Crosslink basic リハビリテーションテキスト
公衆衛生学
定価 3,850円(税込) (本体3,500円+税)
- B5判 308ページ オールカラー,イラスト130点,写真30点
- 2023年12月28日刊行
- ISBN978-4-7583-2097-9
電子版
序文
監修の序
このたび,メジカルビュー社の『Crosslink basic リハビリテーションテキスト 公衆衛生学』を監修する機会を与えて頂きました。
本書は,理学療法士,作業療法士養成課程における専門基礎分野の講義用テキストシリーズの1 つとして刊行されるものです。仕事として公衆衛生学に長年関わってきた者の一人として,まさに仲間である理学療法士,作業療法士を目指す学生に公衆衛生学を理解頂き,実務においても役立つことを知ってもらうためのテキスト作成に関われること,心から嬉しく,また,身の引き締まる思いです。
本シリーズの特長は,「臨床的な内容が含まれる点」や「本書で学ぶ知識が臨床にどのようにつながるかといった視点」で編さんされている点ですが,本書においても記載されている「考え方,理論,知識」がどのように臨床につながっているのかについて意識して書かれています。この特長は,本書の執筆陣のほとんどが,臨床・教育・研究活動の中で,公衆衛生学との関わりを持って仕事に取り組んできたという実績,経験に裏打ちされているからです。各項目は,難しい内容もわかりやすく,かみ砕いて書いてありますが,一部,独自の考え方の記載もあります。なお,「読み物」としても面白い内容であると感じています。
一方,理学療法士,作業療法士の国家試験を考えた場合,本書の内容は,国家試験出題基準の中では,「III. 保健医療福祉とリハビリテーションの理念」の保健医療福祉の内容を網羅しているばかりでなく,他の部分の国家試験出題基準のかなり多くの範囲をカバーしています。従って,本書は,狭義の公衆衛生学だけではなく,出題基準にある他分野の「保健,予防」の他,法律・制度と広く,かつ,深く関わっています。本書で公衆衛生学を学ぶことは,他分野の活動の導入やまとめに繋がります。
本書での学びを通じ,晴れて理学療法士,作業療法士になった際には,多くの仲間や地域社会の皆さんとともに公衆衛生(Public Health =みんなの健康)の高いレベルでの実現のため,貢献頂ければ幸いに存じます。
最後に,このような機会を与えて頂いた東京都立大学 浅川康吉教授に深謝致します。
2023年11月
安村誠司
---------------------------------
編集の序
本書発刊にあたり,最初に,ご監修を賜った安村誠司先生に深甚なる感謝を申し上げます。
私は地域理学療法と地域リハビリテーションの教育,研究,実践に関わるなかで理学療法士・作業療法士が公衆衛生学を学ぶ必要性を痛感していました。しかしながら,理学療法士・作業療法士が公衆衛生学について執筆することに大きな不安を感じていました。なぜなら,理学療法士及び作業療法士法には公衆衛生の文言がないからです。後進のためとはいえ,そのような立場から公衆衛生学を掲げた教科書をつくってよいものかどうかずいぶんと悩みました。こうして本書を発刊できたのは,安村誠司先生のおかげです。ご監修をお引き受けいただけたことで,不安と悩みを乗り越えて発刊に向けて動きだすことができました。
本書では,理学療法士・作業療法士を目指す学生のために,まずは公衆衛生学の入り口を示すことを目指しました。理学療法士・作業療法士が誕生してからまもなく60年を迎えます。社会の変化に応じて職能・職域は大きく拡がり,現在では地域包括ケアシステムをはじめとして広く国民の健康に関わるようになっています。本書の執筆陣にはその第一線で活躍している理学療法士や作業療法士に参画していただきました。そして,メジカルビュー社編集部 榊原優子氏が1冊の本として見やすく,読みやすい形に仕上げてくれました。理学療法士・作業療法士養成校の学生はもちろん,新人理学療法士,新人作業療法士にも本書を大いに活用していただきたいと思いますし,さらには,臨床経験の豊富な理学療法士・作業療法士にとっても有益な内容になっていると考えます。
