は動作分析による客観的な知識やデータから臨床に役立つ情報を取り出していることです。動作分析に限らず,一般的に研究者が求めているのは普遍的な結果であり,多くの患者さんに共通した情報です。これに対して臨床家が求めるのはそれぞれの患者さんに対する個別の情報です。本書が対象とする脳卒中片麻痺者の動作について,長田氏は本書の中で「安定性」「効率性」「(姿勢の)対称性」の3つの段階があると述べられています。これらの中で臨床家は「安定性」を重視する一方で,多くの研究で扱われるのは「効率性」と「対称性」です。研究者が「効率性」と「対称性」に着目する1つの理由は「安定性」に問題がある患者さんはばらつきが大きすぎて研究の対象になりにくいことがあります。本書の中で長田氏は臨床家の立場から「安定性」に関する記述に多くのページをさいて,通常の研究では扱わないようなデータを使ってできる限り客観的な説明を試みています。特に「第6 章 歩行」では,1,056 人を対象とした28,519 試行の歩行データの中から計測中に転倒しそうになった32 人(36 試行)を取り出して詳細に分析しています。このようなデータは世界的に見ても類を見ない非常に貴重なものであり,動作分析から臨床に役立つ情報をみごとに取り出したものと考えます。
もう1 つの特徴は動作分析から明らかになった問題点に対して治療法の案が提示されていることです。長田氏が書かれているようにこれらの治療法は経験に基づくもので十分なエビデンスがあるものではありません。ただ,今後,治療法についてエビデンスを積み重ねていくためには,このような提案が不可欠と考えます。本書で示されたフローチャートなどが読者のご意見を含めてより良いものを作っていくきっかけになればと思います。
このように本書には多くの有益な情報が掲載されています。特に多数掲載されているグラフについては,動作分析のデータを扱ったことがない方にとっては難しい内容かもしれません。その場合は,グラフについては読み飛ばしていただいても長田氏の言いたいことが伝わる内容になっていると思います。本書が,「臨床に役立つ動作分析」のはじめの一歩として活用されることを願っています。
2021年4月
国際医療福祉大学大学院 福祉支援工学分野 教授
山本澄子
-------------------------------------
臨床と研究の両者の視点によって書かれた待望の1冊
「脳卒中片麻痺の基本動作分析というタイトルの本を出版したい。ただし,著者は臨床と研究の両方の視点を持ち,オリジナリティのある内容が書ける人。誰かそういう人はいませんか?」。そんな無理難題ともいえる相談をメジカルビュー社の小松氏から受けた。「臨床と研究双方の視点ですか…,なかなか難しいですね」と答えた記憶がある。多くの場合,研究で明らかにしようとするのは最大公約数的な共通する原則のようなものであり,研究者の視点は脳卒中患者という括りで全体に向けられる。一方,臨床家が知りたいのは目の前の患者さんを良くするための有益な情報であり,どちらかというと患者の個別性に重きが置かれる。臨床と研究という両者の視点を併せ持つというのは難しい。
臨床と研究の両者の視点で,個別性のある患者の所見から問題の本質が何かを推論するための手掛かりを提示する。そのような書籍を執筆するためには,著者自身が高い臨床技術をもつセラピストであるというのが大前提になるし,論理的思考に基づく臨床推論とそれを可能にする鋭い観察力を持ち合わせ,膨大な数の臨床データを分析して仮説証明作業を行っている実績が必要となる。
そこで,私がピンと来たのは,この本の著者の長田氏だった。片麻痺患者の基本動作を長年にわたってオリジナルのデータで検証し,動作分析の視点から片麻痺患者の評価・治療を進めてこられた実績がある。ゆうに1,000 例を超える脳卒中患者のデータから,患者の個別性を加味して問題の本質を解き明かす研究を10 年以上にわたって行っている。臨床と研究双方の視点を持ち,臨床家に必要とされる知見を系統立てて,科学的に論述できる人物は,彼をおいて他にはいない。
三次元動作解析の手法を駆使し,脳卒中患者一人一人の動作を分析し,治療経過と照らし合わせて,問題の本質を明らかにしていくという臨床研究は,地道な根気のいる作業である。原因と結果の因果関係は,ただデータを見ただけではわからない。動作分析のデータを意味のある情報にするのは,容易いことではない。動作分析から得られるデータは,あまりにも情報量が多すぎるのである。目の前に重心移動の軌跡や,床反力,関節角度,関節モーメント,関節パワーなど,膨大な量のデータが並べられても,そこから何をどのように関連付ければ意味のある情報になるのかを推論しなければ,ただのデータとして埋もれてしまう。動作分析のデータは,それを分析する研究者の臨床的な視点が加味された時に,はじめて意味のある情報を与えてくれる。それが,動作分析の一番難しい部分なのだ。
