パーフェクトマスター 頚動脈狭窄症
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定価 14,300円(税込) (本体13,000円+税)
- B5判 504ページ オールカラー,イラスト88点,写真580点
- 2017年3月24日刊行
- ISBN978-4-7583-1557-9
電子版
序文
推薦の言葉
本邦において頚動脈狭窄症に対する外科的治療は増え続け,年間1万件を超えるようになっている。gold standardである内膜剥離術の件数も漸増しているが,頚動脈ステント留置術の治療件数の著明な増加には瞠目すべきものがある。その一方で,薬物治療の成績は目覚ましく向上し,無症候性狭窄に対する外科介入の論拠は乏しくなってきている。
このような医療の進歩と現状を踏まえ,京都大学・国立循環器病センター・小倉記念病院そして現在の藤田保健衛生大学において頚動脈狭窄の臨床の第一線で活躍されてきた中原一郎博士により本書が発刊された。自らをhybrid surgeonと自称する中原博士の特長は薬物治療・脳血管内治療・外科治療のいずれにも精通し,かついずれにも偏らない診療姿勢である。その観点で編集された本書は頚動脈狭窄症の診断・治療に携わる若手・中堅医師に対して包括的な必須知識を与えてくれるものと大いに期待している。
誌面は各章においてエッセンスがまずまとめられており,図表は非常に見やすく理解しやすい内容となっている。執筆者も頚動脈狭窄に対する治療を現在アクティブに行っているメンバーで構成されており,非常に魅力的な顔ぶれとなっている。今日においては自らの経験知だけに頼るのではなく,先輩が獲得した経験を知識として理詰めで後輩にわかりやすく教えていくことが必要とされる時代である。そのような時代に,ビギナーにもわかりやすい本書が出版されたことは非常に意義深く,新しい時代の脳卒中関連医師達のよい道標となってくれることを期待している。
2017年2月
京都大学大学院医学研究科脳神経外科
教授 宮本 享
----------------------------------------
刊行にあたって
本邦の脳卒中においては当初は高血圧症に関連した脳出血が多く,死亡率も高かった。しかし高血圧症の管理が意識され,また経済の発展や食生活の変化により脳梗塞の比率が上昇し,梗塞の主役もラクナ梗塞からアテローム血栓性脳梗塞へと変貌してきた。これに伴い頚部頚動脈狭窄症は治療のターゲットとして注目を浴びるようになり,まず内膜剥離術(CEA)が広まり,その後血管内治療の進歩によりステント留置術(CAS)が隆盛を極めるようになっている。内科治療も抗血小板薬,新規降圧薬,スタチン,糖尿病薬とその進歩にはめざましいものがある。
中原教授は本邦におけるCEAの黎明期から頚動脈狭窄症の治療にかかわり,その後は血管内治療の先駆者としてCASの発展に貢献してきた先生である。この度本書『パーフェクトマスター頚動脈狭窄症』を企画され発刊に至ったことは誠に喜ばしいことである。これまでもCEAやCASに関する教科書は多く存在してきたが,本書のようにCEAとCASが詳細に又バランス良く記載されたものは初めてではないかと思われる。また外科治療のみでなく,頚動脈狭窄症の病態,診断学,内科治療,周術期管理について各領域のエキスパートを動員され,至れり尽くせりの内容となっている。今後も頚動脈狭窄症は益々増加していくと考えられることから,脳卒中診療にかかわるすべての領域の専門医,専攻医さらには研修医にも読んでいただき,結果としてわが国の脳卒中診療のレベルアップに寄与することが出来れば幸甚である。
2017年2月
小倉記念病院
院長 永田 泉
----------------------------------------
序 文
全脳卒中の3 /4を虚血性脳卒中が占め,その1/3はアテローム血栓性脳梗塞である。そしてその多くが頚動脈狭窄症が原因である。頚動脈狭窄症は,現代の脳卒中の主要原因のひとつ,あるいは国民病といってもよい。
アテローム硬化に伴う頚動脈狭窄症は私が研修医であったいまから30数年前はまだ比較的稀な疾患であった。京都大学脳神経外科に入局した1983年当時,研修医時代の1年間で頚動脈内膜剥離術(CEA)は片手に余る数しかなく,その後もしばらくは滅多に出会うことはなかった。しかし欧米ではすでにCEAは一般的なものとなっており,1975年にMayo clinicのSundt先生のリスク分類に基づくCEAの成績に関する有名論文が発表されていることを後に知った。1990年台に入るとNASCET,ECST,ACASなどの大規模試験の結果が発表され,国内学会でも限られた先達のエキスパート間で語られていたCEAが少しずつ身近になってきた。
