脳卒中の外科
[Web動画付]
エキスパートを目指す侍たちへ
定価 15,400円(税込) (本体14,000円+税)
- A4判 296ページ オールカラー,イラスト80点,写真200点
- 2020年7月3日刊行
- ISBN978-4-7583-1852-5
電子版
序文
監修のことば
この度は、『脳卒中の外科~エキスパートを目指す侍たちへ』 の刊行をお慶び申し上げます。我が国の脳卒中の外科の医療・学術は、先人の多くの努力により非常に高いレベルにあり、脳神経外科各サブスペシャリティ分野の中でもとりわけ国際的な競争力を備えています。しかしながら最近の血管内治療症例数の増加により、顕微鏡による脳卒中の外科手術においては、より高度な技術を要求される手術を、より限られた症例から学ぶことが必要となってきました。そのためこれまで築き上げてきた脳卒中の外科手術に関する技術、経験、考え方(哲学)などの様々を、如何に効率的に次代に伝えるかが大きな課題となっています。
本書は、これから脳卒中の外科のエキスパートを目指す先生に向けて、通り一遍の知識ではなく、エキスパートに必要な考え方や実際的な方法論が記載されています。特に「若き侍たちへのメッセージ」は、エキスパートが身近な後輩に指導するように、心構え、コツ、要点などをわかりやすく伝えています。本書の特徴であり大変有益なコーナーです。これからエキスパートを目指す諸君は、このようなテキストによる二次元教育、実際の手術場における三次元教育、更に経年の鍛錬による四次元教育を受けますが、本書は入口の二次元教育の書として魅力的であり大いに役立つことでしょう。
スポーツ以外では「侍」という言葉をあまり目にすることがなくなった昨今ですが、患者さんの予後に術者の技量が直接影響する脳卒中の外科手術は、まさに「真剣勝負」と言えます。一人でも多くの若き侍が、この本を手にとって脳卒中の外科の道に精進されますことを祈念致します。
2020年6月
東北大学大学院神経外科学分野教授
冨永悌二
--------------------------
序
日本の脳卒中の外科は、歴史的に偉大な先輩方がその手術手技を独自に確立し、世界と比較してもより洗練されており、手術成績は間違いなく世界一と考えられます。「一般社団法人 日本脳卒中の外科学会」が、2017年より技術認定制度を導入し、システマティックな技術の継承、維持、発展が可能となりました。一方、血管内治療が確立して一人当たりの手術の経験は減ってきましたが、ITテクノロジーが発展し、術前シミュレーション、モニタリングなども確立してきております。若い脳卒中外科医は、手術も血管内治療も習得せねばならず、時間の流れ方は間違いなく早くなっており、短時間で効率よく右脳に落とし込める成書の必要性を感じておりました。こういう時に最も頼りになるのは同級生で、お二人の顔が浮かび、快くご協力いただけました。黒田先生からは、「エキスパートを目指す侍たちへ」という、モチベーションが上がるサブタイトルを頂き、具体的に構想をご指示いただきました。清水先生からは、類似書と似たような内容は避けて、これまで見逃されていたが興味あるターゲットを明確にし、現場に即して、原則通りいかない場合の対処法などを掲載すべき とご助言いただきました。
おかげ様で、内容は卓越したものに仕上がったと自負しており、若い脳卒中外科医にマイルストーンとモチベーションを同時にもたらす書であることを確信しております。
執筆をお願いした先生方は、第一線でご活躍されている先生ばかりです。ご多忙にもかかわらず、充実した内容に仕上げてくださり、この場を借りて厚く御礼申し上げます。必ずや若い先生方のお役に立てると確信しており、ひいては多くの患者さんに貢献できたら幸いです。最後になりましたが、本書にご協力いただいたすべての方々に心より感謝申し上げます。
令和二年 新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言さなか より
島根県立中央病院 脳神経外科
