リハで活用!

わかりやすい運動器エコー
[Web動画付]

運動療法に役立つ機能解剖と評価のテクニック

わかりやすい運動器エコー[Web動画付]

■監修 小竹 俊郎

■著者 中山 昇平
福元 喜啓

定価 6,050円(税込) (本体5,500円+税)
  • i_movie.jpg
  • B5判  280ページ  オールカラー,イラスト80点,写真400点,Web動画視聴権付き
  • 2019年12月2日刊行
  • ISBN978-4-7583-2016-0

「運動療法を効果的にする3 step」で,筋・腱・脂肪体などの動態と疾患による影響の評価,治療の効果判定に超音波を活用しよう!

リハスタッフが超音波を活用するために,筋・腱・脂肪体などの運動器の測定法や機器の設定,他の画像機器との違いなどを基礎から解説。「運動療法を効果的にする3 step」では,step1.超音波解剖,step2.関節運動や筋収縮による組織動態,step3.疾患による影響の順に理解を深められる。断面図のイラストや複数の超音波画像を見比べる構成により,各組織の画面上の変化をわかりやすく説明している。さらに,超音波画面と手技を行っている様子を同期したweb動画を配信。臨床での実践に役立つ1冊。


序文

監修の序

 長い間,整形外科は単純X線検査を主な診断の情報として利用してきたため,骨の病変の有無によって診断がなされてきた感があります。その後,CT検査によって身体内部の断層像を得ることができるようになり,関節内も関節鏡検査にて直接観察することが可能となりました。さらにMRIの登場によって,骨以外の脊髄,筋,腱,靱帯などの軟部組織も鮮明な画像として得ることができ,身体のすべての部分を可視化できるようになりました。技術の進歩によって,エコー検査は,リアルタイムに浅層の軟部組織や関節の動きを動画として再現することを可能とし,整形外科の担う疾患を大幅に増大させることになりました。今や「骨を主にみる整形外科」から「運動器をみる整形外科」にパラダイムシフトを遂げたといっても過言ではありません。理学療法や作業療法の領域においても,軟部組織の動きの状態は,可視化が困難で触診することで体験的知見によってなされたものが,エコーによってリアルタイムの動画として確認でき,治療経過を客観的に認識できるようになりました。さらに,比較的困難と考えられてきた運動療法のテクニック伝承が容易となり,セラピストの教育の面でも大きな働きを担うことになってきました。
 私の研修医時代では,関節造影検査は腱板断裂の診断に必須の検査でした。造影検査は患者さんに侵襲を与え,大変手間のかかる検査であったため,エコーで診断ができないか,腱板断裂の手術所見とエコー所見とを比較検討し,どのようなエコー所見であれば,腱板断裂と診断してよいものか,研究を行ったのがエコーとの出会いでありました。その後,外来診療にエコー装置を置き,肩関節,股関節脱臼,小児股関節疾患,足関節や肘関節の靱帯損傷,肉離れなどの診断に利用してきました。中山昇平先生との出会いは2005年のこたけ整形外科クリニックの開設からであり,主要な立ち上げからのたたき上げのスタッフとして活躍していただいております。中山先生とは猪名川町という小さな町に運動器のリハビリができる整形外科専門病院をつくろうとの共通したビジョンと夢をもってきた同志でもあります。いち早く病院併設のデイケアーセンターをつくり,さらに長時間型のデイサービス,短時間型のデイサービス,訪問リハビリができる24時間看護ステーションを立ち上げてきました。診療で使用していたエコーを運動器リハビリにも活用できないかと思考錯誤を繰り返し,積み重ねてきた情熱と努力の結果,この本の刊行にまで漕ぎつけることができたのではないでしょうか。中山先生は最近では講習会を主催し,エコーを用いた運動療法のパイオニアとして精力的に活躍されています。リハビリテーションに必要なテクニックを余すところなく,動画をふんだんに取り入れた本書は,運動器リハビリテーションに携わる者にとって有用な書であります。読者諸氏が実際の治療にあたる際に参考にしていただければ幸いに存じます。

