産婦人科手術
産婦人科手術 No.29
定価 7,700円(税込) (本体7,000円+税)
- B5判 192ページ オールカラー,写真120点
- 2018年6月11日刊行
- ISBN978-4-7583-1745-0
序文
巻頭言
第40回日本産婦人科手術学会学術集会を平成29年11月25日(土)・26日(日)の2日間にわたり,大阪国際交流センターにおいて開催させていただきました。第39回の本学会は仙台の地で,東北大学,八重樫伸生先生の会長のもと,多方面にわたる産婦人科の手術の手技や成績について活発な検討が行われました。本学会はいくつかの主題のテーマを決めて演題を募集しますが,大阪での第40回の本学会では,あえて具体的な主題の項目は設定せずに,産婦人科手術の中で施行頻度の高い疾病の手術を選んで,「基本そして工夫」というキャッチフレーズでまとめさせていただきました。各々の手術分野でご活躍の先生方に基本レクチャーをお願いし,応募していただいた関連する手術の演題を詳しく細分類し,主題発表の各演者を選出させていただきました。
プレコングレスセミナーとして,公益財団法人がん研有明病院婦人科の金尾祐之先生に「解剖学的視点で解き明かす女性骨盤手術」のご講演を拝聴しました。金尾先生は腹腔鏡の拡大視野に基づく,肉眼視野を越えた半ミクロの解剖学に基づく深部骨盤底の手術を展開されています。目から鱗の情報を得られたかと存じます。教育講演1では東北大学の新倉仁先生に「センチネルリンパ節生検の考え方と実際」,教育講演2に次期会長の東海大学の三上幹男先生に「良性疾患手術時の追加卵管切除による非遺伝性卵巣癌発症予防」の興味ある講演を拝聴できました。
応募していただいた130演題の手術内容から,主題として,帝王切開,子宮筋腫・腺筋症,骨盤臓器脱手術,広汎子宮全摘出術,リンパ節郭清術,腹腔鏡一般手術,そして腹腔鏡下子宮全摘出術の7つの手術を取り上げました。それぞれの手術のオーバーヴューとして,順に平松祐司先生(岡山市立総合医療センター),西田正人先生(国立病院機構霞ヶ浦医療センター),永田一郎先生(埼玉医科大学),櫻木範明先生(小樽市民病院),角俊幸先生(大阪市立大学),伊熊健一郎先生(淀川キリスト教病院),蜂須賀徹先生(産業医科大学)に基本レクチャーをお願いしました。各手術のエキスパートの先生方から,それぞれの疾病の診断・手術の解剖学,手術適応,合併症を整理して報告していただきました。基本レクチャーに引き続き,帝王切開の工夫6演題,子宮筋腫・腺筋症の手術の工夫6演題,骨盤臓器脱手術の工夫7演題,広汎子宮全摘出術7演題,リンパ節郭清術の工夫6演題,良性腫瘍に対する腹腔鏡手術の工夫5演題,悪性腫瘍に対する腹腔鏡手術の工夫5演題,TLH手術の工夫6演題を発表していただき,学会員との白熱のディスカッションが展開できました。演者の皆様,有難うございました。メジカルビュー社にこれらの演題を提示して,産婦人科手術29号の執筆者を決めさせていただきました。手術結果の詳しい統計よりも,手術の手技,工夫に重点をおいています。もちろん手術は術後・術中合併症やその帰結のエビデンスを検討して,一つの成熟した術式として収斂してゆく必要があります。本学会では,それぞれの産婦人科手術を施行する医師の発案する小さな工夫を集約することができたのではないかと自負しております。大規模な臨床研究でなくても,小さなヒントを話題として本学会に話題を提供し,議論をしていただくことで有意義な学会となりました。会員の皆様,有難うございました。
今回の大会をもちまして,日本産婦人科手術学会は40回目の節目を迎えました。本学会は昭和53年に岡山大学の産婦人科学教室に事務局をおいて,「日本産婦人科手術研究会」としてスタートした伝統ある臨床学会です。当初は悪性腫瘍の手術を中心に進められてきましたが,本学会の発展とともに全国レベルで周産期医学,生殖医学,女性医学などの良性疾病に対する産婦人科手術も含めて,手術にまつわる諸問題についてベテランとフレッシュマンが気軽に広く意見交換をおこなえる学会をモットーとして続けられてきました。平成29年1月10日に本学会の発展に最大のご貢献をいただいた岡山大学名誉教授ならびに日本産婦人科手術学会名誉理事長,関場香先生がご逝去されました。会員一同,謹んで哀悼の意をささげたいと存じます。
