Urologic Surgery Next 4
オープンサージャリー
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定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
- A4判 218ページ オールカラー,イラスト250点,写真45点
- 2019年3月30日刊行
- ISBN978-4-7583-1333-9
電子版
序文
「Urologic Surgery Next」シリーズ
刊行にあたって
近年の泌尿器科手術の進化はめざましい。既に普及しているエンドウロロジー,腹腔鏡手術は,機器の進歩と相まってさらに洗練されてきた。近年,手術支援ロボットの導入により泌尿器科手術はさらに大きく変貌した。前立腺全摘術の多くがロボット支援下に行われ,腎部分切除術や膀胱全摘術にも適応が拡大されてきている。このような背景を踏まえて,現在の泌尿器科手術の実際をまとめた新たな手術シリーズとして「Urologic Surgery Next」シリーズを刊行することとなった。
本シリーズでは,これまで「Urologic Surgery」シリーズ全12巻(2000〜2002年),「新Urologic Surgery」シリーズ全8巻(2009〜2011年)が刊行され,いずれも好評を得てきた。最初のシリーズの刊行は泌尿器腹腔鏡手術の多くが保険収載されていなかった時期であり,第1巻としてエンドウロロジー,第2巻として泌尿器腹腔鏡手術が上梓されている。次の新シリーズは臓器別・疾患別の構成となり,低侵襲手術の普及を反映して,各巻にエンドウロロジー,腹腔鏡手術,開放手術が併記して解説されている。
前シリーズ刊行後の2012年は,ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術が保険収載され,文字通り本邦におけるロボット手術元年となった。その後のロボット手術の普及は急速であり,標準手術の一つとして定着している。腹腔鏡手術においては,泌尿器腹腔鏡技術認定制度の発足後10年以上が経過し,より洗練された標準術式として進化してきた。細径尿管鏡の開発などによりエンドウロロジーもさらに進化を遂げている。今後,手術開発と教育は新たな局面を迎えていると言えよう。
今回,シリーズ3作目として発刊される「Urologic Surgery Next」シリーズでは,最近の手術の進歩を踏まえ,以下の編集方針にて企画された。
1 . Urologic Surgeryシリーズの中でも進化した術式を重点的に解説する。
2 . 主にアプローチ別に構成し,必要な解剖,基本手技,トラブルシューティングなどを充実させる。
3 . 主要な術式では,テーマ・ポイントを絞った手術手技の解説を設ける。
4 . オープンサージャリーを一つの巻にまとめ,到達法,代表的な術式,血管処理,などを詳述する。
5 . これまでのシリーズと同様に,イラストを駆使して視覚的にわかりやすい記述とする。
執筆は第一線で活躍されておられる若手の術者にお願いした。本シリーズが多くの泌尿器外科医の日々の研鑽に役立てられることを願っている。
2018年3月
編集委員 荒井陽一
髙橋 悟
山本新吾
土谷順彦
-------------------------
序文
1804年(文化元年)華岡青洲が世界で初めて全身麻酔下で行った乳癌手術から2世紀が過ぎた。その歴史上の直近のわずか30年間でSurgery 1.0(開放手術)からより低侵襲を目指したSurgery 2.0(内視鏡手術),そしてSurgery 3.0(ロボット支援手術)へと外科手術は劇的な変化を遂げつつある。手術をソフトウエアに例えると,これらの変化はバージョンアップ,すなわち手術方式(概念)の一新ということになる。しかし,実際には全ての手術がロボット支援手術に置き換わっているわけではない。それぞれのバージョンは現在でも常にアップデート,すなわち術式の一部の更新が日々続けられているのである。本シリーズでは,荒井陽一先生の発案で腹腔鏡手術,ロボット支援手術,そして開放手術の3つのバージョンを独立した巻とした。このことは,3つの術式が混在する泌尿器科手術の現状を如実に反映しているものと考えている。
