- 近刊
- 産婦人科・周産期医学
鏡視野から学ぶ
婦人科骨盤内手術解剖アトラス
【電子版付】

定価 22,000円(税込) (本体20,000円+税)

- A4判 196ページ オールカラー,イラスト80点,写真350点
- 2026年3月30日刊行予定
- ISBN978-4-7583-2139-6
近刊のため予約販売となります。
序文
序
このたび,『鏡視野から学ぶ 婦人科骨盤内手術解剖アトラス』を発刊する運びとなりました。
長年,手術のため,あるいは手術教育のための「解剖書」があればよいのに,と考えてきました。初心者にとって手術の世界に踏み込む際の最初のハードルは,解剖の理解です。若い先生方は先輩医師から「手術をするなら,まず解剖だ」と言われていることでしょう。しかし,婦人科の骨盤解剖に特化し,しかも婦人科手術を前提にした,易しくわかりやすい解剖書はこれまで存在しませんでした。
そのため初心者は,学生時代に使用した一般的な解剖学の教科書を持ち出して手術解剖を理解しようとしたり,数多く発刊されている手術書から手技とともに解剖を想像したり,あるいは日常の手術のなかで実地に解剖を覚えるしかありませんでした。しかし,それは本来の順序とは異なります。まず普遍的な解剖があり,それを手術に応用できるよう頭のなかで整理し,そのうえで手術手技を理解し,実践に臨むことが正しい流れです。解剖は,一度理解してしまえば決して難しいものではありませんが,理解に至るまでは非常に難しいものです。
研修を始めたばかりの初心者から,新しい術式を次々と習得しつつある中堅の先生まで,常に手元に置いて使える実臨床向けの解剖書とはどのようなものかを考えながら,本書を作りました。そのため,従来の解剖書にはなかった多くの試みを盛り込んでいます。
1 . 鏡視下の視点での解剖記述:骨盤を鏡視下の方向から見た解剖を中心に記述しました。ベテランは頭のなかに鏡視下の解剖ができていますが,初心者にとって一般的な「頭側が上」の解剖図を毎回ひっくり返して理解するのは大変です。助手として入る内視鏡の術野がそのまま再現された解剖書であれば,臓器・構造物の位置関係が格段に理解しやすくなります。
2 . 手術操作の解剖学的意味を解説:本書は手術書ではないため手技そのものを詳述してはいませんが,各手術で行う操作が解剖学的にどのような意味をもつのかを解説しました。一般の解剖書にはない視点です。
3 . 遺体解剖による学習の具体的解説:近年,解剖を学ぶ手段として有用性が認識されつつある遺体解剖について,具体的な方法や,どのように何を学ぶのかを,解剖に沿って説明しています。
4 . 画像解剖,特にMRI の読み解き方を解説:手術プランニングにおいて画像は重要な武器ですが,疾患診断としての画像読影は学んでも,「症例ごとにMRI で手術解剖をどう読み解くか」については,これまでよい教科書がありませんでした。本書ではその点を丁寧に扱っています。
単純子宮全摘から骨盤除臓術まで,解剖に基づいた手術を自信をもって行えるよう,本書を常に手元に置き,手術のたびに何度も繰り返し参照していただければと思います。また指導者の先生方にも,互いの“ 共通言語” として役立てていただけましたら幸いです。
2026年3月
万代昌紀
このたび,『鏡視野から学ぶ 婦人科骨盤内手術解剖アトラス』を発刊する運びとなりました。
長年,手術のため,あるいは手術教育のための「解剖書」があればよいのに,と考えてきました。初心者にとって手術の世界に踏み込む際の最初のハードルは,解剖の理解です。若い先生方は先輩医師から「手術をするなら,まず解剖だ」と言われていることでしょう。しかし,婦人科の骨盤解剖に特化し,しかも婦人科手術を前提にした,易しくわかりやすい解剖書はこれまで存在しませんでした。
そのため初心者は,学生時代に使用した一般的な解剖学の教科書を持ち出して手術解剖を理解しようとしたり,数多く発刊されている手術書から手技とともに解剖を想像したり,あるいは日常の手術のなかで実地に解剖を覚えるしかありませんでした。しかし,それは本来の順序とは異なります。まず普遍的な解剖があり,それを手術に応用できるよう頭のなかで整理し,そのうえで手術手技を理解し,実践に臨むことが正しい流れです。解剖は,一度理解してしまえば決して難しいものではありませんが,理解に至るまでは非常に難しいものです。
