産婦人科手術
産婦人科手術 No.32
定価 7,700円(税込) (本体7,000円+税)
- B5判 168ページ 一部カラー,イラスト30点,写真30点
- 2021年6月17日刊行
- ISBN978-4-7583-1767-2
序文
巻頭言
第43 回日本産婦人科手術学会総会・学術大会は2020 年11 月7 日,8 日に札幌市・札幌コンベンションセンターにおいて開催予定でした。ギリギリまで現地開催を行う決意で準備を進めておりましたが,札幌市において感染者の急増が確認され,またコロナの収束が見込まれないということで,ほかの学会同様残念ながら完全Web という形での開催となりました。会員の皆様には学術ばかりでなくアフター学会でも札幌を楽しんでもらえるよう,盛りだくさんの企画を用意していたのですがそれが叶わず残念でなりません。
近年の産婦人科手術の発展はめざましく,腹腔鏡,ロボット支援に代表される鏡視下手術と新しい手術デバイスの開発により手術のありようも大きく変わりました。また,センチネルリンパ節生検,トラケレクトミー,子宮頸癌手術の縮小化など低侵襲・機能温存手術も多く取り上げられるようになってきました。しかし,私たちが忘れてはならないのは基本的手術そして骨盤解剖です。これらがあってこその低侵襲であり機能温存ということになります。学会前日には骨盤解剖を学ぶためにカダバーを用いた勉強会も行い,これは幸いにも現地開催できたのですが,大いに盛り上がりました。若い先生方の手術に対する熱意を感じるひとときでした。
本学会では「原点回帰」をテーマに,若い先生にも産婦人科手術の基本を意識した講演を用意しました。目玉のバルーンタンポナーデでは皆さんに最も日常診療にて用いられているBakri バルーンの開発者であるYounes N. Bakri 教授を特別講演として招請いたしました。腹腔鏡手術,ロボット支援手術に関する最新の話題も欠かせません。そして,札幌医科大学の伝統である腟式手術に関しても深い討論を計画いたしました。近年の傾向として腹腔鏡手術などに対して,コストのかからない手術,デバイスを用いない手術に関しては後援する企業もなく,なかなか手術手技を紹介するチャンスがありません。腟式手術はその代表のようなものですが,こんな安くてよい手術を産婦人科医が忘れようとしていることに危機感を感じております。そのようなことで,今回は学会の主幹の立場を利用して腟式手術の魅力を思う存分披露させていただきました。
考えれば尽きない産婦人科手術ですが,若者達に是非とも夢のある日本産婦人科手術学会であり続けることを祈念しております。
第43 回日本産婦人科手術学会
会長 齋藤 豪
(札幌医科大学産婦人科講座教授)
第43 回日本産婦人科手術学会総会・学術大会は2020 年11 月7 日,8 日に札幌市・札幌コンベンションセンターにおいて開催予定でした。ギリギリまで現地開催を行う決意で準備を進めておりましたが,札幌市において感染者の急増が確認され,またコロナの収束が見込まれないということで,ほかの学会同様残念ながら完全Web という形での開催となりました。会員の皆様には学術ばかりでなくアフター学会でも札幌を楽しんでもらえるよう,盛りだくさんの企画を用意していたのですがそれが叶わず残念でなりません。
近年の産婦人科手術の発展はめざましく,腹腔鏡,ロボット支援に代表される鏡視下手術と新しい手術デバイスの開発により手術のありようも大きく変わりました。また,センチネルリンパ節生検,トラケレクトミー,子宮頸癌手術の縮小化など低侵襲・機能温存手術も多く取り上げられるようになってきました。しかし,私たちが忘れてはならないのは基本的手術そして骨盤解剖です。これらがあってこその低侵襲であり機能温存ということになります。学会前日には骨盤解剖を学ぶためにカダバーを用いた勉強会も行い,これは幸いにも現地開催できたのですが,大いに盛り上がりました。若い先生方の手術に対する熱意を感じるひとときでした。
