手術のための解剖学
新 泌尿器科手術のための解剖学
定価 27,500円(税込) (本体25,000円+税)
- A4判 240ページ 上製,オールカラー,イラスト300点,写真110点
- 2006年3月29日刊行
- ISBN978-4-7583-0561-7
序文
手術が首尾良く成功するためには,それをおこなう術者の技術とともに「よく見える」ことが重要である。「よく見える」とは解剖が理解され,実際に術中に眼,触感,モニターなどで認識かつ構築されることである。手術には「手術のための解剖学」がなければならない。
1998年に刊行された「泌尿器科手術のための解剖学」は「手術に役立つ」という切り口から泌尿器科解剖をとらえた書として多くの方々の支持を得てきた。このたび,内容・体裁を一新して「新 泌尿器科手術のための解剖学」を刊行する運びとなった。旧刊の巻頭に「泌尿器科手術のために解剖学(正常および異常)」の正確な知識が必須であることは言うまでもない。しかし,手術に必要な解剖学が応用解剖学であり,いろいろな要素が統合されたものでなくてはならない。」(吉田 修 京都大学名誉教授)と記されている。まさしく手術を遂行するためには形態学としての肉眼解剖だけでは不十分であり,膜の構造,機能解剖,発生,内視鏡に特有な解剖,など手術操作を意識した解剖学的理解が求められる。本書ではこのような旧刊の基本コンセプトを引き継ぐとともに,最近の手術法の進歩や新知見をできるだけ盛り込んだ内容に刷新した。
まず新たに排尿,勃起,射精に関する機能解剖学を加えた。骨盤内外科手術においては,これらの機能に関する系統的解剖の理解はQOL重視の手術において特に重要なものである。また神経再建,形成手術,尿路再建など機能再建に必要な解剖についても取り上げた。外科解剖への深い理解は発生へと立ち帰らせる。層の正しい展開は発生への理解なくして困難である。その意味であらたに手術のための発生学の章を設けた。
「泌尿器科手術と解剖」では,すべての術式において開放手術と鏡視下手術の双方の解剖を記載した。現在,外陰部を除くほとんどの泌尿器科手術において鏡視下手術が行われるようになってきた。拡大される鏡視下手術の視野では,このための特有な解剖学が必要である。また鏡視下手術の進歩により,新たな解剖学的知見が蓄積され,従来の開放手術にも大きな進歩をもたらしていることは周知のことである。したがって開放手術と鏡視下手術の解剖学は相補的な関係でもある。さらに,読者の理解を促すために豊富なイラストを使用するとともに実際の術野や内視鏡視野,解剖体,などの写真も随時盛り込むように工夫し,「手術に役立つ」内容に徹した。
新刊では人名を冠した解剖,器具,手術操作などをコラムとして取り上げた。外科の歴史は多くの先達の偉業による積み重ねである。しかし,その多くは忘れられ,私どもが普段何気なく使っている器具や手術の名前にわずかに残されているものも多い。これら先達の偉業を呼び起こし,医学の歴史に触れる機会を作っていただいた加藤哲郎・秋田大学名誉教授と友吉唯夫・滋賀医科大学名誉教授に深謝したい。
われわれは,一度「解明」された解剖は普遍的だと思いがちである。しかし,外科解剖は絶えず進化している。ひとたびアプローチ法が変わると必ずといってよいほど新たな解剖学上の「発見」がある。外科解剖の不思議な魅力であり,外科医の醍醐味でもある。このたび,ご執筆を担当して本書に新たないのちを吹き込んでいただいた諸先生方に深甚なる感謝の意を表したい。
本書が泌尿器科手術をおこなう多くの医師の座右にあって役立てられることを願うものである。
2006年3月
荒井陽一
松田公志