一方,脳血管内治療の普及,発展に伴い,1990年頃から,本症に対するカテーテル治療が行われるようになった。なかでも1990年にAJNRに発表されたTheron先生のtriple coaxial systemによるprotected PTAの報告に大変感銘を受けた。その後,1997年1月に京都大学において,滝和郎先生,坂井信幸先生とともに頚動脈ステント留置術(CAS)の第1例を行った。いま,まさにこのときからちょうど20年が経過している。この間,SAPPHIRE(2004)に始まり,SPACE(2005),EVA-3S(2005),ICSS interim(2005)などの逆風,CREST(2010),ICSS longterm(2015),ACT-I(2016)といった追風が吹き,欧米ではCASの役割は未だ定まっていない。本邦では2007年にCASが保険償還の治療となり,CEAハイリスク症例に対する適応とされるなか,様々なデバイス改良や技術的な進歩を経て2015年にはそのpenetration ratioは70%に達している。
頚動脈狭窄症は,生活習慣病に基づく全身アテローム硬化の一分症である。その発症予防,再発予防において,高血圧症,糖尿病,脂質異常症などの治療,肥満,運動不足,喫煙,ストレスのコントロール,併発血管病としての冠動脈疾患,大動脈疾患,末梢動脈疾患や慢性腎臓病を含めた全身管理が重要であることは周知のことである。2008年にメジカルビュー社から『頚動脈ステント留置術 Carotid Artery Stenting(CAS)のすべて』を上梓したが,その頃からCASのみならず,頚動脈狭窄症に対する内科治療,CEA,CASの的確な診断,治療に関する成書を望んでいた。このほど同社より本書刊行のお話をいただき,まさに願いに叶ったと感じた。私の恩師のひとりであり本領域のパイオニアでいらっしゃる永田泉先生にご指導をいただきプランニングのうえ,国内のエキスパートおよび気鋭の中堅若手の先生にご執筆いただいた。まだまだ本書に含めたい内容は多々あるものの,頚動脈狭窄症の臨床に携わる先生がた,コメディカルや医学生のかたがたのお役に立てる成書ができあがった。ぜひとも本書を手元におき日々の診療に活用していただければ幸いである。
末尾ではあるが,本書の刊行にご助力をいただいたすべてのかたがたに深甚なる感謝を捧げる次第である。
2017年2月
藤田保健衛生大学脳卒中科
教授 中原一郎
本邦において頚動脈狭窄症に対する外科的治療は増え続け,年間1万件を超えるようになっている。gold standardである内膜剥離術の件数も漸増しているが,頚動脈ステント留置術の治療件数の著明な増加には瞠目すべきものがある。その一方で,薬物治療の成績は目覚ましく向上し,無症候性狭窄に対する外科介入の論拠は乏しくなってきている。
このような医療の進歩と現状を踏まえ,京都大学・国立循環器病センター・小倉記念病院そして現在の藤田保健衛生大学において頚動脈狭窄の臨床の第一線で活躍されてきた中原一郎博士により本書が発刊された。自らをhybrid surgeonと自称する中原博士の特長は薬物治療・脳血管内治療・外科治療のいずれにも精通し,かついずれにも偏らない診療姿勢である。その観点で編集された本書は頚動脈狭窄症の診断・治療に携わる若手・中堅医師に対して包括的な必須知識を与えてくれるものと大いに期待している。
誌面は各章においてエッセンスがまずまとめられており,図表は非常に見やすく理解しやすい内容となっている。執筆者も頚動脈狭窄に対する治療を現在アクティブに行っているメンバーで構成されており,非常に魅力的な顔ぶれとなっている。今日においては自らの経験知だけに頼るのではなく,先輩が獲得した経験を知識として理詰めで後輩にわかりやすく教えていくことが必要とされる時代である。そのような時代に,ビギナーにもわかりやすい本書が出版されたことは非常に意義深く,新しい時代の脳卒中関連医師達のよい道標となってくれることを期待している。
2017年2月
京都大学大学院医学研究科脳神経外科
教授 宮本 享
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刊行にあたって