本巻で扱う開放手術の数は年々減少しており,今や若手の泌尿器科医の関心は腹腔鏡手術を通り越しロボット支援手術に向いている。しかし,多くの一般 的な泌尿器科手術が腹腔鏡手術やロボット支援手術に置き換わった中で,開放手術が実臨床で担う役割はむしろ大きくなっているように感じられる。現在,開放手術の真価が最も発揮されるのは,内視鏡手術の適応外となるような高難度手術や拡大手術である。開放手術の熟達者が減少していく時代において,数少ない貴重な開放手術の症例から確かな技術を習得することは,これまで以上に重要性が増すのではなかろうか。
Surgery 1.0(開放手術)のアップデートには腹腔鏡手術やロボット支援手術の影響も少なくないと思われる。私自身も腹腔鏡手術の経験が開放手術に,ロボット支援手術の経験が腹腔鏡手術のスキルアップに大きく影響していることを実感している。本巻の発刊により3つの手術方法が出揃ったわけであるが,各手術法の限界と可能性を含めてこれらを読み比べていただくことをお勧めしたい。本巻のみならず異なる手術法の中から,読者の皆様方の開放手術におけるステップアップに繋がるヒントを探し出していただければ幸いである。
2019年2月
土谷順彦
刊行にあたって
近年の泌尿器科手術の進化はめざましい。既に普及しているエンドウロロジー,腹腔鏡手術は,機器の進歩と相まってさらに洗練されてきた。近年,手術支援ロボットの導入により泌尿器科手術はさらに大きく変貌した。前立腺全摘術の多くがロボット支援下に行われ,腎部分切除術や膀胱全摘術にも適応が拡大されてきている。このような背景を踏まえて,現在の泌尿器科手術の実際をまとめた新たな手術シリーズとして「Urologic Surgery Next」シリーズを刊行することとなった。
本シリーズでは,これまで「Urologic Surgery」シリーズ全12巻(2000〜2002年),「新Urologic Surgery」シリーズ全8巻(2009〜2011年)が刊行され,いずれも好評を得てきた。最初のシリーズの刊行は泌尿器腹腔鏡手術の多くが保険収載されていなかった時期であり,第1巻としてエンドウロロジー,第2巻として泌尿器腹腔鏡手術が上梓されている。次の新シリーズは臓器別・疾患別の構成となり,低侵襲手術の普及を反映して,各巻にエンドウロロジー,腹腔鏡手術,開放手術が併記して解説されている。
前シリーズ刊行後の2012年は,ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術が保険収載され,文字通り本邦におけるロボット手術元年となった。その後のロボット手術の普及は急速であり,標準手術の一つとして定着している。腹腔鏡手術においては,泌尿器腹腔鏡技術認定制度の発足後10年以上が経過し,より洗練された標準術式として進化してきた。細径尿管鏡の開発などによりエンドウロロジーもさらに進化を遂げている。今後,手術開発と教育は新たな局面を迎えていると言えよう。
今回,シリーズ3作目として発刊される「Urologic Surgery Next」シリーズでは,最近の手術の進歩を踏まえ,以下の編集方針にて企画された。
1 . Urologic Surgeryシリーズの中でも進化した術式を重点的に解説する。
2 . 主にアプローチ別に構成し,必要な解剖,基本手技,トラブルシューティングなどを充実させる。
3 . 主要な術式では,テーマ・ポイントを絞った手術手技の解説を設ける。
4 . オープンサージャリーを一つの巻にまとめ,到達法,代表的な術式,血管処理,などを詳述する。
5 . これまでのシリーズと同様に,イラストを駆使して視覚的にわかりやすい記述とする。
執筆は第一線で活躍されておられる若手の術者にお願いした。本シリーズが多くの泌尿器外科医の日々の研鑽に役立てられることを願っている。
2018年3月
編集委員 荒井陽一
髙橋 悟
山本新吾
土谷順彦
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序文
1804年(文化元年)華岡青洲が世界で初めて全身麻酔下で行った乳癌手術から2世紀が過ぎた。その歴史上の直近のわずか30年間でSurgery 1.0(開放手術)からより低侵襲を目指したSurgery 2.0(内視鏡手術),そしてSurgery 3.0(ロボット支援手術)へと外科手術は劇的な変化を遂げつつある。手術をソフトウエアに例えると,これらの変化はバージョンアップ,すなわち手術方式(概念)の一新ということになる。しかし,実際には全ての手術がロボット支援手術に置き換わっているわけではない。それぞれのバージョンは現在でも常にアップデート,すなわち術式の一部の更新が日々続けられているのである。本シリーズでは,荒井陽一先生の発案で腹腔鏡手術,ロボット支援手術,そして開放手術の3つのバージョンを独立した巻とした。このことは,3つの術式が混在する泌尿器科手術の現状を如実に反映しているものと考えている。