研修を始めたばかりの初心者から,新しい術式を次々と習得しつつある中堅の先生まで,常に手元に置いて使える実臨床向けの解剖書とはどのようなものかを考えながら,本書を作りました。そのため,従来の解剖書にはなかった多くの試みを盛り込んでいます。
1 . 鏡視下の視点での解剖記述:骨盤を鏡視下の方向から見た解剖を中心に記述しました。ベテランは頭のなかに鏡視下の解剖ができていますが,初心者にとって一般的な「頭側が上」の解剖図を毎回ひっくり返して理解するのは大変です。助手として入る内視鏡の術野がそのまま再現された解剖書であれば,臓器・構造物の位置関係が格段に理解しやすくなります。
2 . 手術操作の解剖学的意味を解説:本書は手術書ではないため手技そのものを詳述してはいませんが,各手術で行う操作が解剖学的にどのような意味をもつのかを解説しました。一般の解剖書にはない視点です。
3 . 遺体解剖による学習の具体的解説:近年,解剖を学ぶ手段として有用性が認識されつつある遺体解剖について,具体的な方法や,どのように何を学ぶのかを,解剖に沿って説明しています。
4 . 画像解剖,特にMRI の読み解き方を解説:手術プランニングにおいて画像は重要な武器ですが,疾患診断としての画像読影は学んでも,「症例ごとにMRI で手術解剖をどう読み解くか」については,これまでよい教科書がありませんでした。本書ではその点を丁寧に扱っています。
単純子宮全摘から骨盤除臓術まで,解剖に基づいた手術を自信をもって行えるよう,本書を常に手元に置き,手術のたびに何度も繰り返し参照していただければと思います。また指導者の先生方にも,互いの“ 共通言語” として役立てていただけましたら幸いです。
2026年3月
万代昌紀
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目次
1 章 産婦人科手術に必要な骨盤系統解剖
A 骨盤系統解剖 砂田真澄,万代昌紀
1. 解剖学的メルクマールとはその重要性を理解しよう
2. まず,はじめに骨の名前を覚えよう
3. 次に靱帯の解剖を理解しよう
4. 主要な筋肉の名前を覚えよう
5. 骨盤底筋群尾側の構造と坐骨直腸窩を理解しよう
6. ここで骨盤底の構造を再整理しよう
7. 実際の手術における,主要な構造物(メルクマール)を同定する手順を理解しよう
8. 複雑な血管の解剖を整理して頭に入れよう
9. 神経の位置と走行を知っておこう
10. リンパ節の分布を理解しよう
B 骨盤外科解剖 砂田真澄,万代昌紀
1. 骨盤系統解剖と外科解剖の違い 外科解剖を理解することで,手術はもっとわかりやすくなる
2. 腔の概念を理解しよう
3. 靱帯を理解しよう
C 遺体解剖(CST)における実際の位置 寺井義人
1. CSTを実施するにあたって
2. CSTを用いた骨盤解剖の実際
2 章 画像診断から読む骨盤解剖
A CT/MRIによる正常な骨盤の解剖 樋本祐紀,倉田桐靖
1. CT/MRIの特徴,各々の組織の見え方,解剖学的指標の見つけ方
2. 骨・筋肉の同定
3. 神経の同定
4. 血管の走行の評価
5. 尿管の走行の評価
B 骨盤内臓器の位置関係の評価 倉田靖桐,木戸 晶
1. 子宮と卵巣
C 病的解剖の理解 ①子宮頸がん:進行期の推定のための病変の広がりの評価法 桐田光弘,倉田靖桐
1. 傍組織浸潤
2. 腟壁浸潤
3. 骨盤壁浸潤
4. 膀胱浸潤・尿管浸潤
5. 直腸浸潤
6. 膀胱子宮靱帯への浸潤の評価
C 病的解剖の理解 ②子宮体がん:進行期の推定のための病変の広がりの評価法 松本優香,木戸 晶
1. 筋層浸潤の評価
2. 頸部間質浸潤の評価
3. 子宮外進展の評価
C 病的解剖の理解 ③卵巣がん:進行期の推定のための病変の広がりの評価法 松本優香,木戸 晶
1. 画像モダリティの使い方
2. 播種の好発部位
3. Complete surgeryが困難となりうる病変部位
C 病的解剖の理解④子宮筋腫や卵巣腫瘍による正常構造の偏位の評価 矢嶋 諒,梅岡成章
1. 靱帯内進展を伴う子宮筋腫と尿管の関係
2. 靱帯内進展を伴う子宮筋腫と子宮動脈の関係
3. 靱帯内進展を伴う子宮筋腫と膀胱,直腸の関係
4. 子宮筋腫の靱帯内進展を診断するために有用なMRI所見
C 病的解剖の理解 ⑤内膜症等による癒着の評価 木戸 晶
C 病的解剖の理解 ⑥卵巣動静脈の評価 森畠裕策,木戸 晶
1. 卵巣腫瘍の左右の推定の指標
2. 卵巣腫瘍か子宮腫瘍か?