本邦の脳卒中においては当初は高血圧症に関連した脳出血が多く,死亡率も高かった。しかし高血圧症の管理が意識され,また経済の発展や食生活の変化により脳梗塞の比率が上昇し,梗塞の主役もラクナ梗塞からアテローム血栓性脳梗塞へと変貌してきた。これに伴い頚部頚動脈狭窄症は治療のターゲットとして注目を浴びるようになり,まず内膜剥離術(CEA)が広まり,その後血管内治療の進歩によりステント留置術(CAS)が隆盛を極めるようになっている。内科治療も抗血小板薬,新規降圧薬,スタチン,糖尿病薬とその進歩にはめざましいものがある。
中原教授は本邦におけるCEAの黎明期から頚動脈狭窄症の治療にかかわり,その後は血管内治療の先駆者としてCASの発展に貢献してきた先生である。この度本書『パーフェクトマスター頚動脈狭窄症』を企画され発刊に至ったことは誠に喜ばしいことである。これまでもCEAやCASに関する教科書は多く存在してきたが,本書のようにCEAとCASが詳細に又バランス良く記載されたものは初めてではないかと思われる。また外科治療のみでなく,頚動脈狭窄症の病態,診断学,内科治療,周術期管理について各領域のエキスパートを動員され,至れり尽くせりの内容となっている。今後も頚動脈狭窄症は益々増加していくと考えられることから,脳卒中診療にかかわるすべての領域の専門医,専攻医さらには研修医にも読んでいただき,結果としてわが国の脳卒中診療のレベルアップに寄与することが出来れば幸甚である。
2017年2月
小倉記念病院
院長 永田 泉
----------------------------------------
序 文
全脳卒中の3 /4を虚血性脳卒中が占め,その1/3はアテローム血栓性脳梗塞である。そしてその多くが頚動脈狭窄症が原因である。頚動脈狭窄症は,現代の脳卒中の主要原因のひとつ,あるいは国民病といってもよい。
アテローム硬化に伴う頚動脈狭窄症は私が研修医であったいまから30数年前はまだ比較的稀な疾患であった。京都大学脳神経外科に入局した1983年当時,研修医時代の1年間で頚動脈内膜剥離術(CEA)は片手に余る数しかなく,その後もしばらくは滅多に出会うことはなかった。しかし欧米ではすでにCEAは一般的なものとなっており,1975年にMayo clinicのSundt先生のリスク分類に基づくCEAの成績に関する有名論文が発表されていることを後に知った。1990年台に入るとNASCET,ECST,ACASなどの大規模試験の結果が発表され,国内学会でも限られた先達のエキスパート間で語られていたCEAが少しずつ身近になってきた。
一方,脳血管内治療の普及,発展に伴い,1990年頃から,本症に対するカテーテル治療が行われるようになった。なかでも1990年にAJNRに発表されたTheron先生のtriple coaxial systemによるprotected PTAの報告に大変感銘を受けた。その後,1997年1月に京都大学において,滝和郎先生,坂井信幸先生とともに頚動脈ステント留置術(CAS)の第1例を行った。いま,まさにこのときからちょうど20年が経過している。この間,SAPPHIRE(2004)に始まり,SPACE(2005),EVA-3S(2005),ICSS interim(2005)などの逆風,CREST(2010),ICSS longterm(2015),ACT-I(2016)といった追風が吹き,欧米ではCASの役割は未だ定まっていない。本邦では2007年にCASが保険償還の治療となり,CEAハイリスク症例に対する適応とされるなか,様々なデバイス改良や技術的な進歩を経て2015年にはそのpenetration ratioは70%に達している。
頚動脈狭窄症は,生活習慣病に基づく全身アテローム硬化の一分症である。その発症予防,再発予防において,高血圧症,糖尿病,脂質異常症などの治療,肥満,運動不足,喫煙,ストレスのコントロール,併発血管病としての冠動脈疾患,大動脈疾患,末梢動脈疾患や慢性腎臓病を含めた全身管理が重要であることは周知のことである。2008年にメジカルビュー社から『頚動脈ステント留置術 Carotid Artery Stenting(CAS)のすべて』を上梓したが,その頃からCASのみならず,頚動脈狭窄症に対する内科治療,CEA,CASの的確な診断,治療に関する成書を望んでいた。このほど同社より本書刊行のお話をいただき,まさに願いに叶ったと感じた。私の恩師のひとりであり本領域のパイオニアでいらっしゃる永田泉先生にご指導をいただきプランニングのうえ,国内のエキスパートおよび気鋭の中堅若手の先生にご執筆いただいた。まだまだ本書に含めたい内容は多々あるものの,頚動脈狭窄症の臨床に携わる先生がた,コメディカルや医学生のかたがたのお役に立てる成書ができあがった。ぜひとも本書を手元におき日々の診療に活用していただければ幸いである。