国民の健康の保持増進にもっと広くもっと大きく貢献できるように,理学療法士・作業療法士はこれまでにも増して公衆衛生学を学ばなければなりません。本書がその一助となることを願っています。
2023年8月
浅川康吉
このたび,メジカルビュー社の『Crosslink basic リハビリテーションテキスト 公衆衛生学』を監修する機会を与えて頂きました。
本書は,理学療法士,作業療法士養成課程における専門基礎分野の講義用テキストシリーズの1 つとして刊行されるものです。仕事として公衆衛生学に長年関わってきた者の一人として,まさに仲間である理学療法士,作業療法士を目指す学生に公衆衛生学を理解頂き,実務においても役立つことを知ってもらうためのテキスト作成に関われること,心から嬉しく,また,身の引き締まる思いです。
本シリーズの特長は,「臨床的な内容が含まれる点」や「本書で学ぶ知識が臨床にどのようにつながるかといった視点」で編さんされている点ですが,本書においても記載されている「考え方,理論,知識」がどのように臨床につながっているのかについて意識して書かれています。この特長は,本書の執筆陣のほとんどが,臨床・教育・研究活動の中で,公衆衛生学との関わりを持って仕事に取り組んできたという実績,経験に裏打ちされているからです。各項目は,難しい内容もわかりやすく,かみ砕いて書いてありますが,一部,独自の考え方の記載もあります。なお,「読み物」としても面白い内容であると感じています。
一方,理学療法士,作業療法士の国家試験を考えた場合,本書の内容は,国家試験出題基準の中では,「III. 保健医療福祉とリハビリテーションの理念」の保健医療福祉の内容を網羅しているばかりでなく,他の部分の国家試験出題基準のかなり多くの範囲をカバーしています。従って,本書は,狭義の公衆衛生学だけではなく,出題基準にある他分野の「保健,予防」の他,法律・制度と広く,かつ,深く関わっています。本書で公衆衛生学を学ぶことは,他分野の活動の導入やまとめに繋がります。
本書での学びを通じ,晴れて理学療法士,作業療法士になった際には,多くの仲間や地域社会の皆さんとともに公衆衛生(Public Health =みんなの健康)の高いレベルでの実現のため,貢献頂ければ幸いに存じます。
最後に,このような機会を与えて頂いた東京都立大学 浅川康吉教授に深謝致します。
2023年11月
安村誠司
---------------------------------
編集の序
本書発刊にあたり,最初に,ご監修を賜った安村誠司先生に深甚なる感謝を申し上げます。
私は地域理学療法と地域リハビリテーションの教育,研究,実践に関わるなかで理学療法士・作業療法士が公衆衛生学を学ぶ必要性を痛感していました。しかしながら,理学療法士・作業療法士が公衆衛生学について執筆することに大きな不安を感じていました。なぜなら,理学療法士及び作業療法士法には公衆衛生の文言がないからです。後進のためとはいえ,そのような立場から公衆衛生学を掲げた教科書をつくってよいものかどうかずいぶんと悩みました。こうして本書を発刊できたのは,安村誠司先生のおかげです。ご監修をお引き受けいただけたことで,不安と悩みを乗り越えて発刊に向けて動きだすことができました。
本書では,理学療法士・作業療法士を目指す学生のために,まずは公衆衛生学の入り口を示すことを目指しました。理学療法士・作業療法士が誕生してからまもなく60年を迎えます。社会の変化に応じて職能・職域は大きく拡がり,現在では地域包括ケアシステムをはじめとして広く国民の健康に関わるようになっています。本書の執筆陣にはその第一線で活躍している理学療法士や作業療法士に参画していただきました。そして,メジカルビュー社編集部 榊原優子氏が1冊の本として見やすく,読みやすい形に仕上げてくれました。理学療法士・作業療法士養成校の学生はもちろん,新人理学療法士,新人作業療法士にも本書を大いに活用していただきたいと思いますし,さらには,臨床経験の豊富な理学療法士・作業療法士にとっても有益な内容になっていると考えます。