井川房夫
この度は、『脳卒中の外科~エキスパートを目指す侍たちへ』 の刊行をお慶び申し上げます。我が国の脳卒中の外科の医療・学術は、先人の多くの努力により非常に高いレベルにあり、脳神経外科各サブスペシャリティ分野の中でもとりわけ国際的な競争力を備えています。しかしながら最近の血管内治療症例数の増加により、顕微鏡による脳卒中の外科手術においては、より高度な技術を要求される手術を、より限られた症例から学ぶことが必要となってきました。そのためこれまで築き上げてきた脳卒中の外科手術に関する技術、経験、考え方(哲学)などの様々を、如何に効率的に次代に伝えるかが大きな課題となっています。
本書は、これから脳卒中の外科のエキスパートを目指す先生に向けて、通り一遍の知識ではなく、エキスパートに必要な考え方や実際的な方法論が記載されています。特に「若き侍たちへのメッセージ」は、エキスパートが身近な後輩に指導するように、心構え、コツ、要点などをわかりやすく伝えています。本書の特徴であり大変有益なコーナーです。これからエキスパートを目指す諸君は、このようなテキストによる二次元教育、実際の手術場における三次元教育、更に経年の鍛錬による四次元教育を受けますが、本書は入口の二次元教育の書として魅力的であり大いに役立つことでしょう。
スポーツ以外では「侍」という言葉をあまり目にすることがなくなった昨今ですが、患者さんの予後に術者の技量が直接影響する脳卒中の外科手術は、まさに「真剣勝負」と言えます。一人でも多くの若き侍が、この本を手にとって脳卒中の外科の道に精進されますことを祈念致します。
2020年6月
東北大学大学院神経外科学分野教授
冨永悌二
--------------------------
序
日本の脳卒中の外科は、歴史的に偉大な先輩方がその手術手技を独自に確立し、世界と比較してもより洗練されており、手術成績は間違いなく世界一と考えられます。「一般社団法人 日本脳卒中の外科学会」が、2017年より技術認定制度を導入し、システマティックな技術の継承、維持、発展が可能となりました。一方、血管内治療が確立して一人当たりの手術の経験は減ってきましたが、ITテクノロジーが発展し、術前シミュレーション、モニタリングなども確立してきております。若い脳卒中外科医は、手術も血管内治療も習得せねばならず、時間の流れ方は間違いなく早くなっており、短時間で効率よく右脳に落とし込める成書の必要性を感じておりました。こういう時に最も頼りになるのは同級生で、お二人の顔が浮かび、快くご協力いただけました。黒田先生からは、「エキスパートを目指す侍たちへ」という、モチベーションが上がるサブタイトルを頂き、具体的に構想をご指示いただきました。清水先生からは、類似書と似たような内容は避けて、これまで見逃されていたが興味あるターゲットを明確にし、現場に即して、原則通りいかない場合の対処法などを掲載すべき とご助言いただきました。
おかげ様で、内容は卓越したものに仕上がったと自負しており、若い脳卒中外科医にマイルストーンとモチベーションを同時にもたらす書であることを確信しております。
執筆をお願いした先生方は、第一線でご活躍されている先生ばかりです。ご多忙にもかかわらず、充実した内容に仕上げてくださり、この場を借りて厚く御礼申し上げます。必ずや若い先生方のお役に立てると確信しており、ひいては多くの患者さんに貢献できたら幸いです。最後になりましたが、本書にご協力いただいたすべての方々に心より感謝申し上げます。
令和二年 新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言さなか より
島根県立中央病院 脳神経外科
井川房夫
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目次
Ⅰ 基礎知識
顕微鏡手術の歴史と基本的操作法 岩間 亨
脳卒中の外科の治療成績・リスク 井川房夫
顕微鏡手術のトレーニング方法 髙橋 淳