1998年に刊行された「泌尿器科手術のための解剖学」は「手術に役立つ」という切り口から泌尿器科解剖をとらえた書として多くの方々の支持を得てきた。このたび,内容・体裁を一新して「新 泌尿器科手術のための解剖学」を刊行する運びとなった。旧刊の巻頭に「泌尿器科手術のために解剖学(正常および異常)」の正確な知識が必須であることは言うまでもない。しかし,手術に必要な解剖学が応用解剖学であり,いろいろな要素が統合されたものでなくてはならない。」(吉田 修 京都大学名誉教授)と記されている。まさしく手術を遂行するためには形態学としての肉眼解剖だけでは不十分であり,膜の構造,機能解剖,発生,内視鏡に特有な解剖,など手術操作を意識した解剖学的理解が求められる。本書ではこのような旧刊の基本コンセプトを引き継ぐとともに,最近の手術法の進歩や新知見をできるだけ盛り込んだ内容に刷新した。
まず新たに排尿,勃起,射精に関する機能解剖学を加えた。骨盤内外科手術においては,これらの機能に関する系統的解剖の理解はQOL重視の手術において特に重要なものである。また神経再建,形成手術,尿路再建など機能再建に必要な解剖についても取り上げた。外科解剖への深い理解は発生へと立ち帰らせる。層の正しい展開は発生への理解なくして困難である。その意味であらたに手術のための発生学の章を設けた。
「泌尿器科手術と解剖」では,すべての術式において開放手術と鏡視下手術の双方の解剖を記載した。現在,外陰部を除くほとんどの泌尿器科手術において鏡視下手術が行われるようになってきた。拡大される鏡視下手術の視野では,このための特有な解剖学が必要である。また鏡視下手術の進歩により,新たな解剖学的知見が蓄積され,従来の開放手術にも大きな進歩をもたらしていることは周知のことである。したがって開放手術と鏡視下手術の解剖学は相補的な関係でもある。さらに,読者の理解を促すために豊富なイラストを使用するとともに実際の術野や内視鏡視野,解剖体,などの写真も随時盛り込むように工夫し,「手術に役立つ」内容に徹した。
新刊では人名を冠した解剖,器具,手術操作などをコラムとして取り上げた。外科の歴史は多くの先達の偉業による積み重ねである。しかし,その多くは忘れられ,私どもが普段何気なく使っている器具や手術の名前にわずかに残されているものも多い。これら先達の偉業を呼び起こし,医学の歴史に触れる機会を作っていただいた加藤哲郎・秋田大学名誉教授と友吉唯夫・滋賀医科大学名誉教授に深謝したい。
われわれは,一度「解明」された解剖は普遍的だと思いがちである。しかし,外科解剖は絶えず進化している。ひとたびアプローチ法が変わると必ずといってよいほど新たな解剖学上の「発見」がある。外科解剖の不思議な魅力であり,外科医の醍醐味でもある。このたび,ご執筆を担当して本書に新たないのちを吹き込んでいただいた諸先生方に深甚なる感謝の意を表したい。
本書が泌尿器科手術をおこなう多くの医師の座右にあって役立てられることを願うものである。
2006年3月
荒井陽一
松田公志
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目次
1−局所解剖図 佐藤達夫,坂本裕和
[上皮小体(副甲状腺)]
上皮小体の動脈/反回神経
[副腎,自律神経叢]
副腎/動脈/静脈/神経
[腎と腎筋膜]
[精巣・精管・尿管の動脈]
精管の血管-1(右)/精管の血管-2(右)/上膀胱動脈から起こる精管動脈(右)/上部尿管の動脈(男性,左)/中部尿管の動脈(男性,右)/下部尿管の動脈(女性,右)
[骨盤神経叢(下下腹神経叢)の構成]
骨盤神経叢の構成/上下腹神経叢の構成/骨盤内臓神経と仙骨内臓神経/内腸骨動脈の枝/骨盤神経叢の重要性