第40回日本産婦人科手術学会会長
大阪市立大学大学院医学研究科女性生涯医学
古山 将康
第40回日本産婦人科手術学会学術集会を平成29年11月25日(土)・26日(日)の2日間にわたり,大阪国際交流センターにおいて開催させていただきました。第39回の本学会は仙台の地で,東北大学,八重樫伸生先生の会長のもと,多方面にわたる産婦人科の手術の手技や成績について活発な検討が行われました。本学会はいくつかの主題のテーマを決めて演題を募集しますが,大阪での第40回の本学会では,あえて具体的な主題の項目は設定せずに,産婦人科手術の中で施行頻度の高い疾病の手術を選んで,「基本そして工夫」というキャッチフレーズでまとめさせていただきました。各々の手術分野でご活躍の先生方に基本レクチャーをお願いし,応募していただいた関連する手術の演題を詳しく細分類し,主題発表の各演者を選出させていただきました。
プレコングレスセミナーとして,公益財団法人がん研有明病院婦人科の金尾祐之先生に「解剖学的視点で解き明かす女性骨盤手術」のご講演を拝聴しました。金尾先生は腹腔鏡の拡大視野に基づく,肉眼視野を越えた半ミクロの解剖学に基づく深部骨盤底の手術を展開されています。目から鱗の情報を得られたかと存じます。教育講演1では東北大学の新倉仁先生に「センチネルリンパ節生検の考え方と実際」,教育講演2に次期会長の東海大学の三上幹男先生に「良性疾患手術時の追加卵管切除による非遺伝性卵巣癌発症予防」の興味ある講演を拝聴できました。
応募していただいた130演題の手術内容から,主題として,帝王切開,子宮筋腫・腺筋症,骨盤臓器脱手術,広汎子宮全摘出術,リンパ節郭清術,腹腔鏡一般手術,そして腹腔鏡下子宮全摘出術の7つの手術を取り上げました。それぞれの手術のオーバーヴューとして,順に平松祐司先生(岡山市立総合医療センター),西田正人先生(国立病院機構霞ヶ浦医療センター),永田一郎先生(埼玉医科大学),櫻木範明先生(小樽市民病院),角俊幸先生(大阪市立大学),伊熊健一郎先生(淀川キリスト教病院),蜂須賀徹先生(産業医科大学)に基本レクチャーをお願いしました。各手術のエキスパートの先生方から,それぞれの疾病の診断・手術の解剖学,手術適応,合併症を整理して報告していただきました。基本レクチャーに引き続き,帝王切開の工夫6演題,子宮筋腫・腺筋症の手術の工夫6演題,骨盤臓器脱手術の工夫7演題,広汎子宮全摘出術7演題,リンパ節郭清術の工夫6演題,良性腫瘍に対する腹腔鏡手術の工夫5演題,悪性腫瘍に対する腹腔鏡手術の工夫5演題,TLH手術の工夫6演題を発表していただき,学会員との白熱のディスカッションが展開できました。演者の皆様,有難うございました。メジカルビュー社にこれらの演題を提示して,産婦人科手術29号の執筆者を決めさせていただきました。手術結果の詳しい統計よりも,手術の手技,工夫に重点をおいています。もちろん手術は術後・術中合併症やその帰結のエビデンスを検討して,一つの成熟した術式として収斂してゆく必要があります。本学会では,それぞれの産婦人科手術を施行する医師の発案する小さな工夫を集約することができたのではないかと自負しております。大規模な臨床研究でなくても,小さなヒントを話題として本学会に話題を提供し,議論をしていただくことで有意義な学会となりました。会員の皆様,有難うございました。
