- 新刊
- 薬学
Crosslink 薬学テキスト
薬物動態学

定価 5,500円(税込) (本体5,000円+税)
- B5判 288ページ オールカラー,イラスト250点,写真50点
- 2025年3月3日刊行
- ISBN978-4-7583-2223-2
電子版
序文
編集の序
本書『Crosslink 薬学テキスト 薬物動態学』は,薬物動態学の基本から応用に至るまでの広範なトピックを網羅し,次世代の薬剤師が質の高い患者ケアを提供するための確かな基盤を築くことを目的としています。投与された医薬品が体内でどのように吸収され,分布し,代謝され,そして排泄されるかを深く理解することは,効果的かつ安全な薬物療法の提供に不可欠です。
本書の大きな特徴は,現役の病院薬剤師および病院薬剤師経験者が多数執筆に関与している点にあります。各執筆者がもつ豊富な臨床経験に基づき,理論だけでなく,実際の臨床現場における薬物投与設計についての知識も提供しています。
各章には,豊富な囲み記事とイラストが含まれており,複雑な概念を直感的かつ視覚的に理解しやすく説明しています。このアプローチにより,薬学生は薬物動態学の基本原理をより深く,効率的に学ぶことが可能です。
さらに,本書では薬物動態学の知識と他の専門科目との連携を強調しています。薬物動態学が他の科目や実習,臨床とどのように結びついているかが明確にされており,読者がより具体的な興味と目的意識を持って学習できるように設計されています。
最後になりますが,本書の執筆にご協力いただいた全ての皆様に,心からの感謝を表します。皆様の尽力により,本書が実現しました。これから薬物動態学を学ぶすべての薬学生にとって,本書が理想的な学びの場となることを願っています。
2025年1月
永田将司
本書『Crosslink 薬学テキスト 薬物動態学』は,薬物動態学の基本から応用に至るまでの広範なトピックを網羅し,次世代の薬剤師が質の高い患者ケアを提供するための確かな基盤を築くことを目的としています。投与された医薬品が体内でどのように吸収され,分布し,代謝され,そして排泄されるかを深く理解することは,効果的かつ安全な薬物療法の提供に不可欠です。
本書の大きな特徴は,現役の病院薬剤師および病院薬剤師経験者が多数執筆に関与している点にあります。各執筆者がもつ豊富な臨床経験に基づき,理論だけでなく,実際の臨床現場における薬物投与設計についての知識も提供しています。
各章には,豊富な囲み記事とイラストが含まれており,複雑な概念を直感的かつ視覚的に理解しやすく説明しています。このアプローチにより,薬学生は薬物動態学の基本原理をより深く,効率的に学ぶことが可能です。
さらに,本書では薬物動態学の知識と他の専門科目との連携を強調しています。薬物動態学が他の科目や実習,臨床とどのように結びついているかが明確にされており,読者がより具体的な興味と目的意識を持って学習できるように設計されています。
最後になりますが,本書の執筆にご協力いただいた全ての皆様に,心からの感謝を表します。皆様の尽力により,本書が実現しました。これから薬物動態学を学ぶすべての薬学生にとって,本書が理想的な学びの場となることを願っています。
2025年1月
永田将司
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目次
第1章 薬物動態学序論
1薬物動態学とは 永田将司
1薬物の生体内運命
2薬物の投与経路
