これから始める体表エコー
押さえておくべき走査方法、描出のコツ、超音波所見のとらえ方
定価 4,950円(税込) (本体4,500円+税)
- A4判 196ページ オールカラー,イラスト30点,写真400点
- 2016年6月17日刊行
- ISBN978-4-7583-1594-4
電子版
序文
まずは本書をお手にとっていただきまして,ありがとうございます。
本書は“これから始める”シリーズの体表エコー編となります。体表エコーといっても,その範囲はとても広いのですが,本書では,乳房(乳腺),腋窩リンパ節,甲状腺,副甲状腺,唾液腺,頸部リンパ節,鼠径部リンパ節について,走査方法から臨床画像までを1冊にまとめてあります。本書はそのタイトルどおり,初学者の教本として,被検者の準備や走査方法などを詳しく解説していますが,疾患の病態や超音波像をふんだんに入れることによって,検査の手順書と超音波アトラスを兼ね揃えた内容となっていますので,経験者の方にもご活用いただけると思っております。本書が体表エコー検査の技能向上を目指す皆様の座右の書となり,教育から実際の検査まで幅広く使っていただけることを心より願っております。
すでにシリーズの既刊本をお持ちの方は気づいていらっしゃるかもしれませんが,各書は大系として根底に流れるコンセプトは同じなのですが,各領域の検査の特性や編者らの個性などにより,その構成内容は少し異なっています。それぞれの編者がその経験から「この領域であれば,このように学ぶと効率よく修得できるだろう」と考えて構成を組んでいますので,そういった視点からこのシリーズ本をみるのも楽しいと思います。
謝辞
本書を上梓するにあたり,ご執筆いただいた小柳敬子先生ならびに岡村康子先生,作成をお手伝いいただいた東海大学医学部付属八王子病院臨床検査技術科スタッフの皆様に心より感謝申し上げます。
また,本書の完成まで大変なるご尽力をいただいた編集担当の高橋範子様ならびにメジカルビュー社の皆様に心より感謝申し上げます。
平成28年5月
白石周一
本書は“これから始める”シリーズの体表エコー編となります。体表エコーといっても,その範囲はとても広いのですが,本書では,乳房(乳腺),腋窩リンパ節,甲状腺,副甲状腺,唾液腺,頸部リンパ節,鼠径部リンパ節について,走査方法から臨床画像までを1冊にまとめてあります。本書はそのタイトルどおり,初学者の教本として,被検者の準備や走査方法などを詳しく解説していますが,疾患の病態や超音波像をふんだんに入れることによって,検査の手順書と超音波アトラスを兼ね揃えた内容となっていますので,経験者の方にもご活用いただけると思っております。本書が体表エコー検査の技能向上を目指す皆様の座右の書となり,教育から実際の検査まで幅広く使っていただけることを心より願っております。
すでにシリーズの既刊本をお持ちの方は気づいていらっしゃるかもしれませんが,各書は大系として根底に流れるコンセプトは同じなのですが,各領域の検査の特性や編者らの個性などにより,その構成内容は少し異なっています。それぞれの編者がその経験から「この領域であれば,このように学ぶと効率よく修得できるだろう」と考えて構成を組んでいますので,そういった視点からこのシリーズ本をみるのも楽しいと思います。
謝辞
本書を上梓するにあたり,ご執筆いただいた小柳敬子先生ならびに岡村康子先生,作成をお手伝いいただいた東海大学医学部付属八王子病院臨床検査技術科スタッフの皆様に心より感謝申し上げます。
また,本書の完成まで大変なるご尽力をいただいた編集担当の高橋範子様ならびにメジカルビュー社の皆様に心より感謝申し上げます。
平成28年5月
白石周一
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目次
Ⅰ超音波検査の基本的事項まずは基礎知識を押さえよう 白石周一
超音波画質の調整
Bモード画質の調整
ゲインの調整
ダイナミックレンジの調整
カラードプラでの調整
実質血流評価における調整
腫瘤血流評価における調整
パルスドプラによる血流速計測
超音波画像の表示方法
超音波検査のアーチファクト
多重反射によるアーチファクト
対処方法
サイドローブによるアーチファクト