長田氏はこの書籍の中で1,000 例を超える患者のデータを駆使し,臨床的な視点から原因と結果の因果関係を物の見事に解明している。豊富な臨床データが語る知見は,多くのセラピストの疑問や悩みを解決する道筋を示してくれるに違いない。
2021年4月
国際医療福祉大学大学院 福祉支援工学分野 教授
石井慎一郎
-------------------------------------
序文
バイオメカニクスに関する名著が既に多数存在する中,本書を出版する意義は以下の3 点である。
・片麻痺患者の基本動作を著者オリジナルのデータで検証している。
・動作分析の視点から片麻痺患者の評価・治療をフローチャートで提示している。
・著者の出会ってきた患者を例に,個別に分析した内容を具体的に紹介している。
片麻痺患者の評価と治療は複雑難解であり,漫然と関節可動域の治療・筋トレをした後,動作練習を繰り返し行う程度では患者は一向に良くならない。むしろそのような単純な方法では悪くなることもある。そのため,学生や若いセラピストは理解に苦しむことが多い。著者自身も働き始めたころには先輩の言っていることがさっぱりわからなかった。説明に用いられる用語(筋緊張,姿勢コントロール,体幹機能など)を教科書レベルでは理解できていても,その本質を理解するには年単位のトレーニングが必要である。「片麻痺患者の治療をするときは考えるより感じろ」などと指導する者もおり,その気持ちはわからなくもないが,初学者にとっては酷な話である。熱心に「学びたい」と思っている者には客観的かつ論理的な説明がなされるべきであり,わかりやすい概念に基づき,系統立てて解説する書籍が求められている。
本書はバイオメカニクスという視点から,脳卒中患者の動作とその治療方法を解説しているが,その背景には誠愛リハビリテーション病院の林 克樹先生と渕 雅子先生から学んだ片麻痺患者の評価と治療に対する考え方が色濃く活きている。執筆に際しては,単なるバイオメカニクス的な解説にとどまらないように配慮し,患者の動作分析から評価・治療へ導く方法をフローチャートで示した。これは片麻痺患者の評価・治療に対する具体的な思考過程を表出しなければ,臨床に活かせないバイオメカニクス(抽象的な机上の空論)になってしまうからである。フローチャートを作成するにあたり,出来るだけ客観的データを示しながら論理的に作成したつもりではあるが,当然全ての患者に当てはまるわけではない。個別性に執着すれば何もまとめることはできないし,全体性に執着すれば当たり前のことしか言えない。そのジレンマに悩まされながら「取り敢えずの考え方の手引き」として作成した。読者の中でより良い方法を見つけた方は本書に修正を書き加えながら活用していただきたい。
最後に,本書をまとめるにあたりご尽力いただいたメジカルビュー社の小松朋寛氏,北條智美氏に心から感謝申し上げる。また,私が混沌とした臨床でもがき苦しんでいた中,国際医療福祉大学大学院の山本澄子先生,石井慎一郎先生はバイオメカニクスという一筋の光を与えてくださった。ここに深謝の意を表する。加えて,今まで三次元動作解析装置による計測にご協力いただいた,誠愛リハビリテーション病院・中伊豆リハビリテーションセンターの皆様にも感謝申し上げる。そして,私に執筆の活力を与えてくれた,息子 琢路,娘 伊吹,妻 佑里絵に深い愛と感謝を捧げたい。
2021年4月
徳島文理大学 保健福祉学部 理学療法学科
長田悠路
「動作分析はどうしたら臨床の役に立つのか」,これは長年,動作分析に関わってきた筆者がずっと考えてきた疑問です。本書の著者である長田悠路氏がこの疑問に答えてくれました。長田氏は福岡県の誠愛リハビリテーション病院で9 年間,その後,静岡県の中伊豆リハビリテーションセンターで3 年間,理学療法士として勤務されました。どちらの施設にも三次元動作解析装置があり,長田氏は多くの患者さんの計測を行ってきた経験を活かしてこれまでに動作分析に関連した6 本の原著論文を書かれています。さらに2019 年6 月に神戸で開催された国際リハビリテーション医学会(ISPRM2019)では多くの発表の中から最優秀ポスター賞を受賞されました。このように長田氏は恵まれた環境で研究者としての実績を重ねてこられましたが,研究テーマはすべて臨床家としての視点に立ったものでした。本書は研究者と臨床家の両方の視点をもつ長田氏でなければ書けなかったもので,大きな2つの特徴があると思います。