国民の健康の保持増進にもっと広くもっと大きく貢献できるように,理学療法士・作業療法士はこれまでにも増して公衆衛生学を学ばなければなりません。本書がその一助となることを願っています。
2023年8月
浅川康吉
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目次
第1章 公衆衛生学とリハビリテーション
1 公衆衛生活動と公衆衛生学
1 公衆衛生活動と公衆衛生学 [木村 朗]
2 リハビリテーション専門職による公衆衛生活動
2 リハビリテーション専門職による公衆衛生活動の歴史 [金谷さとみ]
3 リハビリテーション専門職の養成教育における公衆衛生学の位置づけ [樋口由美]
4 リハビリテーション専門職による公衆衛生活動の拡がり [樋口由美]
第2章 公衆衛生学の基礎知識
1 健康・疾病・障害のとらえ方
1 健康のとらえ方 [長野 聖]
2 疾病のとらえ方 [長野 聖]
3 障害のとらえ方 [長野 聖]
2 生活のとらえ方
4 身体活動のとらえ方 [田島敬之]
5 生活行為のとらえ方 [小林法一]
6 住環境のとらえ方 [八藤後 猛]
3 地域のとらえ方
7 コミュニティのとらえ方 [中村睦美]
8 地域リハビリテーション資源のとらえ方 [田中康之]
4 保健統計
9 保健統計 [長野 聖]
5 疫学
10 疫学とは [田島敬之]
11 疫学調査の種類 [田島敬之]
12 疫学調査に必要な統計学的知識 [田島敬之]
13 疫学調査の実際 [藤井一弥]
第3章 公衆衛生活動の基盤
1 制度(法)
1 地域保健に関する制度 [村井千賀]
2 医療と介護に関する制度(法) [逢坂伸子]
3 障害に関する制度(法) [白井宏明]
2 施策
4 健康増進(健康日本21) [田中康之]
5 地域包括ケア(地域包括ケアシステム) [中野裕貴]
6 地域福祉計画 [中山初代]
3 連携と協働
7 行政との連携・協働 [篠原智行]
8 住民組織との連携・協働 [松林義人]
9 企業との連携・協働 [木村 朗]
第4章 公衆衛生活動の実際
1 母子保健 [南雲健吾]
2 学校保健 [小林隆司]
3 成人保健 [野口雅弘]
4 産業保健 [市川 塁]
5 高齢者保健 [浅川康吉]
6 精神保健 [馬塲順子]
7 障害者支援─難病患者を対象とした支援─ [内藤泰男,牟田博行]
8 メンタルヘルス対策 [藺牟田洋美]
9 認知症対策 [田中繁弥]
第5章 公衆衛生活動の拡がり
1 災害への対応
1 災害への対応 [田中康之]
2 国際協力
2 国際協力(開発途上国支援) [小森昌彦]
3 WHO [李 範爽]
3 ICT
4 ICT [川又寛徳]
第6章 公衆衛生学の理解を深める ─人を知り地域をつくる─
1 地域へのアプローチ
1 ヘルスプロモーション [田島敬之]
2 コミュニティ・アズ・パートナーモデル [中村睦美]
3 ソーシャル・キャピタル [阿比留友樹]
4 ポピュレーションアプローチ・ハイリスクアプローチ [樋口由美]
2 行動変容へのアプローチ
5 エンパワメント [金谷さとみ]
6 セルフ・エフィカシー [山根主信]
7 トランスセオレティカルモデル [松林義人]
8 セルフモニタリング [松林義人]
9 動機づけモデル [万行里佳]
10 健康信念モデル [万行里佳]
11 ストレングスモデル [藺牟田洋美]
12 コーチング [藺牟田洋美]
1 公衆衛生活動と公衆衛生学
1 公衆衛生活動と公衆衛生学 [木村 朗]
2 リハビリテーション専門職による公衆衛生活動