Ⅱ 手術の基礎と手術計画
画像評価と術前シミュレーション
脳動脈瘤 井川房夫
虚血性疾患 東野芳史,菊田健一郎
脳動静脈奇形 髙木康志
脳動脈留手術のセットアップと手術器械の特性を理解した使い方 水谷 徹
モニタリング
電気生理学的モニタリング:VEP 佐々木達也
電気生理学的モニタリング:MEP 本山 靖,中瀬裕之
術中蛍光血管撮影・ドップラー血流計 鈴木恭一,市川 剛,渡部洋一
基本手技
動脈瘤手術:前頭側頭開頭,シルビウス裂の開放 富樫俊太郎,清水宏明
動脈瘤手術:両側前頭開頭,大脳半球間裂の開放 遠藤英徳,冨永悌二
動脈瘤手術:動脈瘤の剥離,クリッピング 中山若樹
バイパス術:血管吻合の基本手技,トレーニング 谷川緑野,野田公寿茂
頚動脈内膜剥離術(CEA):基本手技,トレーニング 宇野昌明
内視鏡支援:セットアップと基本手技 吉岡秀幸,木内博之
Ⅲ 手術の実際
脳動脈瘤(クリッピング術)
前交通動脈瘤・前大脳動脈瘤 数又 研
中大脳動脈瘤 吉田和道
内頚動脈瘤 石川達也,山口浩司,川俣貴一
後方循環動脈瘤 井川房夫
ハイフローバイパス併用手術 清水宏明
虚血性疾患・もやもや病
前方循環バイパス術 黒田 敏
後方循環バイパス術 井上智弘
もやもや病に対する脳血行再建術 黒田 敏
虚血性疾患:頚動脈内膜剥離術(CEA) 柏﨑大奈,黒田 敏
脳動静脈奇形 栗田浩樹
Ⅳ 周術期管理
くも膜下出血 鈴木秀謙
過灌流 藤村 幹
Ⅴ その他
手術スケッチの描き方:アナログ 藤津和彦
手術スケッチの描き方:デジタルによる手術イラストレーションについて 野田公寿茂
顕微鏡手術の歴史と基本的操作法 岩間 亨
脳卒中の外科の治療成績・リスク 井川房夫
顕微鏡手術のトレーニング方法 髙橋 淳
Ⅱ 手術の基礎と手術計画
画像評価と術前シミュレーション
脳動脈瘤 井川房夫
虚血性疾患 東野芳史,菊田健一郎
脳動静脈奇形 髙木康志
脳動脈留手術のセットアップと手術器械の特性を理解した使い方 水谷 徹
モニタリング
電気生理学的モニタリング:VEP 佐々木達也
電気生理学的モニタリング:MEP 本山 靖,中瀬裕之
術中蛍光血管撮影・ドップラー血流計 鈴木恭一,市川 剛,渡部洋一
基本手技
動脈瘤手術:前頭側頭開頭,シルビウス裂の開放 富樫俊太郎,清水宏明
動脈瘤手術:両側前頭開頭,大脳半球間裂の開放 遠藤英徳,冨永悌二
動脈瘤手術:動脈瘤の剥離,クリッピング 中山若樹
バイパス術:血管吻合の基本手技,トレーニング 谷川緑野,野田公寿茂
頚動脈内膜剥離術(CEA):基本手技,トレーニング 宇野昌明
内視鏡支援:セットアップと基本手技 吉岡秀幸,木内博之
Ⅲ 手術の実際
脳動脈瘤(クリッピング術)
前交通動脈瘤・前大脳動脈瘤 数又 研
中大脳動脈瘤 吉田和道
内頚動脈瘤 石川達也,山口浩司,川俣貴一
後方循環動脈瘤 井川房夫
ハイフローバイパス併用手術 清水宏明
虚血性疾患・もやもや病
前方循環バイパス術 黒田 敏
後方循環バイパス術 井上智弘
もやもや病に対する脳血行再建術 黒田 敏
虚血性疾患:頚動脈内膜剥離術(CEA) 柏﨑大奈,黒田 敏
脳動静脈奇形 栗田浩樹
Ⅳ 周術期管理
くも膜下出血 鈴木秀謙
過灌流 藤村 幹
Ⅴ その他
手術スケッチの描き方:アナログ 藤津和彦
手術スケッチの描き方:デジタルによる手術イラストレーションについて 野田公寿茂
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若手脳神経外科医向けに,脳卒中の外科治療の基礎知識から基本手技,脳血管障害に対する術式をイラスト・写真を用いて解説。さらに手術計画,セットアップ,モニタリング,基本手技,手術の実際等,知っておくべき必須事項も網羅。術式は,紙面で解説するだけでなく,ストリーミング配信で実際の手術動画を見ることが可能。また手術の記載方法(イラスト作成)についても解説。
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