1 つ目の特徴は動作分析による客観的な知識やデータから臨床に役立つ情報を取り出していることです。動作分析に限らず,一般的に研究者が求めているのは普遍的な結果であり,多くの患者さんに共通した情報です。これに対して臨床家が求めるのはそれぞれの患者さんに対する個別の情報です。本書が対象とする脳卒中片麻痺者の動作について,長田氏は本書の中で「安定性」「効率性」「(姿勢の)対称性」の3つの段階があると述べられています。これらの中で臨床家は「安定性」を重視する一方で,多くの研究で扱われるのは「効率性」と「対称性」です。研究者が「効率性」と「対称性」に着目する1つの理由は「安定性」に問題がある患者さんはばらつきが大きすぎて研究の対象になりにくいことがあります。本書の中で長田氏は臨床家の立場から「安定性」に関する記述に多くのページをさいて,通常の研究では扱わないようなデータを使ってできる限り客観的な説明を試みています。特に「第6 章 歩行」では,1,056 人を対象とした28,519 試行の歩行データの中から計測中に転倒しそうになった32 人(36 試行)を取り出して詳細に分析しています。このようなデータは世界的に見ても類を見ない非常に貴重なものであり,動作分析から臨床に役立つ情報をみごとに取り出したものと考えます。
もう1 つの特徴は動作分析から明らかになった問題点に対して治療法の案が提示されていることです。長田氏が書かれているようにこれらの治療法は経験に基づくもので十分なエビデンスがあるものではありません。ただ,今後,治療法についてエビデンスを積み重ねていくためには,このような提案が不可欠と考えます。本書で示されたフローチャートなどが読者のご意見を含めてより良いものを作っていくきっかけになればと思います。
このように本書には多くの有益な情報が掲載されています。特に多数掲載されているグラフについては,動作分析のデータを扱ったことがない方にとっては難しい内容かもしれません。その場合は,グラフについては読み飛ばしていただいても長田氏の言いたいことが伝わる内容になっていると思います。本書が,「臨床に役立つ動作分析」のはじめの一歩として活用されることを願っています。
2021年4月
国際医療福祉大学大学院 福祉支援工学分野 教授
山本澄子
-------------------------------------
臨床と研究の両者の視点によって書かれた待望の1冊
「脳卒中片麻痺の基本動作分析というタイトルの本を出版したい。ただし,著者は臨床と研究の両方の視点を持ち,オリジナリティのある内容が書ける人。誰かそういう人はいませんか?」。そんな無理難題ともいえる相談をメジカルビュー社の小松氏から受けた。「臨床と研究双方の視点ですか…,なかなか難しいですね」と答えた記憶がある。多くの場合,研究で明らかにしようとするのは最大公約数的な共通する原則のようなものであり,研究者の視点は脳卒中患者という括りで全体に向けられる。一方,臨床家が知りたいのは目の前の患者さんを良くするための有益な情報であり,どちらかというと患者の個別性に重きが置かれる。臨床と研究という両者の視点を併せ持つというのは難しい。
臨床と研究の両者の視点で,個別性のある患者の所見から問題の本質が何かを推論するための手掛かりを提示する。そのような書籍を執筆するためには,著者自身が高い臨床技術をもつセラピストであるというのが大前提になるし,論理的思考に基づく臨床推論とそれを可能にする鋭い観察力を持ち合わせ,膨大な数の臨床データを分析して仮説証明作業を行っている実績が必要となる。
そこで,私がピンと来たのは,この本の著者の長田氏だった。片麻痺患者の基本動作を長年にわたってオリジナルのデータで検証し,動作分析の視点から片麻痺患者の評価・治療を進めてこられた実績がある。ゆうに1,000 例を超える脳卒中患者のデータから,患者の個別性を加味して問題の本質を解き明かす研究を10 年以上にわたって行っている。臨床と研究双方の視点を持ち,臨床家に必要とされる知見を系統立てて,科学的に論述できる人物は,彼をおいて他にはいない。
