がん治療医が本当に知りたかった
緩和ケアのレシピ
定価 3,960円(税込) (本体3,600円+税)
- B6変型判 340ページ 2色(一部カラー)
- 2020年9月19日刊行
- ISBN978-4-7583-1810-5
電子版
序文
監修の序
わが国は現在、2人に1人はがんに罹患し、3人に1人はがんで死亡する時代であるといわれている。近年、がん医療、特に薬物療法の発展は目覚ましく、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の開発により、長期生存する症例が増えてきた。しかし、多くの患者が再発し、命が奪われているのも事実である。その治療・経過の過程において、身体的苦痛、精神的な苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルな苦痛に患者のみならず家族も悩まされており、緩和ケアの重要性が認識される。
筆者が医師になった1990年代は、診断・治療・看取りまでのすべてを主治医が実施し、それが当たり前の時代であった。淀川キリスト教病院や聖隷三方原病院のホスピスなど、有名な施設は存在していたものの、がん患者の多くはホスピスへの移行に抵抗を示していた。医療者側にも緩和ケアの概念が薄く、ホスピスへの転院を含め、緩和ケアの重点的な実施は特別なものであった。
2002年、世界保健機関が緩和ケアの定義を提唱した。2010年には、Temelらのランダム化比較試験により、早期からの包括的な緩和ケアが、QOLだけでなく生存期間も有意に延長すると報告された。これ以降、早期からの緩和ケア介入が重要であるとの認識がわが国においても広まり、がん対策推進基本計画、がん対策基本法においても、診断時からの緩和ケアの重要性が説かれた。現在、すべてのがん診療連携拠点に緩和ケアチームが設置され、緩和ケアの重要性は浸透してきた。その意味では、緩和ケアは「特別なもの」から「医療そのもの」に変革を遂げたといえよう。
一方で、このような意識付けはたしかにできてきたが、その中身が十分なものとはいいがたいのも現状である。わが国の緩和ケアは、①緩和ケア病棟、②一般施設での緩和ケアチーム、③在宅緩和ケア、において実施されている。①を有している施設は少なく、紹介しても待ち時間の長さなどが問題となっている。②はほぼすべての病院で設置されてはいるが、専従の医師や医療スタッフの数は少なく、十分な実施体制がとられているとはいいがたい。③は保険診療上加算がついたことで診療所が増加しているものの、まだまだ在宅で死亡される患者数は少ない。緩和ケアの体制整備や、専門医の育成が重要であることはもちろんであるが、すぐに実現することは難しい。がん医療にかかわるすべての医師、スタッフが協力して実践する必要がある。
2017年、ASCOは腫瘍内科による診療と緩和ケアの統合というガイドラインを提唱した。いくつかのエビデンスから、がん診断早期からの緩和ケアチームへの紹介を推奨している。しかし、わが国ではまだまだ緩和ケアチームがすべてのがん患者に早期の段階から介入することは難しい状態である。このため、がん治療医も緩和ケアをある程度、実践できる必要がある。患者が直面する身体的苦痛、精神的な苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルな苦痛を認識して対応し、患者のQOLを向上させる努力をしなくてはならない。信頼関係が構築できているがん治療医による緩和医療は、患者の効果期待を高め、より高い効果を得られる可能性がある。すなわち、日本風の腫瘍内科診療と緩和ケア診療の統合が求められていると筆者は考える。ただ、がん治療医も診断から治療まで多岐にわたる役割を担って診療をしており、緩和ケア専門医並みの知識を得ることはとても大変なことである。
本書は、そのような医師・医療スタッフの皆さまが白衣のポケットに忍ばせ、目の前の患者にすぐに使える書として「がん治療医が本当に知りたかった緩和ケアのレシピ」というタイトルで作成した。ぜひ、今日からの診療に役立ててほしい。
2020年8月吉日
関西医科大学附属病院呼吸器腫瘍内科教授
倉田宝保
---------------------------------------
編集の序
先日、余命が限られた患者さんが、「医療者に“気にかけてもらえること”、そんな些細な関わりが何よりも生きる希望になるんだ」と語ってくださいました。緩和医療は「特別なもの」ではなく、「医療そのもの」であると思います。これは、緩和医療が臨床における醍醐味として感じられる一方、あいまいに感じられる点かもしれません。ムーミンの小説に登場するおしゃまさんは、「わたし、北風の国にあるオーロラのことを考えていたのよ。〔中略〕ものごとって、みんな、とてもあいまいなものよ。まさにそのことが、わたしを安心させるんだけどもね」と語っています。