末尾ではあるが,本書の刊行にご助力をいただいたすべてのかたがたに深甚なる感謝を捧げる次第である。
2017年2月
藤田保健衛生大学脳卒中科
教授 中原一郎
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目次
Ⅰ 頚動脈狭窄症の必須知識
アテローム血栓症の病態と症候 永田 泉,中原一郎
増え続ける虚血性脳卒中と生活習慣病/アテローム硬化と頚動脈狭窄症:本邦の特徴/アテローム硬化の病態と頚動脈プラーク/頚動脈狭窄症におけるプラーク性状と症候/頚動脈狭窄症の臨床病/無症候性頚動脈病変/全身動脈硬化症の一分症としての頚動脈狭窄症
全身動脈硬化性疾患の一分症としての頚動脈狭窄症 濱中正嗣,今井啓輔
生活習慣病と頚動脈狭窄症/心血管病,末梢血管病と頚動脈狭窄症/慢性腎臓病と頚動脈狭窄症/頚動脈狭窄症の診療におけるチーム医療の必要性
動脈硬化以外が原因となる頚動脈狭窄症 中垣英明
Fibromuscular dysplasia/高安動脈炎(大動脈炎症候群)/脳動脈解離
頚動脈を取り巻く解剖の基本と応用
CEAのための解剖の基本と破格について 林 健太郎
はじめに/皮膚/筋層/静脈/動脈/神経/その他の臓器
CASのための解剖の基本と破格について 島田隆一,清末一路
解剖の基本/大動脈弓とその分枝の発生/大動脈弓とその分枝の破格/頚動脈の破格
頚動脈狭窄症の診断
神経学的所見と理学所見 岡田卓也
はじめに/理学所見/臨床徴候
神経超音波診断 岩田智則
頚部血管超音波検査/頭蓋内超音波検/経口腔超音波法(TOCU)/血管内超音波検査法(IVUS)
CT,MRI,脳血管造影 田上秀一
緒言/CT/MRI/血管造影/おわりに
核医学診断 森谷淳二,掛田伸吾,興梠征典
はじめに/脳血流SPECT/アセタゾラミド(ダイアモックス®)負荷試験/治療介入前評価(血行力学的リスクの予測)/治療介入後評価(過灌流)/FDG-PET
頚動脈狭窄症治療のエビデンスと治療適応 早川幹人
はじめに/内科治療の成績/CEAのエビデンス/CASのエビデンス/CAS vs. CEAのRCTから読みとれること/ガイドラインにみる血行再建療法の適応/おわりに
Ⅱ 内科的治療
頚動脈狭窄症に対する最良内科治療:無症候性病変の対処 田川直樹,藤本 茂
はじめに/無症候性病変の治療成績/内科的治療〜抗血小板療法〜/内科的治療〜危険因子の管理〜/おわりに
頚動脈狭窄症に対する最良内科治療:症候性病変の治療 山上 宏
はじめに/抗血小板療法/抗凝固療法/脂質低下療法/降圧療法/症候性頚動脈狭窄症に対するOMTとは/CEA/CAS周術期および急性期以降の内科治療
Ⅲ 外科的治療①:頚動脈内膜剥離術(CEA)
治療適応と術前評価・管理 小田淳平
はじめに/CEA周術期のリスク評価/併存症の評価・管理/術前内科治療
麻酔,術中モニタリング 大枝基樹
頚動脈狭窄症の麻酔管理/術中モニタリング/当施設での工夫/おわりに
基本手技のCEA
基本手技を学ぶ 西村 中,飯原弘二
はじめに/手術器具/体位,皮切/総頚動脈剥離/内頚動脈剥離/Cross clamp/Arteriotomy,プラーク摘出/血管縫合/遮断解除/おわりに
シャントの適応と手技 堀江信貴,出雲 剛
はじめに/内シャントの有無による治療成績/周術期モニタリングとselective shunt/シャントの種類/シャントチューブ挿入の実際(古井式3 wayバイバルーンシャント)/シャント抜去
パッチグラフトの適応と手技 上山憲司
はじめに/パッチグラフとしての材料/ヘマシールドパッチグラフトの適応およびトリミング/ヘマシールドパッチグラフト縫合の実際/おわりに
応用手技のCEA
高位病変のCEA 鳴海 治
はじめに/頚部内頚動脈周囲の解剖/血管情報を基にした術前高位診断/手術手技
低位病変のCEA 定政信猛
はじめに/解剖/過去の報告/CEA合併症としての神経障害/おわりに
偽閉塞のCEA 大川将和
