2025年3月号 Vol.44 No.3

整形外科外来診療における漢方薬

関節外科 2025年3月号
定価 2,750円(税込) (本体2,500円+税)
  • B5判  100ページ  
  • 2025年2月19日刊行


introduction

 整形外科医が診察する患者の主訴のほとんどすべては「痛み」です。近年,各種鎮痛薬や理学療法などの進歩により,保存治療の選択肢は各段に広がりましたが,それらに抵抗性の場合,症状を裏付ける形態学的異常があれば,整形外科医としては手術治療を検討することになるかと思います。しかし,画像所見が乏しくて手術に踏み切れない場合や,確信をもって手術をしたにもかかわらず肝心の患者の痛みが取れなかったという経験もあるのではないでしょうか。保存治療の引き出しがもっと増えれば,手詰まりかと思われていた難治の痛みや,あるいは術後も残る痛みにも対応できるかもしれません。その引き出しの1つとして私は東洋医学というものを選びました。東洋医学の人体や疾患に関する考え方は,私たちが教育されてきた西洋医学とはまるで異なるように見えますが,勉強していくと,表現の仕方が違うだけで互いが実は同じことを言っていることも多いことに気付きます。目的は一緒なのです。1つの疾患,1人の患者を多面的に診ていくことは大変有用なことと思います。本号を通して,ご自身の診療の幅が大きく広がっていくことが実感できることと思います。東洋医学に含まれるものとしては,漢方薬,鍼灸,按摩などがありますが,本号では漢方薬による治療に絞って解説しています。漢方薬の運用において,東洋医学的な概念を最小限知っておくことは大変有用で,私たちが普段行っている西洋医学的治療への組み入れもやりやすくなります。よって,東洋医学の総論について省略することはしませんでした。一方で,東洋医学的な診方に依らずとも漢方薬を上手く運用するための,新しい考え方やコツについても解説しています。漢方薬とは現代科学の視点でみればどのような薬なのか,という点についても触れました。漢方薬への理解が深まることと思います。また,西洋医学にはない「冷え」の考え方,女性特有の痛み,メンタルの視点からの痛みの診方,難治性疼痛への対応など,「痛み」の治療を行う整形外科以外の先生による漢方診療の実際についても解説をお願いしました。痛み治療の視野がさらに広がることと思います。本号で執筆を依頼した先生方は,すべて私自身が漢方診療を勉強するうえで著書,論文,学会発表,講演,セミナーを拝聴,拝読させていただいた先輩方ばかりです。特に,井齋偉矢先生は私が直接診療に陪席し,教えを請うたいわば師匠です。ですから,本来なら私はこのような序文を書ける立場にはないヒヨッ子なのですが,そのような者の執筆依頼を快く引き受けていただいた諸先生方には感謝してもしきれません。この場を借りて,改めて深謝申し上げます。読者の皆様方におかれましては,エキスパートのエッセンスを存分に吸収し,明日からの診療に少しでも役立てられたなら,これに勝る喜びはありません。

やなぎ整形外科・漢方クリニック
柳澤道朗
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目次

■特集:整形外科外来診療における漢方薬  企画・編集:柳澤道朗
整形外科における漢方治療:総論  田中裕之
気血水論からみた痛みの特徴  松村崇史
「冷え」と整形外科疾患  福嶋裕造
外来における漢方診察の応用  橋口 宏
古典的漢方医学概念に依らない漢方薬の運用1−サイエンス漢方処方という考え−  井齋偉矢
古典的漢方医学概念に依らない漢方薬の運用2−エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2−  益子竜弥
変性疾患に対する漢方治療  相澤治孝
スポーツ障害に対する漢方治療  冨澤英明
外傷治療における漢方薬の応用  普天間朝拓
メンタル領域への漢方アプローチ  松村 茂ほか
女性の痛みに対する漢方アプローチ  大澤 稔
難治性疼痛に対する漢方治療  平田道彦

●連載
・臨床と論文執筆に役立つ! 重要論文レビュー(足部編 第2回)
「変形性足関節症の病期分類」  三井寛之ほか

・人工膝関節 ~大切なのに誰も教えてくれない基本~(第5回)
「アライメント戦国時代の生き延び方」  格谷義徳

・おもしろ 医人 ヒストリー(第32回)
「(番外編)マラソンの起源は? ミルティアデスのマラトンの戦い」  小橋由紋子
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