終末期リハビリテーションの
臨床アプローチ
定価 5,060円(税込) (本体4,600円+税)
- B5判 336ページ 2色,イラスト115点,写真85点
- 2016年9月12日刊行
- ISBN978-4-7583-1718-4
在庫僅少です。
電子版
序文
編集の序
21世紀となって15年が過ぎ,日本は少子・高齢・多死社会を迎えている。明治維新以降,若者への対応に追われてきたわが国では,ようやく「若さに対する老い」,あるいは「生に対する死」の問題が浮かび上がってきた。そこで求められるものは,高齢者に多い「病勢の末期」や「人生の最終段階」への対応である。
ところが,傷痍軍人に対する機能回復訓練による社会復帰を起源とする医学的リハビリテーションは,青年期から成人期の人々を対象として活動の場を与えられてきたが,人生の最終段階にまでは思いが至らなかった。生命維持は当然の前提条件となって背景に退いており,予後を顧みずに機能回復の促進に邁進していたのである。
20世紀においてプラトーとは,病院における機能回復訓練を終了する理由であったが,現在では見直されている。高齢者の増加により,右肩上がりの機能回復だけではなく,機能維持の重要性が認識されてきたためである。なるほどプラトーでは,顕著な機能回復がみられない。けれども,努力して機能を維持している状況ともいえる。なぜなら,努力を怠ると機能低下により廃用症候群に陥り,生命活動の終焉を迎える場合があるためである。
生命維持にリハビリテーションの関与が必要なことは,廃用症候群の研究から明らかにされた。人は,事故による外傷,病勢の進行による末期以外にも二次性の障害で生命を絶たれることがある。国家資格の誕生から半世紀を経て,ようやくわが国のリハビリテーション専門職にも,このような認識が生まれたならば,職種として成熟してきたとみてよい。
すでに英国や北米,欧州や豪州で実施されている終末期リハビリテーションが,わが国ではみられない。より正確にいえば,少数の先達による活動が緒についたばかりである。その理由を解明するには詳細な分析を待つ必要があるが,プライマリヘルスケアの素地がなく,近代ホスピスの歴史が浅く,医師中心医療に依存してきたからであろう。
2015年,第20回日本緩和医療学会学術大会のリハビリテーションフォーラムにおいて,ICU,大学病院,がんセンター,ホスピスなどの臨床現場から,リハビリテーション専門職の活動が報告された。そしてシンポジウムでは,「緩和ケアチームにおけるリハビリテーション専門職の活用を考える」が取り上げられた。ホスピス/緩和ケアに関与しているパイオニアは複数の領域で着実に活動を積み上げてきており,その実績は公表されるべき段階にあることが明らかとなった。
終末期リハビリテーションの臨床アプローチに関与している先達に実践報告をお願いしたところ,多忙な臨床活動にもかかわらず快く引き受けてくださった。その範囲は,北は北海道から南は九州に至るまで,リハビリテーション専門職だけではなく,医師・看護師・ソーシャルワーカーにまで及んだ。力作ぞろいの今回の著作が,志を同じくする終末期リハビリテーションの関係諸氏の臨床活動に役立てば望外である。
終末期は誰にでも訪れる。したがって,この著作はすべての人に読んでいただきたいのであるが,とりわけ終末期リハビリテーションに関係する職種である歯科医師,薬剤師,保健師,(管理)栄養士,臨床心理士(カウンセラー),臨床宗教師(チャプレン),社会福祉士(ソーシャルワーカー),精神保健福祉士,介護支援相談員(ケアマネジャー),介護福祉士,そして,政策立案者や行政関係者を念頭に置いている。
各々の職種の教育課程で勉強中の学生諸君にも手に取ってもらえたら誠に嬉しい。現在は教えられる立場であったとしても,近い将来,臨床活動に参加する可能性があり,やがては教える立場となる人材だからである。
最後に,今回の企画に多大なる御助力を頂戴したメジカルビュー社阿部篤仁氏に感謝を申し上げる。