3薬物療法における薬物動態学と薬力学の関係
4医療における薬物動態学の役割
5薬物の効果を決める3要素
6薬効および副作用の予測
◯まとめ
第2章 薬物の生体膜透過機構
1生体膜の構造 髙田龍平
1脂質二重層
2上皮細胞と内皮細胞
◯まとめ
2生体膜の透過機構 髙田龍平
1膜輸送機構の分類
2受動輸送
3能動輸送
◯まとめ
3トランスポーターによる薬物輸送 髙田龍平
1薬物トランスポーター
2ABCトランスポーターによる薬物輸送
3SLCトランスポーターによる薬物輸送
◯まとめ
第3章 吸収
1吸収総論 佐藤夕紀
1薬物動態における吸収
◯まとめ
2消化管吸収 佐藤夕紀
1消化管と経口投与
2主な消化管の生理学的特徴と消化・吸収
3全身循環系(血管系とリンパ系)
4消化管吸収機構
◯まとめ
3消化管吸収に影響を与える要因 佐藤夕紀
1バイオアベイラビリティ
2消化管の生理学的要因
3薬物の物理化学的特性
4製剤学的要因(外的要因)
◯まとめ
4消化管以外からの吸収 佐藤夕紀
1経口投与(消化管吸収)の長所と短所
2口腔からの吸収
3鼻腔からの吸収
4肺からの吸収
5皮膚からの吸収
6注射部位からの吸収
7眼からの吸収
8耳からの吸収
9腟からの吸収
◯まとめ
第4章 分布
1組織分布と影響因子 山﨑啓之
1薬物の分布
◯まとめ
2組織移行を表す指標 山﨑啓之
1分布容積
◯まとめ
3血漿タンパク結合の評価 山﨑啓之
1血漿タンパク結合の定量的評価法
◯まとめ
4リンパ管系移行性 山﨑啓之
1リンパ管系への薬物移行機構
◯まとめ
5脳への移行性 山﨑啓之
1脳への薬物移行機構
◯まとめ
6胎児への移行性 山﨑啓之
1胎児への薬物移行機構
◯まとめ
7乳汁中移行性 山﨑啓之
1乳汁中への薬物移行機構
◯まとめ
第5章 代謝
1薬物の代謝反応 山折 大
1薬物代謝とは
2酸化反応
3還元反応
4加水分解反応
5抱合反応:グルクロン酸抱合
6抱合反応:硫酸抱合
7抱合反応:グルタチオン抱合
8抱合反応:アセチル抱合
9抱合反応:アシル抱合(アミノ酸抱合)
10抱合反応:メチル抱合
11腸内細菌による代謝反応
◯まとめ
2薬物代謝酵素の種類と特徴 山折 大
1代表的な薬物代謝酵素
2シトクロムP
3アルコール脱水素酵素(アルコールデヒドロゲナーゼ),アルデヒド脱水素酵素(アルデヒドデヒドロゲナーゼ)
4カルボキシルエステラーゼ
5UDP-グルクロン酸転移酵素(UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ)
6硫酸転移酵素(スルホトランスフェラーゼ)
7グルタチオンS- 転移酵素(グルタチオンS-トランスフェラーゼ)
8N-アセチル転移酵素(N-アセチルトランスフェラーゼ)
◯まとめ
3薬物代謝の包括的な把握 山折 大
1アセトアミノフェン代謝の包括的な把握
2イリノテカン代謝の包括的な把握
3アザチオプリン代謝の包括的な把握
◯まとめ
4薬物代謝酵素の阻害と誘導 山折 大
1薬物による薬物代謝酵素の機能変動
2薬物代謝酵素の阻害
3薬物代謝酵素の誘導
◯まとめ
第6章 排泄
1腎排泄 桂 敏也
1腎臓の構造と機能
2薬物の腎排泄機構
3腎クリアランス
◯まとめ
2胆汁中排泄 桂 敏也
1肝臓の構造
2薬物の胆汁中排泄機構
3腸肝循環
◯まとめ
3その他の排泄 桂 敏也
1唾液中排泄
2乳汁中排泄
3呼気中排泄
◯まとめ
第7章 薬物動態の変動要因
1薬物相互作用 大野能之
1薬物相互作用の概要