はじめに/Pseudo-occlusionの病態/Pseudo-occlusionの自然予後/内頚動脈偽閉塞症(APO)の診断/術後/CEAの成績/症例提示
急性期CEA 吉田和道
はじめに/急性期CEAのbenefit/急性期CEAのリスク/急性期CEAを安全に行うための工夫/おわりに
放射線治療後狭窄のCEA 黒木亮太,飯原弘二
はじめに/RI-CSの特徴/RI-CSに対する手術適応/RI-CSにおけるCEAの適応/術前の画像診断/術中モニタリングとシャントの使用について/手術手技におけるポイント/RI-CSにおけるCEA後の周術期管理/まとめ
Eversion CEA:Eversion法を用いた慈大式小切開頚動脈内膜剥離術 金岡祐司,大木隆生
はじめに/適応/術前検査/手術手技/ピットフォールとトラブルシューティング/まとめ:慈大式小切開Eversion法のメリット
CEAの周術期管理,合併症と対策
術後管理の基本 八木謙次,里見淳一郎
はじめに/神経症状のモニタリング/脳血流と血圧管理/血糖管理/抗生物質の使用/創部観察と処置/安静と離床/食事再開と嚥下障害/抗血栓療法
脳神経麻痺の要因と回避 一ツ松 勤
はじめに/脳神経麻痺の要因/局所解剖と脳神経麻痺の回避/高位病変/非反回下喉頭神経/おわりに
過灌流症候群の予防と治療 丸山大輔,片岡大治
はじめに/術後過灌流と過灌流症候群/発生機序/危険因子/術後過灌流の診断/周術期管理の実際
CEA後の再狭窄とその治療 堀江信貴,出雲 剛
はじめに/再狭窄の頻度と病理学的特徴/再狭窄と関連性のある因子/再狭窄に対する治療とその成績
Ⅳ 外科的治療②:頚動脈ステント留置術(CAS)
CASを安全に行うための術前全身評価 松本省二
はじめに/心臓の評価/腎臓の評価/アクセスルートの評価/内服薬について評価
麻酔,術中モニタリング 菊池隆幸
麻酔管理/術中モニタリング
CASの基本手技 西 秀久,石井 暁
各EPDの特徴/各ステントの特徴/治療手技/主な術中トラブル
応用手技のCAS
ガイディングカテーテル留置困難例に対するCAS 織田祥至,佐藤 徹
術前評価/経大腿動脈アプローチ/経上腕動脈アプローチ/頚動脈直接穿刺法
屈曲病変のCAS 福田健治,東 登志夫
はじめに/術前準備/治療の実際/症例
Vulnerable plaqueのCAS 廣畑 優
Vulnerable plaqueとは/Vulnerable plaqueの診断/Vulnerable plaqueのCAS/症例
高度石灰化のCAS 早川基治
はじめに/適応/石灰化の診断/石灰化病変への注意点/方法/おわりに
Tandem lesionのCAS 定藤章代
Tandem lesion のCAS/比較的接近しているtandem lesionの場合/離れたtandem lesionの場合
偽閉塞,完全閉塞のCAS 太田剛史
はじめに/高度狭窄,偽閉塞,完全閉塞の鑑別/鑑別のための画像所見/自然経過から推察される手術適応/CAS応用に際しての技術的考察条件/偽閉塞,完全閉塞に対するCASの実際/手技関連合併症/今後の展望
放射線治療後狭窄のCAS 竹本光一郎
特徴/治療法の選択/CASにおける留意点/治療後の留意点
急性期CAS 岡内正信,川西正彦
急性期CASに関するクリニカルエビデンス/手術適応評価/CAS or CEA/手術手技/抗凝固・抗血小板療法/過灌流症候群/症例提示/今後の展望
CASの周術管理,合併症と対策
術後管理の基本 津本智幸
はじめに/抗血小板療法/抗凝固療法,ヘパリン起因性血小板減少症/徐脈・低血圧,頚動脈洞反射/病変部の問題(ステント内血栓形成,plaque protrusion)/アクセスルートの問題,コレステロール塞栓症
過灌流症候群の管理とstaged angioplasty 内田和孝,吉村紳一
CAS 後のHPS の頻度と病態/ CAS後のHPS の治療法/術前の脳循環動態の把握/段階的拡張術(staged angioplasty)の実際/代表症例
CAS 後の再狭窄とその治療 宮田 悠
CAS 後再狭窄の頻度/検査方法/ 定義/ CAS 後再狭窄の病態とその種類 /再狭窄の症候/再狭窄に対する再治療
Ⅴ 外科的治療③:頚動脈狭窄症と複合血管治療
難治例に対する頚動脈血行再建:私のアプローチ
Hybrid OR の活用 片岡大治,髙橋 淳
はじめに/ Hybrid OR の現状/頚動脈狭窄症に対するHybrid ORの適応/ Hybrid OR での治療計画/ Hybrid OR での治療の実際/おわりに