2016年8月 盛夏
安部能成
21世紀となって15年が過ぎ,日本は少子・高齢・多死社会を迎えている。明治維新以降,若者への対応に追われてきたわが国では,ようやく「若さに対する老い」,あるいは「生に対する死」の問題が浮かび上がってきた。そこで求められるものは,高齢者に多い「病勢の末期」や「人生の最終段階」への対応である。
ところが,傷痍軍人に対する機能回復訓練による社会復帰を起源とする医学的リハビリテーションは,青年期から成人期の人々を対象として活動の場を与えられてきたが,人生の最終段階にまでは思いが至らなかった。生命維持は当然の前提条件となって背景に退いており,予後を顧みずに機能回復の促進に邁進していたのである。
20世紀においてプラトーとは,病院における機能回復訓練を終了する理由であったが,現在では見直されている。高齢者の増加により,右肩上がりの機能回復だけではなく,機能維持の重要性が認識されてきたためである。なるほどプラトーでは,顕著な機能回復がみられない。けれども,努力して機能を維持している状況ともいえる。なぜなら,努力を怠ると機能低下により廃用症候群に陥り,生命活動の終焉を迎える場合があるためである。
生命維持にリハビリテーションの関与が必要なことは,廃用症候群の研究から明らかにされた。人は,事故による外傷,病勢の進行による末期以外にも二次性の障害で生命を絶たれることがある。国家資格の誕生から半世紀を経て,ようやくわが国のリハビリテーション専門職にも,このような認識が生まれたならば,職種として成熟してきたとみてよい。
すでに英国や北米,欧州や豪州で実施されている終末期リハビリテーションが,わが国ではみられない。より正確にいえば,少数の先達による活動が緒についたばかりである。その理由を解明するには詳細な分析を待つ必要があるが,プライマリヘルスケアの素地がなく,近代ホスピスの歴史が浅く,医師中心医療に依存してきたからであろう。
2015年,第20回日本緩和医療学会学術大会のリハビリテーションフォーラムにおいて,ICU,大学病院,がんセンター,ホスピスなどの臨床現場から,リハビリテーション専門職の活動が報告された。そしてシンポジウムでは,「緩和ケアチームにおけるリハビリテーション専門職の活用を考える」が取り上げられた。ホスピス/緩和ケアに関与しているパイオニアは複数の領域で着実に活動を積み上げてきており,その実績は公表されるべき段階にあることが明らかとなった。
終末期リハビリテーションの臨床アプローチに関与している先達に実践報告をお願いしたところ,多忙な臨床活動にもかかわらず快く引き受けてくださった。その範囲は,北は北海道から南は九州に至るまで,リハビリテーション専門職だけではなく,医師・看護師・ソーシャルワーカーにまで及んだ。力作ぞろいの今回の著作が,志を同じくする終末期リハビリテーションの関係諸氏の臨床活動に役立てば望外である。
終末期は誰にでも訪れる。したがって,この著作はすべての人に読んでいただきたいのであるが,とりわけ終末期リハビリテーションに関係する職種である歯科医師,薬剤師,保健師,(管理)栄養士,臨床心理士(カウンセラー),臨床宗教師(チャプレン),社会福祉士(ソーシャルワーカー),精神保健福祉士,介護支援相談員(ケアマネジャー),介護福祉士,そして,政策立案者や行政関係者を念頭に置いている。
各々の職種の教育課程で勉強中の学生諸君にも手に取ってもらえたら誠に嬉しい。現在は教えられる立場であったとしても,近い将来,臨床活動に参加する可能性があり,やがては教える立場となる人材だからである。
最後に,今回の企画に多大なる御助力を頂戴したメジカルビュー社阿部篤仁氏に感謝を申し上げる。
2016年8月 盛夏
安部能成
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目次
1 終末期リハビリテーションと緩和ケア
1 終末期リハビリテーションとは何か?