対処方法
音響陰影
対処方法
外側陰影
対処方法
後方エコー増強
対処方法
鏡面現象
対処方法
Ⅱ体表エコーの実践教習ー検査法の実際ー
1 乳腺 小柳敬子
乳腺超音波検査のSTEPとゴール
STEP
ゴール
・乳腺の解剖を理解する
①乳腺の範囲を認識する
②乳腺と周囲の血管や筋組織との関係を把握する
・検査環境を整える
①検査の前に確認する
②被検者の準備
③被検者の体位
④検査ポジションの調整
⑤使用プローブ
⑥装置の確認
⑦表示方向とプローブの持ち方
・見落としのない走査を行う
①走査方法の確認
②乳腺に垂直にビームを入射する
③乳腺のエッジを捉える
④乳腺の範囲を意識した走査
⑤乳腺パターンを把握する
・病変を捉える
①背景の乳腺パターンからの逸脱を捉える
②腫瘤か非腫瘤性病変かの確認
③腫瘤の評価
④腫瘤の計測とD/Wについて
⑤非腫瘤性病変の評価
・カラードプラとエラストグラフィを活用する
①カラードプラの基本手技
②エラストグラフィの基本手技
・代表的疾患と超音波像を理解する
悪性腫瘍
良性疾患
2 腋窩リンパ節 小柳敬子,白石周一
腋窩リンパ節超音波検査のSTEPとゴール
STEP
ゴール
・腋窩リンパ節の解剖を理解する
腋窩リンパ節
その他の所属リンパ節
・検査環境を整える
検査の前に
被検者の準備と体位
・腋窩リンパ節を検索する
①横断走査で広背筋と大胸筋を捉える
②LevelⅠリンパ節を描出する
③LevelⅡ,LevelⅢリンパ節を描出する
・腋窩リンパ節のエコー性状を捉える
①健常者におけるリンパ節のエコー性状を理解する
②形態異常や数の異常を確認する
③リンパ節周囲組織を確認する
・リンパ節腫脹病変のエコー性状を理解する
3 甲状腺 白石周一
甲状腺超音波検査のSTEPとゴール
STEP
ゴール
・甲状腺および周囲の解剖を理解する
①甲状腺の位置や形を理解する
②甲状腺と周囲の血管や組織との関係を把握する
・検査環境を整える
①既往や自覚症状の確認
②被検者の準備
③検査ポジション
④使用プローブ
⑤被検者の体位
・甲状腺サイズを計測する
①横断走査で全体を観察する
②横断走査で峡部の厚さ,側葉の厚さと幅を計測する
③縦断走査で左右側葉の長径を計測する
④甲状腺サイズの正常値
・甲状腺実質エコーを評価する
①甲状腺実質のエコー輝度と実質の均質性を評価する
②ドプラを用いて甲状腺血流を評価する
③びまん性甲状腺疾患の代表的疾患と超音波像を理解する
・腫瘤性病変のエコー性状を捉える
腫瘤か非腫瘤性病変かを判別する
腫瘤の性状を評価する(甲状腺超音波診断ガイドブック:JABTSより抜粋)
腫瘤と周囲組織の関係を評価する
腫瘤血流を評価する
甲状腺腫瘤性病変の代表的疾患と超音波像を理解する
4 副甲状腺(上皮小体) 岡村康子
副甲状腺超音波検査のSTEPとゴール
STEP
ゴール
・副甲状腺の解剖を理解する
甲状腺の位置や形を理解する
・検査環境を整える
①被検者の準備と体位
②既往や検査データの確認
③使用プローブ
・副甲状腺を検索する
①横断走査で甲状腺の後面を検索する
②縦断走査で腫瘤の再現性を確認する
③鎖骨下を検索する
・副甲状腺サイズを計測する
①長径と厚みをはかる
②幅をはかる
③体積を計算する
・副甲状腺のエコー性状を捉える
①形状
②甲状腺との境界
③内部エコー
④ドプラによる血流シグナルの確認
・代表的疾患と超音波像を理解する
5 唾液腺 白石周一
唾液腺超音波検査のSTEPとゴール
STEP
ゴール
・唾液腺を理解する
①大唾液腺と小唾液腺
②唾液腺の組織と唾液分泌の割合
・検査環境を整える
①被検者の準備と検査前の問診
②使用プローブ
・唾液腺検査のチェックポイントを理解する
①大きさ(左右差)
②形状
③実質エコー
④腫瘤性病変
⑤唾液腺管拡張の有無
・耳下腺を検索する
①耳下腺の位置と解剖
②被検者の体位
③正常耳下腺の超音波像(縦断像)
④正常耳下腺の超音波像(横断像)
⑤耳下腺管の超音波像
⑥耳下腺の腫大を判定する
・顎下腺を検索する
①顎下腺の位置と解剖
②被検者の体位
③正常顎下腺の超音波像(横断像)
④正常顎下腺の超音波像(縦断像)
⑤顎下腺管の超音波像
・舌下腺を検索する