厳しい現実と向き合うことに努めている患者さんが、時によっては直面化を避けて、あいまいに物事をとらえることは大切なことです。一方、医療者は、自身の安心のために緩和医療をしてはいけません。緩和医療のEBMは限られています。つまり医療者にかかる表面的な責任が少なく感じることはないでしょうか。つまり、医療者の偏った考え方や知識次第で(「BSC aloneだしこれぐらいでいいか」「緩和医療なんて一人でできる」など)、患者・家族のその後の経過は大きく変わってしまいます。緩和医療のEBMが少ない分、医療者が果たすべき役割は非常に大きいのです。信頼関係の構築ができているがん治療医による緩和医療は、がん治療に真摯に向き合われている患者・家族を何よりも支えることができます。
本書は、がん治療医にとって役立つことを目的として、緩和医療で使用する薬剤の具体的なレシピを中心に、緩和医療の考え方、食事やケア、在宅医療、コミュニケーションなどについて、「見てすぐ使える!」ようにまとめました。緩和医療の薬剤は限られているからこそ、その使い分けのポイントや、新たな選択肢の提示、難治症状への対応など幅広い知識が求められており、本書ではこの疑問を専門家が具体的に答えてくれています。本書が、がん治療医をはじめとする皆さまの緩和医療の実践向きの書としてご活用いただき、それが患者・家族のつらさの軽減につながれば望外の喜びでございます。
最後に、ご監修いただきました倉田宝保先生、ご執筆いただきました専門家の先生方、企画段階より支えてくださいましたメジカルビュー社編集部の加賀智子様に感謝申し上げます。
2020年8月吉日
関西医科大学心療内科学講座講師
蓮尾英明
わが国は現在、2人に1人はがんに罹患し、3人に1人はがんで死亡する時代であるといわれている。近年、がん医療、特に薬物療法の発展は目覚ましく、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の開発により、長期生存する症例が増えてきた。しかし、多くの患者が再発し、命が奪われているのも事実である。その治療・経過の過程において、身体的苦痛、精神的な苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルな苦痛に患者のみならず家族も悩まされており、緩和ケアの重要性が認識される。
筆者が医師になった1990年代は、診断・治療・看取りまでのすべてを主治医が実施し、それが当たり前の時代であった。淀川キリスト教病院や聖隷三方原病院のホスピスなど、有名な施設は存在していたものの、がん患者の多くはホスピスへの移行に抵抗を示していた。医療者側にも緩和ケアの概念が薄く、ホスピスへの転院を含め、緩和ケアの重点的な実施は特別なものであった。
2002年、世界保健機関が緩和ケアの定義を提唱した。2010年には、Temelらのランダム化比較試験により、早期からの包括的な緩和ケアが、QOLだけでなく生存期間も有意に延長すると報告された。これ以降、早期からの緩和ケア介入が重要であるとの認識がわが国においても広まり、がん対策推進基本計画、がん対策基本法においても、診断時からの緩和ケアの重要性が説かれた。現在、すべてのがん診療連携拠点に緩和ケアチームが設置され、緩和ケアの重要性は浸透してきた。その意味では、緩和ケアは「特別なもの」から「医療そのもの」に変革を遂げたといえよう。
一方で、このような意識付けはたしかにできてきたが、その中身が十分なものとはいいがたいのも現状である。わが国の緩和ケアは、①緩和ケア病棟、②一般施設での緩和ケアチーム、③在宅緩和ケア、において実施されている。①を有している施設は少なく、紹介しても待ち時間の長さなどが問題となっている。②はほぼすべての病院で設置されてはいるが、専従の医師や医療スタッフの数は少なく、十分な実施体制がとられているとはいいがたい。③は保険診療上加算がついたことで診療所が増加しているものの、まだまだ在宅で死亡される患者数は少ない。緩和ケアの体制整備や、専門医の育成が重要であることはもちろんであるが、すぐに実現することは難しい。がん医療にかかわるすべての医師、スタッフが協力して実践する必要がある。