2吸収過程における薬物相互作用
3代謝過程における薬物相互作用
4分布過程における相互作用
5排泄過程における相互作用
6トランスポーターがかかわる相互作用
7薬力学的相互作用
8薬物相互作用のマネジメント
◯まとめ
2その他の変動要因 荒木拓也
1臓器機能等の異常
2年齢(小児・高齢者)
3妊娠,栄養,炎症性疾患
4肥満・るい痩
5遺伝的素因
◯まとめ
第8章 薬物速度論
1薬物速度論の基本パラメータ 平井利典
1薬物速度論パラメータ
◯まとめ
2コンパートメントモデル 平井利典
1コンパートメントモデル
◯まとめ
3線形モデル・非線形モデル 平井利典
1線形モデル・非線形モデル
◯まとめ
4生理学的薬物速度論 土岐浩介
1クリアランスの概念
2血流律速と固有クリアランス律速
3バイオアベイラビリティ
4生理学的薬物速度論モデル
◯まとめ
5モーメント解析 土岐浩介
1モーメントの定義
2モーメント解析法
3デコンボリューション
◯まとめ
6PK-PD 解析の臨床応用 平井利典
1PDモデル
2PK-PDモデル
◯まとめ
第9章 薬物投与設計
1治療薬物モニタリング(TDM) 山崎伸吾
1TDMの意義
2TDMが効果的な状況と有効な薬物
3サンプル採取と採取ポイント
4血中濃度測定
◯まとめ
2薬物血中濃度に基づく投与設計 山崎伸吾
1治療薬物モニタリング(TDM)に基づく投与設計
2母集団薬物速度論
3母集団薬物速度論の活用
◯まとめ
3特殊病態下の薬物投与設計 山崎伸吾
1各種病態時の投与設計
◯まとめ
4治療薬物モニタリング(TDM)の診療報酬 山崎伸吾
1TDMの診療報酬
◯まとめ
1薬物動態学とは 永田将司
1薬物の生体内運命
2薬物の投与経路
3薬物療法における薬物動態学と薬力学の関係
4医療における薬物動態学の役割
5薬物の効果を決める3要素
6薬効および副作用の予測
◯まとめ
第2章 薬物の生体膜透過機構
1生体膜の構造 髙田龍平
1脂質二重層
2上皮細胞と内皮細胞
◯まとめ
2生体膜の透過機構 髙田龍平
1膜輸送機構の分類
2受動輸送
3能動輸送
◯まとめ
3トランスポーターによる薬物輸送 髙田龍平
1薬物トランスポーター
2ABCトランスポーターによる薬物輸送
3SLCトランスポーターによる薬物輸送
◯まとめ
第3章 吸収
1吸収総論 佐藤夕紀
1薬物動態における吸収
◯まとめ
2消化管吸収 佐藤夕紀
1消化管と経口投与
2主な消化管の生理学的特徴と消化・吸収
3全身循環系(血管系とリンパ系)
4消化管吸収機構
◯まとめ
3消化管吸収に影響を与える要因 佐藤夕紀
1バイオアベイラビリティ
2消化管の生理学的要因
3薬物の物理化学的特性
4製剤学的要因(外的要因)
◯まとめ
4消化管以外からの吸収 佐藤夕紀
1経口投与(消化管吸収)の長所と短所
2口腔からの吸収
3鼻腔からの吸収
4肺からの吸収
5皮膚からの吸収
6注射部位からの吸収
7眼からの吸収
8耳からの吸収
9腟からの吸収
◯まとめ
第4章 分布
1組織分布と影響因子 山﨑啓之
1薬物の分布
◯まとめ
2組織移行を表す指標 山﨑啓之
1分布容積
◯まとめ
3血漿タンパク結合の評価 山﨑啓之
1血漿タンパク結合の定量的評価法
◯まとめ
4リンパ管系移行性 山﨑啓之
1リンパ管系への薬物移行機構
◯まとめ
5脳への移行性 山﨑啓之
1脳への薬物移行機構
◯まとめ
6胎児への移行性 山﨑啓之
1胎児への薬物移行機構
◯まとめ
7乳汁中移行性 山﨑啓之
1乳汁中への薬物移行機構