①舌下腺の位置と解剖
②被検者の体位
③正常舌下腺の超音波像(横断像)
④正常舌下腺の超音波像(縦断像)
・唾液腺腫瘍のエコー性状を理解する
①唾液腺腫瘍
②腫瘤性状の評価ポイント
③唾液腺の良性腫瘍
④唾液腺の悪性腫瘍
・唾液腺疾患(非腫瘍性病変)のエコー性状を理解する
6 頸部リンパ節 白石周一
頸部リンパ節超音波検査のSTEPとゴール
STEP
ゴール
・頸部リンパ節の解剖を理解する
頸部の区分を理解する
頸部リンパ節の分布を理解する
リンパ節の構造と働きを理解する
・検査環境を整える
①既往や自覚症状の確認
②被検者の準備
③使用プローブ
④被検者の体位
・頸部リンパ節を検索する
①オトガイ下の走査
②顎下部の走査
③側頸部の走査
④鎖骨上窩の走査
・健常者にみられる頸部リンパ節の超音波像を理解する
オトガイ下リンパ節
顎下部リンパ節
側頸部リンパ節
鎖骨上窩リンパ節
・リンパ節腫脹病変のエコー性状を理解する
7 鼠径リンパ節 白石周一
鼠径リンパ節超音波検査のSTEPとゴール
STEP
ゴール
・鼠径リンパ節の解剖を理解する
・検査環境を整える
①既往や自覚症状の確認
②被検者の準備
③使用プローブ
④被検者の体位
・鼠径リンパ節を検索する
・健常者にみられる鼠径リンパ節の超音波像を理解する
・リンパ節腫脹病変のエコー性状を理解する
超音波画質の調整
Bモード画質の調整
ゲインの調整
ダイナミックレンジの調整
カラードプラでの調整
実質血流評価における調整
腫瘤血流評価における調整
パルスドプラによる血流速計測
超音波画像の表示方法
超音波検査のアーチファクト
多重反射によるアーチファクト
対処方法
サイドローブによるアーチファクト
対処方法
音響陰影
対処方法
外側陰影
対処方法
後方エコー増強
対処方法
鏡面現象
対処方法
Ⅱ体表エコーの実践教習ー検査法の実際ー
1 乳腺 小柳敬子
乳腺超音波検査のSTEPとゴール
STEP
ゴール
・乳腺の解剖を理解する
①乳腺の範囲を認識する
②乳腺と周囲の血管や筋組織との関係を把握する
・検査環境を整える
①検査の前に確認する
②被検者の準備
③被検者の体位
④検査ポジションの調整
⑤使用プローブ
⑥装置の確認
⑦表示方向とプローブの持ち方
・見落としのない走査を行う
①走査方法の確認
②乳腺に垂直にビームを入射する
③乳腺のエッジを捉える
④乳腺の範囲を意識した走査
⑤乳腺パターンを把握する
・病変を捉える
①背景の乳腺パターンからの逸脱を捉える
②腫瘤か非腫瘤性病変かの確認
③腫瘤の評価
④腫瘤の計測とD/Wについて
⑤非腫瘤性病変の評価
・カラードプラとエラストグラフィを活用する
①カラードプラの基本手技
②エラストグラフィの基本手技
・代表的疾患と超音波像を理解する
悪性腫瘍
良性疾患
2 腋窩リンパ節 小柳敬子,白石周一
腋窩リンパ節超音波検査のSTEPとゴール
STEP
ゴール
・腋窩リンパ節の解剖を理解する
腋窩リンパ節
その他の所属リンパ節
・検査環境を整える
検査の前に
被検者の準備と体位
・腋窩リンパ節を検索する
①横断走査で広背筋と大胸筋を捉える
②LevelⅠリンパ節を描出する
③LevelⅡ,LevelⅢリンパ節を描出する
・腋窩リンパ節のエコー性状を捉える
①健常者におけるリンパ節のエコー性状を理解する
②形態異常や数の異常を確認する
③リンパ節周囲組織を確認する
・リンパ節腫脹病変のエコー性状を理解する
3 甲状腺 白石周一
甲状腺超音波検査のSTEPとゴール
STEP
ゴール
・甲状腺および周囲の解剖を理解する
①甲状腺の位置や形を理解する
②甲状腺と周囲の血管や組織との関係を把握する
・検査環境を整える
①既往や自覚症状の確認
②被検者の準備
③検査ポジション
④使用プローブ
⑤被検者の体位
・甲状腺サイズを計測する
①横断走査で全体を観察する
②横断走査で峡部の厚さ,側葉の厚さと幅を計測する
③縦断走査で左右側葉の長径を計測する
④甲状腺サイズの正常値
・甲状腺実質エコーを評価する
①甲状腺実質のエコー輝度と実質の均質性を評価する
②ドプラを用いて甲状腺血流を評価する
③びまん性甲状腺疾患の代表的疾患と超音波像を理解する
・腫瘤性病変のエコー性状を捉える
