PCIエキスパートになるための28カ条

PCIエキスパートになるための28カ条

■編集 中村 正人

定価 5,500円(税込) (本体5,000円+税)
  • B5判  182ページ  2色,イラスト30点,写真90点
  • 2021年3月28日刊行
  • ISBN978-4-7583-1973-7

PCI手技上達のため,エキスパート達が実践している極意を伝授!

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)についての基礎はひととおり押さえているが,独り立ちにはまだ不安があるといった若手医師に向けた虎の巻。これを読めば,エキスパート達が「何を理解し」「何を考え」「何を身につけ」PCIを行っているのかがわかる。
手技の上達,さらなるレベルアップのための極意を凝縮した必携の一冊!


序文

序文にかえて

PCIエキスパートになるための心得

 エキスパート(Expert)とスペシャリスト(Specialist)は,日本語にするとどちらも専門家であるが,実は英語ではこの2つの用語の意味合いは異なっている。エキスパートは,その技術の背景までの専門的知識を有する,いわゆる権威ある人や学識経験者を指す。これに対しスペシャリストはその道一筋の専門家で,その技術に関しては著しく秀でているが,その反面,直接関係がないところになると苦手ということもありうる。
この考え方に基づけば,インターベンショニストはPCI手技に特化したスペシャリストととらえられがちであるが,目指すべきは当然,エキスパートであると考えている。卓越したPCI手技を習得することに留まることなく,適切な診断,適応決定,適切な手技,合併症防止対策,予後改善のための薬物管理までを包括したすべてを総合して実践することが,“for the patient”には必要である。
 昨今,「知る」に重きが置かれてきたが,「知る」と「わかる」はまったく異なったカテゴリーである。「知る」よりも「わかる」ことが大切であり,「わかる」を追求することにエキスパートの本質がある。本書を通して「わかる」を実感していただくために,PCIエキスパートをテーマとした連載を『Heart View』誌で企画した(2018年1月号~2020年2月号まで掲載)。斯学の権威ともいうべき方々に執筆いただき,日常診療の流れに沿って,特に重要と考えられる項目,これだけは理解しておいてほしいという項目を厳選した虎の巻,心得となっており,この度,連載時の内容をアップデートし,新規項目を加えて書籍化した。どこから読んでいただいても結構だが,ぜひ全28条を完読いただきたい。卓越した技術というものは,経験の積み重ねのみで完成するものではないことは明白である。その裏側には必ず強固な理論的背景がある。何気なく行っている日常の手技,選んでいるデバイスも,それを用いる理由が必ず存在するはずである。そこで,各著者には現況に留まることなく過去における問題点,それをクリアしてきたプロセスなども記載していただくようにお願いした。歴史を知ることに留まらず,ぜひ,歴史から普遍的な真実を学び取っていただきたいと考えている。
 最後に,記述して残すことの重要性を最近強く感じている。PCIを文化にするためには記述して伝承するという普段の努力が必要であり,これは,過去を知っている,そして多くの経験を有する者の務めでもあろう。何年か経過して同じ過ちを犯し,「Deja-vuだね」というのは臨床の世界では避けて通るべき道であろう。PCIは技術を要する手技であるからこそ,スペシャリストではなくエキスパートを目指してほしい。 序文を終えるにあたり,著者の先生方,編集に創意工夫いただいたメジカルビュー社 高橋 萌氏に深謝する。この本がインターベンショニストのバイブルとなることを期待している。

2021年2月
東邦大学医療センター大橋病院循環器内科教授
中村正人
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目次

第1条 PCI 前の虚血評価により,PCI が必須かどうかを見極めるべし   田中信大
第2条 冠動脈造影の心得:病変評価の重要性を識るべし   中野雅嗣
第3条 患者リスク評価の心得:術前評価の重要性を識るべし   佐々木航,森野禎浩
第4条 穿刺のテクニックを身につけるべし   松隂 崇
第5条  アプローチ部位とガイディングカテーテル選択:バックアップを考察すべし   小松宏貴,朴沢英成
第6条 ガイドワイヤーを使いこなすべし   小川崇之
第7条 場面に応じてバルーンを選択すべし   太田 洋
第8条 ステントの種類と構造を理解すべし   中村則人,中澤 学
第9条 マイクロカテーテルの使い分けを身につけるべし   伊藤良明
第10条  薬剤コーテッドバルーン(DCB)の適応と活かし方を押さえるべし   門田一繁
第11条 IVUS ガイド PCI:エキスパートの視点を学ぶべし   髙山忠輝
第12条 OCT/OFDI ガイド PCI:エキスパートの視点を学ぶべし   前島信彦,日比 潔
第13条 急性冠症候群(ACS)に立ち向かうときの心構えを身につけよ   中川義久
第14条 石灰化病変を正しく評価し治療戦略を考えるべし   辻田裕昭,濱嵜裕司,新家俊郎
第15条 分岐部病変を正しく評価し治療戦略を考えるべし   三浦勝也,門田一繁
第16条 CTO 病変の評価とantegrade approach の手法を会得せよ   矢嶋純二
第17条 Retrograde approach の望ましい症例を見極めよ   村松俊哉
第18条  糖尿病症例へのPCI:エキスパートの思考を学ぶべし   齋藤佑一,小林欣夫
第19条  高齢者へのPCI:エキスパートのエンドポイント設定を学ぶべし   塩出宣雄
第20条  BRS の適応,適切な留置術,術後管理:エキスパートの思考を学ぶべし   上妻 謙
第21条 ステント血栓症の分類:成因を理解し,正しく対策せよ   飯島雷輔
第22条  高出血リスク(HBR)とわかったときの対応:エキスパートに学ぶべし   飯島雷輔
第23条  冠動脈解離を正しく評価し,適切にマネージメントすべし(特発性含む)   和田輝明,久保隆史
第24条 メカニズムに応じてステント再狭窄に備えよ   舩津篤史,中村 茂
第25条  事前に備えよ! 心タンポナーデ,slow fl ow,コレステロール塞栓症   井上直人
第26条 造影剤腎症を回避せよ:エキスパートのノウハウはこうだ!   道下一朗
第27条 術前後の抗血栓療法エッセンス:これで君もエキスパートだ!   近藤誠太,新家俊郎
第28条  虚血関連のエビデンスを押さえるべし(ISCHEMIA 試験,ORBITA 試験)   塩野泰紹
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