三次元動作解析の手法を駆使し,脳卒中患者一人一人の動作を分析し,治療経過と照らし合わせて,問題の本質を明らかにしていくという臨床研究は,地道な根気のいる作業である。原因と結果の因果関係は,ただデータを見ただけではわからない。動作分析のデータを意味のある情報にするのは,容易いことではない。動作分析から得られるデータは,あまりにも情報量が多すぎるのである。目の前に重心移動の軌跡や,床反力,関節角度,関節モーメント,関節パワーなど,膨大な量のデータが並べられても,そこから何をどのように関連付ければ意味のある情報になるのかを推論しなければ,ただのデータとして埋もれてしまう。動作分析のデータは,それを分析する研究者の臨床的な視点が加味された時に,はじめて意味のある情報を与えてくれる。それが,動作分析の一番難しい部分なのだ。
長田氏はこの書籍の中で1,000 例を超える患者のデータを駆使し,臨床的な視点から原因と結果の因果関係を物の見事に解明している。豊富な臨床データが語る知見は,多くのセラピストの疑問や悩みを解決する道筋を示してくれるに違いない。
2021年4月
国際医療福祉大学大学院 福祉支援工学分野 教授
石井慎一郎
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序文
バイオメカニクスに関する名著が既に多数存在する中,本書を出版する意義は以下の3 点である。
・片麻痺患者の基本動作を著者オリジナルのデータで検証している。
・動作分析の視点から片麻痺患者の評価・治療をフローチャートで提示している。
・著者の出会ってきた患者を例に,個別に分析した内容を具体的に紹介している。
片麻痺患者の評価と治療は複雑難解であり,漫然と関節可動域の治療・筋トレをした後,動作練習を繰り返し行う程度では患者は一向に良くならない。むしろそのような単純な方法では悪くなることもある。そのため,学生や若いセラピストは理解に苦しむことが多い。著者自身も働き始めたころには先輩の言っていることがさっぱりわからなかった。説明に用いられる用語(筋緊張,姿勢コントロール,体幹機能など)を教科書レベルでは理解できていても,その本質を理解するには年単位のトレーニングが必要である。「片麻痺患者の治療をするときは考えるより感じろ」などと指導する者もおり,その気持ちはわからなくもないが,初学者にとっては酷な話である。熱心に「学びたい」と思っている者には客観的かつ論理的な説明がなされるべきであり,わかりやすい概念に基づき,系統立てて解説する書籍が求められている。
本書はバイオメカニクスという視点から,脳卒中患者の動作とその治療方法を解説しているが,その背景には誠愛リハビリテーション病院の林 克樹先生と渕 雅子先生から学んだ片麻痺患者の評価と治療に対する考え方が色濃く活きている。執筆に際しては,単なるバイオメカニクス的な解説にとどまらないように配慮し,患者の動作分析から評価・治療へ導く方法をフローチャートで示した。これは片麻痺患者の評価・治療に対する具体的な思考過程を表出しなければ,臨床に活かせないバイオメカニクス(抽象的な机上の空論)になってしまうからである。フローチャートを作成するにあたり,出来るだけ客観的データを示しながら論理的に作成したつもりではあるが,当然全ての患者に当てはまるわけではない。個別性に執着すれば何もまとめることはできないし,全体性に執着すれば当たり前のことしか言えない。そのジレンマに悩まされながら「取り敢えずの考え方の手引き」として作成した。読者の中でより良い方法を見つけた方は本書に修正を書き加えながら活用していただきたい。
最後に,本書をまとめるにあたりご尽力いただいたメジカルビュー社の小松朋寛氏,北條智美氏に心から感謝申し上げる。また,私が混沌とした臨床でもがき苦しんでいた中,国際医療福祉大学大学院の山本澄子先生,石井慎一郎先生はバイオメカニクスという一筋の光を与えてくださった。ここに深謝の意を表する。加えて,今まで三次元動作解析装置による計測にご協力いただいた,誠愛リハビリテーション病院・中伊豆リハビリテーションセンターの皆様にも感謝申し上げる。そして,私に執筆の活力を与えてくれた,息子 琢路,娘 伊吹,妻 佑里絵に深い愛と感謝を捧げたい。
2021年4月
徳島文理大学 保健福祉学部 理学療法学科
長田悠路
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目次
第1章 力学の基礎とバイオメカニクス
1 力学,運動学,バイオメカニクス,何が違うの?