リハビリテーション小史:終末期リハビリテーションを理解するために
医学的リハビリテーションの定義
医学的リハビリテーションの方向性
終末期リハビリテーションの定義
終末期リハビリテーションの特色
終末期リハビリテーションの対象
終末期リハビリテーションの方法
終末期リハビリテーションの展開
2 がん患者に対する緩和ケアと医学的リハビリテーション
はじめに
がん,希少がんとリハに関するセラピストの意思決定
緩和ケア
転移がん(脳転移,骨転移)
疼痛
創作活動
患者会/家族会
多職種との連携
3 非がん患者に対する緩和ケアと医学的リハビリテーション
はじめに
総論:疾患経過
循環器疾患
呼吸器疾患
脳血管障害
難病
認知症および老化による衰弱
二次性の障害:不活発な生活は病気か?
おわりに
2 病院における終末期リハビリテーション
1 ICU:職種の垣根を越えて生と死に向き合う
はじめに
当院ICUに必要とされるリハビリテーション専門職となるために
当院ICUでの日常:生と死の狭間で
おわりに
2 大学病院におけるがんの作業療法の実際と緩和ケアチームとのかかわり
はじめに
当院のリハビリテーションについて
がん患者のリハビリテーションについて
緩和ケアチームとリハビリテーションとのかかわり
作業療法の実際
リハに緩和ケアチームがかかわることによるメリット
緩和ケアにリハがかかわることによるメリット
多職種へのメッセージ
おわりに
3 治療病棟から地域への移行
はじめに
目標設定
院内でのアプローチ
在宅での介入につなげる
おわりに
4 呼吸リハビリテーションのアプローチ
はじめに
終末期における息苦しさと呼吸リハビリテーションの役割
終末期呼吸リハビリテーションの実際
おわりに
3 ホスピスにおける終末期リハビリテーション
1 在宅緩和ケアでのリハビリテーション
はじめに
緩和リハビリテーションとは
緩和リハビリテーションに必要な理論と技術
臨死期の緩和リハビリテーション
おわりに
2 英国のデイホスピスとわが国の緩和デイケアの取り組み
はじめに
英国におけるホスピス緩和ケアサービスの展開
新たなアプローチ「通所型」ホスピスの誕生とその機能
デイホスピスにおける心身のリハビリテーションアプローチ
St. Christopher's Hospiceのデイケアとその活動
わが国の緩和ケア事情とデイホスピス
動き出したわが国の緩和デイケア
3 ホスピス
はじめに
一般的リハビリテーションと終末期リハビリテーションの相違点
スピリチュアルケアへの理解
リハビリテーションとホスピス
ホスピスにおける実践
セラピスト特有の患者との距離感
診療報酬上の解釈
おわりに
4 在宅ホスピス緩和ケアの地域性
はじめに
各施設における在宅ホスピス緩和ケア
おわりに
4 在宅における終末期リハビリテーション
1 地域におけるリハビリテーションの活用
はじめに
かとう内科並木通り診療所の展開
世界各国の医療制度と終末期リハビリテーション
英国の近代ホスピスからの発想
地域医療と入院医療の特徴
高齢者医療はデイホスピタルからデイホスピスへ
緩和医療の教育
終末期リハビリテーションのポイント
おわりに
2 地域リハビリテーションにおけるスキルミックス
はじめに
今,地域における医療・介護はどうなっているのか
地域リハビリテーションにおける終末期のとらえ方
地域リハビリテーションにおけるスキルミックスの考え方
スキルミックスの実際
事例紹介
満足のいく最期を迎えるために
地域を知るために「プロボノ」をしよう
おわりに
3 地域リハビリテーションの実像
はじめに
病院緩和ケアと在宅緩和ケアの違い:リハの視点から
在宅における終末期リハビリテーションの臨床ポイント
在宅緩和ケアに訪問作業療法士としてたずさわった事例
まとめ・考察
4 地域におけるチーム医療
はじめに
在宅におけるチームケア
チームアプローチ
在宅がんリハビリテーション
終末期リハビリテーション