本巻で扱う開放手術の数は年々減少しており,今や若手の泌尿器科医の関心は腹腔鏡手術を通り越しロボット支援手術に向いている。しかし,多くの一般 的な泌尿器科手術が腹腔鏡手術やロボット支援手術に置き換わった中で,開放手術が実臨床で担う役割はむしろ大きくなっているように感じられる。現在,開放手術の真価が最も発揮されるのは,内視鏡手術の適応外となるような高難度手術や拡大手術である。開放手術の熟達者が減少していく時代において,数少ない貴重な開放手術の症例から確かな技術を習得することは,これまで以上に重要性が増すのではなかろうか。
Surgery 1.0(開放手術)のアップデートには腹腔鏡手術やロボット支援手術の影響も少なくないと思われる。私自身も腹腔鏡手術の経験が開放手術に,ロボット支援手術の経験が腹腔鏡手術のスキルアップに大きく影響していることを実感している。本巻の発刊により3つの手術方法が出揃ったわけであるが,各手術法の限界と可能性を含めてこれらを読み比べていただくことをお勧めしたい。本巻のみならず異なる手術法の中から,読者の皆様方の開放手術におけるステップアップに繋がるヒントを探し出していただければ幸いである。
2019年2月
土谷順彦
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目次
I 血管を扱うための手術器具と基本手技 出口順夫
Ⅱ アプローチ法
腎・副腎への経後腹膜到達法
経第11 肋骨ならびに第12 肋骨後腹膜アプローチ法 仲西昌太郎,斎藤誠一
経腹ならびに経胸腹アプローチ法(腎・副腎の大きな腫瘍に対する) 浦上慎司
横隔膜へのアプローチ法 三宅秀明
Ⅲ 腎,尿管,副腎の手術
副腎摘除術 川村幸治,今本 敬,市川智彦
腎癌の手術
後腹膜アプローチによる根治的腎摘除術 吉村一宏,植村天受
経腹膜アプローチによる根治的腎摘除術 藤﨑 明,高山達也,森田辰男
腫瘍血栓を伴う腎癌の手術 安部崇重,丸山 覚,篠原信雄
開放腎部分切除術 冨田善彦
腎盂尿管癌の手術
腎尿管全摘除術 西村和郎
Ⅳ 骨盤内臓器,後腹膜腔の手術
恥骨後式前立腺全摘術 川島清隆
男性の膀胱全摘除術 骨盤リンパ節郭清,尿道摘除術を含む 古賀文隆
女性の膀胱全摘除術 井川 掌,末金茂高
膀胱部分切除術 米瀬淳二
骨盤内臓器全摘除術 中川 徹
後腹膜リンパ節郭清術 星 昭夫,河合弘二
Ⅴ 腎移植,バスキュラーアクセス
生体ドナー腎採取術 井手健太郎,大段秀樹
腎移植術 八木澤 隆
自家腎移植術 松浦朋彦,加藤廉平,小原 航
バスキュラーアクセス手術 西田隼人,土谷順彦
Ⅱ アプローチ法
腎・副腎への経後腹膜到達法
経第11 肋骨ならびに第12 肋骨後腹膜アプローチ法 仲西昌太郎,斎藤誠一
経腹ならびに経胸腹アプローチ法(腎・副腎の大きな腫瘍に対する) 浦上慎司
横隔膜へのアプローチ法 三宅秀明
Ⅲ 腎,尿管,副腎の手術
副腎摘除術 川村幸治,今本 敬,市川智彦
腎癌の手術
後腹膜アプローチによる根治的腎摘除術 吉村一宏,植村天受
経腹膜アプローチによる根治的腎摘除術 藤﨑 明,高山達也,森田辰男
腫瘍血栓を伴う腎癌の手術 安部崇重,丸山 覚,篠原信雄
開放腎部分切除術 冨田善彦
腎盂尿管癌の手術
腎尿管全摘除術 西村和郎
Ⅳ 骨盤内臓器,後腹膜腔の手術
恥骨後式前立腺全摘術 川島清隆
男性の膀胱全摘除術 骨盤リンパ節郭清,尿道摘除術を含む 古賀文隆
女性の膀胱全摘除術 井川 掌,末金茂高
膀胱部分切除術 米瀬淳二
骨盤内臓器全摘除術 中川 徹
後腹膜リンパ節郭清術 星 昭夫,河合弘二
Ⅴ 腎移植,バスキュラーアクセス
生体ドナー腎採取術 井手健太郎,大段秀樹
腎移植術 八木澤 隆
自家腎移植術 松浦朋彦,加藤廉平,小原 航
バスキュラーアクセス手術 西田隼人,土谷順彦
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泌尿器科オープンサージャリー手技を安全・確実に完遂するために
現在,わが国の外科領域では内視鏡外科手術,ロボット支援手術が手術療法の第一選択になりつつある。しかし,手術を安全で確実に完遂するためにオープンサージャリーが適応となる症例がある。ロボット手術の先端を行く泌尿器科においても,オープンサージャリーが適応となる症例が確実に存在する。
ロボット手術時代の今だからこそ,本書で泌尿器科のオープンサージャリー手技を学んでいただきたい。