バイオメカニクスという学問の位置づけ 2
2 運動学・運動力学を学ぶ前に養っておきたい直感(基礎)
次元と座標
質点と剛体
重心とは何か
力とは何か
床反力とは何か
グラフの見方
3 バイオメカニクスを学ぶために必要な運動学的・運動力学的知識(応用)
動くために必要な重心と床反力の関係(上下移動)
動くために必要な重心と床反力の関係(水平移動)
関節モーメント(基礎)
第2章 何から評価してどう治療に結びつけるか
1 片麻痺患者の評価指標のピックアップから治療までの着眼点
バイオメカニクスの評価指標
動作の分析から治療までの思考回路
2 患者の動作分析を行うための準備とコツ
臨床での動作観察・分析
患者の身体の動きが見えやすい服装にする
関節にマーキングする
全体的な特徴をとらえる
観察肢を決める
3 患者姿勢の描画方法
基本的な描き方
描き方の具体例
第3章 寝返り動作
1 寝返り動作分析の着眼点
寝返り動作の特徴
環境を含めた動作分析
2 寝返り動作のバイオメカニクス
寝返るために必要な2つの動作戦略
3 寝返り動作の相分けと着目すべきポイント
2つの力学的戦略と運動連鎖に着目する
4 片麻痺患者の寝返り動作の特徴
寝返りに必要な体幹の適切な剛体化
寝返りを阻む過度な力学的安定状態
5 片麻痺患者の寝返り動作を観察する際のポイント
寝返り動作で着目すべきポイント
6 片麻痺患者の寝返り動作の異常パターンとその問題点
頭部や足どころか,麻痺側の肩甲骨すらも持ち上げられず寝返ることができない
麻痺側の肩甲骨は持ち上げられるが,頭部を屈曲回旋させることができずに寝返ることができない
肩甲骨も頭部も持ち上げて上部体幹を回旋させることができるが,骨盤を回転させることができないため寝返ることができない
第4章 起き上がり動作
1 起き上がり動作分析の着眼点
起き上がり動作の特徴
2 起き上がり動作のバイオメカニクス
起き上がり動作をモデル化して考える
3 起き上がり動作の相分けと着目すべきポイント
第1相:背中が底面になっている相(背臥位相)
第2相:上腕が底面になっている相(上腕支持相)
第3相:前腕が底面になっている相(前腕支持相)
第4相:手掌が底面になっている相(手掌支持相)
第5相:殿部が底面になっている相(殿部支持相)
相別に見た健常者と片麻痺患者の重心位置変化の違い
4 片麻痺患者の起き上がり動作の特徴
手すりに依存する片麻痺患者
5 片麻痺患者の起き上がり動作を観察する際のポイント
片麻痺患者によくみられる誤った動作方法
6 片麻痺患者の起き上がり動作の異常パターンとその問題点
on elbow になれず起き上がることができない
on hand になれず起き上がることができない
第5章 起立動作
1 起立動作分析の着眼点
離殿を分析することの必要性
2 起立動作のバイオメカニクス
起立動作の全体的な流れ
離殿
重心の上方移動
3 起立動作の相分けと着目すべきポイント
起立動作の相分け
4 片麻痺患者の起立動作の特徴
片麻痺患者の起立動作
5 片麻痺患者の起立動作を観察する際のポイント
第1相(動き始め〜離殿)
第2相(離殿〜足関節最大背屈)
第3相(足関節最大背屈〜股関節伸展終了)
6 片麻痺患者の起立動作の異常パターンとその問題点
そもそも離殿ができない患者
離殿はできるがその後で後ろに倒れ込んでしまう(尻もちをつく)患者
動作に時間がかかり努力的である患者
7 生活に合わせた応用的な起立動作(座位から歩く動作)
立ちながら歩く
第6章 歩行
1 歩行分析の着眼点
歩行の目的と分析のポイント
2 正常歩行のバイオメカニクス
歩行と振り子モデル
歩行を矢状面から考える
歩行を前額面から考える
3 歩行の相分けと着目すべきポイント
歩行分類
ランチョ・ロス・アミーゴ方式の分類
4 片麻痺患者の歩行の特徴
矢状面の特徴
前額面の特徴
5 片麻痺患者の歩行を観察する際のポイント
ロッカーファンクションを確認する
足・膝・股・体幹・頭・手の順に観察する
分析シートに記入する
6 安定性を重視する段階の患者
転倒因子のコントロール
歩行と重心の軌跡
歩行分析に必要な「速度」という視点
7 片麻痺患者が転倒する方向
転倒パターンを解析したデータ内容
7つの転倒パターン
8 転倒パターン①:継ぎ足型の分析
継ぎ足型の転倒メカニズムの要約
症例情報
転倒の原因①:重心位置