2019年10月
小竹俊郎

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著者の序

 「欧州の理学療法士はエコーを見ながら運動療法をしているよ。」
 小竹医師のこの言葉が運動器エコーを始めるきっかけとなりました。当初は,小竹医師に教えを請い,文献を読み,診療終了後に診察室の超音波画像診断装置を使って私自身や同僚の身体を観察しました。医師向けの講習会にも参加する機会をいただき,医師の視点による画像の解釈や診断方法,リスク管理を学びました。技術向上に邁進するなか,当院に小児股関節検査に対応した機器や高周波数のプローブが導入されたこともあり,運動療法の精度は飛躍的に進歩しました。私は理学療法士として,運動器エコーを活用した日々の臨床において「運動によって身体内部はどのように変化するのか?」,「私の介入は,標的とする組織にどのように影響を与えているのか?」とシンプルに問い続けてきました。
 この問いの答えを探すなかで,福元先生との出会いは,私が運動器エコーを臨床応用する分岐点となりました。福元先生は超音波画像を活用した骨格筋研究の第一線で活躍される研究者であり,超音波画像を活用した可能性と限界について明確に解説されました。この出会いによって,運動器エコーは臨床課題を解決に導く必要不可欠な機器であると確信をもちました。
 これまで,超音波解剖を基にした運動器エコーセミナーを通して理学療法士,作業療法士,看護師,柔道整復師,鍼灸師の皆さんとディスカッションを行ってきました。そのなかで,臨床での課題解決につなげるための視点として,疾患や病変を理解する「医学的視点」,関節周囲組織の動態を理解する「運動学的視点」,画像からの情報を理解する「科学的視点」の3つが重要であるとの考えに至りました。この3点にかかわる専門家こそが,医学的視点=医師,運動学的視点=理学療法士,科学的視点=研究者です。本書は,3者が一堂に会して,日々の疑問を解決するべくつくり上げた唯一無二の解説書です。
 本書には,多くの患者さんの超音波画像を掲載しています。この記録をご提供いただいたすべての患者さんに感謝の意を表します。また,疾患と治療の内容にとどまらず,私の執筆が行き詰ったときも温かくご指導いただいた小竹医師,超音波画像による研究内容に加えて,読みやすい文面へと導いていただいた福元先生には感謝という言葉では言い尽くせません。私と臨床現場をともに過ごし,遅くまでデータ整理や研究を支えてくれた仲間たちなくして本書の刊行はできませんでした。本当に感謝しています。これからもともに研鑽を重ねて,地域住民の皆さんが自分の力で活動できる身体づくりを支えられるようにとなりたいと思います。
 最後にメジカルビュー社の水上優様には,編集,制作過程で多大なアドバイスをいただき,心から感謝いたします。

2019年10月
中山昇平
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目次

第1章 超音波画像第と解剖学は相性抜群 超音波画像で何が見える?
 1 画像装置いろいろ
 2 運動器構成体の見え方
 3 超音波画像装置を用いた骨格筋の評価:筋厚と筋輝度
  骨格筋量の指標:筋厚
  筋内非収縮組織の指標:筋輝度
 4 筋厚と筋輝度のための超音波撮像方法
  各筋の超音波撮像方法
  筋輝度を正確に測定するためのポイント
 5 超音波画像装置を用いた筋の硬さの評価:エラストグラフィ
  エラストグラフィの分類と原理
  加齢による筋弾性係数の変化
  疾患による筋弾性係数の変化
  SWEを用いたストレッチングに関する研究
  SWEを用いるにあたっての注意点
  
第2章 部位に特有の症状と効果的なアプローチ  超音波解剖に基づく静態と動態
 1 肩関節
  肩関節の運動療法を効果的にする3step
  症例での治療効果をみてみよう
 2 腰部
  腰部の運動療法を効果的にする3step
  症例での治療効果をみてみよう
  症例 運動介入によって,筋輝度・筋の変位が改善した症例
 3 股関節
  股関節の運動療法を効果的にする3step
 4 大腿部
  大腿部の運動療法を効果的にする3step
  症例での治療効果をみてみよう
 5 膝関節(関節動態に関与する脂肪組織)
  膝関節の運動療法を効果的にする3step
  症例での治療効果をみてみよう
 6 下腿部(下腿三頭筋,KFP)
  下腿三頭筋とKager’s fat padに対する運動療法を効果的にする3step
  症例での治療効果をみてみよう
  症例での治療効果をみてみよう
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