2017年、ASCOは腫瘍内科による診療と緩和ケアの統合というガイドラインを提唱した。いくつかのエビデンスから、がん診断早期からの緩和ケアチームへの紹介を推奨している。しかし、わが国ではまだまだ緩和ケアチームがすべてのがん患者に早期の段階から介入することは難しい状態である。このため、がん治療医も緩和ケアをある程度、実践できる必要がある。患者が直面する身体的苦痛、精神的な苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルな苦痛を認識して対応し、患者のQOLを向上させる努力をしなくてはならない。信頼関係が構築できているがん治療医による緩和医療は、患者の効果期待を高め、より高い効果を得られる可能性がある。すなわち、日本風の腫瘍内科診療と緩和ケア診療の統合が求められていると筆者は考える。ただ、がん治療医も診断から治療まで多岐にわたる役割を担って診療をしており、緩和ケア専門医並みの知識を得ることはとても大変なことである。
本書は、そのような医師・医療スタッフの皆さまが白衣のポケットに忍ばせ、目の前の患者にすぐに使える書として「がん治療医が本当に知りたかった緩和ケアのレシピ」というタイトルで作成した。ぜひ、今日からの診療に役立ててほしい。
2020年8月吉日
関西医科大学附属病院呼吸器腫瘍内科教授
倉田宝保
---------------------------------------
編集の序
先日、余命が限られた患者さんが、「医療者に“気にかけてもらえること”、そんな些細な関わりが何よりも生きる希望になるんだ」と語ってくださいました。緩和医療は「特別なもの」ではなく、「医療そのもの」であると思います。これは、緩和医療が臨床における醍醐味として感じられる一方、あいまいに感じられる点かもしれません。ムーミンの小説に登場するおしゃまさんは、「わたし、北風の国にあるオーロラのことを考えていたのよ。〔中略〕ものごとって、みんな、とてもあいまいなものよ。まさにそのことが、わたしを安心させるんだけどもね」と語っています。
厳しい現実と向き合うことに努めている患者さんが、時によっては直面化を避けて、あいまいに物事をとらえることは大切なことです。一方、医療者は、自身の安心のために緩和医療をしてはいけません。緩和医療のEBMは限られています。つまり医療者にかかる表面的な責任が少なく感じることはないでしょうか。つまり、医療者の偏った考え方や知識次第で(「BSC aloneだしこれぐらいでいいか」「緩和医療なんて一人でできる」など)、患者・家族のその後の経過は大きく変わってしまいます。緩和医療のEBMが少ない分、医療者が果たすべき役割は非常に大きいのです。信頼関係の構築ができているがん治療医による緩和医療は、がん治療に真摯に向き合われている患者・家族を何よりも支えることができます。
本書は、がん治療医にとって役立つことを目的として、緩和医療で使用する薬剤の具体的なレシピを中心に、緩和医療の考え方、食事やケア、在宅医療、コミュニケーションなどについて、「見てすぐ使える!」ようにまとめました。緩和医療の薬剤は限られているからこそ、その使い分けのポイントや、新たな選択肢の提示、難治症状への対応など幅広い知識が求められており、本書ではこの疑問を専門家が具体的に答えてくれています。本書が、がん治療医をはじめとする皆さまの緩和医療の実践向きの書としてご活用いただき、それが患者・家族のつらさの軽減につながれば望外の喜びでございます。
最後に、ご監修いただきました倉田宝保先生、ご執筆いただきました専門家の先生方、企画段階より支えてくださいましたメジカルビュー社編集部の加賀智子様に感謝申し上げます。
2020年8月吉日
関西医科大学心療内科学講座講師
蓮尾英明
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目次
第1章 がん治療医に伝えたい! 緩和医療で用いる薬剤のアドバンス的な使い分け
1 鎮痛に使う薬剤の使い分け 横田小百合/石木寛人
2 NSAIDs/アセトアミノフェンとオピオイドの使い分け 原田紘子/田上恵太
3 弱オピオイドの使い分け 遠藤百恵/田上恵太
4 強オピオイドの使い分け(内服) 猪狩智生/田上恵太
強オピオイドの使い分け(注射) 細野由希子/田上恵太
5 鎮痛補助薬の使い分け(内服) 綿引奈苗/田上恵太
鎮痛補助薬の使い分け(注射) 神谷浩平
6 鎮痛に対するステロイドの使い分け 平塚裕介/田上恵太
7 オピオイドの副作用対策 蓮尾英明
8 呼吸困難で用いる薬剤の使い分け 奥山 恵/神谷浩平
9 嘔気・嘔吐で用いる薬剤の使い分け 浅石 健/木内大佑
10 倦怠感で用いる薬剤の使い分け 服部友歌子/三浦智史
11 不眠で用いる薬剤の使い分け 伊達泰彦
12 うつ状態で用いる薬剤の使い分け 伊達泰彦
13 せん妄で用いる薬剤の使い分け 伊達泰彦
14 緩和的鎮静での鎮静薬の使い方 今井堅吾
15 抗精神病薬の副作用対策 伊達泰彦
第2章 こんなとき、こんなシチュエーションでは、何をどう投与する?