転倒の原因②:足部の接地位置
転倒の原因③:麻痺側股関節の内転
転倒の原因④:麻痺側の歩幅拡大による上部体幹の屈曲
継ぎ足型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
9 転倒パターン②:引っかかり型の分析
引っかかり型の転倒メカニズムの要約
引っかかり型の特徴
症例情報
引っかかり型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
10 転倒パターン③:膝折れ型の分析
膝折れ型の転倒メカニズムの要約
膝折れ型の特徴
症例情報
膝折れ型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
11 転倒パターン④:麻痺側流れ型の分析
麻痺側流れ型の転倒メカニズムの要約
麻痺側流れ型の特徴
症例情報
麻痺側流れ型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
12 転倒パターン⑤:屈曲型の分析
屈曲型の転倒メカニズムの要約
症例情報
屈曲型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
13 転倒パターン⑥:逆戻り型の分析
逆戻り型の転倒メカニズムの要約
逆戻り型の特徴
逆戻り型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
14 転倒パターン⑦:失調型の分析
失調型の転倒メカニズムの要約
症例情報
失調型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
15 歩行の自立判定
歩行自立判定の指標
16 効率性を重視する段階の患者
歩行の効率性を評価する指標
17 美しさ(対称性)を重視する段階の患者
歩行の対称性を評価する指標
1 力学,運動学,バイオメカニクス,何が違うの?
バイオメカニクスという学問の位置づけ 2
2 運動学・運動力学を学ぶ前に養っておきたい直感(基礎)
次元と座標
質点と剛体
重心とは何か
力とは何か
床反力とは何か
グラフの見方
3 バイオメカニクスを学ぶために必要な運動学的・運動力学的知識(応用)
動くために必要な重心と床反力の関係(上下移動)
動くために必要な重心と床反力の関係(水平移動)
関節モーメント(基礎)
第2章 何から評価してどう治療に結びつけるか
1 片麻痺患者の評価指標のピックアップから治療までの着眼点
バイオメカニクスの評価指標
動作の分析から治療までの思考回路
2 患者の動作分析を行うための準備とコツ
臨床での動作観察・分析
患者の身体の動きが見えやすい服装にする
関節にマーキングする
全体的な特徴をとらえる
観察肢を決める
3 患者姿勢の描画方法
基本的な描き方
描き方の具体例
第3章 寝返り動作
1 寝返り動作分析の着眼点
寝返り動作の特徴
環境を含めた動作分析
2 寝返り動作のバイオメカニクス
寝返るために必要な2つの動作戦略
3 寝返り動作の相分けと着目すべきポイント
2つの力学的戦略と運動連鎖に着目する
4 片麻痺患者の寝返り動作の特徴
寝返りに必要な体幹の適切な剛体化
寝返りを阻む過度な力学的安定状態
5 片麻痺患者の寝返り動作を観察する際のポイント
寝返り動作で着目すべきポイント
6 片麻痺患者の寝返り動作の異常パターンとその問題点
頭部や足どころか,麻痺側の肩甲骨すらも持ち上げられず寝返ることができない
麻痺側の肩甲骨は持ち上げられるが,頭部を屈曲回旋させることができずに寝返ることができない
肩甲骨も頭部も持ち上げて上部体幹を回旋させることができるが,骨盤を回転させることができないため寝返ることができない
第4章 起き上がり動作
1 起き上がり動作分析の着眼点
起き上がり動作の特徴
2 起き上がり動作のバイオメカニクス
起き上がり動作をモデル化して考える
3 起き上がり動作の相分けと着目すべきポイント
第1相:背中が底面になっている相(背臥位相)
第2相:上腕が底面になっている相(上腕支持相)
第3相:前腕が底面になっている相(前腕支持相)
第4相:手掌が底面になっている相(手掌支持相)
第5相:殿部が底面になっている相(殿部支持相)
相別に見た健常者と片麻痺患者の重心位置変化の違い
4 片麻痺患者の起き上がり動作の特徴
