OS NEXUS 5

スポーツ復帰のための手術 膝

スポーツ復帰のための手術 膝

■担当編集委員 宗田 大

定価 12,100円(税込) (本体11,000円+税)
  • A4判  196ページ  オールカラー,イラスト210点,写真160点
  • 2016年2月1日刊行
  • ISBN978-4-7583-1384-1

前十字靭帯・半月板・複合靱帯・膝蓋骨の手術,さらに軟骨欠損や膝痛に対する手術まで,スポーツ選手に起こりやすい膝損傷に対する手術書の決定版!

No.5では,スポーツ選手が起こしやすい膝損傷に対する手術を取り上げる。特に前十字靭帯損傷を起こすスポーツ選手は多く,遺残組織をどうするか,移植腱をどう作製するかなど,術者によりさまざまな手術法がある。
本書は,まずⅠ章で前十字靭帯を取り上げ,各施設で行われている前十字靭帯再建術を解説している。Ⅱ章では,スポーツ選手に頻度の高い半月板損傷に対する手術を紹介している。近年,半月板機能の重要性が認識されつつあるなかで,その機能回復にどのような手術が必要か,丁寧に述べている。
Ⅲ章で,複合靱帯,特に後十字靱帯再建を併用した手術,Ⅳ章では膝蓋骨不安定症に対する手術を,さらに,Ⅴ章では軟骨損傷に対し,自家骨軟骨移植や2013年に保険適応となった培養軟骨移植について紹介している。そして,Ⅵ章では,靱帯や半月板,軟骨損傷以外にも疾患がある膝痛に対し,関節鏡を用いた手術を解説している。

■付録電子版に関しまして
付録電子版に使われている「メジカルビュー社eBook Library」アプリでございますが,すべてのOS向けの本アプリの開発を終了しておりますため,インストール可能な場合でも,各OSのバージョンアップによる不具合には対応できませんことをご了解いただければ幸甚です。何卒ご了承のほど,お願い申し上げます。(2024年7月)
・対応OS
iOS:iOS 12〜17.5
Android:Android OS 4.0〜11(Android 14以降にはインストールできません)
Windows:Windows 10〜11(23H2)

■シリーズ編集委員
宗田 大/中村 茂/岩崎倫政/西良浩一


序文

 スポーツ選手の膝の外傷・障害は保存治療が基本である一方,復帰のために手術治療を選択すべき症例や,手術が第一選択となる病態があることも事実である。前十字靱帯(anterior cruciate ligament;ACL)損傷は再建術がスポーツ復帰に必要となる代表的な膝損傷であり,米国で手術順位6位との報告もある。本書ではACL再建術についての代表的なアプローチとわれわれの術式を紹介した。一方,スポーツ選手の後十字靱帯(posteriorcruciate ligament;PCL)損傷に対する手術適応は限られ,2度PCL損傷を有したままスポーツを問題なく継続している選手も多い。しかし屈曲時の外旋不安定性を伴うPCL損傷と内側3度の弛緩を呈するPCL損傷では,それぞれ後外側の再建・補強,内側の再建・補強を行うことが必要であると考える。
 膝蓋骨脱臼がスポーツ選手に生じることはまれでなく,スポーツ復帰に際し反復する不安定性を経験する選手に対しては内側膝蓋大腿靱帯再建術が施行されることが多いと考えられる。膝蓋骨不安定症は病態が複雑であるため,外側支帯解離術の併用や脛骨粗面移行術が適応となる例もある。
 スポーツ選手の半月板損傷は頻度が高く,近年半月板機能の重要性が徐々に認識され,“Save the Meniscus”を世界的なキャッチフレーズとして,半月板温存や機能回復の努力が推し進められている。スポーツ選手の半月板損傷に際しても,半月板の機能をできる限り温存する努力を重ねたい。近年,われわれが試みている外側半月板の逸脱に対するCentralization法は,これまで行われていない新しい試みである。多数の施設で施行され,その適応や成績について広く経験を共有できることを期待している。
 よい手術はスポーツ復帰に不可欠だが,それは出発にすぎない。患者であるスポーツ選手の属する種目,スポーツレベル,体質や性格をよく理解し,順序立てた術後のリハビリテーションが手術と同様大切であることは言うまでもない。さらに,再受傷を予防する訓練を継続することも術後のスポーツ復帰の大切なポイントである。
 本書がスポーツ復帰へのよりよいスタートに役立つことを期待する。

2016年1月
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科運動器外科学
宗田 大
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目次

Ⅰ  前十字靱帯(ACL)
遺残組織を温存した解剖学的二束前十字靱帯再建術 北村信人ほか
遺残組織背面からのアプローチによるACL再建術 2つのアプローチ:それぞれのピットフォール 宗田 大
遺残組織を温存したACL再建術 中前敦雄ほか
膝蓋腱を用いた解剖学的前十字靱帯再建術 史野根生ほか  
脛骨骨切り術を併用したACL再建術 山本祐司ほか
 
Ⅱ 半月板
内側・外側半月板に対する損傷形態別手術 木村雅史
円板状半月板損傷に対する形成・縫合術 橋本祐介
逸脱外側半月板に対する鏡視下centralization法 古賀英之ほか
 
Ⅲ 複合靱帯
後十字靱帯再建術を併用した内側・後内側構成体再建術 古賀英之ほか
後十字靱帯再建を併用した外側側副靱帯・後外側支持機構の同時手術 黒田良祐ほか
 
Ⅳ 膝蓋骨
MPFL再建術を中心とした膝蓋骨不安定症(膝蓋骨脱臼・亜脱臼)の手術 鳥塚之嘉
脛骨粗面移行術による膝蓋骨不安定症の治療 津田英一ほか
 
Ⅴ 軟骨
軟骨欠損や関節症に対する関節面再建術 自家骨軟骨移植術 中川泰彰ほか
培養軟骨移植による軟骨修復 安達伸生
 
Ⅵ 膝痛
膝関節痛の関節鏡視下手術 土屋明弘
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