バイパス術と頚動脈血行再建 米山 琢,岡田芳和
はじめに/閉塞性総頚動脈病変/頚部(頭蓋外)頚動脈動脈瘤
心血管病と頚動脈疾患:私のアプローチ
冠動脈疾患と頚動脈疾患:手技選択とstrategy 今村博敏,坂井信幸
はじめに/ Strategy/手技選択/おわりに
末梢動脈疾患と頚動脈疾患:手技選択とstrategy 津本智幸
はじめに/末梢動脈疾患と頚動脈疾患の合併/術前評価,CEA かCAS か?/治療の実際
大動脈疾患と頚動脈疾患:手技選択とstrategy 東 登志夫,大川将和,竹本光一郎
脳梗塞の原因としての大動脈病変/脳血管内治療の際に留意すべき大動脈解剖と疾患 /炎症性疾患による閉塞性血管障害に対する血行再建術
Ⅵ わたしの治療戦略
CEAそれともCAS? ① 勝田俊郎,井上 亨
CEAそれともCAS? ② 西村 中,飯原弘二
CEAそれともCAS? ③ 廣畑 優
CEAそれともCAS? ④ 中原一郎
Ⅶ 頚動脈狭窄症のガイドライン・治療指針
日本と世界の頚動脈治療ガイドライン 太田剛史
はじめに/頚動脈狭窄の画像評価/内科治療/外科治療の手技および周術期管理の詳細/治療法選択/症候性頚動脈狭窄/無症候性頚動脈狭窄/特殊な病態/頚動脈外科治療実施基準/インフォームドコンセントの要点/ガイドラインの臨床適応〜日米のガイドライン比較から〜 /おわりに〜ガイドラインの問題点〜
T O P I C S
OCTの実力 黒田淳子,進藤誠悟,吉村紳一
頚動脈の数値流体解析(CFD) 河野健一
無症候性高度狭窄症における比較試験:ACT-ⅠとCREST-2 中原一郎
スタチンと頚動脈治療 高山勝年,吉川公彦
CEAのシミュレーションと練習モデル 宇野昌明
血小板機能評価と抗血小板薬不応症 榎本由貴子
新世代のチエノピリジン:プラスグレルはどんな薬か 白井伸一
CASのシミュレーションと練習モデル 中居康展
経上腕・経橈骨動脈アプローチのCAS 髙下純平
CEA後急性閉塞に対するCAS 石橋良太
CASの新たなデバイス 中原一郎,滝 和郎
80歳以上の高齢者の頚動脈血行再建 松原俊二
アテローム血栓症の病態と症候 永田 泉,中原一郎
増え続ける虚血性脳卒中と生活習慣病/アテローム硬化と頚動脈狭窄症:本邦の特徴/アテローム硬化の病態と頚動脈プラーク/頚動脈狭窄症におけるプラーク性状と症候/頚動脈狭窄症の臨床病/無症候性頚動脈病変/全身動脈硬化症の一分症としての頚動脈狭窄症
全身動脈硬化性疾患の一分症としての頚動脈狭窄症 濱中正嗣,今井啓輔
生活習慣病と頚動脈狭窄症/心血管病,末梢血管病と頚動脈狭窄症/慢性腎臓病と頚動脈狭窄症/頚動脈狭窄症の診療におけるチーム医療の必要性
動脈硬化以外が原因となる頚動脈狭窄症 中垣英明
Fibromuscular dysplasia/高安動脈炎(大動脈炎症候群)/脳動脈解離
頚動脈を取り巻く解剖の基本と応用
CEAのための解剖の基本と破格について 林 健太郎
はじめに/皮膚/筋層/静脈/動脈/神経/その他の臓器
CASのための解剖の基本と破格について 島田隆一,清末一路
解剖の基本/大動脈弓とその分枝の発生/大動脈弓とその分枝の破格/頚動脈の破格
頚動脈狭窄症の診断
神経学的所見と理学所見 岡田卓也
はじめに/理学所見/臨床徴候
神経超音波診断 岩田智則
頚部血管超音波検査/頭蓋内超音波検/経口腔超音波法(TOCU)/血管内超音波検査法(IVUS)
CT,MRI,脳血管造影 田上秀一
緒言/CT/MRI/血管造影/おわりに
核医学診断 森谷淳二,掛田伸吾,興梠征典
はじめに/脳血流SPECT/アセタゾラミド(ダイアモックス®)負荷試験/治療介入前評価(血行力学的リスクの予測)/治療介入後評価(過灌流)/FDG-PET
頚動脈狭窄症治療のエビデンスと治療適応 早川幹人
はじめに/内科治療の成績/CEAのエビデンス/CASのエビデンス/CAS vs. CEAのRCTから読みとれること/ガイドラインにみる血行再建療法の適応/おわりに
Ⅱ 内科的治療
頚動脈狭窄症に対する最良内科治療:無症候性病変の対処 田川直樹,藤本 茂
はじめに/無症候性病変の治療成績/内科的治療〜抗血小板療法〜/内科的治療〜危険因子の管理〜/おわりに
頚動脈狭窄症に対する最良内科治療:症候性病変の治療 山上 宏
はじめに/抗血小板療法/抗凝固療法/脂質低下療法/降圧療法/症候性頚動脈狭窄症に対するOMTとは/CEA/CAS周術期および急性期以降の内科治療