本学会では「原点回帰」をテーマに,若い先生にも産婦人科手術の基本を意識した講演を用意しました。目玉のバルーンタンポナーデでは皆さんに最も日常診療にて用いられているBakri バルーンの開発者であるYounes N. Bakri 教授を特別講演として招請いたしました。腹腔鏡手術,ロボット支援手術に関する最新の話題も欠かせません。そして,札幌医科大学の伝統である腟式手術に関しても深い討論を計画いたしました。近年の傾向として腹腔鏡手術などに対して,コストのかからない手術,デバイスを用いない手術に関しては後援する企業もなく,なかなか手術手技を紹介するチャンスがありません。腟式手術はその代表のようなものですが,こんな安くてよい手術を産婦人科医が忘れようとしていることに危機感を感じております。そのようなことで,今回は学会の主幹の立場を利用して腟式手術の魅力を思う存分披露させていただきました。
考えれば尽きない産婦人科手術ですが,若者達に是非とも夢のある日本産婦人科手術学会であり続けることを祈念しております。
第43 回日本産婦人科手術学会
会長 齋藤 豪
(札幌医科大学産婦人科講座教授)
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目次
巻頭言 第43 回日本産婦人科手術学会 会長 齋藤 豪
日本産婦人科手術学会のホームページで閲覧できる学術集会講演の動画一覧
■多様化する子宮全摘
腟式子宮全摘の視点 ─ 全アプローチを経験して振り返った腟式 玉手雅人ほか
The microsurgical TLH ─腹腔鏡で明らかになった子宮周囲筋膜構造について 松本 貴ほか
多様化する子宮全摘術─RASH について 堀江昭史ほか
安い,速い,楽しい,そして安全 腟式子宮全摘(VT)の真髄 福中規功
■多様化する手術教育の実践
がんの手術をどう学び,どう伝えるか 松浦基樹ほか
スキルアップのための要素と評価 羽田智則
医師として教育を学ぶ ~ Faculty Development の可能性 磯部真倫
Open・Laparo・Robot 手術を融合して 小松宏彰
根治性を担保した真の低侵襲手術の実現のために ~婦人科悪性疾患に対する真の低侵襲手術とは~ 金尾祐之
■ロボット手術時の工夫
術野の展開をどのように行うか? ─ロボット手術における補助アームの重要性と合併症対策 近藤英司ほか
ロボット支援下手術とセンチネルリンパ節同定について 梅村康太
■企画記事
RRSO(リスク低減卵管卵巣摘出術) 寺尾泰久ほか
産科領域の麻酔法の変遷 角倉弘行
日本産婦人科手術学会
日本産婦人科手術学会のホームページで閲覧できる学術集会講演の動画一覧
■多様化する子宮全摘
腟式子宮全摘の視点 ─ 全アプローチを経験して振り返った腟式 玉手雅人ほか
The microsurgical TLH ─腹腔鏡で明らかになった子宮周囲筋膜構造について 松本 貴ほか
多様化する子宮全摘術─RASH について 堀江昭史ほか
安い,速い,楽しい,そして安全 腟式子宮全摘(VT)の真髄 福中規功
■多様化する手術教育の実践
がんの手術をどう学び,どう伝えるか 松浦基樹ほか
スキルアップのための要素と評価 羽田智則
医師として教育を学ぶ ~ Faculty Development の可能性 磯部真倫
Open・Laparo・Robot 手術を融合して 小松宏彰
根治性を担保した真の低侵襲手術の実現のために ~婦人科悪性疾患に対する真の低侵襲手術とは~ 金尾祐之
■ロボット手術時の工夫
術野の展開をどのように行うか? ─ロボット手術における補助アームの重要性と合併症対策 近藤英司ほか
ロボット支援下手術とセンチネルリンパ節同定について 梅村康太
■企画記事
RRSO(リスク低減卵管卵巣摘出術) 寺尾泰久ほか
産科領域の麻酔法の変遷 角倉弘行
日本産婦人科手術学会
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日本産婦人科手術学会機関誌。第43回日本産婦人科手術学会の主題3編より選出した論文ほかを掲載
2020年11月に「原点回帰」をテーマとしてWeb形式にて開催された「第43回日本産婦人科手術学会」の主題より選出した論文11編に,編集委員会担当記事2編を加えた。テーマは,主題「多様化する子宮全摘」「多様化する手術教育の実践」「ロボット手術時の工夫」,企画記事「RRSO(リスク低減卵管卵巣摘出術)」「産科領域の麻酔法の変遷」。