地域のチーム医療における各専門職の役割
在宅がんリハビリテーションの実際
症例紹介
今後の地域における在宅がんリハビリテーション
まとめ
5 難病患者へのリハビリテーションの取り組みについて
はじめに
難病とは
事業所立ち上げの理由
神経・筋疾患患者からの相談
当事業所の支援の取り組み
6 リハ専門職がかかわる意思決定支援:療養場所の選択
はじめに
「意思決定」の支援者としてのリハビリテーション専門職
意思決定の支援とは
がん治療病院からホスピス・緩和ケア病床への移行時の課題
終末期に向かうがん患者と家族の心理社会的課題
終末期の療養場所についての意思決定への支援
まとめ
5 家族・遺族とのかかわり
1 リハビリテーション専門職への期待
はじめに
症例①:Aさん,歳代男性,一人暮らしで入院中
症例②:Bさん,歳代女性
まとめ
2 遺族会への取り組み
はじめに
グリーフケアとは
小児がん患者の遺族会「いちご会」立ち上げの経緯
対象
方法
結果
考察
今後の課題
おわりに
3 リハビリテーション病院から在宅へ
スピリチュアルペインとの出会い
緩和ケア病棟から在宅へ
まとめ
4 リハ専門職のもつトータルヘルスプランナーとしての可能性
はじめに
トータルヘルスプランナーとは
終末期患者の在宅ホスピス緩和ケアとは
在宅ホスピス緩和ケアでの多職種ケアとTHPの役割
症例紹介
リハビリテーション専門職がTHPになるためには
おわりに
1 終末期リハビリテーションとは何か?
リハビリテーション小史:終末期リハビリテーションを理解するために
医学的リハビリテーションの定義
医学的リハビリテーションの方向性
終末期リハビリテーションの定義
終末期リハビリテーションの特色
終末期リハビリテーションの対象
終末期リハビリテーションの方法
終末期リハビリテーションの展開
2 がん患者に対する緩和ケアと医学的リハビリテーション
はじめに
がん,希少がんとリハに関するセラピストの意思決定
緩和ケア
転移がん(脳転移,骨転移)
疼痛
創作活動
患者会/家族会
多職種との連携
3 非がん患者に対する緩和ケアと医学的リハビリテーション
はじめに
総論:疾患経過
循環器疾患
呼吸器疾患
脳血管障害
難病
認知症および老化による衰弱
二次性の障害:不活発な生活は病気か?
おわりに
2 病院における終末期リハビリテーション
1 ICU:職種の垣根を越えて生と死に向き合う
はじめに
当院ICUに必要とされるリハビリテーション専門職となるために
当院ICUでの日常:生と死の狭間で
おわりに
2 大学病院におけるがんの作業療法の実際と緩和ケアチームとのかかわり
はじめに
当院のリハビリテーションについて
がん患者のリハビリテーションについて
緩和ケアチームとリハビリテーションとのかかわり
作業療法の実際
リハに緩和ケアチームがかかわることによるメリット
緩和ケアにリハがかかわることによるメリット
多職種へのメッセージ
おわりに
3 治療病棟から地域への移行
はじめに
目標設定
院内でのアプローチ
在宅での介入につなげる
おわりに
4 呼吸リハビリテーションのアプローチ
はじめに
終末期における息苦しさと呼吸リハビリテーションの役割
終末期呼吸リハビリテーションの実際
おわりに
3 ホスピスにおける終末期リハビリテーション
1 在宅緩和ケアでのリハビリテーション
はじめに
緩和リハビリテーションとは
緩和リハビリテーションに必要な理論と技術
臨死期の緩和リハビリテーション
おわりに
2 英国のデイホスピスとわが国の緩和デイケアの取り組み
はじめに
英国におけるホスピス緩和ケアサービスの展開
新たなアプローチ「通所型」ホスピスの誕生とその機能
デイホスピスにおける心身のリハビリテーションアプローチ
St. Christopher's Hospiceのデイケアとその活動
わが国の緩和ケア事情とデイホスピス
動き出したわが国の緩和デイケア
3 ホスピス
はじめに
