OGS NOW basic 2
いきなりTLH
[Web動画付]
ビギナーとその指導者のために
定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
- A4判 224ページ オールカラー,イラスト132点,写真284点,Web動画82本/144分
- 2020年3月29日刊行
- ISBN978-4-7583-1982-9
序文
OGS NOW basicの刊行にあたって
この度,産婦人科手術書OGS NOW の姉妹編としてOGS NOW basic を刊行することになりました。OGS NOWはわかりやすいイラストを用い,各手術のストラテジー,コツ,ピットフォールなどの項目を設け,従来の手術書の行間に書かれていた内容を解説してもらいました。これは,より安全な術式を効率よくマスターしてほしいとの思いからでた発想であり,2010年から2015年にかけて全24 巻発刊し,今も多くの先生方に愛読していただいております。
今も昔も,多くの産婦人科手術に対するストラテジーには大きな変化はありませんが,この10 年間に腹腔鏡手術やロボット手術が急速に発展し,パワーデバイスや周術期管理なども年々進歩してきています。このような現況を踏まえ,OGS NOW は継続して刊行していきながら,それをさらに補い,主に卒後10 年位までの若い先生を対象とした手術入門書として,up-to-dateな内容を盛り込み,基本的な術式をよりわかりやすく解説する書籍としてOGS NOW basicを発刊することにしました。
本シリーズでは,OGS NOWの編集方針は継承しつつ,次のような編集方針で企画していきます。
1)卒後10年位までの若い先生を主たる対象とする。
2) 難易度の高い手術は「OGS NOW」を参照してもらい,難しいテーマはできるだけ取り扱わない。
3)その手術に必要な解剖知識を記載する。
4)各操作の理解を助けるために必要な短い動画をつける。
4)麻酔や合併症対策も記載する。
多くのup-to-dateな内容を取り入れていくと同時に,鏡視下手術で得られる画像,解剖を掲載しますのでベテランの先生方にも役立てていただけるものと思っています。
手術はScienceを基盤にしたArt です。本シリーズではこのtechnical skillをわかりやすく解説します。また,よい外科医と呼ばれるのにはtechnical skill に加え,non-technical skillを備えておく必要があります。これについてもコラム等で可能な限り伝えていきたいと考えています。
OGS Now 全24 巻とともに,年4冊発刊予定であるOGS NOW basicも手元においていただき,手術前後に必ず該当項目を読んで修練し,手術の達人そしてbest Surgeonを目指してほしいと思います。
2020年3月吉日
編集委員 平松祐司 岡山市立総合医療センター顧問,岡山大学名誉教授
竹田 省 順天堂大学医学部産婦人科学講座特任教授,母子愛育会愛育研究所所長
万代昌紀 京都大学医学研究科婦人科学産科学分野教授
小林裕明 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科生殖病態生理学教授
----------------------
序 文
私が研修を始めたころ,手術書といえば白黒のシンプルな図と,難解な解説からなる薄いものしかなく,それを何度も読んで,想像を膨らませたものであった。ただし,達人が書いたものだけに内容は素晴らしかった。昨今の手術書はずいぶん,きれいになって写真が多くなり,取りつきやすくなった。しかしながら手術時の写真は,術者でなければ意外とわかりにくいものである。なかなか説明と写真のどこが一致しているのか,わかりにくいことも多かった。
そして今,腹腔鏡の時代を迎え,手術の勉強をするのに最適なツールは動画になった。私自身,最近は新しい術式や手法を学ぶ場合,熟練者からビデオをいただいて繰り返し見ることが多く,いわゆる手術書を読むことはずいぶん少なくなった。百聞は一見に如かず,と言うが,同じ一見でも,百写真は一動画に如かず,というくらい情報量が違うからである。そのため最近では手術書に動画がついていることも多くなったが,付属の動画は案外,見られていないようである。それはおそらく,動画が記述と対応しておらず,適切な解説を伴わない長いビデオをわざわざ見るのが面倒なせいであろう。一方で,手術書の記述はその道のエキスパートが書いたものであり,それを読みながら動画を見られないのは本当にもったいないと思っていた。
今回,新しいOGS NOWシリーズを刊行するに当たって,ビギナーを対象にした企画であることを聞いたとき,まず頭に浮かんだのは本文の説明を読みながら片手でその場面の動画を見られたら,どちらか一方だけよりもずっと理解がしやすいのではないか,ということであった。本書はそのような意図で作られた。写真も豊富にあるが,どちらかというと写真は動画の見出し代わり,という感じである。ぜひ,臨床感のある動画を見ながら本書を読んで欲しい。
テーマはTLH にした。TLH だけで一冊,これだけでTLH のさまざまなヴァリエーションが理解できるようにした。タイトルを「いきなりTLH」にした理由は本文を読んでいただきたい。本書は,読者にこれからTLHを学ぶビギナーと,そのビギナーにどのように教えていいか悩んでいる指導者を想定した。手元に置いて何度も読み返し,動画を見返してもらえるものになれば幸いである。