手すりに依存する片麻痺患者
5 片麻痺患者の起き上がり動作を観察する際のポイント
片麻痺患者によくみられる誤った動作方法
6 片麻痺患者の起き上がり動作の異常パターンとその問題点
on elbow になれず起き上がることができない
on hand になれず起き上がることができない
第5章 起立動作
1 起立動作分析の着眼点
離殿を分析することの必要性
2 起立動作のバイオメカニクス
起立動作の全体的な流れ
離殿
重心の上方移動
3 起立動作の相分けと着目すべきポイント
起立動作の相分け
4 片麻痺患者の起立動作の特徴
片麻痺患者の起立動作
5 片麻痺患者の起立動作を観察する際のポイント
第1相(動き始め〜離殿)
第2相(離殿〜足関節最大背屈)
第3相(足関節最大背屈〜股関節伸展終了)
6 片麻痺患者の起立動作の異常パターンとその問題点
そもそも離殿ができない患者
離殿はできるがその後で後ろに倒れ込んでしまう(尻もちをつく)患者
動作に時間がかかり努力的である患者
7 生活に合わせた応用的な起立動作(座位から歩く動作)
立ちながら歩く
第6章 歩行
1 歩行分析の着眼点
歩行の目的と分析のポイント
2 正常歩行のバイオメカニクス
歩行と振り子モデル
歩行を矢状面から考える
歩行を前額面から考える
3 歩行の相分けと着目すべきポイント
歩行分類
ランチョ・ロス・アミーゴ方式の分類
4 片麻痺患者の歩行の特徴
矢状面の特徴
前額面の特徴
5 片麻痺患者の歩行を観察する際のポイント
ロッカーファンクションを確認する
足・膝・股・体幹・頭・手の順に観察する
分析シートに記入する
6 安定性を重視する段階の患者
転倒因子のコントロール
歩行と重心の軌跡
歩行分析に必要な「速度」という視点
7 片麻痺患者が転倒する方向
転倒パターンを解析したデータ内容
7つの転倒パターン
8 転倒パターン①:継ぎ足型の分析
継ぎ足型の転倒メカニズムの要約
症例情報
転倒の原因①:重心位置
転倒の原因②:足部の接地位置
転倒の原因③:麻痺側股関節の内転
転倒の原因④:麻痺側の歩幅拡大による上部体幹の屈曲
継ぎ足型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
9 転倒パターン②:引っかかり型の分析
引っかかり型の転倒メカニズムの要約
引っかかり型の特徴
症例情報
引っかかり型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
10 転倒パターン③:膝折れ型の分析
膝折れ型の転倒メカニズムの要約
膝折れ型の特徴
症例情報
膝折れ型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
11 転倒パターン④:麻痺側流れ型の分析
麻痺側流れ型の転倒メカニズムの要約
麻痺側流れ型の特徴
症例情報
麻痺側流れ型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
12 転倒パターン⑤:屈曲型の分析
屈曲型の転倒メカニズムの要約
症例情報
屈曲型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
13 転倒パターン⑥:逆戻り型の分析
逆戻り型の転倒メカニズムの要約
逆戻り型の特徴
逆戻り型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
14 転倒パターン⑦:失調型の分析
失調型の転倒メカニズムの要約
症例情報
失調型の転倒パターンを示す患者の治療ポイント
15 歩行の自立判定
歩行自立判定の指標
16 効率性を重視する段階の患者
歩行の効率性を評価する指標
17 美しさ(対称性)を重視する段階の患者
歩行の対称性を評価する指標
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脳卒中片麻痺患者の基本動作をバイオメカニクスの観点から学んで治療につなげよう!
脳卒中片麻痺患者の動作分析と治療法について,「寝返り」「起き上がり」「起立」「歩行」等の基本動作をバイオメカニクスの観点から解説。動作分析の視点から提示する評価・治療のフローチャートによって,臨床の場で動作をどのように解釈し,治療につなげるかを具体的に学ぶことができる。