【疼痛を抑えたい】
1 オピオイドが効きにくいときは?(難治性疼痛)
① 総論 蓮尾英明
② 骨転移関連痛 夏目まいか/小杉和博
③ 神経障害性疼痛 矢島 緑/松本禎久
④ 腹部膨満感関連痛 杉本侑孝/田上恵太
⑤ 髄膜播種関連頭痛 三枝美香
⑥ 悪性腸腰筋症候群 小杉和博
⑦ がん治療に伴う疼痛
術後痛症候群 久保絵美/清水正樹
化学療法関連疼痛 鈴木尚樹/神谷浩平
放射線照射後疼痛症候群 久保絵美/清水正樹
⑧ がん・がん治療と直接関連のない疼痛
帯状疱疹後神経痛 久保絵美/清水正樹
筋筋膜性疼痛 蓮尾英明
⑨ 感受性低下 松岡弘道
⑩ 耐性化 佐藤哲観
⑪ 中枢過敏性疼痛、せん妄関連疼痛 佐藤哲観
⑫ 慢性疼痛・ケミカルコーピング 松岡弘道
2 大量オピオイド使用患者のスイッチング方法 清水正樹
3 こんな患者に対する鎮痛薬の使い分け
① 肝障害患者 藤井良平/蓮尾英明
② 腎障害患者 藤井良平/蓮尾英明
③ 胃瘻/腸瘻の患者 佐々木洸太
4 手技で抑えてみたい
① 神経ブロック(総論) 上原優子
② 脊髄鎮痛法(硬膜外鎮痛法/くも膜下鎮痛法) 上原優子
③ 交感神経ブロック・知覚神経ブロック 上原優子
④ 緩和的放射線治療 角田貴代美
⑤ 緩和的IVR 新槇 剛
5 漢方で疼痛を抑えてみたい 佐竹宣明
6 軟膏で疼痛を抑えてみたい 藤井良平/蓮尾英明
7 ケアで疼痛を抑えてみたい 森川みはる/角甲 純
【症状を抑えたい】
1 Oncologic emergencyの対処法 芹澤直紀/石木寛人
2 スッキリしない症状の対処法
① 便秘 浅利建吾
② 下痢 浅利建吾
③ 吃逆 石木寛人
④ 味覚障害 渡辺啓太郎
⑤ 口渇 小城原 傑/大嶋健三郎
⑥ 口内炎 石木寛人
⑦ 咳嗽 三枝美香
⑧ 死前喘鳴 吉武 淳
⑨ 浮腫 山崎敦子/大嶋健三郎
⑩ 痒感 渡辺啓太郎
⑪ 自壊創・悪臭 寺田立人/三浦智史
⑫ 血尿 井上裕次郎/三浦智史
⑬ 排尿困難 岡本宗一郎
⑭ けいれん 加藤晋一郎/大嶋健三郎
3 手技で抑えてみたい
① 気管ステント 堀 哲雄
② 消化管ステント 平本秀二
③ 胆膵管ステント 平本秀二
④ ドレナージ 木内大佑
第3章 がん治療医が悩みがちな緩和医療についての疑問に答えます
1 レスキュー薬のアドバンス的な使い方・考え方 田上恵太
2 鎮痛薬が効くのか、効かないのかの評価 佐藤麻美子/田上恵太
3 痛いから眠れない? 眠れないから痛い? 佐藤麻美子/田上恵太
4 医療用麻薬の海外への持ち出しの手続き 鮫島美来/蓮尾英明
5 非がんの呼吸器疾患で使える薬剤のバリエーションは? 松田能宣
6 慢性心不全で使える薬剤のバリエーションは? 大森崇史
7 倦怠感に対する適切なステロイド用量は? 下津浦康隆/三浦智史
8 悪液質で使える薬剤や対処法はあるの? 内藤立暁
9 終末期の身の置き場がないときに使える薬剤は? 奥山 恵/神谷浩平
10 早期からの緩和ケアって実際何をするの? 臼井優子/松本禎久
11「 食事はどうしたらいいですか」と聞かれたら、何て答える? 大谷弘行
12「 運動はどうしたらいいですか」と聞かれたら、何て答える? 大谷弘行
13「 私はもうダメですか」と聞かれたら、何て答える? 大谷弘行
14「 早く逝かせてくれませんか」と聞かれたら、何て答える? 大谷弘行
15 末梢ラインが取れないときはどうする? 橋本孝太郎
16 在宅医療で用いることが多い薬剤は? 橋本孝太郎
17 緩和ケア領域でエビデンスのあるケアは? 角甲 純/森川みはる
18 緩和ケア領域でエビデンスのあるリハビリは? 小串直也/蓮尾英明
19 認知症をもつ患者への緩和ケア 岩田有正
20 発達障害をもつ患者への緩和ケア 榎戸正則
21 日常臨床で使える心理的技法とは?