3. 卵巣捻転の有無の判断
C 病的解剖の理解 ⑦後腹膜腫瘤をどう推定するか? 腹膜の同定 舌野富貴,西尾直子,古田昭寛
1. 腹膜の同定
2. 骨盤内の筋膜,腔について
3. 正常構造の偏位
3 章 産婦人科に必要な外科手術解剖各論
A 単純子宮全摘(特に鏡視下)の遂行に必要な手術解剖 堀江昭史
1. 腹膜切開と尿管同定
2. 子宮円靱帯切断
3. 骨盤漏斗靱帯(卵巣提索)と卵巣固有靱帯(固有卵巣索)
4. 仙骨子宮靱帯切断
5. 膀胱子宮窩腹膜切開
6. 側方処理(基靱帯血管切離)
7. 腟切断
B 広汎子宮全摘術の遂行に必要な手術解剖 堀江昭史
1. 手術開始時の前提と側腔展開
2. 尿管剝離
3. 深子宮静脈の同定と剝離
4. 下腹神経の同定
5. 仙骨子宮靱帯切断と直腸腟中隔剝離
6. 膀胱子宮靱帯前層処理
7. 膀胱子宮靱帯後層処理
8. 神経温存の意義
C 骨盤底拡大手術 堀江昭史
1. 後方除臓術と前方除臓術の特徴
2. 骨盤底筋群の露出の意義
3. チーム医療の重要性
D 腟式手術の解剖 秋元太志,齋藤 豪
1. 系統解剖
2. 臨床解剖
E 婦人科医が知っておくべき腸管系の手術解剖 外科医からみた直腸周囲解剖 岡田倫明
1. 直腸の解剖
2. 直腸と腟の間の解剖構造
3. 神経の解剖
A 骨盤系統解剖 砂田真澄,万代昌紀
1. 解剖学的メルクマールとはその重要性を理解しよう
2. まず,はじめに骨の名前を覚えよう
3. 次に靱帯の解剖を理解しよう
4. 主要な筋肉の名前を覚えよう
5. 骨盤底筋群尾側の構造と坐骨直腸窩を理解しよう
6. ここで骨盤底の構造を再整理しよう
7. 実際の手術における,主要な構造物(メルクマール)を同定する手順を理解しよう
8. 複雑な血管の解剖を整理して頭に入れよう
9. 神経の位置と走行を知っておこう
10. リンパ節の分布を理解しよう
B 骨盤外科解剖 砂田真澄,万代昌紀
1. 骨盤系統解剖と外科解剖の違い 外科解剖を理解することで,手術はもっとわかりやすくなる
2. 腔の概念を理解しよう
3. 靱帯を理解しよう
C 遺体解剖(CST)における実際の位置 寺井義人
1. CSTを実施するにあたって
2. CSTを用いた骨盤解剖の実際
2 章 画像診断から読む骨盤解剖
A CT/MRIによる正常な骨盤の解剖 樋本祐紀,倉田桐靖
1. CT/MRIの特徴,各々の組織の見え方,解剖学的指標の見つけ方
2. 骨・筋肉の同定
3. 神経の同定
4. 血管の走行の評価
5. 尿管の走行の評価
B 骨盤内臓器の位置関係の評価 倉田靖桐,木戸 晶
1. 子宮と卵巣
C 病的解剖の理解 ①子宮頸がん:進行期の推定のための病変の広がりの評価法 桐田光弘,倉田靖桐
1. 傍組織浸潤
2. 腟壁浸潤
3. 骨盤壁浸潤
4. 膀胱浸潤・尿管浸潤
5. 直腸浸潤
6. 膀胱子宮靱帯への浸潤の評価
C 病的解剖の理解 ②子宮体がん:進行期の推定のための病変の広がりの評価法 松本優香,木戸 晶
1. 筋層浸潤の評価
2. 頸部間質浸潤の評価
3. 子宮外進展の評価