腫瘤か非腫瘤性病変かを判別する
腫瘤の性状を評価する(甲状腺超音波診断ガイドブック:JABTSより抜粋)
腫瘤と周囲組織の関係を評価する
腫瘤血流を評価する
甲状腺腫瘤性病変の代表的疾患と超音波像を理解する
4 副甲状腺(上皮小体) 岡村康子
副甲状腺超音波検査のSTEPとゴール
STEP
ゴール
・副甲状腺の解剖を理解する
甲状腺の位置や形を理解する
・検査環境を整える
①被検者の準備と体位
②既往や検査データの確認
③使用プローブ
・副甲状腺を検索する
①横断走査で甲状腺の後面を検索する
②縦断走査で腫瘤の再現性を確認する
③鎖骨下を検索する
・副甲状腺サイズを計測する
①長径と厚みをはかる
②幅をはかる
③体積を計算する
・副甲状腺のエコー性状を捉える
①形状
②甲状腺との境界
③内部エコー
④ドプラによる血流シグナルの確認
・代表的疾患と超音波像を理解する
5 唾液腺 白石周一
唾液腺超音波検査のSTEPとゴール
STEP
ゴール
・唾液腺を理解する
①大唾液腺と小唾液腺
②唾液腺の組織と唾液分泌の割合
・検査環境を整える
①被検者の準備と検査前の問診
②使用プローブ
・唾液腺検査のチェックポイントを理解する
①大きさ(左右差)
②形状
③実質エコー
④腫瘤性病変
⑤唾液腺管拡張の有無
・耳下腺を検索する
①耳下腺の位置と解剖
②被検者の体位
③正常耳下腺の超音波像(縦断像)
④正常耳下腺の超音波像(横断像)
⑤耳下腺管の超音波像
⑥耳下腺の腫大を判定する
・顎下腺を検索する
①顎下腺の位置と解剖
②被検者の体位
③正常顎下腺の超音波像(横断像)
④正常顎下腺の超音波像(縦断像)
⑤顎下腺管の超音波像
・舌下腺を検索する
①舌下腺の位置と解剖
②被検者の体位
③正常舌下腺の超音波像(横断像)
④正常舌下腺の超音波像(縦断像)
・唾液腺腫瘍のエコー性状を理解する
①唾液腺腫瘍
②腫瘤性状の評価ポイント
③唾液腺の良性腫瘍
④唾液腺の悪性腫瘍
・唾液腺疾患(非腫瘍性病変)のエコー性状を理解する
6 頸部リンパ節 白石周一
頸部リンパ節超音波検査のSTEPとゴール
STEP
ゴール
・頸部リンパ節の解剖を理解する
頸部の区分を理解する
頸部リンパ節の分布を理解する
リンパ節の構造と働きを理解する
・検査環境を整える
①既往や自覚症状の確認
②被検者の準備
③使用プローブ
④被検者の体位
・頸部リンパ節を検索する
①オトガイ下の走査
②顎下部の走査
③側頸部の走査
④鎖骨上窩の走査
・健常者にみられる頸部リンパ節の超音波像を理解する
オトガイ下リンパ節
顎下部リンパ節
側頸部リンパ節
鎖骨上窩リンパ節
・リンパ節腫脹病変のエコー性状を理解する
7 鼠径リンパ節 白石周一
鼠径リンパ節超音波検査のSTEPとゴール
STEP
ゴール
・鼠径リンパ節の解剖を理解する
・検査環境を整える
①既往や自覚症状の確認
②被検者の準備
③使用プローブ
④被検者の体位
・鼠径リンパ節を検索する
・健常者にみられる鼠径リンパ節の超音波像を理解する
・リンパ節腫脹病変のエコー性状を理解する
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乳腺,甲状腺など体表エコーが本書だけでわかる! 走査方法からエコーの読み取り方まで,幅広くマスターできる1冊
エコーは「無侵襲検査」であるため,多くの医師,技師が検査を行っているが,実際は正確に画像を描出していない場合もあり,診断に役立てられていないことも多い。“とりあえずのエコー”,“とりあえずの画像”では診断を正しく下すことができず,重要な所見を見落としてしまうことも少なくない。エコーは,検者の技術力の差がそのまま診断の差につながる検査といえる。
そこで本書では,体表領域(乳腺,甲状腺,唾液腺など)のエコーを使いこなすために必要な基礎知識や技術をまとめ,アーチファクトへの対処方法,診断に役立つ画像を記録するためにはどのような知識やテクニックが必要なのか等を詳しく解説している。
体表領域のエコー走査テクニックを1冊にまとめた書籍は稀であり,本書は,類書のなかで最も優しくわかりやすい,「絵本のような教科書」をコンセプトとした技師や若手医師のバイブルとなる書籍である。