[骨盤神経叢の分布]
精嚢・精管と直腸への枝/前立腺の後外側縁を下行する神経と動脈/前立腺周辺の静脈叢と副陰部動脈/陰茎へ達する骨盤神経叢の枝/女性の骨盤神経叢の分布/子宮への枝
[リンパ管]
腎臓のリンパ管/精巣のリンパ管/子宮動脈に沿うリンパ管/腸骨リンパ系と臍動脈索
[筋膜]
骨盤内部の筋膜配置/膀胱下腹筋膜/尿管下腹神経筋膜(仮称)/直腸の外側靭帯(索)/Denonvilliers筋膜
[リンパ系−大動脈周囲リンパ節]
大動脈周囲リンパ節(腰リンパ節)の分類/神経叢との関係/胸管の形成(男性)/左腎静脈下縁に沿うリンパ節/左副腎のリンパ管
[リンパ系−精巣・卵巣のリンパ系]
精巣のリンパ管(右)/精巣動脈に沿うリンパ管と精管動脈に沿うリンパ管(右)/左卵巣動静脈に沿うリンパ管(左)/左卵巣静脈に沿うリンパ管(左)
[リンパ系−骨盤内臓リンパ系]
骨盤内臓と腸骨リンパ系/子宮動脈に沿うリンパ管(右)/臍動脈索を乗り越えるリンパ管(女性,右)/骨盤内臓のリンパ管(女性,右)/腸骨リンパ節(女性,右)
[リンパ系−尿管・仙骨前面のリンパ系]
大動脈外側リンパ節および左尿管に沿うリンパ管(女性,左)/右尿管のリンパ管の短絡路および直腸の後外側(女性,右)/仙骨前面のリンパ管(女性,左)
2−手術に役立つ機能解剖
排尿 吉村直樹
膀胱 /尿道 /末梢神経路 /中枢神経路
勃起 武中 篤
従来のNVBの概念 /骨盤内臓神経と下腹神経 /NVBの成り立ち /NVB切除後の神経移植 /NVB末梢の解剖 /NVBと術後尿禁制 /NVBと前立腺被膜との関係
射精 木原和徳
射精を支配する神経の解剖/射精の神経支配の仕方/神経の解剖/支配様式からみた射精機能温存のポイント
3−手術に役立つ発生学 佐藤健次
胚子と胎児/腎臓の発生/生殖系/膀胱・前立腺/外生殖器—尿道と会陰/排泄腔/体節,筋系/神経系/副腎
4−麻酔,神経ブロックに必要な解剖 小川節郎
仙骨麻酔 /閉鎖神経ブロック /神経因性膀胱(過活動型膀胱)と神経ブロック /鼠径部の神経ブロック
5−エンドウロロジーに必要な解剖 奴田原紀久雄
経皮的腎瘻術(percutaneous nephrostomy;PCN),経皮的腎砕石術(percutaneous nephroureterolithotripsy;PNL)に必要な解剖/尿管鏡とPNLに必要な解剖−腎盂と腎杯の解剖/尿管鏡に必要な解剖−尿管の解剖/TURPに必要な解剖
6−機能再建に必要な解剖
神経再建, 泌尿器科筋皮弁 宗内 巌
[神経再建]
腓腹神経の採取/神経移植
[泌尿器科筋皮弁]
薄筋皮弁/腹直筋皮弁
外陰部形成術 島田憲次
[会陰部の解剖]
肛門三角/尿生殖三角/会陰部の血管/会陰部の神経
[陰茎の解剖]
陰茎皮膚との筋膜/陰茎体の血管/陰茎の神経/女子の尿生殖三角
尿路変向,再建術 藤澤正人
小腸/回盲部/虫垂/結腸/胃結腸靱帯,大網/直腸
人名の付いた臓器・手術器具−1
人名の付いた解剖 友吉唯夫
7−泌尿器科手術と解剖
副腎の手術
副腎の腹腔鏡下手術 鶴 信雄,鈴木和雄
副腎の解剖学的位置/経腹到達法/右副腎摘除術/左副腎摘除術/腹膜外到達法
副腎・腎の手術
開放手術:側方・後方からのアプローチ 川喜田睦司
経胸経腹膜的到達法/神経温存経11肋骨胸膜外到達法/腰部縦切開法
腎・尿管の手術
開放手術:経腹膜到達法 賀本敏行
皮膚切開/後腹膜臓器と腹腔内臓器/右後腹膜への到達法/右腎動静脈の処理方法/右副腎中心静脈の処理方法/左後腹膜への到達方法/左腎動静脈の処理/左副腎摘除/尿管周囲への到達方法/尿管と周囲臓器の関係/尿管の血流支配