◯まとめ
第5章 代謝
1薬物の代謝反応 山折 大
1薬物代謝とは
2酸化反応
3還元反応
4加水分解反応
5抱合反応:グルクロン酸抱合
6抱合反応:硫酸抱合
7抱合反応:グルタチオン抱合
8抱合反応:アセチル抱合
9抱合反応:アシル抱合(アミノ酸抱合)
10抱合反応:メチル抱合
11腸内細菌による代謝反応
◯まとめ
2薬物代謝酵素の種類と特徴 山折 大
1代表的な薬物代謝酵素
2シトクロムP
3アルコール脱水素酵素(アルコールデヒドロゲナーゼ),アルデヒド脱水素酵素(アルデヒドデヒドロゲナーゼ)
4カルボキシルエステラーゼ
5UDP-グルクロン酸転移酵素(UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ)
6硫酸転移酵素(スルホトランスフェラーゼ)
7グルタチオンS- 転移酵素(グルタチオンS-トランスフェラーゼ)
8N-アセチル転移酵素(N-アセチルトランスフェラーゼ)
◯まとめ
3薬物代謝の包括的な把握 山折 大
1アセトアミノフェン代謝の包括的な把握
2イリノテカン代謝の包括的な把握
3アザチオプリン代謝の包括的な把握
◯まとめ
4薬物代謝酵素の阻害と誘導 山折 大
1薬物による薬物代謝酵素の機能変動
2薬物代謝酵素の阻害
3薬物代謝酵素の誘導
◯まとめ
第6章 排泄
1腎排泄 桂 敏也
1腎臓の構造と機能
2薬物の腎排泄機構
3腎クリアランス
◯まとめ
2胆汁中排泄 桂 敏也
1肝臓の構造
2薬物の胆汁中排泄機構
3腸肝循環
◯まとめ
3その他の排泄 桂 敏也
1唾液中排泄
2乳汁中排泄
3呼気中排泄
◯まとめ
第7章 薬物動態の変動要因
1薬物相互作用 大野能之
1薬物相互作用の概要
2吸収過程における薬物相互作用
3代謝過程における薬物相互作用
4分布過程における相互作用
5排泄過程における相互作用
6トランスポーターがかかわる相互作用
7薬力学的相互作用
8薬物相互作用のマネジメント
◯まとめ
2その他の変動要因 荒木拓也
1臓器機能等の異常
2年齢(小児・高齢者)
3妊娠,栄養,炎症性疾患
4肥満・るい痩
5遺伝的素因
◯まとめ
第8章 薬物速度論
1薬物速度論の基本パラメータ 平井利典
1薬物速度論パラメータ
◯まとめ
2コンパートメントモデル 平井利典
1コンパートメントモデル
◯まとめ
3線形モデル・非線形モデル 平井利典
1線形モデル・非線形モデル
◯まとめ
4生理学的薬物速度論 土岐浩介
1クリアランスの概念
2血流律速と固有クリアランス律速
3バイオアベイラビリティ
4生理学的薬物速度論モデル
◯まとめ
5モーメント解析 土岐浩介
1モーメントの定義
2モーメント解析法
3デコンボリューション
◯まとめ
6PK-PD 解析の臨床応用 平井利典
1PDモデル
2PK-PDモデル
◯まとめ
第9章 薬物投与設計
1治療薬物モニタリング(TDM) 山崎伸吾
1TDMの意義
2TDMが効果的な状況と有効な薬物
3サンプル採取と採取ポイント
4血中濃度測定
◯まとめ
2薬物血中濃度に基づく投与設計 山崎伸吾
1治療薬物モニタリング(TDM)に基づく投与設計
2母集団薬物速度論
3母集団薬物速度論の活用
◯まとめ
3特殊病態下の薬物投与設計 山崎伸吾
1各種病態時の投与設計
◯まとめ
4治療薬物モニタリング(TDM)の診療報酬 山崎伸吾
1TDMの診療報酬
◯まとめ
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