2 リハビリテーション専門職による公衆衛生活動の歴史 [金谷さとみ]
3 リハビリテーション専門職の養成教育における公衆衛生学の位置づけ [樋口由美]
4 リハビリテーション専門職による公衆衛生活動の拡がり [樋口由美]
第2章 公衆衛生学の基礎知識
1 健康・疾病・障害のとらえ方
1 健康のとらえ方 [長野 聖]
2 疾病のとらえ方 [長野 聖]
3 障害のとらえ方 [長野 聖]
2 生活のとらえ方
4 身体活動のとらえ方 [田島敬之]
5 生活行為のとらえ方 [小林法一]
6 住環境のとらえ方 [八藤後 猛]
3 地域のとらえ方
7 コミュニティのとらえ方 [中村睦美]
8 地域リハビリテーション資源のとらえ方 [田中康之]
4 保健統計
9 保健統計 [長野 聖]
5 疫学
10 疫学とは [田島敬之]
11 疫学調査の種類 [田島敬之]
12 疫学調査に必要な統計学的知識 [田島敬之]
13 疫学調査の実際 [藤井一弥]
第3章 公衆衛生活動の基盤
1 制度(法)
1 地域保健に関する制度 [村井千賀]
2 医療と介護に関する制度(法) [逢坂伸子]
3 障害に関する制度(法) [白井宏明]
2 施策
4 健康増進(健康日本21) [田中康之]
5 地域包括ケア(地域包括ケアシステム) [中野裕貴]
6 地域福祉計画 [中山初代]
3 連携と協働
7 行政との連携・協働 [篠原智行]
8 住民組織との連携・協働 [松林義人]
9 企業との連携・協働 [木村 朗]
第4章 公衆衛生活動の実際
1 母子保健 [南雲健吾]
2 学校保健 [小林隆司]
3 成人保健 [野口雅弘]
4 産業保健 [市川 塁]
5 高齢者保健 [浅川康吉]
6 精神保健 [馬塲順子]
7 障害者支援─難病患者を対象とした支援─ [内藤泰男,牟田博行]
8 メンタルヘルス対策 [藺牟田洋美]
9 認知症対策 [田中繁弥]
第5章 公衆衛生活動の拡がり
1 災害への対応
1 災害への対応 [田中康之]
2 国際協力
2 国際協力(開発途上国支援) [小森昌彦]
3 WHO [李 範爽]
3 ICT
4 ICT [川又寛徳]
第6章 公衆衛生学の理解を深める ─人を知り地域をつくる─
1 地域へのアプローチ
1 ヘルスプロモーション [田島敬之]
2 コミュニティ・アズ・パートナーモデル [中村睦美]
3 ソーシャル・キャピタル [阿比留友樹]
4 ポピュレーションアプローチ・ハイリスクアプローチ [樋口由美]
2 行動変容へのアプローチ
5 エンパワメント [金谷さとみ]
6 セルフ・エフィカシー [山根主信]
7 トランスセオレティカルモデル [松林義人]
8 セルフモニタリング [松林義人]
9 動機づけモデル [万行里佳]
10 健康信念モデル [万行里佳]
11 ストレングスモデル [藺牟田洋美]
12 コーチング [藺牟田洋美]
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公衆衛生学の知識を理学療法士・作業療法士の役割を示しながら解説する新しいテキスト!
理学療法士,作業療法士,言語聴覚士の養成校の専門基礎科目に対応したテキストシリーズ。
学習内容と国家試験を結びつける[学習の要点],実習や臨床現場にリンクする[臨床に役立つアドバイス]など,「なぜそれを勉強するのか」「将来にどのようにつながるのか」をイメージしやすい知識を補足し,用語解説なども適宜追加。項目末の[まとめ]では,学習の理解度を確認するために簡単な問題を掲載。噛み砕いた表現と多数の図表で,評価・治療方法について視覚的にも理解しやすい紙面に加え,各見出しごとの[POINT]で,どこに重点を置いて学習すべきかが一目でわかる構成となっている。
本巻ではリハビリテーションの視点から,公衆衛生学の知識を理学療法士,作業療法士の役割を示しつつ解説することで,臨床への明確なつながりが理解できる内容となっている。