Ⅲ 外科的治療①:頚動脈内膜剥離術(CEA)
治療適応と術前評価・管理 小田淳平
はじめに/CEA周術期のリスク評価/併存症の評価・管理/術前内科治療
麻酔,術中モニタリング 大枝基樹
頚動脈狭窄症の麻酔管理/術中モニタリング/当施設での工夫/おわりに
基本手技のCEA
基本手技を学ぶ 西村 中,飯原弘二
はじめに/手術器具/体位,皮切/総頚動脈剥離/内頚動脈剥離/Cross clamp/Arteriotomy,プラーク摘出/血管縫合/遮断解除/おわりに
シャントの適応と手技 堀江信貴,出雲 剛
はじめに/内シャントの有無による治療成績/周術期モニタリングとselective shunt/シャントの種類/シャントチューブ挿入の実際(古井式3 wayバイバルーンシャント)/シャント抜去
パッチグラフトの適応と手技 上山憲司
はじめに/パッチグラフとしての材料/ヘマシールドパッチグラフトの適応およびトリミング/ヘマシールドパッチグラフト縫合の実際/おわりに
応用手技のCEA
高位病変のCEA 鳴海 治
はじめに/頚部内頚動脈周囲の解剖/血管情報を基にした術前高位診断/手術手技
低位病変のCEA 定政信猛
はじめに/解剖/過去の報告/CEA合併症としての神経障害/おわりに
偽閉塞のCEA 大川将和
はじめに/Pseudo-occlusionの病態/Pseudo-occlusionの自然予後/内頚動脈偽閉塞症(APO)の診断/術後/CEAの成績/症例提示
急性期CEA 吉田和道
はじめに/急性期CEAのbenefit/急性期CEAのリスク/急性期CEAを安全に行うための工夫/おわりに
放射線治療後狭窄のCEA 黒木亮太,飯原弘二
はじめに/RI-CSの特徴/RI-CSに対する手術適応/RI-CSにおけるCEAの適応/術前の画像診断/術中モニタリングとシャントの使用について/手術手技におけるポイント/RI-CSにおけるCEA後の周術期管理/まとめ
Eversion CEA:Eversion法を用いた慈大式小切開頚動脈内膜剥離術 金岡祐司,大木隆生
はじめに/適応/術前検査/手術手技/ピットフォールとトラブルシューティング/まとめ:慈大式小切開Eversion法のメリット
CEAの周術期管理,合併症と対策
術後管理の基本 八木謙次,里見淳一郎
はじめに/神経症状のモニタリング/脳血流と血圧管理/血糖管理/抗生物質の使用/創部観察と処置/安静と離床/食事再開と嚥下障害/抗血栓療法
脳神経麻痺の要因と回避 一ツ松 勤
はじめに/脳神経麻痺の要因/局所解剖と脳神経麻痺の回避/高位病変/非反回下喉頭神経/おわりに
過灌流症候群の予防と治療 丸山大輔,片岡大治
はじめに/術後過灌流と過灌流症候群/発生機序/危険因子/術後過灌流の診断/周術期管理の実際
CEA後の再狭窄とその治療 堀江信貴,出雲 剛
はじめに/再狭窄の頻度と病理学的特徴/再狭窄と関連性のある因子/再狭窄に対する治療とその成績
Ⅳ 外科的治療②:頚動脈ステント留置術(CAS)
CASを安全に行うための術前全身評価 松本省二
はじめに/心臓の評価/腎臓の評価/アクセスルートの評価/内服薬について評価
麻酔,術中モニタリング 菊池隆幸
麻酔管理/術中モニタリング
CASの基本手技 西 秀久,石井 暁
各EPDの特徴/各ステントの特徴/治療手技/主な術中トラブル
応用手技のCAS
ガイディングカテーテル留置困難例に対するCAS 織田祥至,佐藤 徹
術前評価/経大腿動脈アプローチ/経上腕動脈アプローチ/頚動脈直接穿刺法
屈曲病変のCAS 福田健治,東 登志夫
はじめに/術前準備/治療の実際/症例
Vulnerable plaqueのCAS 廣畑 優
Vulnerable plaqueとは/Vulnerable plaqueの診断/Vulnerable plaqueのCAS/症例
高度石灰化のCAS 早川基治
はじめに/適応/石灰化の診断/石灰化病変への注意点/方法/おわりに
Tandem lesionのCAS 定藤章代
Tandem lesion のCAS/比較的接近しているtandem lesionの場合/離れたtandem lesionの場合
偽閉塞,完全閉塞のCAS 太田剛史
はじめに/高度狭窄,偽閉塞,完全閉塞の鑑別/鑑別のための画像所見/自然経過から推察される手術適応/CAS応用に際しての技術的考察条件/偽閉塞,完全閉塞に対するCASの実際/手技関連合併症/今後の展望