腎・尿管の手術
腹腔鏡下手術 寺地敏郎
腎・尿管に対する腹腔鏡下手術/腎周囲結合組織の膜構造/経腹膜到達法の根治的腎摘除術における腎前面の剥離/経腹膜到達法による腎茎周囲の解剖/後腹膜到達法による根治的腎摘除術における膜解剖/後腹膜到達法による腎茎周囲の解剖/腎から尿管へ
骨盤内手術(前立腺全摘除術,膀胱全摘除術)
解放手術〔男性〕 荒井陽一
[前立腺全摘除術と解剖]
前立腺,外尿道括約筋,Santorini静脈叢,Denonvilliers筋膜の関係/Santorini静脈叢の解剖/dorsal vein complex(DVC)へのアプローチ/前立腺尖部の形態と外尿道括約筋の解剖/外尿道括約筋の神経支配/勃起神経の解剖と神経温存手術の操作手順/尿道切断とDenonvilliers筋膜の処理/前立腺後面の剥離とDenonvilliers筋膜
[膀胱全摘除術と解剖〔男性〕]
骨盤内の解剖(男性,膀胱部横断図)/膀胱への進入法/神経温存術と解剖
骨盤内手術(前立腺全摘除術,膀胱全摘除術)
膀胱全摘除術〔女性〕 藤元博行
[女性の膀胱全摘除術に必要な解剖の理解]
広間膜の理解/子宮頸部の周囲構造/基靭帯と周囲構造/尿道と腟周囲の構造
[実際の手術手技]
膀胱前腔の構造と処理方法/側腔の展開方法/尿道の処理
骨盤内手術(前立腺全摘除術,膀胱全摘除術)
腹腔鏡下手術〔男性〕 原 勲
腹腔内から骨盤底を観察する/精嚢の剥離/デノンビリエ(Denonvilliers)筋膜/レチウス(Retzius)腔の展開/骨盤内リンパ節郭清/内骨盤筋膜切開からバンチングまで/膀胱頸部切開/NVB温存と合併切除/尿道切断/膀胱全摘除術
会陰・尿道の手術 松原昭郎,安本博晃,碓井 亞
[会陰および前立腺周囲の解剖]
会陰の筋と筋膜/肛門括約筋/直腸尿道筋/横紋筋性尿道括約筋/前立腺周囲の筋膜
[会陰式前立腺全摘除術と解剖]
前立腺へのルート/神経温存と神経非温存拡大摘除/尿道切断と前立腺前面の展開/膀胱頸部離断と精嚢剥離,側方血管束の処理,膀胱尿道吻合
[尿道の手術と解剖]
尿失禁と性器脱の手術 後藤百万
骨盤底支持/膀胱頸部・尿道括約機構/膀胱頸部・尿道の支持機構/腟・子宮支持機構/Retzius窩の針穿刺
陰嚢・鼠径の手術 松田公志
膜の解剖/精巣固定術/精索静脈瘤低位結紮術/精管精管吻合術/精巣生検/鼠径リンパ節郭清術
後腹膜リンパ節郭清術
開放手術 篠原信雄
後腹膜臓器と腹膜付着部との位置関係/壁側腹膜の切開線/交感神経幹・腰部交感神経枝と下腹神経叢
後腹膜リンパ節郭清術
腹腔鏡下手術 伊藤明宏
皮膚切開から後腹膜腔への到達/外側円錐筋膜および腎筋膜後葉の切開/腹膜の挙上と大動脈左面の後腹膜腔の展開/大動脈前面から下大静脈前面までの後腹膜腔の展開/modified unilateral templateでの後腹膜リンパ節郭清
人名の付いた臓器・手術器具−2
人名の付いた手術器具と切開法 加藤哲郎
[上皮小体(副甲状腺)]
上皮小体の動脈/反回神経
[副腎,自律神経叢]
副腎/動脈/静脈/神経
[腎と腎筋膜]
[精巣・精管・尿管の動脈]
精管の血管-1(右)/精管の血管-2(右)/上膀胱動脈から起こる精管動脈(右)/上部尿管の動脈(男性,左)/中部尿管の動脈(男性,右)/下部尿管の動脈(女性,右)
[骨盤神経叢(下下腹神経叢)の構成]
骨盤神経叢の構成/上下腹神経叢の構成/骨盤内臓神経と仙骨内臓神経/内腸骨動脈の枝/骨盤神経叢の重要性
[骨盤神経叢の分布]
精嚢・精管と直腸への枝/前立腺の後外側縁を下行する神経と動脈/前立腺周辺の静脈叢と副陰部動脈/陰茎へ達する骨盤神経叢の枝/女性の骨盤神経叢の分布/子宮への枝
