Crosslink 理学療法学テキスト
運動器障害理学療法学
定価 7,150円(税込) (本体6,500円+税)
- B5判 692ページ オールカラー,イラスト600点,写真1300点
- 2020年12月3日刊行
- ISBN978-4-7583-2001-6
電子版
序文
編集の序
1965 年(昭和40 年)に理学療法士及び作業療法士法が制定され,翌年,日本で初の理学療法士が183 名誕生した。それから半世紀が過ぎ,その数は10 万人を超えている。理学療法士を取り巻く環境は,数だけではなく,2007 年に超高齢社会に突入したわが国においては,毎年のように医療費削減,診療報酬の切り下げが国会で議論され,国は根拠のある理学療法,質の高い理学療法を強く求めてきている。社会の理学療法に対するニーズも多様化し,加速度的に変化する社会に対し,常に新しい知識と技術を身につけ,1 人1 人の理学療法士が質の高い医療を目指して変革していくことが求められている。つまり,根拠のない不透明な「とりあえずの理学療法」では,これから先の未来はない。まさに今後は,臨床現場で結果の出せる理学療法士の養成が求められている。結果を出すためには高い技術が求められるが,技術が一流の理学療法士は,臨床思考も一流と言われる。つまり,より高いレベルの技術を目指すのであれば,自身の臨床思考を磨くことが必要である。臨床思考を磨くためには,学問と臨床の橋渡し(リンク)が不可欠である。
こうしたコンセプトのもと『Crosslink 理学療法学テキストシリーズ』は刊行された。その具体的コンセプトは,「基礎科目とのリンク」,「臨床とのリンク」,「エビデンスとのリンク」,「国家試験等とのリンク」である。そのため,『運動器障害理学療法学』は,①運動器障害に関連する基礎科目である整形外科疾患の症状や病態を深く理解し,理学療法評価,治療にリンクさせながら学べる構成,②臨床現場で求められる実践的知識・技術にリンクできるよう運動学,機能解剖学の視点を十二分に取り入れた構成,③臨床現場で多く対峙する疾患を選び,1 疾患を詳しく丁寧に解説し,各疾患のガイドラインにもとづきエビデンスにリンクしながら,最近のトピックスも多数取り入れた構成,④国家試験等に向けた知識の整理にリンクできるよう各項目の終わりに重要事項を箇条書きで整理する構成で企画された。この他にも「用語解説」,「実践!! 臨床に役立つアドバイス」,「補足」,「基礎へのフィードバック」などの囲み記事を随所に掲載し,理解を助ける工夫がなされている。
本テキストは,各疾患領域の最前線で活躍している臨床経験豊富なスペシャリストの先生方に執筆頂き,理学療法士を目指す学生から新人5 年目程度までの理学療法士が活用できる内容となっている。是非,未来の運動器理学療法を切り拓いていく,皆さんの座右の書の一つとしてご活用頂ければ幸いである。
2020年10月
加藤 浩
1965 年(昭和40 年)に理学療法士及び作業療法士法が制定され,翌年,日本で初の理学療法士が183 名誕生した。それから半世紀が過ぎ,その数は10 万人を超えている。理学療法士を取り巻く環境は,数だけではなく,2007 年に超高齢社会に突入したわが国においては,毎年のように医療費削減,診療報酬の切り下げが国会で議論され,国は根拠のある理学療法,質の高い理学療法を強く求めてきている。社会の理学療法に対するニーズも多様化し,加速度的に変化する社会に対し,常に新しい知識と技術を身につけ,1 人1 人の理学療法士が質の高い医療を目指して変革していくことが求められている。つまり,根拠のない不透明な「とりあえずの理学療法」では,これから先の未来はない。まさに今後は,臨床現場で結果の出せる理学療法士の養成が求められている。結果を出すためには高い技術が求められるが,技術が一流の理学療法士は,臨床思考も一流と言われる。つまり,より高いレベルの技術を目指すのであれば,自身の臨床思考を磨くことが必要である。臨床思考を磨くためには,学問と臨床の橋渡し(リンク)が不可欠である。
こうしたコンセプトのもと『Crosslink 理学療法学テキストシリーズ』は刊行された。その具体的コンセプトは,「基礎科目とのリンク」,「臨床とのリンク」,「エビデンスとのリンク」,「国家試験等とのリンク」である。そのため,『運動器障害理学療法学』は,①運動器障害に関連する基礎科目である整形外科疾患の症状や病態を深く理解し,理学療法評価,治療にリンクさせながら学べる構成,②臨床現場で求められる実践的知識・技術にリンクできるよう運動学,機能解剖学の視点を十二分に取り入れた構成,③臨床現場で多く対峙する疾患を選び,1 疾患を詳しく丁寧に解説し,各疾患のガイドラインにもとづきエビデンスにリンクしながら,最近のトピックスも多数取り入れた構成,④国家試験等に向けた知識の整理にリンクできるよう各項目の終わりに重要事項を箇条書きで整理する構成で企画された。この他にも「用語解説」,「実践!! 臨床に役立つアドバイス」,「補足」,「基礎へのフィードバック」などの囲み記事を随所に掲載し,理解を助ける工夫がなされている。