C 病的解剖の理解 ③卵巣がん:進行期の推定のための病変の広がりの評価法 松本優香,木戸 晶
1. 画像モダリティの使い方
2. 播種の好発部位
3. Complete surgeryが困難となりうる病変部位
C 病的解剖の理解④子宮筋腫や卵巣腫瘍による正常構造の偏位の評価 矢嶋 諒,梅岡成章
1. 靱帯内進展を伴う子宮筋腫と尿管の関係
2. 靱帯内進展を伴う子宮筋腫と子宮動脈の関係
3. 靱帯内進展を伴う子宮筋腫と膀胱,直腸の関係
4. 子宮筋腫の靱帯内進展を診断するために有用なMRI所見
C 病的解剖の理解 ⑤内膜症等による癒着の評価 木戸 晶
C 病的解剖の理解 ⑥卵巣動静脈の評価 森畠裕策,木戸 晶
1. 卵巣腫瘍の左右の推定の指標
2. 卵巣腫瘍か子宮腫瘍か?
3. 卵巣捻転の有無の判断
C 病的解剖の理解 ⑦後腹膜腫瘤をどう推定するか? 腹膜の同定 舌野富貴,西尾直子,古田昭寛
1. 腹膜の同定
2. 骨盤内の筋膜,腔について
3. 正常構造の偏位
3 章 産婦人科に必要な外科手術解剖各論
A 単純子宮全摘(特に鏡視下)の遂行に必要な手術解剖 堀江昭史
1. 腹膜切開と尿管同定
2. 子宮円靱帯切断
3. 骨盤漏斗靱帯(卵巣提索)と卵巣固有靱帯(固有卵巣索)
4. 仙骨子宮靱帯切断
5. 膀胱子宮窩腹膜切開
6. 側方処理(基靱帯血管切離)
7. 腟切断
B 広汎子宮全摘術の遂行に必要な手術解剖 堀江昭史
1. 手術開始時の前提と側腔展開
2. 尿管剝離
3. 深子宮静脈の同定と剝離
4. 下腹神経の同定
5. 仙骨子宮靱帯切断と直腸腟中隔剝離
6. 膀胱子宮靱帯前層処理
7. 膀胱子宮靱帯後層処理
8. 神経温存の意義
C 骨盤底拡大手術 堀江昭史
1. 後方除臓術と前方除臓術の特徴
2. 骨盤底筋群の露出の意義
3. チーム医療の重要性
D 腟式手術の解剖 秋元太志,齋藤 豪
1. 系統解剖
2. 臨床解剖
E 婦人科医が知っておくべき腸管系の手術解剖 外科医からみた直腸周囲解剖 岡田倫明
1. 直腸の解剖
2. 直腸と腟の間の解剖構造
3. 神経の解剖
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腹腔鏡・ロボット手術の理解と実践に欠かせない鏡視野による骨盤内手術解剖を体系的に学べる本邦初の書籍
いまや産婦人科手術の第一選択となっている腹腔鏡・ロボット手術。本書は,その理解と実践に欠かせない鏡視野による骨盤内手術解剖を体系的に学べる一冊である。第1章では,豊富なイラストと術中写真,平易な文章により,骨→靱帯→筋肉→血管→神経→リンパ節の順に,骨盤内構造を手取り足取り解説。CST(遺体解剖)による写真とあわせ,立体的な手術解剖の理解を深めることができる。第2章では,放射線科医師による執筆のもと,骨盤内の正常構造や病変がMRI/CT画像でどのように描出されるのかを詳細に解説した。第3章ではこれらの解剖知識を踏まえ,単純子宮全摘術,広汎子宮全摘術,骨盤除臓術の手術手順に加え,腟式手術の解剖や外科的視点からの解剖も紹介。明日からの手術に直結する理解を目指した,とことん実践的でわかりやすい一冊となっている。