一般的リハビリテーションと終末期リハビリテーションの相違点
スピリチュアルケアへの理解
リハビリテーションとホスピス
ホスピスにおける実践
セラピスト特有の患者との距離感
診療報酬上の解釈
おわりに
4 在宅ホスピス緩和ケアの地域性
はじめに
各施設における在宅ホスピス緩和ケア
おわりに
4 在宅における終末期リハビリテーション
1 地域におけるリハビリテーションの活用
はじめに
かとう内科並木通り診療所の展開
世界各国の医療制度と終末期リハビリテーション
英国の近代ホスピスからの発想
地域医療と入院医療の特徴
高齢者医療はデイホスピタルからデイホスピスへ
緩和医療の教育
終末期リハビリテーションのポイント
おわりに
2 地域リハビリテーションにおけるスキルミックス
はじめに
今,地域における医療・介護はどうなっているのか
地域リハビリテーションにおける終末期のとらえ方
地域リハビリテーションにおけるスキルミックスの考え方
スキルミックスの実際
事例紹介
満足のいく最期を迎えるために
地域を知るために「プロボノ」をしよう
おわりに
3 地域リハビリテーションの実像
はじめに
病院緩和ケアと在宅緩和ケアの違い:リハの視点から
在宅における終末期リハビリテーションの臨床ポイント
在宅緩和ケアに訪問作業療法士としてたずさわった事例
まとめ・考察
4 地域におけるチーム医療
はじめに
在宅におけるチームケア
チームアプローチ
在宅がんリハビリテーション
終末期リハビリテーション
地域のチーム医療における各専門職の役割
在宅がんリハビリテーションの実際
症例紹介
今後の地域における在宅がんリハビリテーション
まとめ
5 難病患者へのリハビリテーションの取り組みについて
はじめに
難病とは
事業所立ち上げの理由
神経・筋疾患患者からの相談
当事業所の支援の取り組み
6 リハ専門職がかかわる意思決定支援:療養場所の選択
はじめに
「意思決定」の支援者としてのリハビリテーション専門職
意思決定の支援とは
がん治療病院からホスピス・緩和ケア病床への移行時の課題
終末期に向かうがん患者と家族の心理社会的課題
終末期の療養場所についての意思決定への支援
まとめ
5 家族・遺族とのかかわり
1 リハビリテーション専門職への期待
はじめに
症例①:Aさん,歳代男性,一人暮らしで入院中
症例②:Bさん,歳代女性
まとめ
2 遺族会への取り組み
はじめに
グリーフケアとは
小児がん患者の遺族会「いちご会」立ち上げの経緯
対象
方法
結果
考察
今後の課題
おわりに
3 リハビリテーション病院から在宅へ
スピリチュアルペインとの出会い
緩和ケア病棟から在宅へ
まとめ
4 リハ専門職のもつトータルヘルスプランナーとしての可能性
はじめに
トータルヘルスプランナーとは
終末期患者の在宅ホスピス緩和ケアとは
在宅ホスピス緩和ケアでの多職種ケアとTHPの役割
症例紹介
リハビリテーション専門職がTHPになるためには
おわりに
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終末期にある人がよりよいQOLを獲得し,最期まで輝いた人生を全うするために
超高齢社会であるわが国は,近い将来に多死社会を迎える。増加する終末期患者がより良いQOLを獲得して最期まで輝いた人生を全うするために,また介護負担軽減のためにも,終末期リハビリテーションはかかせないものとなる。
本書は,病院,ホスピス,在宅といった治療場面別に,終末期リハビリテーションの実際を解説した書籍である。終末期リハビリテーションに必須であるチームアプローチについて,医師,看護師,理学療法士,作業療法士といった多職種の執筆者が,各職種が行っていること・行えること,また他職種に行ってほしいことなどを,それぞれの視点から解説している。リハビリテーション専門職だけではなく,終末期患者に携わる医療職全般にお勧めの書籍である。
ぜひ本書を,終末期患者のQOL維持・向上に役立ててほしい。