[リンパ管]
腎臓のリンパ管/精巣のリンパ管/子宮動脈に沿うリンパ管/腸骨リンパ系と臍動脈索
[筋膜]
骨盤内部の筋膜配置/膀胱下腹筋膜/尿管下腹神経筋膜(仮称)/直腸の外側靭帯(索)/Denonvilliers筋膜
[リンパ系−大動脈周囲リンパ節]
大動脈周囲リンパ節(腰リンパ節)の分類/神経叢との関係/胸管の形成(男性)/左腎静脈下縁に沿うリンパ節/左副腎のリンパ管
[リンパ系−精巣・卵巣のリンパ系]
精巣のリンパ管(右)/精巣動脈に沿うリンパ管と精管動脈に沿うリンパ管(右)/左卵巣動静脈に沿うリンパ管(左)/左卵巣静脈に沿うリンパ管(左)
[リンパ系−骨盤内臓リンパ系]
骨盤内臓と腸骨リンパ系/子宮動脈に沿うリンパ管(右)/臍動脈索を乗り越えるリンパ管(女性,右)/骨盤内臓のリンパ管(女性,右)/腸骨リンパ節(女性,右)
[リンパ系−尿管・仙骨前面のリンパ系]
大動脈外側リンパ節および左尿管に沿うリンパ管(女性,左)/右尿管のリンパ管の短絡路および直腸の後外側(女性,右)/仙骨前面のリンパ管(女性,左)
2−手術に役立つ機能解剖
排尿 吉村直樹
膀胱 /尿道 /末梢神経路 /中枢神経路
勃起 武中 篤
従来のNVBの概念 /骨盤内臓神経と下腹神経 /NVBの成り立ち /NVB切除後の神経移植 /NVB末梢の解剖 /NVBと術後尿禁制 /NVBと前立腺被膜との関係
射精 木原和徳
射精を支配する神経の解剖/射精の神経支配の仕方/神経の解剖/支配様式からみた射精機能温存のポイント
3−手術に役立つ発生学 佐藤健次
胚子と胎児/腎臓の発生/生殖系/膀胱・前立腺/外生殖器—尿道と会陰/排泄腔/体節,筋系/神経系/副腎
4−麻酔,神経ブロックに必要な解剖 小川節郎
仙骨麻酔 /閉鎖神経ブロック /神経因性膀胱(過活動型膀胱)と神経ブロック /鼠径部の神経ブロック
5−エンドウロロジーに必要な解剖 奴田原紀久雄
経皮的腎瘻術(percutaneous nephrostomy;PCN),経皮的腎砕石術(percutaneous nephroureterolithotripsy;PNL)に必要な解剖/尿管鏡とPNLに必要な解剖−腎盂と腎杯の解剖/尿管鏡に必要な解剖−尿管の解剖/TURPに必要な解剖
6−機能再建に必要な解剖
神経再建, 泌尿器科筋皮弁 宗内 巌
[神経再建]
腓腹神経の採取/神経移植
[泌尿器科筋皮弁]
薄筋皮弁/腹直筋皮弁
外陰部形成術 島田憲次
[会陰部の解剖]
肛門三角/尿生殖三角/会陰部の血管/会陰部の神経
[陰茎の解剖]
陰茎皮膚との筋膜/陰茎体の血管/陰茎の神経/女子の尿生殖三角
尿路変向,再建術 藤澤正人
小腸/回盲部/虫垂/結腸/胃結腸靱帯,大網/直腸
人名の付いた臓器・手術器具−1
人名の付いた解剖 友吉唯夫
7−泌尿器科手術と解剖
副腎の手術
副腎の腹腔鏡下手術 鶴 信雄,鈴木和雄
副腎の解剖学的位置/経腹到達法/右副腎摘除術/左副腎摘除術/腹膜外到達法
副腎・腎の手術
開放手術:側方・後方からのアプローチ 川喜田睦司
経胸経腹膜的到達法/神経温存経11肋骨胸膜外到達法/腰部縦切開法
腎・尿管の手術
開放手術:経腹膜到達法 賀本敏行
皮膚切開/後腹膜臓器と腹腔内臓器/右後腹膜への到達法/右腎動静脈の処理方法/右副腎中心静脈の処理方法/左後腹膜への到達方法/左腎動静脈の処理/左副腎摘除/尿管周囲への到達方法/尿管と周囲臓器の関係/尿管の血流支配
腎・尿管の手術
腹腔鏡下手術 寺地敏郎
腎・尿管に対する腹腔鏡下手術/腎周囲結合組織の膜構造/経腹膜到達法の根治的腎摘除術における腎前面の剥離/経腹膜到達法による腎茎周囲の解剖/後腹膜到達法による根治的腎摘除術における膜解剖/後腹膜到達法による腎茎周囲の解剖/腎から尿管へ
