免疫チェックポイント阻害薬
実践ガイドブック

使いこなすためのコツ!

免疫チェックポイント阻害薬 実践ガイドブック

■編集 倉田 宝保
吉岡 弘鎮

定価 4,180円(税込) (本体3,800円+税)
  • A5判  220ページ  2色
  • 2020年10月29日刊行
  • ISBN978-4-7583-1811-2

各領域のエキスパートが集結! 免疫チェックポイント阻害薬についての「プロのコツ」,まとめました

「これから始める」「始めたけど悩ましい」をしっかりサポート!
①免疫チェックポイント阻害薬,また,抗がん剤・分子標的薬との併用療法の特徴や注意点を詳解。
②インフリキシマブや免疫抑制薬の使い方やコツも具体的に解説。
③発熱,嘔気,腹痛,倦怠感など,「免疫関連有害事象か否か」迷うときに使えるフローチャートや,スクリーニングのコツが満載。
④免疫関連有害事象に対する対処法は,がん治療医・コンサルトされた医師,2つの視点から解説。


序文

 わが国では現在2人に1人はがんに罹患し、3人に1人はがんで死亡する時代であるといわれています。特にステージの進行したがんの患者に対する治療成績(細胞障害性抗がん剤を中心としたがん薬物療法)は厳しいものでありましたが、近年、分子標的薬および免疫チェックポイント阻害薬の開発によりがん薬物療法の成績は大きく変化しました。分子標的薬の開発は同時にゲノム医療の発展に寄与し、がん組織を用いた遺伝子変異検索の方向性を導きました。一方、免疫チェックポイント阻害薬の開発はこれまで多くの患者から切望されてきたがん免疫療法であり、結果、多くの患者が長期生存を得ることができるようになりました。現在では多くのがん種で免疫チェックポイント阻害薬は標準治療あるいは標準治療の一部となっています。従って、この免疫チェックポイント阻害薬をうまく使いこなすことは、引いてはがん治療の成功を意味するものであると思われます。
 本書はこの免疫チェックポイント阻害薬に焦点をあて、特に有害事象対策において先生方の日々の診療での使いやすさを追求した形で作成したものであります。免疫チェックポイント阻害薬の有害事象はこれまでの細胞障害性抗がん剤や分子標的薬とは異なった、いわゆる免疫に関連した有害事象であり、あらゆる臓器、あらゆる分野の事象も含まれ、そのため多くの先生方がその対処法に苦慮されているという声を多く聞いてきました。教科書的にはその事象の専門医と相談し、横断的な対処が必要となっていますが、では実際、専門医への紹介タイミングは? どこまでであれば自ら対処すればいいのか? その場合の対処方法は? 紹介される側の専門医は何を求められているのか? 日々、診療されている先生方は苦慮しながらの毎日であると想像いたします。
 本書はそういったニーズに応えられるよう、それぞれの事象と専門医の間をつなぐ書としてまとめました。こういった有害事象は予期せぬ時に起きるものであり、その際にすぐに目の前の患者のために使える実践ガイドブックとして、常にお手元に置いていただけるよう、コンパクトな書として作成しました。この1冊で免疫チェックポイント阻害薬をうまく使いこなすことが可能となるようなコツを各著者の先生方にお願いし、執筆いただきました。
 ぜひ、お手にとり、明日からの診療に役立ててほしいと切に願っております。

2020年9月
関西医科大学附属病院 呼吸器腫瘍内科
倉田宝保
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目次

第1章 免疫チェックポイント阻害薬を使う前に
 スクリーニングのコツ 【三浦 理】
 
第2章 各薬剤の特徴と具体的な投与方法
 抗PD-1抗体
  ニボルマブ 【佐藤太郎】/ペムブロリズマブ 【古屋直樹】
 抗CTLA-4抗体
  イピリムマブ 【爲政大幾】
 抗PD-L1抗体
  デュルバルマブ 【大熊裕介】/アテゾリズマブ 【白井由紀奈/宿谷威仁】/アベルマブ 【西澤 綾】
 
第3章 副作用対策
 症状からのフローチャート 【金田裕靖】
 インフリキシマブの使い方
  がん治療医の視点から 【北野滋久】/コンサルトされた視点から 【浜本康夫】
 免疫抑制剤の使い方・免疫グロブリン療法の行い方
  がん治療医の視点から 【北野滋久】/コンサルトされた視点から 【鈴木重明】
 間質性肺炎
  がん治療医の視点から 【池田 慧】/コンサルトされた視点から 【橋本成修/田口善夫】
 重症筋無力症・筋炎・横紋筋融解症
  がん治療医の視点から 【後藤秀彰/清田尚臣】/コンサルトされた視点から 【鈴木重明】
 1型糖尿病
  がん治療医の視点から 【野呂林太郎】/コンサルトされた視点から 【橘 恵/今川彰久】
 甲状腺機能障害
  がん治療医の視点から 【上田百合/田原 信】/コンサルトされた視点から 【稲葉秀文/岩倉 浩/有安宏之/赤水尚史】
 下垂体機能障害
  がん治療医の視点から 【仁保誠治】/コンサルトされた視点から 【岩間信太郎】
 消化管障害
  がん治療医の視点から 【國政 啓/前川 聡/井上貴子】/コンサルトされた視点から 【浜本康夫】
 血液障害
  がん治療医の視点から 【大坪孝平/井上孝治】/コンサルトされた視点から 【江崎 実/和田英夫】
 肝機能障害
  がん治療医の視点から 【盛生 慶/岡本 渉/茶山一彰】/コンサルトされた視点から 【水腰英四郎】
 中枢神経障害
  がん治療医の視点から 【細谷和貴/藤本大智】/コンサルトされた視点から 【関 守信】
 末梢神経障害
  がん治療医の視点から 【水柿秀紀】/コンサルトされた視点から 【桑原 基】
 腎機能障害
  がん治療医の視点から 【阪森優一/金 永学】/コンサルトされた視点から 【木村 剛】
 副腎機能障害
  がん治療医の視点から 【柴田伸弘】/コンサルトされた視点から 【大月道夫】
 重度の皮膚障害
  がん治療医の視点から 【柴田祐司/加藤晃史】/コンサルトされた視点から 【神谷崇文/宇原 久】
 静脈血栓塞栓症
  がん治療医の視点から 【津端由佳里】/コンサルトされた視点から 【江崎 実/和田英夫】
 Infusion reaction
  がん治療医の視点から 【東 公一】/コンサルトされた視点から 【佐竹悠良】
 心筋炎
  がん治療医の視点から 【河内勇人/田宮基裕】/コンサルトされた視点から 【猪又孝元】
 
第4章 併用療法の注意点
 ICI+抗がん剤 【佐伯和彦/上月稔幸】
 ICI+分子標的薬 【水野隆一/大家基嗣】
 ICI+ICI 【冨田善彦】
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