今回の大会をもちまして,日本産婦人科手術学会は40回目の節目を迎えました。本学会は昭和53年に岡山大学の産婦人科学教室に事務局をおいて,「日本産婦人科手術研究会」としてスタートした伝統ある臨床学会です。当初は悪性腫瘍の手術を中心に進められてきましたが,本学会の発展とともに全国レベルで周産期医学,生殖医学,女性医学などの良性疾病に対する産婦人科手術も含めて,手術にまつわる諸問題についてベテランとフレッシュマンが気軽に広く意見交換をおこなえる学会をモットーとして続けられてきました。平成29年1月10日に本学会の発展に最大のご貢献をいただいた岡山大学名誉教授ならびに日本産婦人科手術学会名誉理事長,関場香先生がご逝去されました。会員一同,謹んで哀悼の意をささげたいと存じます。
第40回日本産婦人科手術学会会長
大阪市立大学大学院医学研究科女性生涯医学
古山 将康
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目次
帝王切開の工夫
当院における前置胎盤の管理について 片山浩子ほか
前置癒着胎盤に対する両側総腸骨動脈バルーン留置下帝王切開術と子宮温存 田中和東ほか
子宮筋腫手術の工夫
当科における子宮腺筋症摘出術 佐藤朝臣ほか
びまん性子宮平滑筋腫症に対する妊孕性温存術式 板垣博也ほか
骨盤臓器脱手術の工夫
生体組織補強と経腟メッシュ挿入からなる腟式コンポジット修復による骨盤臓器脱の治療 中田真木ほか
広汎子宮全摘の工夫
膀胱子宮靱帯前層処理を行う前に膀胱尿管移行部尿管の露出は可能である 武隈宗孝ほか
早期子宮頸癌に対するExtraperitoneal radical trachelectomy 馬淵誠士ほか
リンパ節郭清の工夫
鏡視下後腹膜リンパ節郭清における血管損傷とその対応 安藤正明ほか
鋭的かつ系統的リンパ節郭清 加藤友康
TLH 手術の工夫
子宮筋腫における子宮重量別のTLH 手術成績と巨大子宮筋腫に対する工夫 山下 瞳ほか
腹腔鏡手術の基本と工夫/悪性腫瘍の腹腔鏡手術の工夫
進行卵巣癌・卵管癌・腹膜癌に対する吊り上げ式腹腔鏡下試験手術 中川江里子ほか
企画記事
血栓症:術前管理 田中京子ほか
血栓症:術後管理 関 典子ほか
日本産婦人科手術学会
第40 回プログラム
第40 回講演抄録
役員一覧
会 則
役員選任規定
投稿規定
当院における前置胎盤の管理について 片山浩子ほか
前置癒着胎盤に対する両側総腸骨動脈バルーン留置下帝王切開術と子宮温存 田中和東ほか
子宮筋腫手術の工夫
当科における子宮腺筋症摘出術 佐藤朝臣ほか
びまん性子宮平滑筋腫症に対する妊孕性温存術式 板垣博也ほか
骨盤臓器脱手術の工夫
生体組織補強と経腟メッシュ挿入からなる腟式コンポジット修復による骨盤臓器脱の治療 中田真木ほか
広汎子宮全摘の工夫
膀胱子宮靱帯前層処理を行う前に膀胱尿管移行部尿管の露出は可能である 武隈宗孝ほか
早期子宮頸癌に対するExtraperitoneal radical trachelectomy 馬淵誠士ほか
リンパ節郭清の工夫
鏡視下後腹膜リンパ節郭清における血管損傷とその対応 安藤正明ほか
鋭的かつ系統的リンパ節郭清 加藤友康
TLH 手術の工夫
子宮筋腫における子宮重量別のTLH 手術成績と巨大子宮筋腫に対する工夫 山下 瞳ほか
腹腔鏡手術の基本と工夫/悪性腫瘍の腹腔鏡手術の工夫
進行卵巣癌・卵管癌・腹膜癌に対する吊り上げ式腹腔鏡下試験手術 中川江里子ほか
企画記事
血栓症:術前管理 田中京子ほか
血栓症:術後管理 関 典子ほか
日本産婦人科手術学会
第40 回プログラム
第40 回講演抄録
役員一覧
会 則
役員選任規定
投稿規定
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日本産婦人科手術学会機関誌。特集はさまざまな産婦人科手術における「基本そして工夫」
日本産婦人科手術学会機関誌。
2017年11月に大阪で開催された「第40回日本産婦人科手術学会」の,主題「基本そして工夫」から「帝王切開」「子宮筋腫・腺筋症手術」「骨盤臓器脱手術」「広汎子宮全摘術」「リンパ節郭清術」「TLH手術」というテーマにて選出した論文や企画記事を掲載している。
本号の企画記事テーマ「血栓症:術前管理」「血栓症:術後管理」