放射線治療後狭窄のCAS 竹本光一郎
特徴/治療法の選択/CASにおける留意点/治療後の留意点
急性期CAS 岡内正信,川西正彦
急性期CASに関するクリニカルエビデンス/手術適応評価/CAS or CEA/手術手技/抗凝固・抗血小板療法/過灌流症候群/症例提示/今後の展望
CASの周術管理,合併症と対策
術後管理の基本 津本智幸
はじめに/抗血小板療法/抗凝固療法,ヘパリン起因性血小板減少症/徐脈・低血圧,頚動脈洞反射/病変部の問題(ステント内血栓形成,plaque protrusion)/アクセスルートの問題,コレステロール塞栓症
過灌流症候群の管理とstaged angioplasty 内田和孝,吉村紳一
CAS 後のHPS の頻度と病態/ CAS後のHPS の治療法/術前の脳循環動態の把握/段階的拡張術(staged angioplasty)の実際/代表症例
CAS 後の再狭窄とその治療 宮田 悠
CAS 後再狭窄の頻度/検査方法/ 定義/ CAS 後再狭窄の病態とその種類 /再狭窄の症候/再狭窄に対する再治療
Ⅴ 外科的治療③:頚動脈狭窄症と複合血管治療
難治例に対する頚動脈血行再建:私のアプローチ
Hybrid OR の活用 片岡大治,髙橋 淳
はじめに/ Hybrid OR の現状/頚動脈狭窄症に対するHybrid ORの適応/ Hybrid OR での治療計画/ Hybrid OR での治療の実際/おわりに
バイパス術と頚動脈血行再建 米山 琢,岡田芳和
はじめに/閉塞性総頚動脈病変/頚部(頭蓋外)頚動脈動脈瘤
心血管病と頚動脈疾患:私のアプローチ
冠動脈疾患と頚動脈疾患:手技選択とstrategy 今村博敏,坂井信幸
はじめに/ Strategy/手技選択/おわりに
末梢動脈疾患と頚動脈疾患:手技選択とstrategy 津本智幸
はじめに/末梢動脈疾患と頚動脈疾患の合併/術前評価,CEA かCAS か?/治療の実際
大動脈疾患と頚動脈疾患:手技選択とstrategy 東 登志夫,大川将和,竹本光一郎
脳梗塞の原因としての大動脈病変/脳血管内治療の際に留意すべき大動脈解剖と疾患 /炎症性疾患による閉塞性血管障害に対する血行再建術
Ⅵ わたしの治療戦略
CEAそれともCAS? ① 勝田俊郎,井上 亨
CEAそれともCAS? ② 西村 中,飯原弘二
CEAそれともCAS? ③ 廣畑 優
CEAそれともCAS? ④ 中原一郎
Ⅶ 頚動脈狭窄症のガイドライン・治療指針
日本と世界の頚動脈治療ガイドライン 太田剛史
はじめに/頚動脈狭窄の画像評価/内科治療/外科治療の手技および周術期管理の詳細/治療法選択/症候性頚動脈狭窄/無症候性頚動脈狭窄/特殊な病態/頚動脈外科治療実施基準/インフォームドコンセントの要点/ガイドラインの臨床適応〜日米のガイドライン比較から〜 /おわりに〜ガイドラインの問題点〜
T O P I C S
OCTの実力 黒田淳子,進藤誠悟,吉村紳一
頚動脈の数値流体解析(CFD) 河野健一
無症候性高度狭窄症における比較試験:ACT-ⅠとCREST-2 中原一郎
スタチンと頚動脈治療 高山勝年,吉川公彦
CEAのシミュレーションと練習モデル 宇野昌明
血小板機能評価と抗血小板薬不応症 榎本由貴子
新世代のチエノピリジン:プラスグレルはどんな薬か 白井伸一
CASのシミュレーションと練習モデル 中居康展
経上腕・経橈骨動脈アプローチのCAS 髙下純平
CEA後急性閉塞に対するCAS 石橋良太
CASの新たなデバイス 中原一郎,滝 和郎
80歳以上の高齢者の頚動脈血行再建 松原俊二
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頚動脈狭窄症をトータルに学んで,的確な病態把握から適切な治療の選択へ
アテローム血栓性脳梗塞は脳梗塞の1/3を占め,その多くが頚動脈狭窄症に由来する。頚動脈狭窄症の外科治療のゴールドスタンダードは言うまでもなく,頚動脈内膜剥離術(CEA)である。一方,日本では1996年にはじめて行われた頚動脈ステント留置術(CAS)は広く普及するに至っている。また近年,頚動脈狭窄症に対する内科治療は長足の進歩を遂げ,生活習慣病に対する積極的な介入,一次予防,二次予防,急性期,慢性期の抗血栓療法などによる内科治療の成績は著しく向上してきている。
上記のような現状を踏まえ,本書は頚動脈狭窄症の診断・治療に携わる医師が,内科治療,CEA,CASのいずれにも偏らない包括的な必須知識を学べる書籍となっている。