コミュニケーション 吉田幸平/蓮尾英明
リラクセーション 吉田幸平/蓮尾英明
■巻末資料 阿部健太郎
オピオイド製剤換算表
持続静注/皮下注組成シート
医療用麻薬廃棄方法推奨一覧
予後予測スケール
鎮痛補助薬のNNTとNNH
向精神薬の等価換算表
抗精神病薬の受容体結合親和性(Ki値)
デルマトーム(皮膚分節知覚帯)
オステオトーム(骨の知覚神経支配)
レスキュー薬の投与量早見表
神経障害性疼痛スクリーニング質問表
1 鎮痛に使う薬剤の使い分け 横田小百合/石木寛人
2 NSAIDs/アセトアミノフェンとオピオイドの使い分け 原田紘子/田上恵太
3 弱オピオイドの使い分け 遠藤百恵/田上恵太
4 強オピオイドの使い分け(内服) 猪狩智生/田上恵太
強オピオイドの使い分け(注射) 細野由希子/田上恵太
5 鎮痛補助薬の使い分け(内服) 綿引奈苗/田上恵太
鎮痛補助薬の使い分け(注射) 神谷浩平
6 鎮痛に対するステロイドの使い分け 平塚裕介/田上恵太
7 オピオイドの副作用対策 蓮尾英明
8 呼吸困難で用いる薬剤の使い分け 奥山 恵/神谷浩平
9 嘔気・嘔吐で用いる薬剤の使い分け 浅石 健/木内大佑
10 倦怠感で用いる薬剤の使い分け 服部友歌子/三浦智史
11 不眠で用いる薬剤の使い分け 伊達泰彦
12 うつ状態で用いる薬剤の使い分け 伊達泰彦
13 せん妄で用いる薬剤の使い分け 伊達泰彦
14 緩和的鎮静での鎮静薬の使い方 今井堅吾
15 抗精神病薬の副作用対策 伊達泰彦
第2章 こんなとき、こんなシチュエーションでは、何をどう投与する?
【疼痛を抑えたい】
1 オピオイドが効きにくいときは?(難治性疼痛)
① 総論 蓮尾英明
② 骨転移関連痛 夏目まいか/小杉和博
③ 神経障害性疼痛 矢島 緑/松本禎久
④ 腹部膨満感関連痛 杉本侑孝/田上恵太
⑤ 髄膜播種関連頭痛 三枝美香
⑥ 悪性腸腰筋症候群 小杉和博
⑦ がん治療に伴う疼痛
術後痛症候群 久保絵美/清水正樹
化学療法関連疼痛 鈴木尚樹/神谷浩平
放射線照射後疼痛症候群 久保絵美/清水正樹
⑧ がん・がん治療と直接関連のない疼痛
帯状疱疹後神経痛 久保絵美/清水正樹
筋筋膜性疼痛 蓮尾英明
⑨ 感受性低下 松岡弘道
⑩ 耐性化 佐藤哲観
⑪ 中枢過敏性疼痛、せん妄関連疼痛 佐藤哲観
⑫ 慢性疼痛・ケミカルコーピング 松岡弘道
2 大量オピオイド使用患者のスイッチング方法 清水正樹
3 こんな患者に対する鎮痛薬の使い分け
① 肝障害患者 藤井良平/蓮尾英明
② 腎障害患者 藤井良平/蓮尾英明
③ 胃瘻/腸瘻の患者 佐々木洸太
4 手技で抑えてみたい
① 神経ブロック(総論) 上原優子
② 脊髄鎮痛法(硬膜外鎮痛法/くも膜下鎮痛法) 上原優子
③ 交感神経ブロック・知覚神経ブロック 上原優子
④ 緩和的放射線治療 角田貴代美
⑤ 緩和的IVR 新槇 剛
5 漢方で疼痛を抑えてみたい 佐竹宣明
6 軟膏で疼痛を抑えてみたい 藤井良平/蓮尾英明
7 ケアで疼痛を抑えてみたい 森川みはる/角甲 純
【症状を抑えたい】
1 Oncologic emergencyの対処法 芹澤直紀/石木寛人
2 スッキリしない症状の対処法
① 便秘 浅利建吾
② 下痢 浅利建吾
③ 吃逆 石木寛人
④ 味覚障害 渡辺啓太郎
⑤ 口渇 小城原 傑/大嶋健三郎
⑥ 口内炎 石木寛人