2020年3月
万代 昌紀
この度,産婦人科手術書OGS NOW の姉妹編としてOGS NOW basic を刊行することになりました。OGS NOWはわかりやすいイラストを用い,各手術のストラテジー,コツ,ピットフォールなどの項目を設け,従来の手術書の行間に書かれていた内容を解説してもらいました。これは,より安全な術式を効率よくマスターしてほしいとの思いからでた発想であり,2010年から2015年にかけて全24 巻発刊し,今も多くの先生方に愛読していただいております。
今も昔も,多くの産婦人科手術に対するストラテジーには大きな変化はありませんが,この10 年間に腹腔鏡手術やロボット手術が急速に発展し,パワーデバイスや周術期管理なども年々進歩してきています。このような現況を踏まえ,OGS NOW は継続して刊行していきながら,それをさらに補い,主に卒後10 年位までの若い先生を対象とした手術入門書として,up-to-dateな内容を盛り込み,基本的な術式をよりわかりやすく解説する書籍としてOGS NOW basicを発刊することにしました。
本シリーズでは,OGS NOWの編集方針は継承しつつ,次のような編集方針で企画していきます。
1)卒後10年位までの若い先生を主たる対象とする。
2) 難易度の高い手術は「OGS NOW」を参照してもらい,難しいテーマはできるだけ取り扱わない。
3)その手術に必要な解剖知識を記載する。
4)各操作の理解を助けるために必要な短い動画をつける。
4)麻酔や合併症対策も記載する。
多くのup-to-dateな内容を取り入れていくと同時に,鏡視下手術で得られる画像,解剖を掲載しますのでベテランの先生方にも役立てていただけるものと思っています。
手術はScienceを基盤にしたArt です。本シリーズではこのtechnical skillをわかりやすく解説します。また,よい外科医と呼ばれるのにはtechnical skill に加え,non-technical skillを備えておく必要があります。これについてもコラム等で可能な限り伝えていきたいと考えています。
OGS Now 全24 巻とともに,年4冊発刊予定であるOGS NOW basicも手元においていただき,手術前後に必ず該当項目を読んで修練し,手術の達人そしてbest Surgeonを目指してほしいと思います。
2020年3月吉日
編集委員 平松祐司 岡山市立総合医療センター顧問,岡山大学名誉教授
竹田 省 順天堂大学医学部産婦人科学講座特任教授,母子愛育会愛育研究所所長
万代昌紀 京都大学医学研究科婦人科学産科学分野教授
小林裕明 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科生殖病態生理学教授
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序 文
私が研修を始めたころ,手術書といえば白黒のシンプルな図と,難解な解説からなる薄いものしかなく,それを何度も読んで,想像を膨らませたものであった。ただし,達人が書いたものだけに内容は素晴らしかった。昨今の手術書はずいぶん,きれいになって写真が多くなり,取りつきやすくなった。しかしながら手術時の写真は,術者でなければ意外とわかりにくいものである。なかなか説明と写真のどこが一致しているのか,わかりにくいことも多かった。
そして今,腹腔鏡の時代を迎え,手術の勉強をするのに最適なツールは動画になった。私自身,最近は新しい術式や手法を学ぶ場合,熟練者からビデオをいただいて繰り返し見ることが多く,いわゆる手術書を読むことはずいぶん少なくなった。百聞は一見に如かず,と言うが,同じ一見でも,百写真は一動画に如かず,というくらい情報量が違うからである。そのため最近では手術書に動画がついていることも多くなったが,付属の動画は案外,見られていないようである。それはおそらく,動画が記述と対応しておらず,適切な解説を伴わない長いビデオをわざわざ見るのが面倒なせいであろう。一方で,手術書の記述はその道のエキスパートが書いたものであり,それを読みながら動画を見られないのは本当にもったいないと思っていた。
今回,新しいOGS NOWシリーズを刊行するに当たって,ビギナーを対象にした企画であることを聞いたとき,まず頭に浮かんだのは本文の説明を読みながら片手でその場面の動画を見られたら,どちらか一方だけよりもずっと理解がしやすいのではないか,ということであった。本書はそのような意図で作られた。写真も豊富にあるが,どちらかというと写真は動画の見出し代わり,という感じである。ぜひ,臨床感のある動画を見ながら本書を読んで欲しい。
テーマはTLH にした。TLH だけで一冊,これだけでTLH のさまざまなヴァリエーションが理解できるようにした。タイトルを「いきなりTLH」にした理由は本文を読んでいただきたい。本書は,読者にこれからTLHを学ぶビギナーと,そのビギナーにどのように教えていいか悩んでいる指導者を想定した。手元に置いて何度も読み返し,動画を見返してもらえるものになれば幸いである。
2020年3月
万代 昌紀
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目次
婦人科手術におけるTLH の位置づけ 万代昌紀
どのように学ぶか? どのように教えるか?