本テキストは,各疾患領域の最前線で活躍している臨床経験豊富なスペシャリストの先生方に執筆頂き,理学療法士を目指す学生から新人5 年目程度までの理学療法士が活用できる内容となっている。是非,未来の運動器理学療法を切り拓いていく,皆さんの座右の書の一つとしてご活用頂ければ幸いである。
2020年10月
加藤 浩
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目次
第 1 章 総論
【1】 運動器障害理学療法とは 木藤伸宏
1 運動器とは
2 運動器障害理学療法の考え方
3 運動器障害理学療法の実際
まとめ
【2】 組織修復・治癒過程総論
1 骨格筋組織 国分貴徳
2 腱組織
3 靱帯組織
4 骨 金村尚彦
5 関節軟骨
6 末梢神経
7 皮膚
まとめ
【3】 骨折・脱臼総論 山本良平
1 骨折
2 脱臼
まとめ
第 2 章 各論
【1】 上肢(上肢帯)の骨折 二宮省悟
1 疾患の概要
2 評価と治療
まとめ
【2】 大腿骨骨折 浅野昭裕
1 大腿骨骨折の概要
2 理学療法評価
3 理学療法プログラム
まとめ
【3】 膝・下腿骨骨折 森山英樹
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 理学療法・ 装具療法プログラム
まとめ
【4】 変形性股関節症 加藤 浩
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 保存理学療法プログラム
4 THA術後理学療法プログラム
まとめ
【5】 変形性膝関節症 阿南雅也
1 疾患の概要
2 治療の種類と特徴
3 理学療法評価
4 保存理学療法プログラム
5 TKA術後理学療法プログラム
まとめ
【6】 肩関節疾患
【6 -1】 肩関節周囲炎 三浦雄一郎
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 保存理学療法プログラム
4 術後理学療法プログラム
【6 -2】 腱板断裂 西川仁史
1 疾患の概要・理学療法評価・治療
【6 -3】 非外傷性不安定症 三浦雄一郎
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 保存理学療法・装具療法プログラム
4 術後理学療法・装具療法プログラム
まとめ
【7】 腰部・脊椎疾患 隈元庸夫
1 疾患の概要
2 術式の種類と特徴
3 理学療法評価
4 理学療法プログラム
まとめ
【8】 膝靱帯・半月板損傷 吉田昌平, 川口浩太郎
1 疾患の概要
2 膝靱帯損傷・半月板損傷に対する手術療法の種類と特徴
3 理学療法評価
4 理学療法プログラム
まとめ
【9】 足部・足関節疾患 加賀谷善教
【9 -1】 足関節捻挫
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 理学療法・装具療法プログラム
【9 -2】 後脛骨筋機能不全
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 理学療法・装具療法プログラム
【9 -3】 アキレス腱断裂
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 理学療法・装具療法プログラム
【9 -4】 足関節果部骨折
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 理学療法・装具療法プログラム
【9 -5】 踵骨骨折
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 理学療法・装具療法プログラム
まとめ
【10】 関節リウマチ 高山正伸
1 疾患の概要
2 治療の種類と特徴
3 理学療法評価
4 理学療法プログラム
まとめ
【11】 運動器不安定症・運動器症候群(ロコモティブシンドローム) 田中 聡, 佐藤勇太
【11 -1】 運動器不安定症
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 理学療法プログラム
【11 -2】 運動器症候群(ロコモティブシンドローム)
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 理学療法プログラム
まとめ
症例集
橈骨遠位端骨折(Colles骨折) 二宮省悟
大腿骨顆部骨折 浅野昭裕
膝・下腿骨骨折 森山英樹
変形性股関節症 加藤 浩
変形性膝関節症 阿南雅也, 城内若菜
肩関節周囲炎 三浦雄一郎
非特異的腰痛 隈元庸夫
膝関節疾患 吉田昌平, 川口浩太郎
足関節捻挫 加賀谷善教
運動器症候群 田中 聡, 佐藤勇太