⑦ 咳嗽 三枝美香
⑧ 死前喘鳴 吉武 淳
⑨ 浮腫 山崎敦子/大嶋健三郎
⑩ 痒感 渡辺啓太郎
⑪ 自壊創・悪臭 寺田立人/三浦智史
⑫ 血尿 井上裕次郎/三浦智史
⑬ 排尿困難 岡本宗一郎
⑭ けいれん 加藤晋一郎/大嶋健三郎
3 手技で抑えてみたい
① 気管ステント 堀 哲雄
② 消化管ステント 平本秀二
③ 胆膵管ステント 平本秀二
④ ドレナージ 木内大佑
第3章 がん治療医が悩みがちな緩和医療についての疑問に答えます
1 レスキュー薬のアドバンス的な使い方・考え方 田上恵太
2 鎮痛薬が効くのか、効かないのかの評価 佐藤麻美子/田上恵太
3 痛いから眠れない? 眠れないから痛い? 佐藤麻美子/田上恵太
4 医療用麻薬の海外への持ち出しの手続き 鮫島美来/蓮尾英明
5 非がんの呼吸器疾患で使える薬剤のバリエーションは? 松田能宣
6 慢性心不全で使える薬剤のバリエーションは? 大森崇史
7 倦怠感に対する適切なステロイド用量は? 下津浦康隆/三浦智史
8 悪液質で使える薬剤や対処法はあるの? 内藤立暁
9 終末期の身の置き場がないときに使える薬剤は? 奥山 恵/神谷浩平
10 早期からの緩和ケアって実際何をするの? 臼井優子/松本禎久
11「 食事はどうしたらいいですか」と聞かれたら、何て答える? 大谷弘行
12「 運動はどうしたらいいですか」と聞かれたら、何て答える? 大谷弘行
13「 私はもうダメですか」と聞かれたら、何て答える? 大谷弘行
14「 早く逝かせてくれませんか」と聞かれたら、何て答える? 大谷弘行
15 末梢ラインが取れないときはどうする? 橋本孝太郎
16 在宅医療で用いることが多い薬剤は? 橋本孝太郎
17 緩和ケア領域でエビデンスのあるケアは? 角甲 純/森川みはる
18 緩和ケア領域でエビデンスのあるリハビリは? 小串直也/蓮尾英明
19 認知症をもつ患者への緩和ケア 岩田有正
20 発達障害をもつ患者への緩和ケア 榎戸正則
21 日常臨床で使える心理的技法とは?
コミュニケーション 吉田幸平/蓮尾英明
リラクセーション 吉田幸平/蓮尾英明
■巻末資料 阿部健太郎
オピオイド製剤換算表
持続静注/皮下注組成シート
医療用麻薬廃棄方法推奨一覧
予後予測スケール
鎮痛補助薬のNNTとNNH
向精神薬の等価換算表
抗精神病薬の受容体結合親和性(Ki値)
デルマトーム(皮膚分節知覚帯)
オステオトーム(骨の知覚神経支配)
レスキュー薬の投与量早見表
神経障害性疼痛スクリーニング質問表
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もう少しできる・ちょっと上手くできる! 症状やシチュエーション別に,困った時にすぐに使える具体的な緩和ケアのレシピを紹介!
「もう少しできる・ちょっと上手くできる」をテーマに,がんの緩和ケアの最新情報を掲載。症状やシチュエーション別に具体的なレシピを紹介しているので,困った時にすぐに答えが見つかります!
基本的な疼痛治療薬について使い分けの考え方を具体的に解説した上で,症状を緩和するためにどの薬を選び,どんな用量・期間で投与すべきかを示し,さらに「こんな時どうしたらいいのか」というがん治療医が悩みがちな疑問について明快に回答。かゆいところに手がとどき,かつ難しすぎない,すぐに使える具体的な情報が満載!