骨盤内手術(前立腺全摘除術,膀胱全摘除術)
解放手術〔男性〕 荒井陽一
[前立腺全摘除術と解剖]
前立腺,外尿道括約筋,Santorini静脈叢,Denonvilliers筋膜の関係/Santorini静脈叢の解剖/dorsal vein complex(DVC)へのアプローチ/前立腺尖部の形態と外尿道括約筋の解剖/外尿道括約筋の神経支配/勃起神経の解剖と神経温存手術の操作手順/尿道切断とDenonvilliers筋膜の処理/前立腺後面の剥離とDenonvilliers筋膜
[膀胱全摘除術と解剖〔男性〕]
骨盤内の解剖(男性,膀胱部横断図)/膀胱への進入法/神経温存術と解剖
骨盤内手術(前立腺全摘除術,膀胱全摘除術)
膀胱全摘除術〔女性〕 藤元博行
[女性の膀胱全摘除術に必要な解剖の理解]
広間膜の理解/子宮頸部の周囲構造/基靭帯と周囲構造/尿道と腟周囲の構造
[実際の手術手技]
膀胱前腔の構造と処理方法/側腔の展開方法/尿道の処理
骨盤内手術(前立腺全摘除術,膀胱全摘除術)
腹腔鏡下手術〔男性〕 原 勲
腹腔内から骨盤底を観察する/精嚢の剥離/デノンビリエ(Denonvilliers)筋膜/レチウス(Retzius)腔の展開/骨盤内リンパ節郭清/内骨盤筋膜切開からバンチングまで/膀胱頸部切開/NVB温存と合併切除/尿道切断/膀胱全摘除術
会陰・尿道の手術 松原昭郎,安本博晃,碓井 亞
[会陰および前立腺周囲の解剖]
会陰の筋と筋膜/肛門括約筋/直腸尿道筋/横紋筋性尿道括約筋/前立腺周囲の筋膜
[会陰式前立腺全摘除術と解剖]
前立腺へのルート/神経温存と神経非温存拡大摘除/尿道切断と前立腺前面の展開/膀胱頸部離断と精嚢剥離,側方血管束の処理,膀胱尿道吻合
[尿道の手術と解剖]
尿失禁と性器脱の手術 後藤百万
骨盤底支持/膀胱頸部・尿道括約機構/膀胱頸部・尿道の支持機構/腟・子宮支持機構/Retzius窩の針穿刺
陰嚢・鼠径の手術 松田公志
膜の解剖/精巣固定術/精索静脈瘤低位結紮術/精管精管吻合術/精巣生検/鼠径リンパ節郭清術
後腹膜リンパ節郭清術
開放手術 篠原信雄
後腹膜臓器と腹膜付着部との位置関係/壁側腹膜の切開線/交感神経幹・腰部交感神経枝と下腹神経叢
後腹膜リンパ節郭清術
腹腔鏡下手術 伊藤明宏
皮膚切開から後腹膜腔への到達/外側円錐筋膜および腎筋膜後葉の切開/腹膜の挙上と大動脈左面の後腹膜腔の展開/大動脈前面から下大静脈前面までの後腹膜腔の展開/modified unilateral templateでの後腹膜リンパ節郭清
人名の付いた臓器・手術器具−2
人名の付いた手術器具と切開法 加藤哲郎
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安全・確実な手術を行うために必須の解剖書
実際の手術に役立つ“手術のための解剖書”を標榜し,1998年に弊社より刊行したのが『泌尿器科手術のための解剖学』である。本書は泌尿器科臨床医に大好評をいただいた。
『泌尿器科手術のための解剖学』の刊行より8年を経て,この程,新たに“機能解剖”“リンパ節解剖”“発生学”“機能再建”“エンドウロロジー”の項を加え,“腹腔鏡手術”関連の項の一層の充実を図ったのが本書『新 泌尿器科手術のための解剖学』である。
主要な手術は「開放手術」と「腹腔鏡下手術」に分けて解説し,術式により異なる解剖がよりよく分かるように構成している。
オールカラーで,イラスト,写真を多数掲載。解剖の細部がよりリアルに分かり,実際の手術に役立つものとなっている。