【1】 運動器障害理学療法とは 木藤伸宏
1 運動器とは
2 運動器障害理学療法の考え方
3 運動器障害理学療法の実際
まとめ
【2】 組織修復・治癒過程総論
1 骨格筋組織 国分貴徳
2 腱組織
3 靱帯組織
4 骨 金村尚彦
5 関節軟骨
6 末梢神経
7 皮膚
まとめ
【3】 骨折・脱臼総論 山本良平
1 骨折
2 脱臼
まとめ
第 2 章 各論
【1】 上肢(上肢帯)の骨折 二宮省悟
1 疾患の概要
2 評価と治療
まとめ
【2】 大腿骨骨折 浅野昭裕
1 大腿骨骨折の概要
2 理学療法評価
3 理学療法プログラム
まとめ
【3】 膝・下腿骨骨折 森山英樹
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 理学療法・ 装具療法プログラム
まとめ
【4】 変形性股関節症 加藤 浩
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 保存理学療法プログラム
4 THA術後理学療法プログラム
まとめ
【5】 変形性膝関節症 阿南雅也
1 疾患の概要
2 治療の種類と特徴
3 理学療法評価
4 保存理学療法プログラム
5 TKA術後理学療法プログラム
まとめ
【6】 肩関節疾患
【6 -1】 肩関節周囲炎 三浦雄一郎
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 保存理学療法プログラム
4 術後理学療法プログラム
【6 -2】 腱板断裂 西川仁史
1 疾患の概要・理学療法評価・治療
【6 -3】 非外傷性不安定症 三浦雄一郎
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 保存理学療法・装具療法プログラム
4 術後理学療法・装具療法プログラム
まとめ
【7】 腰部・脊椎疾患 隈元庸夫
1 疾患の概要
2 術式の種類と特徴
3 理学療法評価
4 理学療法プログラム
まとめ
【8】 膝靱帯・半月板損傷 吉田昌平, 川口浩太郎
1 疾患の概要
2 膝靱帯損傷・半月板損傷に対する手術療法の種類と特徴
3 理学療法評価
4 理学療法プログラム
まとめ
【9】 足部・足関節疾患 加賀谷善教
【9 -1】 足関節捻挫
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 理学療法・装具療法プログラム
【9 -2】 後脛骨筋機能不全
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 理学療法・装具療法プログラム
【9 -3】 アキレス腱断裂
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 理学療法・装具療法プログラム
【9 -4】 足関節果部骨折
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 理学療法・装具療法プログラム
【9 -5】 踵骨骨折
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 理学療法・装具療法プログラム
まとめ
【10】 関節リウマチ 高山正伸
1 疾患の概要
2 治療の種類と特徴
3 理学療法評価
4 理学療法プログラム
まとめ
【11】 運動器不安定症・運動器症候群(ロコモティブシンドローム) 田中 聡, 佐藤勇太
【11 -1】 運動器不安定症
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 理学療法プログラム
【11 -2】 運動器症候群(ロコモティブシンドローム)
1 疾患の概要
2 理学療法評価
3 理学療法プログラム
まとめ
症例集
橈骨遠位端骨折(Colles骨折) 二宮省悟
大腿骨顆部骨折 浅野昭裕
膝・下腿骨骨折 森山英樹
変形性股関節症 加藤 浩
変形性膝関節症 阿南雅也, 城内若菜
肩関節周囲炎 三浦雄一郎
非特異的腰痛 隈元庸夫
膝関節疾患 吉田昌平, 川口浩太郎
足関節捻挫 加賀谷善教
運動器症候群 田中 聡, 佐藤勇太
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理学療法学専門科目に対応したテキストシリーズ。
第1章「総論」では,運動器に対する理学療法の全体像から,運動器を構成する各組織の構造と,損傷からの修復・治癒過程などについてまとめ,第2章「各論」では,理学療法士が臨床で多く遭遇する身体各部位の運動器疾患である「上肢・下肢の骨折」,「股関節・膝関節の変形性関節症」,「肩関節,脊椎・腰部,膝関節,足部・足関節の各疾患」,「関節リウマチ,ロコモ」について深く学べる構成で,運動学や機能解剖学に基づき,各疾患について概要から理学療法プログラムまで多数の図版を用いて詳しく解説している。