TLH を始めるまでに行うべきトレーニング,マスターすべきテクニック 砂田真澄
TLH を系統的に教えるための方法・準備・工夫 磯部真倫
低侵襲手術におけるテクニック
開腹手術とどこが違うか? ① 松本 貴
開腹手術とどこが違うか? ② 万代昌紀
器具の選び方 堀江昭史
術前評価と症例選択における注意点 安彦 郁
Step by Step の手術手技解説 万代昌紀
後腹膜の展開と,尿管・子宮動脈の同定 −バリエーションと解説
前方アプローチ 太田啓明
側方アプローチ 砂田真澄
後方アプローチ 松本 貴
注意すべき合併症とその対策
尿管損傷 小堀宏之
膀胱損傷 小堀宏之
腸管損傷 安彦 郁
血管損傷 竹本周二ほか
サイズの大きな子宮に対するTLH の工夫 浅田弘法ほか
癒着が激しい症例に対するTLH の工夫 太田啓明
TLH に役立つ,深部子宮内膜症に伴うダグラス窩完全閉鎖の取り扱い方 市川雅男
腹腔鏡補助下腟式単純子宮全摘術(LAVH) 小谷泰史ほか
ロボット支援単純子宮全摘術 堀江昭史
どのように学ぶか? どのように教えるか?
TLH を始めるまでに行うべきトレーニング,マスターすべきテクニック 砂田真澄
TLH を系統的に教えるための方法・準備・工夫 磯部真倫
低侵襲手術におけるテクニック
開腹手術とどこが違うか? ① 松本 貴
開腹手術とどこが違うか? ② 万代昌紀
器具の選び方 堀江昭史
術前評価と症例選択における注意点 安彦 郁
Step by Step の手術手技解説 万代昌紀
後腹膜の展開と,尿管・子宮動脈の同定 −バリエーションと解説
前方アプローチ 太田啓明
側方アプローチ 砂田真澄
後方アプローチ 松本 貴
注意すべき合併症とその対策
尿管損傷 小堀宏之
膀胱損傷 小堀宏之
腸管損傷 安彦 郁
血管損傷 竹本周二ほか
サイズの大きな子宮に対するTLH の工夫 浅田弘法ほか
癒着が激しい症例に対するTLH の工夫 太田啓明
TLH に役立つ,深部子宮内膜症に伴うダグラス窩完全閉鎖の取り扱い方 市川雅男
腹腔鏡補助下腟式単純子宮全摘術(LAVH) 小谷泰史ほか
ロボット支援単純子宮全摘術 堀江昭史
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産婦人科手術習得のための基本知識にフォーカスした新シリーズが2冊同時刊行!
若手産婦人科医を対象に「基本的に身につけなければならない手技」を解説し,“十分な理解に基づく手術”をマスターできる実践的シリーズ。緻密で美しいイラストにより読むだけで手術をシミュレートできるビジュアル重視の紙面に加え,スマートフォン等でアクセスできる本文とリンクした動画をストリーミング配信。解説は簡潔かつ初心者フレンドリーで,今さら聞けないような事柄についても丁寧に記載し,助手などの補助的な立場の手術参加者にもより役立つ作りとしている。
第2巻では,婦人科手術手技の基本となりうる全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)について,「何のために」「何を」「どうしたらよいか」,核心をシンプルに記述。初心者に向けたヒヤリハット例についても記載し,指導者・学習者,双方の理解にも有用な一冊。